魔法科高校の劣等生-黄龍の異端児-   作:愚者ぺら

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第三話 ウィードとブルーム

一高入学二日目。

あくびをしながら教室までの廊下を歩いていると深雪さんを見つけた。

「やあ、おはよう、深雪さん」

 

「神威さん、おはようございます」

 

「深雪さんは昨日の話はもう決めた?」

 

「いえ、まだ決めていません。

神威さんはどうするんですか?」

 

「俺は受けようと思う。光栄な話だしね」

深雪さんとそんな会話をしながら教室まで歩く。

 

 

登校したばかりの教室では既に生徒たちがグループを作っていた。

おそらく、昨日の入学式後に顔合わせをしたのだろう。

 

司波さんと共に教室に入ると若干のざわめきがおきる。

 

「神威くん、おはよう」

「おはようございます、神威さん」

雫とほのかも挨拶してくる。

「おはよう、二人とも」

挨拶を返すと

「神威くん、いつの間に司波さんと仲良くなったの?」

と雫に訊ねられた。

 

「昨日少し話したぐらいだよ。さっき偶々会って声をかけたんだ」

 

俺がそう言うと

「私は北山雫。よろしくね、司波さん」

「光井ほのかです。よろしくお願いします」

と二人は自己紹介をする。

 

「私のことは深雪でいいわ。よろしくね、雫、ほのか」

司波さんは笑顔でそう言った。

ほのかは司波さんに声をかけずらそうにしていたし、いいきっかけだったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

昼休みとなり、雫、ほのか、司波さんと学食へ向かう。

学食で達也と合流するつもりだ。

しかし、司波さんと相席を狙う一科生(特に男子)が達也と一緒にいた二科生に

席を譲れだの、一科と二科のけじめだのと言い出す。

 

結局、達也が急いで食べ終え、さっさと席を立ち、

司波さんは俺や雫、ほのかと共に昼食を食べた。

 

 

 

 

そして放課後、事件は再び起こる。

雫とほのかに一緒に帰らないかと誘われたが俺はその誘いを断り、生徒会室にいた。

「神威くん、どういう用件かしら?」

七草先輩に訊かれる。

 

「昨日の生徒会の話、承けようと思います」

そう答えると

「ずいぶん早い決断ね。理由は?」

と問いただされる。

「別に大した理由はありませんよ。逆に言えば、断る理由もありませんし」

 

「まあ、いいわ。誘ったのはこっちだからね」

七草先輩がそう言うと一人の女子生徒(先輩)が入ってくる。

 

「ん?君は......」

 

「摩利、ちょうどいいところに。

神威くん、彼女は風紀委員長の渡辺摩利。

摩利、彼は一年の中神神威くん。生徒会に入ることになったわ」

七草先輩が紹介する。

「三年の渡辺摩利だ、よろしく」

「中神神威です。よろしくお願いします」

お互いに挨拶すると

「じゃあ、さっそく......」

と七草先輩が話を切り出そうとするが

「ちょっと外が騒がしくありませんか?」

と話を遮る。

 

外を見ると一科生と二科生が言い争いをしている。

達也や司波さんがいるから一年同士だろう。

 

「神威くんは帰ってもいいわよ」

と七草先輩に言われたが

「いえ、自分も行きます。友人もいるみたいなので」

と言ってついていく。

 

 

 

一方で事件の当事者たちは........

 

「いい加減に諦めたらどうですか?

深雪さんはお兄さんと一緒に帰るって行ってるんです。

他人が口をはさむことじゃないでしょう」

啖呵を切っているのは美月だった。

相手は一年A組の生徒。昼休みの時と同じ面子だ。

 

騒動の理由は昼休みと同じで

一科生の生徒が司波さんと一緒にいた達也たち二科生に突っかかったのが原因だった。

 

 

「僕たちは彼女に相談する事があるんだ!」

一科生の男子がそう言い放つ。

 

「ハン!そういうのは自活中にやれよ。ちゃんと時間が取ってあるだろうが!」

二科生の男子生徒......西城レオンハルトが皮肉たっぷりの笑顔と口調で返す。

 

「相談だったら予め本人の同意を取ってからにしたら?

