魔法科高校の劣等生-黄龍の異端児-   作:愚者ぺら

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第二十話 代役たちのモノリスコード

「おはよう、達也。モノリス・コード出てくれるんだって?」

事故の翌朝、車椅子を桜華に押してもらい、試合前の達也に会いに来た。

 

「怪我はもういいのか?」

 

「治りが早い体質なんだよ。君ほどじゃないけど」

そう言って平然と立ってみせる。

 

「......なるほど。それならお前が出ればいいだろ」

 

「達也の力を見る絶好の機会だからね。逃すわけないじゃん。

俺だけじゃなく、みんな君に注目してるよ。是非とも力の一端でも見せてくれるとありがたい」

 

「悪いが、お前たちの望み通りにはならないぞ」

 

「なるよ。本気の一条が相手だもん。なるに決まってる。

それに、俺たちは敵じゃないって言ったはずだよ。もちろん、達也が望むなら敵にもなるけど」

達也は俺の言葉に返答せず、横を通っていった。

達也も分かっているようだ。

一条率いる三高が甘くない事を。

 

 

 

◇

 

 

 

観客席から離れた通路から俺はモノリス・コードの試合を観戦していた。

横には桜華と雫。

雫にはみんなと見てていいと言ったのに、頑なにそれを断られた。

 

 

「アンタはいつまでそんな格好でいるのよ」

そこへ、突如現れたのは......

「......紅羽さん?」

雫は彼女が来た事に驚いていた。

 

「私も一緒でいい?雫」

 

「大丈夫だよ、紅羽さん」

謎に親しげな二人。

いつの間に仲良くなったんだ?

 

 

「それで、あんたは怪我人のフリ?

司波達也を九校戦に出す作戦?」

あんまり秘密をバラさないでほしいんだけど。

 

「どういうこと?」

 

「あ、ごめん。まだ話してなかった?」

コイツ絶対ワザとだ。

 

「紅羽、前にも言ったけど秘密っていうのは持っている事に意味のある札なんだ。大した秘密じゃなくても、相手にまだ他の秘密があるとハッタリをかけれる。大事な策だよ」

 

「でも、雫には秘密を作る意味ないじゃない。桜華もそう思うでしょ?」

 

「はい、紅羽さんに同意です。雫さんに秘密を作るのはむしろマイナスだと考えます」

桜華まで巻き込みやがって。

しかも桜華も正論言ってきた。

そんな事はわかってる。わかってるけどこれは癖みたいなもので、ついつい秘密にしたくなる。

雫が誰かに漏らす事はないとしても、どうしようもないのだ。

 

でも、そうだよな。マイナスだよな。

 

「......はあ〜。雫、実はもう怪我は治ってるんだよ。生まれつき怪我はすぐ治る体質なんだ」

観念して雫に秘密の一つを話す事にした。

 

「なんで怪我が治った事を隠してるの?」

 

「昨日言った通り、達也が変わるきっかけになると思って。達也に対する周りの目もね」

 

「ものは言いようね」

 

「紅羽、少し黙っててくれ」

今話せるのはこれくらいだ。

俺はまだ、覚悟出来てない。

 

「実際、達也らしい面白いものを見せてくれるみたいだし」

そう言ってフィールドに登場した三人に目を向ける。

 

 

「彼の持ってるの、剣?直接の打撃は禁止でしょ?」

レオが腰に差していた武装一体型CADを見て紅羽は首を傾げる。

 

「西城さんのCADも面白いですが、達也さんはもっと面白いですね。拳銃形態の特化型が二つに右腕のブレスレット。計三つのCAD。

兄様が目をつけるだけありそうです」

 

俺たちだけじゃなく、他校の生徒、観客から様々な理由の好奇心が向けられる中、一高と八高の試合は始まった。

 

 

 

ステージは森林。

魔法科高校の中で最も野外実習に力を入れてる八高にとってはホームグラウンドのようなもの。

けど、心配はしていない。

達也は九重八雲という忍術使いに教えを受けていると聞いている。

忍術は遮蔽物の多い環境を最も得意とする。

もちろん、その事を相手は知らないわけだけど。

 

 

 

◇

 

 

 

試合は達也たちの完勝で終わった。

 

「うん、中々見応えがある試合だったね。術式解体、面白CAD、神童の古式魔法」

 

「達也さんの術式解体は聞いていた通りですね。それにしてもあのCAD、まさか刃が飛び出し空中で静止までするとは......」

 

「吉田家の神童は噂とちょっと違ったわね。力を失ったって聞いてたけど、想像以上じゃない」

 

「みんな......詳しいね」

俺たちの話を聞いていた雫は少し驚いた様子でそんな感想を述べた。

 

「そういう家だもの。言ったはずよ、覚悟決めなって。神威と一緒になるつもりならね」

 

「ちょっと、紅羽!?」

雫に何言ったの!?

ってか、二人の間に何があったんだ?

明らかに俺の知らないとこで話したっぽいし。

 

「うん、頑張る」

と何故か雫は張り切っていた。

 

結局、覚悟出来てないのは俺一人ってことか。

雫も紅羽もこの九校戦で何かしらの答えを出したみたいだし。

はあ〜、どうしたもんか。

 

「兄様も早く覚悟を決めてください」

 

「やっぱりそれしかないか......」

それにはまだ時間がかかりそうだった。

 

 

 

 

 

翌日のモノリス・コード決勝リーグ。

達也たちはそこに駒を進め、九高と三高を倒し、優勝を果たしたのだった。

 

 

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