戦姫絶唱シンフォギア 狂槍姉妹   作:金欠生首

5 / 5
今回はアンケート通り
『狂槍世界のマリア・カデンツァヴナ・イヴ』
のエピーソード0的なモノになります。

何か高そうな料理風に説明すると

~冒頭~
復讐の槍 ーあの日逃げた者の血を添えてー

~回想~
始まりと終わりの記憶 ー拠り所の消えた日ー

~目覚め~
幕開けの前に ー万象黙示録の前にー

~決意~
揃う槍、黙示録への前奏曲 ー詠え、世界を否定する歌をー

という感じでお送りします。


滅槍・ガングニール

「ひぃっ!? た…助けてくれ!」

 

助けるつもりなんてない。セレナとマムをコイツ達は見捨てた。

私の叫びを、助けを求む声を、コイツ達は笑って聞き流した。

だから……

 

「助ぎぇっ!……て」

 

コイツ達の懇願も笑って聞き流して、握った槍を振り下ろす。

 

「あの女はどこ…答えなさい」

 

私が血で汚れた槍を向けながら問いかけても怯えたままで話にならない。

だから、私は槍を更に血で染めた。

 

「セレナ…マム……」

 

今まであったバックファイアもなく、身体が軽い。

推測の域でしかないが恐らくは適合率が上がったと仮定するのが妥当だろう。

セレナやマムを守る為に手にいれたギアが守るものが無くなったことで上がるなんて皮肉でしかないけども。

 

「二人がいない世界なんて……いずれ滅ぼしてみせるから」

 

その為にも、真っ先に見捨てたあの女を殺す。

セレナもマムもそんな事は望んでいないだろうけど

 

「今の私がこの槍を握る理由は……それしかないの」

 

焼け跡から回収したセレナとマムを埋葬したあの場所に

私は、甘さと弱さを埋めて、復讐の為に動く事にした。

LiNKERが不要になったこの力で。

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

『ねぇ、マリア姉さん』

『何、セレナ?』

『私、この力でマリア姉さんやマム……それに沢山の人を救えるのかな』

『セレナ……まったく、全部抱え込もうとするんだから』

『え?』

『セレナの手で足りない分は私が救うわ。私達は、姉妹なんだから』

『マリア姉さん』

『だから、セレナは無茶しないこと。いいわね?』

『……うん!』

 

 

 

ーーーー

 

 

 

『セレナ! セレナァ!!』

『いけないマリア! 危険です!』

『離してマム! セレナが…セレナが!!』

『わかっています。だからこそ、一度落ち着くのです』

『落ち着けるわけ無いでしょ! はなし……てッ! セレナ、今行くわ!』

『……ッ! マリア、危ないッ!』

『……え?』

 

 

 

ーーーー

 

 

 

『マム!……目を開けて、マムッ!』

『マ……マリア』

『ッ! 良かった! 待ってて、直ぐに瓦礫を退かすから!! ふんっ!…んっ…くっ……』

『マリア。私に構わず……早く』

『嫌よ! マムもマリアも必ず助ける!!……誰か! 誰かぁッ!!』

 

 

 

ーーーー

 

 

 

『なんで…なんで誰も助けようとしないの! 私達を……見殺しにするつもりなのッ!』

『マリア……もういいのです』

『マム! そんな事言わないで!』

『私みたいな老人より……セレナを助けてあげるのです』

ーそして、せ……ヲ…ト……イズ……マ……ノ……ー

 

 

 

ーーーー

 

『う……嘘でしょ…』

 

『セレナ……返事をして……セレナァァァァァァァァァァッ!!』

 

ーーーー

 

 

 

「ッ!?…… 夢か」

「フンッ。やっと目覚めたか」

「キャロル……すまないわね」

「謝る必要はない。夢で苦しむお前の顔を見るのは中々面白かったからな」

「酷いわね。ガリィが貴女にそっくりなのが理解できるわ」

「当然だ。アイツ達はオレの最高傑作だからな」

「で、本当の用事はなんなのかしら? ただ嫌みを言いに来ただけじゃないでしょ」

「無論だ。鍵は揃い、準備は整った……残るは」

「『万象黙示録』の実行と完遂ってわけね」

「その通りだ。やり残しがあるなら今の内に済ませてこい。二振りのガングニールが到着後、万象黙示録を実行する」

「分かったわ。じゃあ、ちょっと出掛けてくるわ」

 

 

 

ーーーー

 

「ここに来るのもこれで最後ね」

 

最後の報告……なんて訳でもないのだが

私はマムにセレナ、そして私の甘さと弱さを捨てたこの場所に来ていた。

 

「ごめんなさい、マム。私はマムの最後の願いを守れなかったわ」

 

死へと傾いていったマムの最期の言葉は、今もはっきりと覚えている。

 

ー世界を、人を、ノイズから護るのですよー

 

でも、マムやセレナを助けようともしなかった人間を何故、私が護らないといけないのか。

何故、見ず知らずの人間を護らないといけないのか。

何故、私が世界を護らないといけないのか。

その答えは、未だに出せない。

 

「でも、キャロルの言う『万象黙示録』が完遂した後に再構築した世界ならば、マムが望んだ世界があるかもしれないの」

 

初めて私に接触し、『万象黙示録』の遂行に私を引き入れようとした彼女は言っていた。

 

ー錬金術師のやることは分解し、理解し、再構築する事だ。『万象黙示録』が完遂し、理解し、再構築する時……オレはオレの望む世界を構築するー

 

そんな彼女の目に映る色は、私にとてもよく似ていた。

だから……

 

「待っててマム、セレナ。二人が生きている世界を……手に入れてみせるから」

 

私は、マムとセレナが生きている世界にして欲しいという条件を出し、『万象黙示録』の遂行に力を貸すことにした。

 

「それじゃあね。マム、セレナ。次に会うときは新しい世界かあの世でね」

 

墓標の前で最後の挨拶をしてから、私は歌う。

 

 

ーGranzizel bilfen gungnir tronー

 

 

あの日から負担の無くなったガングニールを纏い、アームドギアである槍を握りしめて、私は、キャロルから受け取っていたテレポートジェムを地面に投げて、二人が眠る場所を後にした。

 

チフォージュ・シャトーに帰還した時、目の前にいた私と同じギアを纏う二人に対して私は、久しぶりに自分の口で名前を伝えた。

 

 

「……貴女達が私と同じガングニールを持つ者ね。マリアよ。よろしく」

 

 

さぁ、世界を否定する歌を歌いましょうか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。