深雪の意思を無視して相談も何もあったもんじゃないの。

それがルールなの。高校生にもなってそんなことも知らないの?」

エリカのそんな台詞に一人の男子生徒が切れる。

 

「うるさい!他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな!」

ウィードとは二科生を指す言葉で差別的ニュアンスから使用を禁止されている。

 

 

その言葉に反応したのは美月だった。

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが今の時点でどれだけ優れてるって言うんですか」

その言葉に一科生の生徒が

「......どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」

と答える。

 

「ハッ、おもしれえ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか」

先ほどの二科生の男子生徒が挑戦的な大声で応じる。

 

「だったら教えてやる!」

そう言って魔法の発動を簡略化するデバイス、CADを向ける。

学校内でのCADの携行は生徒会の役員と一部の委員のみ認められている。

しかし、CADの所持が制限されているわけではない。

CADを所持している生徒は授業開始前に事務室に預け、

下校時に返却を受ける。

だから、下校途中の彼がCADを持っていてもおかしなことではない。

 

だが、それが生徒に向けられるとなれば非常事態だ。

しかも、そのCADが攻撃力重視の特化型なら尚更。

 

小型拳銃を模した特化型CADの『銃口』が二科生の生徒に突きつけられてた。

 

CADを抜き出す手際、照準を定めるスピード、

どちらを取っても慣れた手つきだった。

 

それを見て達也は右手を伸ばした。

......が達也が何かをするより早く

「ヒッ!」

と一科生の生徒が声を上げた。

その生徒の眼前にはいつの間にか伸縮警棒を振り抜いたエリカが

笑みを浮かべていた。

 

「この間合いなら身体動かした方が速いのよね」

エリカは得意げにそう言った。

 

その光景に呆気に取られていた一同だったが我を取り戻した一人の女子生徒が腕輪形状の汎用型CADへ指を走らせた。

 

 

しかし、その魔法は発動しなかった。

サイオンの弾丸によって砕け散ったのだ。

「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に犯罪行為ですよ!」

その声の主は七草先輩だ。

 

俺たちはようやく事件現場に着いたのだ。

そして俺はその女子生徒に

「ほのか、いくら威力を落とした閃光魔法でもダメだろ」

と声をかける。

 

そう、先ほど魔法を発動しようとしたのはほのかだった。

 

 

「あなたたち、1ーAと1ーEの生徒ね。事情を聞きます。着いて来なさい」

そう命じたのは七草先輩。

 

「すみません、悪ふざけが過ぎました」

達也がそう切り出した。

「悪ふざけ?」

 

「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから後学の為にと思って」

 

「ではその後に彼女が攻撃性の魔法を発動しようとしたのはどうしてだ?」

 

「驚いたんでしょう。先ほど神威が言った通り目くらまし程度の閃光魔法でしたし」

 

「ほう、どうやら君たちは展開された起動式が読み取れるらしいな」

 

「実技が苦手ですが分析は得意です。

......まあ、神威がどうかは知りませんけど」

そう言って達也は俺を見る。

 

「ハハッ、俺にはそんなことできませんよ。

ただ、ちょっと目がいいだけです」

俺は笑って誤魔化した。

本当は出来ないわけではないが、今はまだ隠していたい。

それに、個人的にはあまり使いたくないのだ。

 

 

「兄の申したとおり、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。

先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

司波さんはそう言って深々と頭を下げた。

 

「摩利、もういいじゃない。

達也くん、本当にただの見学だったのよね」

その言葉に達也が頷くと七草先輩はどこか得意げな笑みを

浮かべていた。

 

「生徒同士で教え合う事が禁止されているわけではありませんが

魔法の行使には細かな制限があります。このことは一学期の内に授業で教わる内容です。

それまでは魔法の発動を伴う自習活動は控えるように」

七草先輩が訓示すると一同は頭を下げる。

 

渡辺先輩は帰り際に

「君、名前は?」

と達也に訊ねる。

 

「1年E組、司波達也です」

 

「覚えておこう」

そう言って渡辺先輩は帰っていった。

 

 

そして、この日を切っ掛けに波乱の渦に巻き込まれる。

 

 

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