見応えありまくりのモノリス・コード新人戦も達也たちの活躍により、一高の優勝で幕を閉じた。
こうして新人戦が全て終わり、残すはミラージ・バットとモノリス・コードの本戦のみ。
九校戦も終盤を迎えていた。
大会九日目。
朝から雨の降りそうな曇り空、嫌な天気だった。
天気同様の嫌な空気感を俺は朝から感じていた。
昔から俺の第六感は的中率百パーセント。
規模の大小はあっても外れた事はない。
そして、今回も。
「兄様、敵が動きました。他の方々にも情報は伝達済みです」
「ありがとう、桜華。五神家の力を見せつけてやらないとね。敵は排除する、全力で」
一高の先輩である小早川先輩がミラージ・バットの第一試合でCADに細工され、担架で運ばれるほどの事故が起きた。
そして、深雪さんのCADにも細工されかけた。
これは当然のように達也が防いだけれど。
そして、今度はこの九校戦そのものを標的にしてきた。
本来、俺はこんなことが起こる前に敵を排除しなければならないはずなのに後手に回っていることに苛立ちを覚えていた。
だから、今は誰にも気付かれることなく仕事を行う。
ただそれだけ、それしか今出来る事はない。
観客席で一人の男が立ち上がった。
それを見て、俺も動き出す。
そして、男が立ち止まる。
瞬間、男は呆然と立ち尽くす。
「予定通りだな、桜華」
俺は、加速魔法で男との距離を詰めて魔法を打ち込む。
すると、男は凄まじい速度でスタンドの外へ飛ばされた。
「後は頼んだよ」
そう呟き、俺も男の飛んだ方へと向かう。
◇
「おっ、来たぜ紅羽。仕事の時間だ」
「言われなくてもわかってるわよ。人に見つかる前に片付けるわよ」
私は白夜にそう言うと、落下してくる男に向かって飛ぶ。
そうして男に上から蹴りを入れた。
落下速度の増した男に今度は地上にいる白夜の強烈なアッパーが直撃する。
「意識ない相手を殴るのって気が引けるわね」
「嘘つけ、ノリノリだったろうが!」
「そんなことないわよ。それよりさっさと片付けましょう」
そう言って倒れ込んでる男に近づこうとすると
「君たち、待ちなさい」
という男の声がした。
「ありゃりゃ、面倒なのに見つかったわね」
「軍人さんがこんなとこで何やってんだ?」
「君たちは......何者だ?」
◇
合流地点に向かうと玄斗の報告にあった人たちが紅羽たちと話をしていた。
どうやらあいつらを怪しんでるらしい。
「五神の使い......ってやつですよ」
「神威、遅いわよ」
「ごめん、道に迷ってさ」
「五神の使い......では君たちが......」
「達也から報告は上がっているはずですが?」
「......本当になんでも知っているんだな」
達也がどういう報告をしたかまでは知らないけど、なんか悪意を感じる。
あとで達也に聞いてみよう。
「この場はこちらに任せていただけませんか?」
「そういうわけにはいかない。こちらも仕事なんでね」
ふむ、そう言われると困る。
仕事なのはこちらも同じ。
けど、向こうは給料もらってるわけで、仕事を奪うのも悪い気がする。
「ならこうしましょう。敵アジトの位置データを渡します。なのでここは引いてください」
「......」
こちらの提案に向こうは沈黙。
「我々にあなた方と敵対する意思はありません。むしろ同志だと思ってます」
「分かった。その言葉を信じよう」
「ではこれを」
そう言って軍人さんにデータを渡すと、彼は退散してくれた。
「神威、あれ渡しちまっていいのか?」
「別にいいんだよ。どの道今夜にはケリがつく。達也が先か、奏司が先か。それだけの話さ」
「そう言えば玄斗は?」
「モノリスの本戦決勝が控えてるから待機にしといた」
「ふーん。そっちも案外見応えありそうね。十文字と北神が戦うなんて」
「まあうちの総合優勝はほぼ確実だから影響しないけどね。ただ、十文字は本気でくると思うよ。十師族の威信にかけて」
「軽く捻ってやればいいのに。玄斗も神威みたいにさ」
「それはとても面白そうだ」
玄斗はそうはしないだろうけど。
そんな会話をしながら、俺たちは事件の処理を綺麗にするべく電話をかけた。
五神家の便利屋である『榊影』に。