それではどうぞ♪
Fクラス対Dクラスの試験召喚戦争が始まって5分が経った。Dクラスの先攻隊は現在Fクラスへの渡り廊下を疾走している、構成人数は7人で、少なめだがFクラスには十分だろうとDクラス代表の平賀がそう言った為だ。だが、先攻隊部隊長の塚本は違和感を感じていた。
「(おかしい。いくら何でも今までFクラスのやつに会ってないぞ?)」
「隊長! 前方に敵影有り! 数は1!」
「1人!? ふざけてるのか!! Fクラスは!」
「巫山戯てなんてないよ~。貴方達程度なら私1人で十分だよ」
美紗はそう言って、隣にいた高橋教諭に声をかける。
「高橋教諭! Fクラス麻井美紗が今渡り廊下にいるDクラス全員に総合科目を申込みます!
言い終わると同時に、美沙の前に幾何学模様の魔法陣が現れて、デフォルメされた美紗にとんがった耳が付き、犬のフサフサとした尻尾を生やした物が現れる。服装は紅い外套を着て、その手には十字架を象った大剣が握られていた。
総合科目
Dクラス平均点1300点(7名)
VS
Fクラス麻井美紗
「さぁ、虐殺の始まりだよ♪」
「相手はたった1人だ! 一気に潰すぞ!」
『おおーっ!!』
先攻隊の内3人が美紗の召喚獣に襲いかかるが、瞬殺される。
Dクラス
Dクラス
Dクラス
『なっ!?』
「小出しなんかせずにまとめておいでよ?」
Fクラス麻井美紗5000点(制限あり)
『はぁぁ!?』
「もう面倒でだから、さっさと終わらせるかな」
美紗はそう言って、召喚獣を走らせ、すれ違いざまに4人の召喚獣の首を切り落としていった。
Dクラス
Dクラス
Dクラス
Dクラス
VS
Fクラス麻井美紗2500点
「戦死者は補習!!」
何処からともなく西村教諭が現れ、戦死したDクラスの生徒を全員担いでいった。
「(はぁ………まぁ、良いかな。後は任せるよ、美沙、美緒お姉ちゃん)」
美紗はそう言って、Fクラスの教室に戻っていった。
◆
DとBクラス前には警備隊と称して、20人近くの生徒が居た。そんな中、直ぐ近くの階段の踊り場から下の様子を伺う1人の少女がいた。
「(ひぃふぅみぃの………。この程度の数なら行けますの)」
美沙はそう言って、上の踊り場から美沙は飛び降りて着地をする。その時の物音に気付いた1人の女子生徒が驚いて声を上げた。
「きゃぁぁぁ!?」
「うぉっ!? なんだ!?」
「なっ!? 麻井さん!? どうしてここに!?」
「長谷川教諭! Fクラス麻井美沙がBクラス前の廊下までにいるDクラス全員に数学を申込みます!
数学
Dクラス平均100点(17名)
VS
Fクラス麻井美沙
「相手は1人だ! 流石にこの人数では勝てないだろ! 突っ込め!!」
『おぉ!!』
「
美沙の召喚獣はチュニック型の白い衣装に身を包み、白いサンダルを履いていた。その手にはハープが握られておりそれをひと撫ですると、白い防壁が美沙の召喚獣を囲むように現れて、全ての攻撃を防ぐ。
Fクラス麻井美沙500点(制限あり)
『なっ!?』
『Ας παίξουμε το προβάδισμα που εξετάζουν《貴方を導く調べを奏でましょう》』
美沙の召喚獣の口からギリシャ語で歌詞が聞こえ、ハープから旋律が聞こえた瞬間にフィールドが改変され、風景が教会に変わった。
『Αυτό εξετάζεται Δεν ξέρω τι να σας οδηγήσει στον ουρανό ή την κόλαση στην καθοδήγηση《その調べは貴方を天国へ導くのか地獄に導くのかわたしにはわからない》』
Dクラスの生徒は嫌な予感がすると感じ、白い防壁の上から突撃を試みる。
『Οι άγγελοι ή διάβολοι ήταν πάντα στο πλευρό σας《貴方の背後に天使か悪魔が必ずいて》
』
だが、美沙の召喚獣の影からバフォメット型の悪魔と2対の翼を持った天使が、Dクラスの召喚獣を撥ね退ける。
『Θα σας οδηγήσει πάντα στον κάτω《貴方を必ず冥府へと導くでしょう》』
美沙の召喚獣がハープを引き終わると同時に、廊下にいるDクラス全員と同数の悪魔が床から現れ、天使も同じ数が天井から舞い降りて、その場にいたDクラス生徒に襲いかかる。
Dクラス17名戦死
VS
Fクラス麻井美沙200点
「つ、強すぎるっ!」
「こんなの勝てるわけがないじゃないっ!」
「戦死者は補習ぅぅぅ!」
時間法則を無視した短時間で西村教諭が現れ、戦死者を連行する。
「ほ、補習はいやだぁぁぁぁっ!」
「あんな拷問耐えれるわけがないっ!!」
「拷問? そんなことはしない。これは立派な教育だ」
西村教諭はそう言いながら、ニヒルに笑う。
「補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎、といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう」
