「ふぅ……。創造神様は一体何の用だろ?」
そう言って一人歩く女性………。否女神が居た、その女神は白銀に薄い蒼色が入った髪を、地面につかない所までぎりぎりまで伸ばしており、その髪と合う金色の瞳を宿していた。
「ここ……、ね」
女神は目的地である部屋に辿り着き、そのドアをノックする。
「開いておるよ」
「失礼します」
女神はそう言って入ると、そこには髭を伸ばした年齢が計り知れない老人が居た。
「お呼びですか? 創造神様」
「ふむ……、お主……。ここ最近300年ほど働き詰めだったそうじゃの?」
「えぇ、何せ私の娘達も頑張っているので……親の私も頑張らないといけないでしょう?」
女神がそう言うと老人………。創造神はその女神の言葉を受け、苦い顔をする。
「そう言う事なら……。じゃがどの神々も休暇を取っておるのに、お主等は休暇すら取ってないようじゃの……。じゃからこれから溜まった休暇分の13年分を親子揃って取るのじゃ、これはわし等議会全員の一致じゃ、文句など言わせんよ?」
「創造神様! それは横暴過ぎます! 私達が抜けたら滞るじゃないですか!」
女神はそう喚くが、その女神の回りに複数の人影が現れる。
「そう喚くんじゃないのぅ………。それにのぅ全神界から働きすぎだと苦情が出ておるんじゃ、なぁにお主等が抜けても代わりの者が既に頑張っておる………。じゃから安心して休暇を取りなさい」
「ですが!」
女神が反論しようとするが周りの人影がその女神の口を押さえ、鎖でその体をぐるぐる巻き………。所轄蓑虫状に巻く。
「ええぃ! さっさと休暇を取らんか馬鹿者! お主の友達も主のことを聞いて転生できぬと言っておるんじゃ! そのままじゃと転生の業務も滞るのじゃ! じゃからさっさと休暇にいかんか!」
創造神はそう言って周りの人影は女神を連れて行く。
「それと、休暇先はお主が居た世界に近い所じゃからの、くれぐれも気を付けるのじゃよ」
創造神の言葉と共に扉が閉まる。
◆
「全く………。手荒く仕事を持っていくこともないですの……」
「あはは………。そう言わないの」
先程の女神とほぼ同じ容姿だが身長は二人ともやや低い。
「急に休暇を与えられても困るのですの」
彼女は腰ほどまで伸ばした髪をツーテールに纏めている。
「だよね……。お母さんは創造神様に呼ばれたって言うし」
彼女は先程の女神と同じ様にぎりぎりまで伸ばしてはいるが首の辺りで髪留めの輪をつけており、その髪を背にではなく胸の方に垂れさせている。
そして二人は魔法陣が敷かれてある場所に辿り着くと、そこには先程の女神が居た。
「お母さん!」
「お母様!」
彼女達は母と呼んだ女神に抱きつく。
「二人とも……。元気だった?」
「勿論だよ!」
「当然ですの!」
三人はそう言って抱き合うそこに一つの人影が近付く。
「貴女達に渡す物がありますよ」
そう言って渡したのは黒ローブ3つと3つの小さな袋だった。
「これは?」
「このローブは温度調整及び対魔法、対物理を編み込んだワルキューレ特製で、こちらは異空間を使った子袋です。この中に手を入れながら必要な物を念じると手の中に納まりますのでかなり便利に出来上がってると思います」
「宜しいんですの?その様な物を貰って」
ツーテールの彼女がそれを言うとその人影はくすくすと笑う。
「ふふ♪ それは構わないんですよ……。創造神様が作って渡せと言いましてね……。それとその子袋とローブは防犯処理をしてありますので心配は無用です……。あ~あ、私も今度休暇取ろうかなぁ……」
「あはは♪ 近いうちに貴女も取れますよ……。それじゃ、行って来るね」
「はい……よい休暇を……それと休暇中は好きな世界に行っても良いみたいなので
「そうだね……。近くを通ったら挨拶でもするよ……。じゃね♪」
そう言って3人は魔法陣にて異世界に飛んだ。
◆
「あれ? ここは?」
