「ほら出久!ティッシュ持った!?ハンカチは!?」
「うん!」
僕は入学初日から慌ただしく準備をしている。理由は単純で少し寝坊してしまったからだ。
「持ったから大丈夫だよ!急がないと…」
こんな日に限って楽しみと緊張で寝坊するなんて……子供か!僕は!
「出久!!」
「なぁにぃ!!」
「……似合ってる。超カッコいいよ!」
「…ありがとう、お母さん!!行ってきます!」
高校生活が今始まる!因みに寝坊したせいでかっちゃんは先に行ってる。
「1ーA……1ーA……って、広すぎるなぁ」
毎年300を超える受験倍率。その正体は一般入試の定員が36名。18人ずつで2クラスしかヒーロー科が無い。そりゃ倍率が高くなるわけだ。そんな倍率を勝ち抜けた事を実感していると教室を見つけた。
「あった……。ってか、ドアでか!!」
異形型の個性の人は体格も大きくなるタイプもあるからコレはそんな人でも入れるようになってる。流石雄英だ!!バリアフリーも抜かりが無い!
「あの受験者数から選ばれたエリートたち……やっぱり新生活はドキドキするなぁ」
僕が恐る恐るドアを開けるとそこには
「机に足をかけるな!雄英の先輩や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」
「思わねえよ!!ってか、てめぇ誰だよ!」
なんかかっちゃんが初日から揉めてる!?
「ボ……俺は、私立聡明中学出身の飯田天哉だ」
「聡明か……。随分エリートな所から来たんだなあ!倒し甲斐がありそうじゃねぇか!」
「かっちゃん、おはよう!寝坊しちゃってゴメンね?」
僕は2人の間に割って入るように挨拶をした。
「デク!なんとか間に合ったな!」
「うん。まさか寝坊するなんてね」
僕とかっちゃんが挨拶していると、もう1人の男の子も会話に入ってきた。
「俺は私立聡明中学の…」
かっちゃんにした自己紹介と同じのを言って来ようとしている。この人真面目だ!
「あ、聞いてたよ。僕は緑谷。よろしくね飯田くん!」
「緑谷くん。君はあの試験の構造に気付いていたのかい?情けないが俺は気づけなかった……。君を見誤っていた、君はスタートも出遅れずにいた。君の方が俺より数段上だったようだ!!」
「いやいや、気付いてないよ!?スタートはかっちゃんのお陰だし!あの巨大ヴィランだって、身体が勝手に動いてて!」
僕たちが話していると後ろから声を掛けられた。
「あ、その緑のモサモサ頭って……。やっぱりあの時の地味目の人だ!!!」
僕を助けてくれた可愛い人だ!!!
「やっぱり受かってたんだね!!良かったよ!!あの時は助けてくれてありがとうね!あ、私の名前は麗日 お茶子!よろしくね?」
「いや、あの時は身体が勝手に反応して……たまたま助けられたんですよ!あ、緑谷 出久です」
「緊張するね。担任の先生ってどんな人だろうね!」
僕と麗日さんが話していると
「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。…………ココはヒーロー科だぞ」
なんか変な人がいるぅぅ!!!
「ハイ、静かになるまで8秒掛かりましたね。時間は有限。君たちは合理性に欠けるね」
先生!?
「担任の相澤 消太だ。よろしくね」
担任!?って事は、この人もプロヒーロー?でも……見た事ないぞ!?
「じゃあ早速だけど、この体操服に着替えてグラウンドに出て」
え!?なんで?僕たちは疑問に思いながらもグラウンドに出ると
「「「「個性把握テストォ!?!?」」」」
「あの!入学式は!?ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな行事に時間使うのも勿体無いよ。雄英は自由な校風が売り文句、それは知ってるな?そしてそれは先生側もまた然り」
「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。以上8種目をやってもらう」
ヒーロー科って言っても、いたって普通のテストだ。僕がそんな風に思ってると
「爆豪、お前から行け。因みに、中学の時は個性禁止だっただろ?」
「まぁ、そうっすね」
「ソフトボール投げ、いくつだった?」
「67メートルっす」
「じゃあ個性使ってやってみろ。円から出なけりゃ何しても良い。早よ行け。思いっきりな」
「そんじゃ」
やる事は簡単だ球威に爆風を乗せりゃ良いんだ!
