「出久、無理して学校行かなくても良いのよ?まだ休んだって…」
「大丈夫だよ。学校に行ったら、多分みんなに色々と言われると思うけど、それでも僕はヒーローになる為に前に進むって決めたから!」
僕が退院して1週間が経った。アレから僕は家の中で出来る筋トレを毎日してる。オールマイトの様な強いヒーローになるには身体を鍛えないとダメだと思ったから。
病み上がりなのにってよくお母さんに怒られるけどね。
「本当に大丈夫なの?」
「安心してよ。僕はもう大丈夫だから。じゃあ行ってきます!!!」
僕は元気よく学校に向かう。今日から復帰だけど正直ちょっと怖い。またみんなに何かを言われるかと思うと学校には行きたく無くなる。けど
「他の人に言われたくらいでもう諦めたりしないぞっ…!」
僕は再び決意を固くして学校に向かう。いや、向かおうとした。
「おい、デク」
僕はせめて学校で会いたいと思いながら声がする方を振り返った。
「…か、かっちゃん……」
「話があんだけど、一緒に行って良いか?」
「え!?あ…うん」
僕は驚きのあまり返事をしてしまった。今までのかっちゃんからは想像も出来ない言葉だった。僕の知ってるかっちゃんは僕に話かけるのに許可を取ったりしないからだ。そしてかっちゃんは僕の横を歩いた。
「……………」
「…………」
お互いに言葉を発さないで歩いている。かっちゃんと歩くのは何年振りだろうか。
(何言われるのかなぁ……僕が飛び降りた事で進路に影響が出たのかなぁ…)
僕がそんな事を考えてるとかっちゃんが口を開いた。
「その……怪我は大丈夫か?思ったより早く復帰出来たみたいだけどよ」
「えっ?あ…うん。その、あの日偶々リカバリーガールが病院に居たらしくてさ、治癒の個性を使ってもらえたんだ。だから早く治ったんだよ」
「…そうか。そりゃ良かったわ」
かっちゃんの様子がいつもと違う。僕まで変な喋り方になりそうだよ!そんな事を思ってたらかっちゃんが急に止まった。
「デク、ごめんな…」
「っ!?」
「オレ、今まで調子に乗ってた。個性が優れてて、他の奴より勉強が出来るってだけで周りを見下してた。」
「……」
僕は何も言わずに黙ってかっちゃんの話を聞く。
「オレは正直、デクになら何をしても平気だと勝手に思っちまってたんだ。お前はオレに何を言われて、何をされても、いつも付いて来たから、心の何処かでお前を1番下に見てた。」
「でも、あの日お前が窓から飛び降りて、親に叱られて初めて気付いたんだ。オレが今までやって来た事はヴィランのやってる事と何にも変わらねえって。」
「お前に今までの事を謝って、許してほしい訳じゃ無えんだ。コレはオレの自己満足でありケジメなだけなんだ。」
「本当にごめん!!デク!」
かっちゃんが、あの完璧なかっちゃんが僕に頭を下げて謝ってる!?
「かっ、かっちゃん!頭を上げてよ!」
「悪い、こんな人目のつく所でやるのは迷惑だった、ごめん」
「違うよ!アレは僕も悪かったんだ。ハッキリと拒絶をしないで、そしてあの日自分を信じられないで飛び降りた僕の弱さが招いた事なんだよ!」
「違ぇよ!!アレは、お前を今まで散々追い詰めて、それでいてトドメの一言を言ったオレが悪いんだ!」
お互いが激しい口調で言い争い息を切らしている。とても登校中の光景には思えない。
「はぁ…はぁ……」
「かっちゃん、じゃあ今回の件お互いが悪かったって事にしよう」
「あぁ!?そんなの意味がわかんねえだろ!?お前を散々傷つけて、追い詰めて、死なせかけて、なんでこんなオレを許せるんだよ!!」
「かっちゃん!!僕は、君と昔みたいに一緒に居たいだけなんだ!!!それでもかっちゃんが自分を許せないって言うなら今から言う事を守ってほしいんだ」
僕はかっちゃんに自分の思いを伝えた。かっちゃんはまだ納得して無い感じだけど僕は1人で話を続ける。
「1つ目は僕がヒーローを目指して夢見る事を否定しないでほしいんだ」
「…わかった」
「2つ目は僕の個性の事を黙っていて欲しいんだ」
「ああ、わかっ………デク、今なんて言った?」
「僕の個性の事を黙っていて欲しいって」
「お前!個性が出たのか!?」
かっちゃんが驚きながら僕の肩を掴んで来た。
「うん。お医者さんは奇跡的に出たって言ってた。この個性は辛い事が切っ掛けで目覚めたけど、僕はこの個性でヒーローを目指すよ」
かっちゃんは僕の目を見て驚きながらもしっかりと答えてくれた。
「…わかった。もうお前をバカにしないし、お前の夢を否定しない。個性の事は複雑だけど、お前が言わないでくれって言うなら誰にも話さねえ。約束する」
「うん!ありがとう、かっちゃん!!」
「バカやろうっ…!お礼を言いたいのはっオレの方だっ!!」
僕らは笑顔で、それでいて泣きながら仲直りを果たした!!僕たちはココで初めて友達になれたんだ!!!!