「それは悪質なせんのイヤァァァァァァッ!!『バタン、ガチャ(戦死者を補修室に入れる音』」
「………後はお願いしますの美緒お姉様」
「解ったよ、美沙」
美沙の言葉に返事をした美緒は、美沙の背後から出てくる。それを確認した美沙は、Fクラスへと向かった。
◆
時は戻ってお昼休み、なんとか復帰した雄二が9人に声をかける。
「それじゃあ、今回の作戦を説明するぞ」
「あ、坂本君」
「どうした? 麻井次女」
「今回のDクラス戦。私達3人だけでやらせてくれない?」
『はぁっ!?』
「あ~なるほど」
何となく解っていた、明久以外の全員が声を上げる。それはそうだ、3対40など普通は勝てる訳がないのだ。
「何より瑞希ちゃん、康太君の情報は秘匿したほうがいいと思うよ?と言うか私達がAクラスにいない方が不自然だって思われてるからね~。そう言う意味で、私達3人で、出る方が良いと思う」
「まぁ、私達ならAクラス以外なら3人だけで殲滅出来ると思うし」
「それに、私達は召喚獣の操作に慣れたい部分もありますの。仮にFクラス内で『模擬試験召喚戦争』をやったとしても、終わらない可能性がありますの。なので、初陣であるDクラス戦だけは譲って欲しいですの」
雄二は3人に言われ、米神を揉みながら考える。本来、戦争とは個人だけの戦闘能力だけで、決まるわけではない。大多数の部隊による総合的な戦闘能力、チームワーク、練度、士気、そして指揮官の指揮能力に地形の活用で決まる。
だが、神話等では例外とも言える人物たちが居る。
「………解った。但し、3人には念の為康太から小型マイクとカメラを受け取ってくれ。3人のうち誰かがやられた時点で俺たちは動く、それが条件だ」
「了解♪でも不要だと思うけど、坂本君達には私達がどれぐらいの戦闘能力を持ってるか見てもらう為にはちょうどいいね」
美緒はそう言って、にこりと微笑むのだった。
そして時は戻り、Fクラスの教室内で美紗、美沙の戦いを見ていた雄二達は2人の非常識な戦いを見てド肝を抜かれていた。
「ありゃ、美紗ちゃん、美沙さんは随分と楽しんでるみたいだなぁ」
「あ、あれ楽しんでるのか!?」
明久の言葉に驚いた雄二は、明久の首を掴んで揺らす。
「うぐ、ぐるじ……」
「答えろ! あきひ『ガシッ!(雄二の後頭部が掴まれる音』いだだだだ!?」
「全く………。少しは待つことが出来ないのかなぁ?」
そう言って、雄二の後頭部を掴んでいるのは美紗だった。
「あ、美紗ちゃんお帰り~」
明久は掴まれている、雄二を敢えて無視をして美紗に帰ってきた時の挨拶をする。美紗は雄二を掴みながら挨拶を返してから雄二を解放する。
「あ~。痛い………、ところで麻井中姉」
「ん? 何かな?坂本君」
「何で点数が減っていたんだ? 映像を見る限りではダメージを受けてなかったし、『腕輪』を使ってなかったはずなんだが」
「ああ、それはね。学園長に言われて私達の召喚獣には、高速移動をしたり、特殊な攻撃………これは美沙とお姉ちゃんが当て嵌るけど。それをした場合、普通教科が10秒で100点、総合科目で10秒1000点、総合科目では毎秒100点消費されるようになってるんだよ」
「なるほどな、じゃあ『腕輪』の方はどうなるんだ?」
腕輪とは、総合科目以外の科目で400点以上を取ると付与される特殊能力で、個々の召喚獣によってその効果が変わり、その特徴が腕輪を付けているかどうかで解る為、文月学園の生徒は『腕輪』と言えば大体の生徒が召喚獣の特殊能力と解るのでそう呼ばれている。
「今回は腕輪を使う程でもなかったから、次回以降のお楽しみだね」
「へぇ~。美紗ちゃん達の召喚獣って凄いんですねぇ」
美紗の説明を受けて、瑞希は素直な感想を言うと、美紗は少し照れた仕草をする。
「それにしても、美沙ちゃんの召喚獣の歌声綺麗でしたぁ」
「本当よね~。ウチまた聞きたいな~」
「機会があればまた聞けるかもね。っとそろそろお姉ちゃんの戦闘が始まるね」
美紗がそう言うと、全員が映像の方に向いた。
◆
美沙がDクラス前から去ったのを確認した美緒は、普通にDクラスのドアを開けようとしたが鍵がかかっているのか、開かなかった。反対側も試してみたが、同じ様に開かなかった。
「(仕方ないかな………。本当はしたくなかったけど)」
美緒は心の中で愚痴るとスッと左脚を上げる。その時、正面に居た生徒は、その時に美緒の黒い下着を見て鼻を押さえるのを見て、美緒は苦笑しながら蹴り飛ばした。
『ゴガァンッ!(美緒がドアを蹴り壊した音』
『ズゥン………!!(壊れたドアが倒れる音』
『はぁぁぁ!?』
Dクラス代表を含め、Dクラスの生徒全員が余りにも非常識な、現状に驚きを隠せなかった。それはそうだ、美緒の様なごく一般的な(?)女子生徒がアルミ等で構成されているドアを、蹴り破るなんて非常識が出来るわけがないのだ。
「福原教諭! Fクラス麻井美緒がこの教室内にいるDクラス全員に現代国語を申込みます!
