ヴィランとの騒動の帰り道、僕とかっちゃんの前にはオールマイトが立っている。僕たち2人の憧れであり目標でもあるヒーローが目の前にいる。驚きのあまり声も出せない。
「ん?どうしたんだい少年達!!私、オールマイトだぞ?驚き過ぎたぞ!ハッハッハッハァ!!!」
「…なんでオールマイトが、さっきまで警察の人やヒーローとインタビュー受けてた筈なのに」
「そんなの、少し話せば大丈夫さ!私は忙しい身の人間だと言うのはみんな知っているからね!!」
オールマイトが教えてくれた。確かにいつも何処かで人々を守ってるヒーローだ、忙しいからと言う理由で抜け出しても何も問題は無いと思えてしまう。
「で、その忙しいオールマイトがオレ達になんの様だよ?」
確かにかっちゃんの言う通りだ。話はさっきの現場で終わっているから何もない筈なんだけど…
「ココだと目立ってしまうから、少し移動しようか。海浜公園なら人目が付かないだろうからそこで話をしても良いかい?」
オールマイトと話せるなら僕は何処にだって行ける!!かっちゃんはどうだろう?横を振り向くとかっちゃんも頷いていた。
「ありがとう!なら私は先に行ってるよ!」
オールマイトは飛んで行った。
「遅くなるって母ちゃんに連絡入れとこうぜ」
かっちゃんにそう言われて僕はお母さんにメールを送った。
海浜公園に着いた僕たちはオールマイトを探していた。すると、ゴミ捨て場からオールマイトが現れた。
「来てくれたね、少年達!コッチで話そうか!」
そう言われて僕たちは後にくっついて行った。
「まず、ヴィランを取り逃がしてしまった事、そして君たちを巻き込んでしまった事を、平和の象徴である者として謝罪させて欲しい」
そう言ってオールマイトは僕たちに謝ってきた。
「そんな、謝らないで下さいオールマイト!僕たちもヒーローや警察の邪魔をしちゃったので……」
「デクの言う通りだ、ルールを破って個性を使ったんだ。オレ達がやった事はヴィランと変わらねぇよ」
かっちゃんの言う通りだ。僕たちがやった事は世間では迷惑を掛けても賞賛はされない行為である。そんな風に思っているとオールマイトが
「だが!!!ヒーローが手を出せずにいる中、あの少女を助けたのは他でもない君たちだ!そう!只の中学生の君たちがあの場に居た誰よりもヒーローだったんだ!!!」
ブワッ!!
その言葉を聞いたとき、僕の心の中のつっかえみたいなモノが取れた気がした。今まで散々無個性の事をバカにされてヒーローになれないと笑われた僕が、No.1であるオールマイトにヒーローと言われて嬉しくないわけがない!!気づいたら僕は涙を流していた。
「だからこそ、君たちにっ!?」
ボシュン!!!!
オールマイトから音が出て煙が上がった。僕たちが驚いて目を見開いてるとそこから現れたのはガリガリの男性だった。
「えええ!!!誰ですか!?オールマイトは!?」
「てめぇ!!さてはさっきのヴィランの仲間か!!オールマイトに化けるなんて厄介な個性使いやがって!ぶっ潰してやる!」
僕とかっちゃんが驚き、かっちゃんが戦闘態勢に入った時。
「ま、待ってくれ!!私はオールマイトなんだ!!信じてくれ!」
ガリガリの男性は自分をオールマイトと言った。よし、そんなにオールマイトを語るなら
「かっちゃん、僕に考えがあるんだ」
「どんなのだよ?」
「僕のオタク度を使うんだよ。僕がヒーローオタクなのはかっちゃんも知ってるでしょ?特に僕はオールマイトのファンだからマニアックな質問も出来るはずだよ」
「そんなので大丈夫か?デク」
「僕のオタク度を信じてよ!他人に引かれるくらいの自信はあるよ!!」
「自慢するところか?それ?」
かっちゃんに親指を立てて僕はオールマイトに振り向いた。
「今から僕は貴方に質問をします。答えられないなら偽物として警察に引き渡します!!良いですね!!」
「いや、だから私はオールマイトで…」