「オラァァ!!!!!!!」
805.2メートル!
「まずは自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
なるほど、個性を使い自分の個性を含めて限界を知るのか…確かに個性を使っての記録は今までやった事は無い。
「「なんだこれ!!すげー面白そうだ!」」
「805メートル!?すげーな!」
「個性使えるとか最高じゃん!
「流石ヒーロー科だな!」
8種目か、個性をどうやって使うかだな…
「面白そう…ね。ヒーローになる為の3年間を、そんな腹づもりで過ごす気か?」
相澤先生の言葉に皆が静かになる。
「よし、トータルで最下位の成績の奴は見込み無しと判断して除籍にしようか」
「生徒の如何は先生の自由!!ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ!」
入学初日からとんでもない事になってます!
「最下位除籍って……理不尽すぎる!!」
僕たちの叫びを相澤先生はどこ吹く風と話す。
「自然災害、大事故、身勝手なヴィラン。厄災はいつどこで起こるか分からない。日本は理不尽にまみれているんだよ。そういう理不尽を覆していくのがヒーローだ」
「…っ!」
「放課後にマックとかで談笑したいならお生憎。これから3年間、雄英は全力で君たちに至難や苦難を与えていく。"Plus Ultra"だ。全力で乗り越えて来いよ」
コレが最高峰の学校なのか!?頑張らないと……除籍にされちゃう。
「さぁ、こっからが本番だぞ!」
〜第1種目:50メートル走〜
「6秒51」
パッとしない。
〜第2種目:握力〜
右「43.3」左「40.1」
パッとしない。
〜第3種目:立ち幅跳び〜
「6メートル23」
飛んで腕を伸ばせるだけ伸ばしてそこに手を付いてゴムの反動で戻った。それなりの結果だった。
ー第4種目:反復横跳び〜
「52回」
パッとしない。
〜第5種目:ソフトボール投げ〜
まずいぞ…。このままじゃ僕が最下位だ…。まだ立ち幅跳びでそれなりの記録を出しただけだ。こうなったら、OFAを使うしか無い!
「緑谷くんはこのままだとマズイな…」
「心配しねえでも、デクなら大丈夫だ!」
お母さん、オールマイト!僕は、ヒーローになるんだ。絶対に!例え、腕が切れても!
「…56メートル」
なっ!?今確かに使おうとしたのに!?
「俺が個性を消した。………ったく、つくづくあの入試は合理性に欠く。お前のような個性を制御出来てない奴も入学出来るからな」
消した…!?
「そのゴーグル……もしかして、視ただけで人の個性を抹消する個性。…抹消ヒーロー『イレイザーヘッド』だ!」
「イレイザー…?」
「オイラ知らねえ」
「聞いた事ある!アングラ系のヒーローだよ」
「お前の個性は良く分からないが、見たところ制御出来ないんだろ?また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったのか?」
「い、いえ!そんなつもりじゃ…!」
そう言うと先生は首の布で僕を拘束し引き寄せた。
「お前にそんなつもりが無くても、周りはそうせざるを得ないって話だ。昔な、1人の暑苦しいヒーローが、大災害から千人以上を救う伝説を創った」
「同じ蛮勇でも…おまえのは1人を助けて木偶の坊になるだけだ。緑谷 出久。おまえの力じゃヒーローにはなれないよ」
……相澤先生の言う通りだ。ヒーローになる奴が、1回力を使って後は何も出来ません。助けてください。そんな事が通用するか!OFAが制御出来ないで使えないならゴムの個性を工夫しろ!やるんだ!ゴムは伸びる!膨らむ!
「ん?伸びる!?」
「個性は戻した…ボール投げは2回だからな。とっとと済ませろ」
「緑谷くんは指導を受けていたのか?ココからじゃ聞こえないな」
「だから!心配なんかいらねえよ!」
〜相澤SIDE〜
さぁどうする?ココで性懲りもなく全力で個性を使い潰れるか……または、萎縮して最下位に甘んじるのか……。まぁ、どちらに転んでも、見込みは無い。
「…?なんだ?」
緑谷がブツブツ言いながら助走を取り出した。
「はぁ…。見込み、ゼロ」
助走したと思ったらあいつその場で腕を振り回して回転し始めたぞ?ありゃまさかハンマー投げか?