気付いたら時間はギリギリに迫っていた。今僕たちは走りながら学校に向かっている。と言っても、かっちゃんが僕に合わせて走ってくれている。先に行って良いよって言ったら
「遅れるなら2人一緒でも変わらねぇよ」
って言ってくれた。僕は本当に嬉しくて顔がにやけている。そしたらかっちゃんが話しかけて来た。
「デク、お前どんな個性なんだよ」
「えっとね、身体がゴムになる個性」
「ゴムか、伸びるのか?それとも弾力があるのか?」
「一応どっちもあるみたい。腕も10メートルくらい伸びたし、転んだ時も痛くなかったから」
「鍛えれば強くなりそうだな。色々と使えそうだし」
「うん!だから、今日の放課後から鍛えようと思ってさ!」
「そうか、ならオレも一緒に付き合って良いか?」
「え!?かっちゃんは、充分強いじゃ無いか。鍛える必要ある?」
僕はかっちゃんが一緒に訓練すると言って驚いた。かっちゃんからそんな言葉が出るとは思わなかった。
「デク、雄英受けるんだろ?なら一緒に受かろうぜ!オレたちでよ!!」
僕はかっちゃんのその言葉が嬉しくて泣きそうになる。
「デク!一緒に頑張ろうぜ!!」
僕は目に溜まった涙を拭いて笑顔で言った!
「うん!かっちゃん、よろしくね!」
2人の幼馴染みは今日、真の親友の第一歩を歩き出したのだった。
僕たちは5分前になんとか学校に着いた。かっちゃんが前に立って教室に入ってくれたから僕も続けて入りやすかった。席に着きいつも書いていたヒーローオタクノートを取り出して、昨日話題になっていた新人ヒロインのMt.レディの事を書こうとしてると、目の前に人が立っていた。
「緑谷…」
そこに居たのは僕をバカにしていたクラスメイト達だった。
「緑谷、今までごめんなさい!」
「「「「「「「緑谷(くん)ごめんなさい!!」」」」」」」
「えっ!?」
僕がテンパっていると、かっちゃんが僕の席までやってきた。
「コイツら、あの後オレと一緒で今までの事悪いと思って反省したみたいなんだよ。先頭に立ってたのはオレだから悪いのはオレだって言ったんだけどよ…」
「違うぜ、カツキ。誰が言い出しとか、そんな事は関係ないんだよ。俺たちは緑谷をイジメてたんだ。その事実に変わりは無いし反省して謝らなきゃならないんだ」
「らしいんだよデク。改めてオレも、デク、今までの事本当にごめんなさい!!」
「「「「「「「「ごめんなさい」」」」」」」」
僕はかっちゃんの説明を受けてなんとか理解した。
「謝ってくれてありがとう。でも、僕も辞めてって言えなかったから、僕ももっとはっきりと言えてれば良かったと思うんだ。だからごめんなさい。コレで仲直りしようよ!」
僕がそう言うと最初に話しかけてきた男の子がビックリした顔で
「許してくれるのか?こんなオレたちを」
「うん。コレからは宜しくね」
僕が握手を求めて手を出すと男の子は泣きながら手を取り
「ありがとうな…!緑谷ッ!」
こうして僕はクラスメイト達とも仲直りをして新しい学校生活を送り始めたのだった。