ゴムのヒーローアカデミア   作:D.C.

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始まりの一歩

僕が目を覚ましてから5日がたった。お母さんは毎日お見舞いに来てくれる。僕は本当に申し訳ない事をしてしまった。無個性だからって理由だけで人生諦めたりして、お母さんはこんな無個性な僕でも大切に思ってくれてるんだ。僕も、無個性だからって悩んだりしない。

 

グゥ〜〜〜!!

 

「病院の食事って量が少ないんだよなぁ。」

 

僕はお母さんが持ってきてくれたお見舞いのフルーツを食べようとした。するとその中に見たことも無いフルーツが入っていた。

 

「なんだこれ?変な色してるなあ。形はメロンみたいだけど…食べれるのかな?」

 

明らかにヤバい見た目なのだがお母さんがせっかく僕の為に持ってきてくれたんだからそんな事言ったらダメだと思い、僕はそのフルーツを手に取った。

 

「あ、柔らかい。他にもメロンやマンゴーとかあるけど、包丁無いからこのフルーツ食べてお昼まで待とう。」

 

僕はその変わったフルーツを手に取り食べた。すると……

 

「!!!???!!!、まっずい!!なんだコレ!とてもじゃ無いけど食べれる味じゃ無いな!僕もよく飲み込めたよこんなモノ!」

 

とは言え、食べ物を粗末にする訳にも行かないので僕は残りを二口程で頑張って平らげた。

 

 

 

 

お昼過ぎ

 

「出久、お見舞いに来たよ。」

 

お母さんが今日も来てくれた。忙しいのに申し訳ない。

 

「ありがとう、お母さん。1つ聞きたいんだけど、アソコのフルーツを持って来てくれたのはお母さん?」

 

僕はお昼前に食べたフルーツの事を含めてお母さんに聞いてみた。

 

「ん?そうよ?貴方が目を覚ましたって聞いてお母さんすぐ買いに行ったんだから!」

 

「その中に紫色のメロン見たいなフルーツって覚えてる?」

 

「え?そんなの入って無かったと思うけど……なんでそんな事聞くのよ?」

 

「いや、何でもない!もしかしたら夢とごっちゃになってるのかも!!」

 

僕はすぐに誤魔化した。また変な事をしてお母さんを心配させる訳には行かないから。

でもお母さんが知らないとなると、あのフルーツはいったい誰がどこから持って来たんだろう。

 

「お母さん、僕ちょっとトイレ行ってくる。」

 

僕はトイレに行こうとするとお母さんが

 

「一緒に行くよ」

 

と、言って来たので僕は慌てて

 

「恥ずかしいからイイよ!リカバリーガールのお陰でもう歩けるんだから、1人で行けるよ!」

 

僕が入院した時、治癒の個性を持つ妙齢ヒロイン、リカバリーガールがたまたま病院に出張で来ていたらしく、リカバリーガールが治療をしてくれた。そのお陰で僕は入院してから5日という少ない日数で歩けるまでに回復したのだ。

僕は恥ずかしさから1人で行こうとお母さんの横を通ったらお母さんに腕を掴まれた。

 

「万が一倒れたら危ないんだから、ついてい…」

 

お母さんに腕を掴まれてるのに抵抗もなく歩けている。と思ったら、お母さんの言葉が急に止まったので後ろを振り向くと

 

「っっっ!!!???」

 

お母さんが凄く驚いた顔で握った僕の腕を見ていた。

もちろん僕も驚いている。だって

 

「えーーー!!!!??腕が伸びてる!!??何これ!?僕どうしちゃったの!?」

 

それから僕は看護師さん達に止められるまで騒いでしまい、すぐに先生の所まで連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し戻って出久が飛び降りた日の夜。

 

「勝己、あんた自分が何したのかわかってるの?」

 

オレは今、ババアに叱られている。普段は口うるさく叱られたり怒鳴られたりしても言い返してたが、今のオレにはそんな気は到底起きない。流石のオレでも今回の件は反省している。

オレが黙ってると、ババアに左頬を叩かれた。

 

「あんたは成績が良いから多少の事でも今までは少し口うるさく言うくらいにしてたよ。でもね!友達を、昔から一緒にいる幼馴染みを落として死なせようとするなんて思わなかったよっ!!」

 

返す言葉も見当たらねえ。オレは正直言ってデクの事をバカにしていた。デクだけじゃなく、学校の奴らはみんな下に見ていた。オレより優れた奴なんか居ないから、先公もオレの態度が悪くても強く言わないから、オレは誰よりも成績が良いから。オレは調子に乗っていた。でも、オレは心のどこかでデクなら何しても平気だと思ってた。昔から何をしても後ろに引っ付いて来てたから。だけど今回は……

 

「勝己!!何か言ったらどうなのっ!!!」

 

「母さん、少し落ち着いて。部屋に戻って休んでな。」

 

ババアがオレを叩こうとした時、いつも静かなオヤジが止めに入った。

 

「でも!!あたしは母親として!!」

 

「それは僕が言っとくよ。いつも家庭の事、勝己の事は全部母さんに任せっきりだからね。こんな時くらいは任せてよ。」

 

オヤジがそう言うとババアはリビングから出て行った。それを見送ったオヤジはオレの方を向き話しかけて来た。

 

「勝己」

 

「っ!??」

 