「……!遠心力か!」
「今だ!!僕にできる事を!!よし!腕は切れてない!」
力任せでは無く遠心力を利用してより遠くに投げた…いや飛ばしたか。
「先生!まだまだ、動けます!」
「こいつ……!」
随分と考えたな。こりゃ見込みゼロは間違いだな。コイツはやはり鍛えたら面白い。
俺がそんな事を考えてると爆豪が緑谷に突っ込んで行った。
「デク!!お前!もっとやれただろ!」
「ちっ!ったく!」
俺は舌打ちと共に爆豪を捕縛する。
「んだ!?この布、固えっ!」
「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ『捕縛武器』だ。ったく、ガキじゃ無えんだから何度も個性を使わせるな……。俺はドライアイなんだよ!
相澤 消太。視た者の個性を消す!瞬きすると解ける。
〜緑谷SIDE〜
個性凄いのにもったいない!!!
「時間がもったいない、さっさと次やるぞ」
「…デク、学校終わったらまた特訓すんぞ。その力は使いこなせるようになれ」
「うん、頑張るよ。よろしくね?かっちゃん」
〜第6種目:持久走〜
「真ん中より少し遅いくらい」
パッとしない。
〜第7種目:長座体前屈〜
「100センチ」
やった!1位だ!!
「んじゃパパッと結果発表するぞ」
最下位が除籍……。この中の誰かが……。記録らしい記録はボール投げと立ち幅跳び、それと長座体前屈。内一つは1位だから大丈夫なはず………。
「点数は単純に各種目の評点を合計した数だ。説明するのは時間の無駄なので一括開示するぞ…………。あと、除籍はウソな」
……………………!!??
「君らの最大限の力を引き出す為の合理的虚偽って奴だ」
はあぁぁぁ!!!???
「あんなのウソに決まっていますわ。まったく、少し考えればわかる事ですわ」
「んじゃ、これにて終わりにするぞ。教室にカリキュラム等の書類があるから目ぇ通しとけよ」
取り敢えず助かったけど、僕にはやらなきゃいけない事が多過ぎた。下からのスタート。コレから学んでいくんだ!憧れに近づくために!!
〜オールマイトSIDE〜
「相澤くんのウソつき!」
「オールマイトさん…見てたんですか?暇ですね」
相澤くんがそう返してくる。
「合理的虚偽って!!エイプリルフールは1週間前に終わってるぞ?」
私は本当に驚いた。彼が前言を撤回したんだから。
「君は去年の1年生一クラス全員を除籍処分にしてるじゃないか!」
「見込みゼロと判断すれば迷わず切り捨てる。それだけですよ」
「そんな君が前言撤回。君も緑谷少年に、可能性を感じたからだろう?」
「随分と肩入れしてますね?教師としてマズイですよ?…………ただ、ゼロでは無かった。それだけです」
〜緑谷SIDE〜
疲れたぁ……。プレッシャーが凄かったなぁ。
「疲れ過ぎだろ?デク?」
「だって、最下位除籍だよ?入試並みに緊張したよぉ……」
僕とかっちゃんが下駄箱で靴を履き替えてると
「緑谷くん!爆豪くん!一緒に帰ろう!」
「3人とも!駅まで?一緒に行こうよ!」
麗日さんと飯田くんが一緒に帰ろうと誘ってくれた。
「オメー等は、飯田と無限女子か」
かっちゃん、そのネーミングセンスは何!?
「麗日 お茶子です!改めてヨロシクね!デクくん!爆豪くん!飯田くん!」
「うん!ヨロシクね」
「ああ、共に切磋琢磨していこう!」
「オレは頂点にいくんだ。邪魔すんなよ?」
入学初日。友達が2人も出来ました!!更なる高みを目指して頑張るんだ!!『Plus Ultra』!!!
不定期ですが今後ともよろしくお願いします。