「本物なら答えられる筈です!行きますよぉ!」
〜30分後〜
僕は負けた…
「はぁ…はぁ……。貴方は、本物のオールマイトなんですか?」
「だから、さっきからそう言ってるじゃ無いか。大体、私が自分のこと聞かれて答えられない筈が無いだろ?」
「デク、どうすんだよ?」
「かっちゃん、本物のオールマイトだよ。いま僕がした質問は
僕はかっちゃんにそう答えた。1問でも間違えたら偽物で決めれたのに、まさか答えられるとは思わなかった。
「ゴホン!なら、話を戻しても良いかい?」
「いや、アンタなんでそんな痩せてんだよ。血だって少し吐いてたし、大丈夫なのかよ?」
「爆豪少年…だったね。私は5年前にヴィランに襲撃を受けて今は体力が著しく落ちているんだよ。その時の怪我で呼吸器官半壊、胃袋の全摘出、度重なる手術と後遺症で憔悴していてね。私は1日で長くて6時間しかヒーロー活動が出来なくなってしまっているんだ」
「5年前……あっ!!もしかして毒々チェーンソーとの戦闘ですか!?」
「いや、私はあんなチンピラ如きには負けないよ。………しかし、君は本当に私の事なんでも知っているな!!」
「なんでそんな事が誰にもバレてないんだよ?」
「それは私が、世間に公表するのを辞めさせたからだよ」
「なんでですか…?そんな身体で、戦ったらどんどん悪化しちゃいますよ!!」
「その身体で無茶をする必要があんのかよ…オールマイト」
「そうだね、それは政府や警察の人に言われたよ」
「だったら!!」
「でもね、人々を笑顔で救い出す平和の象徴、オールマイトは決して悪に屈してはいけないんだよ」
僕は言葉を失った。どこかで僕はヒーローになる事を甘く見ていたのかも知れない。そんな命がけで傷だらけの身体でも、正義の為に身体を張り続ける事が僕に出来ただろうか。
「だが、今日の君たちを見て私は1つ確信を持てた。君たちに、私の力を受け継いで貰いたい」
「「……。え?」」
「なんだいその反応は!!本題はここからだよ!!少年たち!」
「私の個性は世間では怪力だの、ブーストだの書かれているがそうではない。私の力は『ワン・フォー・オール』コレは聖火の如く先代から受け継いできた個性なんだよ」
受け継いでいく個性!?そんなものがあるのか!?いったいどうやってそんな個性を受け継いできたんだ?方法は?それは何人に渡せるんだ?僕がOFAについて考えていると
「…そんな重要な事、オレ達に言って良いのかよ?」
かっちゃんの言う通りだ。オールマイトの個性が他人に渡せるなんて知られたらオールマイトに憧れているヒーローや一般人、最悪ヴィランまで狙って来かねない。僕がそんな風に考えていると。
「君たちの考えは概ね当たっているだろう。この個性の存在が知られたら世間どころか、世界が私の個性を手に入れようとするだろうからね」
「じゃあなんで僕たちに話したんですか?」
僕は当然のように疑問をぶつけた。オールマイトの言う通り、今の情報は間違いなく危険だからである。
「君たちが私の後継に相応しいと思ったからだ!あの時の君たちは間違いなくヒーローだったからだ!!」
オールマイトが僕たちを認めてくれた。それだけで無個性だった僕は嬉しかった。助けた能力では無く助けた事を評価して貰えたからだ。しかし、オールマイトの後継になると言うなら…
「オールマイト、後継はかっちゃんの方が良いです」
「それは何故だね?緑谷少年」
「僕は今まで無個性だったんです。少し前に偶然個性が発動したんです。そんな僕よりも、強いかっちゃんの方が後継に相応しいと思います!」
正直、悔しい。オールマイトの強さには憧れるけど、強く無い僕ではヴィランに負けてしまう。それなら僕より強いかっちゃんの方が相応しい。僕は純粋にそう思ってた。だけど……
「オレはいらねえ」
かっちゃんはオールマイトの後継になる事を断ったのだ!!
