序章 幼い海の思い出
それは幼い頃の思い出。
少年は家族旅行で訪れた海で一人の少女に出会った。
迷子になったのかその少女は一人で辺りを見回していた。
「どうしたの?迷子?」
少年はその少女に声をかける。
「あ、えっと......うん......」
「そっか......じゃあ一緒に探そう?」
そう告げると少女は
「......うん」
と不安そうに頷く。
「大丈夫だって、見つかるまで付き合うからさ!」
「......う、うん」
「俺は中神神威、君は?」
「......北山......雫」
「ヨロシクね、雫」
そして、神威は雫の両親を探す。
しかし、雫の両親は見つからず、夕暮れ時になる。
「見つからないね」
「うん.....」
と返事をする不安げな雫。
すると
「おーい、雫!」
そう言いながら夫婦のような男女が駆け寄ってくる。
「お父さん、お母さん」
「もう!心配したのよ!」
雫の母親は雫を抱き寄せる。
「君は......」
雫の父親が神威を見てそう言う。
「あの子が......神威君が助けてくれたの」
雫がそう言うと
「そうか、ありがとう」
と頭を下げた。
「雫は明日もここにいる?」
神威は雫にそう聞いた。
「うん、いる」
「じゃあ、明日また会おう。明日は沢山遊ぼうね」
「うん!」
雫は手を振りながら笑顔で帰っていった。
そして、翌日。
神威が待ち合わせ場所で待っていると雫が駆け寄ってきた。
雫の後ろには雫の両親と弟がいたが、少し距離を置いていた。
「そう言えば、神威くんのお父さんとかお母さんは?」
何気ない様子で雫は聞いてくる。
「母さんは病気であまり外に出られないからホテルにいる。父さんも母さんに付きっきりで......」
「......そっか」
「でも、海に来ようって行ったのは母さんなんだ。泳げないし、砂浜も歩けないけど、皆で海が見たいって」
「......神威くんはお母さんについてなくていいの?」
「思いっきり遊んできなさいって。俺が元気だと母さんも元気になれるって言ってた」
「そうなんだ......あっ」
「どうしたの?」
「昨日聞いたんだけど......この近くに夕焼けを見ると願い事が叶う場所があるんだって」
「ホント!?」
「でも、詳しい場所わからないから調べてくる。明日も......いるんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、明日二人で一緒に見に行こうよ」
「分かった、約束だよ」
「うん、約束」
こうして二人は約束をした。
だが、約束は果たされる事はなかった。
その日の夜、神威の母の容態が急変して約束を果たしに行けなかった。
そして数日後、母は亡くなった。
それから年は流れて数年後。
二人は魔法大学附属第一高校に入学した。そこで運命的な再会をするのだった。