プリティサミーとピクシィミサの活躍から半年後、宇宙から侵略者がやって来た! しかし今、二人の魔法少女は不在だった。
不幸な少年・山田西南めがけて砲撃が繰り出されたとき、新たな奇跡が誕生する!

ノリは、懐かしのTVアニメ版プリティサミーにOVA版を足した感じです。ただし作者はギャグが苦手。

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会いたいときにサミーはいない

わずか半年ほど前に、大きな戦いがあった。魔法少女による、魔法の国・ジュライヘルムの女皇選定の義が終了したのも束の間、第三女皇候補だった露美御(ろみお)によって地球は未曾有の危機に瀕していた。

しかしその危機も、プリティサミーとピクシィミサ、二人の魔法少女の活躍によって回避されるに至った。

これはそんな、【TV版魔法少女プリティサミー】によく似た、けれどもやはりどこか違う世界線に誕生した、新たな魔法少女の物語である。

 

 

 

 

 

海の星学園・海の星小学校。新年度に変わり、半月ほどたった今日も普通に授業中だったが。

 

ピンポンパンポーン

 

『あー、校長の三浦だ。大変なんだよ、宇宙人だよ、侵略者だよ』

 

いきなりな校内放送に授業中の教師や生徒が「はあ?」っとなる。

 

『嘘だと思うんなら外見てごらんよ。校長の三浦だ』

 

学校中の職員、生徒が窓に群がり上空を見ると。そこには鯨にも似たシルエットの宇宙船が浮かんでいた。そしてタイミングを見計らったかのように、空に男性の姿が映し出される。

 

『俺はタラント=シャンク。今日からこの星は俺が支配する。大人しく従うなら命()()は助けてやるが、歯向かうならば皆殺しだ。しかもより残虐な方法でな。

猶予は、この星の時間で三時間。返答がない場合は隷属の意思がないとして攻撃を仕掛ける』

 

タラントは言うだけ言うと、映像を切った。

 

『あー、そんなわけだから、授業は中止。みんな、自宅に帰っていいよ。三浦だ』

 

というわけで、急遽授業は取り止め、みんな帰宅ということになった。

 

「あーあ、こんなときにプリティサミーとピクシィミサがいてくれたらなぁ」

 

クラスの誰かが、そんなことを呟いていた。

 

 

 

 

 

「プリティサミー、か…」

 

茶髪ロングをポニテにした、大きな丸メガネをかけた少女が、とぼとぼと歩きながら呟いた。

 

「あれ、寧樹(ねいじゅ)ちゃん」

「え?」

 

寧樹と呼ばれた少女が振り返るとそこには、青い長髪をツインテにした少女と、ロングの黒髪の少女がいた。

 

「あ。砂沙美(ささみ)先輩に美紗緒(みさお)先輩」

「どうしたの? なんか考え事してたみたいだけど」

「うん。もしプリティサミーとピクシィミサがいてくれれば、あの宇宙人を倒してくれたのかなって…」

 

寧樹がこたえると。

 

「え? アハハー、そうだねー。砂沙美もサミーやミサがいてくれたらなーって思うよ。美紗緒ちゃんもそうだよね?」

「え、あ、うん。そうだね、砂沙美ちゃん」

 

なんだか挙動不審な二人だが、寧樹はその事に気づいてはいない。

 

「でもね、寧樹ちゃん。サミーもミサも、今はいないんだよ」

 

砂沙美の言葉に寧樹は小さくうなずいた。

 

 

 

 

 

砂沙美たちと別れ、再び歩きだした寧樹。しばらく行くと。

 

ミャア!

 

目の前に猫のような兎のような、不思議な生物が現れた。寧樹はそれを見てハッとする。

 

「あれって、サミーと一緒にいた子と同じ…?」

 

するとその生物は、踵を返して駆け出した。寧樹は慌ててその後を追う。

 

(待って! もしあの子なら、サミーに、サミーに会わせて!!)

