魔法科高校の劣等生-黄龍の異端児-   作:愚者ぺら

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第五話 力試し

一科生と二科生のいざこざの翌日の放課後。

俺は生徒会室にやって来た。

深雪さんと、風紀委員に指名されたらしい達也と一緒に。

 

ノックをして、生徒会室に入る。

「いらっしゃい、深雪さん、神威くん、達也くん」

 

「副会長の服部刑部です。司波深雪さん、中神神威くん、生徒会へようこそ」

声をかけてきたのは服部副会長。

 

「お、来たな。じゃあ、あたしらは行こうか」

渡辺先輩は達也にそう言う。

 

「どちらへ?」

 

「風紀委員本部だよ。この真下の部屋だけど、中で繋がってるんだ」

 

「変わった造りですね」

そう言いながら二人は風紀委員本部へ行こうとするが

「待って下さい、渡辺先輩」

といって服部副会長が止める。

「なんだ、服部副会長」

 

「その一年生を風紀委員に任命するのは反対です」

服部副会長のその言葉を俺は予想していた。

多分、達也も何処かでそんな気がしていたのだろう。

 

「おかしなことを言うな。彼を指名したのは七草会長だぞ?」

 

「本人が受諾していないと聞いてます。本人が受け容れるまで正式な指名にはなりません」

 

「それは達也くんの問題だ。決定権は彼にあるのであって、君ではないよ」

 

「過去二科生(ウィード)を風紀委員に任命した例はありません」

服部副会長の言葉に渡辺先輩は眉を吊り上げて見せた。

 

「それは禁止用語だぞ。風紀委員の摘発対象だ。委員長である私の前で使うとはいい度胸だな。

それに、彼は優秀な人材だ。風紀委員は実力主義だが、実力にも色々ある」

 

「どういう意味です?」

 

「達也くんには展開中の起動式を読み取り発動される魔法を予測する目と頭脳がある」

 

「......何ですって?」

 

「つまり、彼には魔法が発動されなくても、どんな魔法が使おうとしたかがわかる。

今まで罪状が確定出来ずに軽い罰で済まされてきた未遂犯に対する抑止力になるだろう」

 

「しかし!」

服部副会長は反論しようとする。

 

「実力で劣るって言うなら、模擬戦をすればいいのでは?」

と提案したのは俺だった。

 

「何?」

 

「それが一番手っ取り早いでしょ?」

 

「おい、神威!」

流石の達也も大きな声をだす。

 

しかし、七草先輩は

「いいじゃない、それ」

と乗り気で言う。

 

「深雪さんもそう思うでしょ?」

七草先輩は深雪さんに振ると

「はい。そうしましょう、お兄様」

と深雪さんも乗り気だった。

 

「......は~、分かりました」

達也も俺の提案に乗る。

こうなってしまっては覆せないと思ったのだろう。

 

 

「では、三十分後に第三演習室で。

二人の試合は校則で認められた課外活動であると認めます」

七草先輩が宣言する。

 

達也がCADを取りに行ったのを確認すると俺は

「会長、ついでに俺も達也と模擬戦したいんですけど......」

と七草先輩に提案する。

 

「うーん......」

七草先輩はあまりこれにはあまり乗り気ではなかった。

 

「面白いものが見れますよ?」

他の先輩たちに聞こえないように耳打ちする。

 

「......分かったわ。摩利、はんぞーくんと達也くんの試合の後に、神威くんが達也くんと試合したいらしいのだけど、いいかしら?」

 

「ん?ああ、構わないが?」

 

「だそうよ、神威くん」

 

「ありがとうございます」

二人に礼を言い、CADを取りに行った。

 

 

 

 

演習室に移動した俺だったが達也と服部先輩の試合が始まる前に再び演習室を出ようとする。

 

「神威、何故出て行くんだ?」

不思議そうに達也は聞いてくる。

 

「試合を見たらフェアじゃないだろ?」

 

「よくわからんが、試合を提案した本人が出ていくのはどうかと思うぞ」

 

「安心しろ、達也が負けるとは思ってないから」

そう言って今度こそ部屋を出る。

 

 

 

 

 

俺が演習室の外に出てからしばらくして、七草先輩がやって来る。

「終わったわよ、神威くん」

 

「分かりました」

俺は再び演習室に入ると達也は余計に不思議がっていた。

 

「じゃあ、次は俺の番だな」

そう言うと達也は

「何がだ?」

と聞いてくる。

 

「あれ、誰も教えてないんですか?」

 

「だから......何がだ」

 

「俺と達也で試合するんだよ」

 

「は?」

 

「大丈夫、ちゃんと許可は取ってある」

 

「俺が許可してないんだけど......」

 

「別にいいじゃない、試合ぐらい」

試合をしたくないのだろう達也に七草先輩が声をかける。

 

「俺が勝てる訳ないじゃないですか」

 

「でも、はんぞー君には勝ったじゃない」

 

「あれは不意討ちみたいなもので......」

そこまで言うと達也は気づいたようだ。

 

「だから、試合を見なかったのか」

 

「言ったろ、フェアじゃないって。それに、デメリットもないだろ」

 

「メリットもないけどな」

 

「本当にそう思うか?俺の実力を見ておくことはメリットじゃないのか?」

 

「......分かった、受けよう」

 

 

 

 

 

演習室の中央に渡辺先輩が立ち、俺と達也は五メートル離れた開始線で向かい合う。

 

「はじめ!」

渡辺先輩の掛け声で試合が始まる。

俺は直ぐにとある魔法を発動した。

 

だが、何も起こらず、ギャラリーは首を傾げていただろう。

 

 

一方で俺の目の前から達也が消えた。

瞬時に距離を詰めた達也だったが、その瞬間、激しい波が達也を揺さぶった。

そして、達也は倒れこんだ。

 

 

 

「......勝者、中神神威」

こうして、俺と達也の試合は幕を閉じた。

 

 

「神威くん......今のはどう言うことだ?」

 

「何がです?」

 

「何で達也くんが服部と同じように倒れたんだ?」

 

「服部先輩もあんな感じでしたか。達也が何をしたかは知りませんが、俺は返しただけです」

 

「どういうこと?」

 

「達也が何をするか分からなかったから、何が来てもいいようにしたんですよ。

でも、酔わせてくるとは思いませんでしたけどね」

 

「まったく説明になってないのだけれど?」

 

「説明したつもりだったんですが......そうですね、分かりやすく言えば、カウンターです」

 

「カウンター?」

 

「うちに伝わる『呪詛返し』と呼ばれるも古式魔法は魔法を返すのではなく、事象を返すというものです」

 

「それだけ?」

七草先輩は俺の説明に不満があるらしい。

 

「お教えできるのはここまでです。残りは自分で見つけてください」

 

「話がちがうじゃない!」

 

「俺は見れるとは言いましたけど教えるとは言ってませんよ」

 

「神威くんのケチ!」

 

 

こうして無事に達也は風紀委員となり、俺も生徒会の一員となった。

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