他キャラはこんなに書けないので、別短編集(R
)でホイホイやります。
天から流れ落ちゆく水の音を、慎ましく僕の聴覚が感じ取る。
その音でまだ雨は降り続けている事が分かるし、慎ましいのは雨宿りとして相応しい場所にいるからである。
だが、現在意識の焦点に置いているのはそれではない。
目の前の己と同じくらいの背丈をした少女からの抱擁と接吻という触覚だ。
薄々、予想はついていた。
それっぽい行動は取るのだろうな……と。
されどその行動というのも、好意を示す言動だけで、ここまでしてくれるのは思いも信じてもいなかった。まぁ、期待はあったが。
そして、彼女との接触がほんの数秒の時であるはずなのに、この微かな温もりが、甘美な香りが、大変長く感じた。
僕は、彼女のこの行動に、感じる香りに、閉じた瞳を示す顔に、この全てに対して己の胸は高鳴り、弾けそうだった。
この大きな脈動が彼女に知られてしまわないかと、期待と不安の両方が生ずる。
「…………団長さま」
そっと唇を離した彼女は両腕をそのままに、僕を呼ぶ。
僕は彼女の呼び声に応えるように目を見た。
――これ、すっごくドキドキする
――ずっとこうしていたい
接吻をされる前に彼女から放たれた言葉が浮上しながら、彼女の話す言葉をじっくり聞いていく。
――団長さまと出会えて良かった
それは、自分も貴女に対して言えることだ。
僕の心を、恋という力で揺らした貴女に……。
そう思考で返事をしている時に、こう続けられれば、自分も言葉に出すしかなかった。
――ずっと一緒だよ
エコーがかかったように頭の中に響いたその
もう、我を止められる事はできなかった。
いや、止める必要なんて無いだろう。
ここまで募っていた想いを、此処で告げなければなるまいと何かを察したのもあるが、彼女にしっかり伝えたいという意思が溢れでたからである。
「エルダー……フラワー……」
「…………団長さま?」
自分の名前を呼ばれた彼女は、僕の話を聞くつもりでそう応えてくれた。
「僕は、今……すごくドキドキしてる。……君以上に」
「……うん」
「一目惚れなんて、初めてでどうすればいいか分からなかったから、平常にしようとしたけど……。駄目だった」
「…………」
「薬師としても
「……けど、団長さまは」
「うん、そうだね。今まではコップ一杯で収まっていたけど、それがぼたぼた溢れちゃって……」
「…………」
少し、長くなってしまった自分の吐露を受け止めてくれた彼女は、その内容を理解して顔が少し赤くなっているように見えた。
「……僕は、貴女が好きです。この横溢した想いを受け取ってください」
少し俯いている彼女に、僕はとうとう告白した。
表情のあまり見えない彼女から回された両腕と両手が少し力んだのを身に感じたあと、彼女の両目が涙ぐんでいるのが見えた気がした。
「そ、んな、素晴らしいプレゼント、さっきの花一つじゃ、全然あわないよ……」
俯きながらも、そのまま僕に抱きついて胸元に顔を当てた彼女は言葉を続ける。
「…………ホントはね、団長さまの気持ちが、そうじゃないかなって思ってたの。けど、そんなときに、このドキドキがあるって気づいて……」
「…………」
「それで、自分の気持ちにも気づいて、勢いで言っちゃった感じがあったけど……。とっても、素敵な返事貰っちゃった」
「あ、じゃあ……」
「うん。ありがとう、伝えてくれて。だから今度は、私の番」
そう言った彼女は、顔を上げて僕にその表情を見せた。
「私も、好きです。だから貴方の素敵な贈り物、ちゃんと受け止めます」
その表情は涙ぐんではいるものの、言葉通りの喜色満面であった。
そして僕らは、再び唇を合わせた。