 

寧樹は心の中で叫んでいた。

 

 

 

 

 

どれくらい走っただろうか。気がつくと寧樹は、小さな公園の中にいた。

 

「あの子は、どこ…?」

 

キョロキョロと辺りを見渡していると。

 

「ここにいるわよ」

 

びくり、として声のした方を見る寧樹。そこには。

緑色の髪を後ろでお団子にしたおば…。

 

「おば!?」

 

……いや、妙齢の女性が、左肩に先ほどのウサギネコを乗せて立っていた。服装からすると、魔法の国・ジュライヘルムの関係者っぽいのだが。

 

「ええっと、どなたですか?」

いきなり怒りだした女性に若干引きつつも、寧樹は尋ねた。

 

「ああ、ごめんね? ちょっとばかり地の文がうざかったから」

(地の文ってなに?)

 

この文である。

 

「はじめまして、愛川寧樹ちゃん。私は愛璃(アイリ)。ジュライヘルムの()()最高権力者、瀬戸さまの筆頭補佐官よ」

 

「裏の…。津名魅(つなみ)さまよりも偉いんですか?」

 

津名魅はジュライヘルムの女皇の名だ。

 

「まあ、明らかに発言力はあるわ。だからこそ普段は口出ししたりはしないんだけどね。

で、そんな瀬戸さまからあなたにお願いがあって来たのよ」

「お願い、ですか?」

 

寧樹は緊張で身体をこわばらせる。

 

「あなたにね、魔法少女になってもらいたいのよ」

「…………ええーーーッ!?」

 

寧樹は大きな声で叫んだ。

 

 

 

 

 

タラントの宇宙船[ダイダロス]。その周囲を数機の戦闘機が飛び回る。某大国が日本の基地から発進させた最新鋭機だ。日本との条約破りなど気にするはずもなく。

搭載したミサイルが発射された!

しかし当然の事ながら、宇宙船には傷一つ負わせられない。

 

「ほう。これがやつらの返答か。なら、容赦する必要もないな」

 

もともと容赦するつもりなどないタラントが言い放った瞬間、一瞬の間にすべての戦闘機が消滅していた。

 

「さて、手始めにあの現地人へエネルギー弾を撃ち込んでやれ」

 

タラントは、たまたま拡大映像に映った中学生くらいの少年を、最初の生け贄に選ぶ。

 

「光栄に思えよ? キサマが非戦闘員で最初の犠牲者だ」

 

 

 

 

 

少年、山田西南(やまだ・せいな)は思った。自分の運の悪さもここまで来たか、と。

自分に迫り来る球状のエネルギーを前に、彼は周囲を見渡し、他人を巻き込む心配がないことに安堵してぎゅっと目をつぶる。

 

(父さん、母さん、吉子、……寧樹ちゃん!)

 

心の中で家族と、家族同様の少女の名を連ねる。

……だがしかし、いつまでたってもなんの衝撃も来ない。西南が恐る恐る目を開けてみると。

目の前には緑色の長い髪をポニテにし、エプロンドレスを着た少女が、変わったデザインのステッキでエネルギー弾を押さえ込んでいた。

 

(寧樹ちゃん?)

 

西南には一瞬、寧樹と少女が重なって見えた。

少女はチラリと横目で見ると、軽く微笑みを浮かべる。そして再び表情を引き締め前を向き。

 

「ラブリィ〜ッ…」

 

ステッキに淡い光が灯り。

 

「ピッチャー返しッ!!」

 

少女は野球のボールのようにエネルギー弾を打ち返した!

 

ドゴオォォ……ン

 

そして弾は、見事宇宙船に命中する。

 

「き、君は…?」

 

西南が尋ねると少女はくるりと身をひるがえし、ポーズを作って口上を述べた。

 

「愛の魔法は世界を救う!

魔法少女ラブリィネージュ、事件を聞き付け推参です!!」

 

今ここに、新たなる魔法少女物語が誕生した、その瞬間だった。




2話目(後編)までは書くかもしれない。書かないかもしれない。

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