美緒はそう言って辺りを見回すが美沙と美紗は見当たらないどころか、どうやら自身の視点も低くなっているようだった。
「………ナニコレ?」
美緒はそう呟いて、元の姿に戻そうとするが、何故か戻らなかった。それに内心慌てる美緒だったが、とりあえず2人に念話で連絡を取る。
「(美紗、美沙聞こえる?)」
「(お母さん無事!?)」
「(お母様今どこにいますの!?)」
美緒はキョロキョロと見回して、目の引いた建造物を見る。
「(………わからない、けど目の前に大きな中学の校舎が見えるよ)」
「(なんて言う学校ですの?)」
「(長月中学校………。らしいよ?)」
「(解ったですの、今美紗を迎えに行かせるので待ってて欲しいですの)」
「(それはいいけど、2人はこの世界の事を知ってるの?)」
美緒の疑問は最もだ、美緒自身が今さっきここに来たばかりなのだ。それを同じ時間で来たはずの美紗と美沙が知るはずもないと美緒は思ったのだが………。
「(私達が来たのは3年前ですの、それまでお母様が来るのを待っていましたの。それで、私達………お母様も含めて親無しという状態ですの。一応は神の権限で私達の戸籍等を作りましたが、年齢は私と美紗、お母様が現在6歳と言う訳の分からない事になってますの)」
「(………何その無茶苦茶な設定………。思いっきり孤児院に入るべき状態だよね………。天使を呼んで親役やらしたほうがいいよね………。この状態)」
「(現在では天使を親役にしてあるので、大丈夫ですの。それと、厄介なことがあるのですが)」
「(美沙が厄介って言うと相当なことだね………。何があったの?)」
「(どうやら、下級神界の何処かの阿呆がこの世界に“生前の記憶を持った転生者”を何人かこの世界に送り込んでるみたいですの)」
美沙の報告を受けた美緒は米神を揉む、本来転生とは生前の罪と記憶を洗い流し、魂を真っ白な状態で次の生つまり来世に送ることを言い、今回美沙が言った生前の記憶を持った転生者とは真理に逆らった行為であり、許されざる行為でもあり、神界全域ではご法度、禁忌とされている。
「(また厄介なことを………、どうせ自分のミスで人を殺してしまったから、それを隠す為にやったんだろうね。目星はついてるの? その阿呆と転生者も)」
「(阿呆の方は粛清済みですの、仮にも私と美紗の本分である輪廻転生ですの。唯、転生者は3人いるのですが、巧妙に隠されていて、発見できていませんの………)」
美沙の言葉に美緒は溜息をつく、と、後方から聞き覚えのある声が聞こえたと同時に抱きしめられる。
「お姉~~ちゃ~~ん!!」
「美紗!?」
「久しぶりだね~♪」
美緒同様かなり小さくなった美紗を見て驚くが、美紗本人は対して気にしていないようだった。
「(一応お母さんは私達
「(なるほど、そういうことなら仕方ないね)」
「それじゃ、お姉ちゃん。お家に帰ろ?」
「うん♪」
美緒は美紗と手を繋いで美沙が居るこの世界での、自宅を目指して歩き始めた。そして数十分ほどで美沙がいる自宅の近くに着く、だがその近くに少年が………大体今の美緒達と同じぐらいの年相応の男の子が居た。その男の子は美紗の姿を見つけてにぱっと微笑みながら2人に近付く。
「美紗ちゃん、こんにちわ!」
「あ、アキ君♪こんにちわ♪」
美紗にアキ君と呼ばれた男の子はふと美緒を見る。
「えっと君は………?」
「私のお姉ちゃんだよ♪」
「美紗ちゃんのお姉ちゃんなんだ♪僕は吉井明久って言います!」
「私は美緒だよ♪いつも妹達がお世話になってます♪」
「ううん!いつも僕の方がお世話になってるよ!」
美緒、明久はそう言い合って、互いに笑い合う。暫くすると、明久の両親と美緒達の親役である天使が迎えに来て、そのまま麻井家と吉井家は会食………友好を深めようと食べに行くのだが、親役の天使が深く酔ってしまい、色んな事がばれるのはまた別のお話。そして、この世界『バカとテストと召喚獣』での一日目の締め括りとなったのだった。
如何でしたか?また次回♪