魔法科高校の劣等生-黄龍の異端児-   作:愚者ぺら

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第二十七話 初デートの日

雫に告白して晴れて恋人となった日の翌々日。

初デートの日。

 

「はあ〜」

さっきから何度目かわからないため息をつく。

緊張で家の中を歩き回ってどれくらい経っただろう。

そう思って時計を見るとまだ十分も経っていなかった。

待ち合わせの時間まであと2時間もある。

 

「少しは落ち着いてください、兄様」

 

「そうは言ってもさあ〜」

なぜか夏休み中もこっちにいることになった桜華は呆れた様子でこちらを見ている。

なんでも視察らしい、諸々の。

 

 

 

「ところで兄様、私もついて行ってもいいですか?」

 

「......はい?」

何を言ってるんだ、桜華は。

初デートに妹がついてくるとかおかしいだろ。

 

「大丈夫です、挨拶したらすぐに帰ります。妹として未来の姉様に挨拶をと思ったのです」

 

「挨拶したらすぐ帰ってよ」

 

「......はい!」

ずっとついてこられたら困るけど、挨拶ぐらいならいいよな。

 

「それで今日のデートプランはどんな感じですか?」

 

「プランってほど大したものはないよ、テキトーにぶらぶらするだけ。ウィンドウショッピングってやつ?」

 

「いいんですか?初デートがそれで」

 

「雫の希望だからね」

 

「ふ〜ん。そうですか」

 

 

桜華と少し話をして緊張がほぐれた俺は1時間と少ししてから家を出た。

 

 

10時30分。

待ち合わせ場所は駅前に予定30分前に到着した。

時間には少し早いけど、遅れるよりは全然いい。

 

「流石に早すぎではないですか?」

 

「......いや、そんな事ないみたいだよ」

桜華にそう言うと、俺は駆け出した。

 

「雫、お待たせ」

 

「あ、神威くん。ずいぶん早いね」

 

「雫がそれを言うか?」

30分前の俺より早いんだから結構待ってただろうに。

 

「ふふっ、楽しみすぎて早く来ちゃった」

 

 

「おー、なんか恋人っぽい会話です」

桜華が茶化すように口を挟む。

 

「お、桜華ちゃん!?」

 

「ごめん、雫。桜華がどうしても挨拶がしたいってんで連れてきたんだ。まあ、すぐ帰るらしいから安心して」

 

「あっ、そうなんだ」

 

「はい。と言うわけで、これからもよろしくお願いします、雫姉様」

 

「ね......姉様?」

明らかに困惑している雫。

それに対して桜華は満面の笑みを浮かべていた。

 

「はい、義理の姉になるんですから姉様でいいですよね?」

 

「......うん、いいよ。こちらこそよろしくね、桜華ちゃん」

 

「はい!」

元気良く返事をして、桜華はそのまま帰って行った。

まったく、本当に挨拶しに来ただけかよ。

それならわざわざ付いてこなくてもいつでも機会はあったでしょ。

 

桜華なりに何かあるのか?

......考えても仕方ないか。今は雫とのデートを楽しもう。

 

 

そう思っていたのに......。

「はあ〜」

 

「神威くんどうかしたの?

......もしかして楽しくない?」

 

「そんなことはないよ!楽しい!

楽しいんだけど......誰かに尾行されてる」

駅前にいた時からずっと誰かの視線を感じていた。

 

「もしかして桜華ちゃん?」

 

「桜華じゃないと思う。桜華ならもっと上手く尾行するし、それに桜華と話をしてる時から視線は感じてたから違うはず」

 

「じゃあ誰が......」

そんな会話をしながら街を歩いてると横に伸びる細い路地が目に入った。

おびき出してみるか.......。

 

「雫、ちょっと走るよ」

そう言って雫の手を引いて走り出した。

戸惑いつつも頬を赤らめている雫に気づかず。

 

 

横道に入るとすぐに立ち止まり、待ち構える。

すると......

「わっ!」

 

横道に走って突っ込んできたのはほのかだった。

 

「ほのか、急に走ったら危ないわ。それにバレ......る......」

そして、そのあとを追いかけてきた深雪さんともバッチリ目があった。

 

 

 

 

「それで?どうして尾行なんてしてたんだ?」

喫茶店に入り、向かいに座る二人を問いただす。

 

「雫から神威さんと付き合い始めて、初デートするって聞いて、心配になったんです」

ほのかと雫の仲の良さを見てれば心配するのもなんかわかる気がする。

しかも相手がこんな謎だらけの男だし......。

 

「雫のテンションが低すぎて愛想尽かされてないかと思いまして......」

あ、心配なのそこなんだ。

 

「......ほのか」

呆れた様子で雫はほのかを見つめていた。

 

 

「ほのかの理由は分かったけど、なんで深雪さんまでいるの?こういう事するタイプじゃないと思ってたんだけど......」

 

「深雪は悪くないの!私が無理言って頼んだからついて来てくれたの」

そう言って深雪さんをほのかは庇う。

別に怒ってるわけじゃないんだけど。

 

「ほのかが俺のこと信用できないのは分かるけどさ......」

 

「いえ......そういうわけじゃ......」

 

「いいよ、信用してくれなくて。ただ雫を悲しませるようなことは絶対しない。もしそんなことがあったら、どんな酷いこと言っても、どんな酷い仕打ちされても受け入れる。

この言葉だけは信じて欲しい」

 

「そこまで雫のこと......わかりました。その言葉信じます」

 

「その時はお兄様にも手伝ってもらいましょう。きっとすごく助けになってくれるわ」

 

「そうならないように努力するよ。

けど、初デートぐらいは素直に楽しませて欲しかったなぁ」

 

「「ごめんなさい」」

二人はそう言って静かに頭を下げる。

 

「......大丈夫。まだ時間はあるから」

 

「そうだね。と言うわけでもうついて来ないでよ」

 

「「はい」」

 

 

こうして二人と別れた俺たちはようやく初デートを楽しめることになった。

けど、ほのかも深雪さんも本当に友達想いだな。

二人に誓った通り、雫はなんとしても守らないと。

 

......達也が加わると流石に怖いし。

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