「…な、なんでだよ!?かっちゃん!君ほどの強さを持っていればオールマイトの後継、平和の象徴に相応しいじゃ無いか!!」
僕はかっちゃんに怒りを覚えていた。僕に無いモノを持っているのに、憧れてる人からの誘いを断るなんてって思っていた。
「なんでだよ!!かっちゃん!!」
僕は悔しさのあまり涙を流してかっちゃんを睨んだ。するとかっちゃんは
「オレは、お前を傷つけたことのある男だ。それに、今日の行動を言い出したのはお前だ、デク。人を傷つけ、自分から助けに行けなかったオレよりも痛みを知りながらも人のために動けるお前の方がオールマイトの後継に相応しいんだと、オレは思うんだよ」
かっちゃんの言葉に僕は唖然とした。僕が許したのにもかっちゃんはまだ自分の事を許して無かった。
「お前みたいなヤツが本当のヒーローなんだよ、デク。それによ、オレはこの個性を使ってオールマイトを超えるんだ!オールマイトを超えてオレは高額納税者になるんだ!!」
かっちゃんはどこまでもブレない。僕は勝手に決めつけて怒ったりして恥ずかしい。
「ごめんね、かっちゃん。キミの気持ちも知らないのに怒鳴ったりして」
「気にすんな。お前のオールマイトの憧れは知ってるからな。もう少し言い方に気をつければ良かったわ」
そう言ってかっちゃんは笑って許してくれた。ありがとう、かっちゃん!
「ふむ、なら後継は緑谷少年で良いかい?」
「「はい!(ああ!)」」
「わかった!後継は緑谷少年に決まりだな!」
「ところで、君たち高校はどこを受けるんだい?」
「オレたちは雄英一択だぜ!なぁデク!」
「うん!!」
そう言うとオールマイトは笑って
「なら私が君たち2人を鍛えよう!!私は君たちが気に入った!!私はOFAの後継を緑谷少年に決めたが、平和の象徴は君たち2人になって欲しいと思ってるからね!!」
オールマイトが僕たちを鍛える!?あのオールマイトが直々に!?僕は嬉しくて興奮が抑えきれない!!
「本当ですか!!?ありがとうございます!!じゃあ早速お願いします!!何すれば良いですか!?ここのゴミ捨て場は地元の警察とヒーロー事務所に掃除をする事で使用許可は貰ってます!!まずは……!!」
興奮して早口になる僕をかっちゃんが止めてくれた。
「おい!デク!興奮しすぎだ。オールマイトも引いてんぞ?」
「あっ!すいませんオールマイト!鍛えてもらえると分かったら嬉しくてつい……」
「まぁ気持ちは分かるけどな。あのオールマイトが鍛えてくれるんだ。興奮しない方がおかしいだろ」
かっちゃんも僕の気持ちは分かるらしい。態度や口調が変わるわけでは無いが顔が緩んでいる。するとオールマイトが笑いながら
「素晴らしいね!!君たちのその意欲とやる気は教える身としても嬉しいよ!!!だが、今日はもう遅い。だから今週の土日に私も時間を必ず作るから、その時に特訓を始めようと思う。それで良いかい?緑谷少年、爆豪少年」
「はい!貴方の後継になれるようにしっかりと頑張ります!」
「オレも、あんたを超えるために死ぬ気でやるぜ!オールマイト!」
「なら今日はもう帰ろうか。遅くまで付き合わせてすまなかったね。そして、ありがとう!じゃあまた今度な!2人とも!!」
そう言ってオールマイトは何時もの姿になって飛んで行った。
「帰ろう、かっちゃん」
「随分と遅くなっちまったな。母ちゃんに連絡は入れたが、怒られねぇか心配だわ」
「僕も多分怒られるよ。復帰初日で遅くまで帰ってこなかったんだから」
「じゃあ走るか!」
「うん!なるべく急ごう!」
「コレも特訓だな」
そう言って僕たちは走りながら家に向かった。
帰った僕を待っていたのは怒ってるお母さんだった。
読んで頂きありがとうございます。こんな初心者素人の作品がお気に入り300件を超えました。まだまだ始まったばかりですが、ここまでモチベーションを保ちながら書いてこれたのは、皆様のお陰でございます。今後も拙いながらも頑張っていきますのでよろしくお願いします。