静かに、それなのに力強く名前を呼ばれた。いつも物静かでババアの尻に敷かれてる情けないと思ってたオヤジがこんなに強い人に見えるとは思わなかった。オレはどこかで自分の親まで舐めてたみたいだ。

 

「今回の事件、何が悪いのか分かっているね?僕は勝己の事も家庭の事も全て母さんに任せているから勝己が普段どんな事をして、どんな友達と一緒に居るのか知らないよ。だけど今回、勝己の一言で出久君は身を投げてしまったんだろう?」

 

オレは頷いた。

 

「勝己には勝己の、出久君には出久君の想いが有ったんだと僕は思う。だけど、遊びだろうと、冗談だろうと、人を傷つけちゃいけない。勝己が目指してるヒーローは人を助ける存在だからね。でも、今日やった事はヴィランがやってる事と変わらない。」

 

そう言ってオヤジはオレの横に座った。

 

「勝己は小さい時から何でも出来る子だったからね。自分を下に見られたり、自分より上がいるなんて考えもした事無いだろう。でも、必要以上に自分を下に見る事をしないのは勝己の良いところでもある。人は下と認め下を向くとやる事が全て伸びなくなってしまうからね。」

 

オヤジの言葉は一言一言に重みがあった。そしてオヤジはだけどと続けて。

 

「ヒーローを目指してるなら人を傷つけちゃいけないよ。人を傷つける事はヴィランと一緒だからね。」

 

「今回の事を今後、どう活かして行くかは勝己しだいだよ。でも僕は、勝己ならきっと、ちゃんと答えを出せると思うよ。応援してるからね。」

 

「父ちゃん……」

 

父ちゃんはそう言って、リビングを出て行った。

初めて見た男として頼もしく力強い父親を。オレは本当に今まで調子に乗っていた。少し周りより優れているからって、家を支えてる親にまで歯向かっていたんだから。

 

「オレは……ヒーローになるんだ。ヴィランから人を助ける、オールマイトみたいなかっけえヒーローに!」

 

その為にはまず、デクと母ちゃんに謝ろう。デクは許してくれないと思うけど、それでもオレは自分が今までデクにやって来た事に対してケジメをつけなきゃならないから。

母ちゃんにも散々迷惑や苦労をかけて来たから、その事を謝ろう。

オレはデクが許してくれるまでヒーローにはならない。そう心に誓ってオレは部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は病院に戻り

 

「凄い奇跡ですよ。出久君は個性を発動しています。個性の名前はゴム人間。」

 

僕とお母さんはいま担当医の先生の前で説明を受けている。理由は勿論僕の腕が伸びた事だ。あの後僕は急いで先生の所まで連れていかれ、様々な精密検査を受けた。

 

「先生…出久は無個性の筈なんですが…」

 

「恐らくは死の間際に瀕して、身体が突然変異を起こしたのでしょう。可能性としてはあり得なくは無いですが、まさに奇跡と言えるでしょう。」

 

「出久の身体は大丈夫なのでしょうか?」

 

お母さんの疑問も最もだ。無個性の僕がいきなり個性を発動したんだから不安になるのもしょうがないと思う。僕だって腕が伸びた時は怖かった。でも

 

「検査の結果ですが、出久君の身体はゴムになっていました。筋肉や骨、血管など、身体の全てがゴムになっていました。簡単に言うと身体は伸びて骨折をしなくなると考えて頂けたらと思います。その他の事は今後出久君が自分で調べて行くしか無いでしょう。」

 

「はい!!頑張ります!!」

 

無個性だった僕が個性を発動出来た事に今は興奮を隠しきれない!!

 

「取り敢えず身体の方はリカバリーガールのお陰でもう異常はありませんので、明日にでも退院して大丈夫でしょう。」

 

「わかりました。また何かありましたら宜しくお願いします。」

 

「はい、個性の事で協力できる事が有りましたら出来る限りの事はさせて頂きます。」

 

そうして僕とお母さんは病室に戻った。

 

「お母さん、僕やっぱりヒーローになりたい。雄英に行きたいんだ!」

 

「それは出久が個性に目覚めたから?」

 

「それは…」

 

「たまたま目覚めた個性でヒーローになりたいって言うなら、お母さんは認めないわよ。」

 

お母さんの言う事は分かる。死にそうになって手に入れた個性だからお母さんが心配するのも分かる。だけど!!

 

「確かに個性が発動して嬉しかった。ラッキーだとも思ったよ。だけど僕は無個性だとしても、雄英を受けてたよ。雄英に受からなくても僕はヒーローを目指してたと断言できる。だって僕は、オールマイトのようなヒーローになるのが夢だから。だから僕は雄英を受けたいんだ!!」

 

僕はお母さんに自分の思っている事を全て伝えた。例えダメと言われても僕は受ける。そう心に強く決意したんだ!!!

 

するとお母さんが笑いながら

 

「そこまで決意が決まってるなら、何が何でも、例え誰に笑われても、ちゃんとした立派なヒーローになりなさい。お母さんは出久の最初のファンだからね!!頑張りなさい!!」

 

お母さんのその言葉に僕は涙が溢れてきた。こんなどうしようもない僕を応援してくれる事が嬉しすぎて!

 

「ゔん!!がんばるよ!!!おがあざん!!」

 

「ヒーロー目指すなら、その泣き虫とネガティブな思考治さないとダメよ」

 

そう言ってお母さんは僕を抱きしめてくれた。

 

次の日の午後僕は退院した。

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