魔法科高校の劣等生-黄龍の異端児-   作:愚者ぺら

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第二十三話 終わりのパーティー

九校戦最終日。

モノリスコードの決勝戦で十文字率いる一高と北神率いる八高の熾烈な戦いを一高が制し、一高の完全優勝で九校戦は幕を閉じた。

 

そして今は後夜祭のパーティー。

和やかな雰囲気で各校の生徒たちがダンスやら談笑やらを楽しんでいる。

 

「あんた何であそこで負けるのよ」

 

「十文字の本気が想像以上でな。俺では力不足だったよ」

 

「嘘つけ、絶対手抜いただろ。じゃなきゃお前さんが負けるかよ」

 

「そうよそうよ。神威みたく軽く捻ってやんなよ」

 

「お前ら、あんまり騒ぐなよ」

会場の隅で騒ぐ紅羽、白夜、玄斗に俺はそう声をかける。

幸い周りには聞こえてないみたいだけど。

 

「神威......あんたこんなとこで何してんのよ」

紅羽が不思議そうに尋ねてくるけど、まるで意味が分からない。

 

「何って普通にパーティー楽しんでるだけだけど?」

 

「そうじゃなくて、雫はどうしたのよ」

なんだ、そういうことか。

人を冷やかしたいだけなんだな、コイツは。

 

「今は友達と談笑中だよ」

 

「はあ〜。あんたさあ、そんなことしてる間に他の男子が彼女に言い寄ってきたらどうするのよ」

 

「どうするって......どうもしないよ。どうせダンスの誘いは雫断るし」

 

「なんで言い切れるのよ」

 

「さっき断ってた」

 

「ダメだ。コイツは馬鹿だ」

紅羽にそんなことを言われるのは心外だ。

何も間違ってないはずなのに。

 

「大体、あんたはあの子と踊ったの?」

 

「いや、踊ってないよ。俺苦手だもん」

 

「じゃあさっさと教わって踊んなさいよ」

そういえば雫はこういうパーティーには慣れてるって言ってたな。

それも手かもしれない。

 

「ほら、さっさと行きなさい」

シッシッと俺を追い返す紅羽。

アイツの思考がここ最近で全く分からなくなった気がする。

なんとなく分かるのは、俺と雫をくっつけようとしているということぐらい。

これもアイツなりの応援なのかもしれない。

 

 

「雫、ちょっといいかな?」

 

「神威くん、どうしたの?」

 

「えっと......ダンスを教えてくれないかな?」

少し緊張している中、意を決して聞いてみる。

すると、

「うん!いいよ」

と雫は満面の笑みで応えてくれた。

 

 

 

 

 

 

雫にダンスを教わりながらどうにか踊れるようになった俺は一休みということで外に出ていた。

 

「中神、少しいいか?」

その声に振り返ると十文字先輩が立っていた。

 

「ええ、いいですよ」

何の話か検討がついてない訳ではないけど、今さら話すようなこともないはずだ。

 

「中神、お前は一条を圧倒的な力でねじ伏せた。しかし、北神も南神も本気を出しはしなかった。西神は一条やお前の影に隠れてあまり注目を受けていない。なぜお前だけが本気を出した?」

 

「うちだけじゃなくて他の四家のことまでご存知でしたか。

......ああ、そういえば十文字は五神家側でしたね。九島同様に」

 

「そういうことだ。それで質問の答えは?」

 

「それはあなたの思い違いです。だってあれはまだ本気じゃないですから。俺が一条に勝ったのは単純な力の差です。

本気を出しても構わないという指示はありましたが、本気を出すまでもなかった。

まあ、玄斗と紅羽は色々思う所があって本気を出さなかったみたいですけどね。

白夜に関しては相手が悪かっただけです」

 

「あれで本気ではないとは......底が知れないな。だからこそ、十師族は五神家を恐れてるのだろう。たったの五家で十師族、師補十八家の全二十八家を相手にしても圧倒すると言われるくらいだからな」

 

「皮肉なものですね。十師族というシステムも五神家からの助言、助力があって出来たものだというのに」

 

「そのようだな。だが、手を焼いているのも事実だろう?」

 

「ええ、まったくです。俺としては大人しくしといてくれると計画を進めやすいんですけどね」

 

「計画?」

 

「十師族にとっても悪くはない計画です。準備が整ったら正式に声をかけますから、十文字家に中神家の一員として」

 

「その言葉、信じていいんだな?」

 

「はい」

 

「では、信じよう。お前が信じるに値する人物だと俺は思っている。

話は以上だ。付き合わせて悪かったな」

 

「いえ、こちらこそ」

俺がそう返事をすると十文字先輩は戻っていく。

俺もそろそろ戻ろう。

雫が心配してそうだ。

 

 

こうして波乱と激動の九校戦は幕を閉じた。

そして夏休みが始まる。

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