現代国語
Dクラス代表平賀源二129点&Dクラス平均105点(15名)
VS
Fクラス麻井美緒500点(制限あり)
『なにぃっ!?』
「さぁ………、いくよっ!」
美緒の召喚獣は青白い外套を羽織っていて、その背後に8本の大剣がV字状に展開しており、手にも同型の大剣が握られていた。そして美緒の掛け声と同時に背後に展開されていた、6本の大剣が四方八方に展開、
「全方位に包囲して攻めるんだ! そうすれば倒せるはずだ!」
平賀の指示に、8人のDクラスの生徒が美緒を包囲して突撃してくる。それを何もせずに見ていた美緒は、ニヤリと
正面と右斜めから突撃してきた召喚獣は自身の召喚獣が持っている大剣で切り裂いた。
Dクラス8名戦死
VS
Fクラス麻井美緒300点
「なっ! 遅かったか!」
「もうちょっと早かったら8人を倒し損ねたよ。平賀君」
美緒はそう言って6本の大剣を背中に戻す。
「それに、大分点数も使っちゃったからね。一気に決めさせて貰うよっ!」
「くっ! 全員密集防御体制に!」
美緒の召喚獣が手に持っていた大剣を横に振るのと同時に、Dクラス全員が平賀の前で密集陣形をとって防御体勢に入る。
「せやぁっ!」
美緒が掛け声を出すと、大剣がガチャンッ!と音を立てて蛇腹剣に変形して、平賀ととある女子生徒以外のDクラスの生徒を薙ぎ払う。
Dクラス7名戦死
VS
Fクラス麻井美緒100点
「くっ………流石麻井さんだ。強い」
「あはは♪ 褒めてくれるのは嬉しいけど、私の召喚獣の能力を使っただけだから私自身の操作はそんなに巧くないよ」
「それならっ!」
「私も忘れないで欲しいですわ!! お姉様!」
美緒の事をお姉様と呼ぶのは、ツインテールを縦ロールにした女子生徒で名前は
平賀はバスタードソードを構えながら、美緒に突撃してくる。美緒も、大剣を構えながら平賀に突撃する。
平賀は振り下ろし、美緒は振り上げて互いの得物を打ち付け合い、鍔迫り合いになる。
だが、その隙を狙う様にロリカ・セグメンタタを纏い、グラディウスで武装をした清水の召喚獣が追撃を放つが、美緒は紙一重でそれを避ける。
「やるねっ! 平賀君!美春ちゃん!」
「麻井さんこそっ! ぜぁぁっ!」
「お姉様! 覚悟!」
平賀は刃と刃を擦る様にスライドさせながら、美緒の召喚獣の頭部を狙う。美緒は召喚獣を仰け反らせることでそれを回避した後、バックステップで距離を取り、再度突撃しようとするが、清水も平賀の召喚獣を踏み台にしてグラディウスを振り下ろす。美緒をそれを受け流し、清水の召喚獣の背中を思いっきり蹴り、ダメージを与えると同時に平賀の召喚獣に突撃をする。
Dクラス清水美春10点
平賀も突撃をするが、途中で右回転を加えて回転しながら接近する。美緒もそれに乗り、召喚獣を飛び上がらせながら縦回転で突撃、2人の得物が当たると、ガリガリと金属が削れる音が響き、そして互いの召喚獣が交差すると回転が止まって、床に着地した瞬間、平賀の召喚獣が消滅する。
Dクラス代表平賀源二討死
VS
Fクラス麻井美緒9点
この瞬間、Fクラス対Dクラスの試験召喚戦争に決着がついたのだった。
如何でしたでしょうか?
それではまた次回♪