ハリポタ世界に双子転生したった   作:島国の魔法使い

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タイトルをめっちゃ長いセリフ風にしてやろうと思うけど、あんまり長いとウザい。丁度いい長さで納めるのって大変なんだね。
そして誤字報告ありがとうございました!ハーメルンには、すごく便利な機能があるんだね。びっくりした。


これ大人になって就職先で「お前どこ寮?」「あ、自分蛇寮出身っす」って獅子寮の先輩に言ったらその後めっちゃいびられるやつじゃん!

「難しい組み分けだね……」

 

 頭の中で声がする。妹以外の声がするというのはなんとも新鮮だ。しわがれた声は今俺が被っているこの帽子の声に違いない。ふと気になってイヴに声をかけてみるが、拒否された感覚も伝わった感じもしない。おお、これも初めての経験だ、この帽子を被っている間はイヴとはテレパシー出来ないらしい。

 

「勇気のグリフィンドール、もしくは誠実なハッフルパフ……しかし、君の母親同様スリザリンという手もある。さてさて……」

 

 帽子は唸った。俺は今組み分けの儀式の真っ最中だ。新入生は列車から降りて巨体のおじさんに連れられホグワーツ城に辿り着いた後、いかにも厳しそうな雰囲気のすらりと背筋の伸びた女性に促されるまま見世物の様に全生徒と教師の前に立たされ、そして一人ずつ古びた帽子を被されている。そして今、俺の番という訳だ。正直胃がぎゅるってなる。ヤバイ、トイレ行きたい。だって今これ全員から注目されてるんだろ?俺は入学早々「組み分け中にうんこを漏らした男」と呼ばれたくないとケツの穴に念じながら、今言われた内容を考えてみる。そういえば、前世ではよく誠実で優しい人だとか言われたっけ。誠実で優しいというのは素敵な言葉だ。どうして俺はモテなかったのだろう。いや、悲観することはない。今世の俺は父上と母上のおかげで結構な顔面偏差値をいただいている。大丈夫だ。うんこさえ漏らさなければこの先彼女の一人くらいは出来るはずだ。

 

「まあ、だが、やはりここだろう。グリフィンドール!」

 

 ワッと歓声が上がる。あれ、誠実で優しいはガン無視?ともかく俺はようやくこの無数の目から解放されるとホッとしつつ、お尻をキュッと締めながらもそっと帽子を脱いでグリフィンドール寮の席へと向かう。組み分けってあとどれくらいかかるんだろう。途中でトイレ行く時間あるよな?っていうか今もう行っていいかな?席に近づき、上級生の許可を得て、俺はトイレへと小走りに向かった。その背後でイヴが帽子を被っていたが、まあ多分同じ寮だろ。

 ――と思っていたのだが、どうやら違ったようだ。トイレから帰ってきた俺はグリフィンドールのテーブルにイヴの姿がない事に首を傾げた。あれぇ?……あれぇ?じゃないよお兄、本当にうんこマンって呼ぶよ?……やめて、入学早々変なあだ名付けられたくないから。そんでもって、今どこ?……その首をもうちょっと左に向けてみ。もっと。行き過ぎもうちょっと右。そうそう。……ひらひらと手を振る真紅の髪の少女が遠くの席に見えた。……可愛いでしょ?……いや同じ顔してるからコメントし辛いんだけど。それよりちょっと待って?お前の隣の隣にフォイフォイがいるんだけど。……そうだよ、だってここスリザリン寮の席だもの。……え、マジか。……うん、マジマジどマジ。

 

 組み分けの結果が意外過ぎてちょっと茫然とする俺に、ロンとハリーが同じ寮だったねと声をかけてきた。ロンはハーマイオニーも同じ寮だったことが不満らしいが、ひとまず家族と同じ寮で喜んでいる様だ。ロンはたくさんいる兄弟全員が同じ寮だったというのに。なんで俺は双子なのに寮違ったんだ?……私があんぱんよりバイキンの方が好きなタイプだからじゃない?……それ関係ある?……むしろ私はお兄がハッフルパフじゃなかった事にびっくりだよ。なんで熱血正義馬鹿の集うグリフィンドールに入っちゃったの?……知らねぇよ俺が聞きたいし、この寮ってそんな暑苦しいとこなの?

 組み分けに使った帽子や椅子を片付け終わった仕切り役の教師が……マクゴナガル先生はお兄の寮監の先生だよ……サッと目で合図をする。すると、教師席の真ん中にいた老人が立ち上がり腕を広げた。……魔法界最強の肩書きを持つダンブルドア校長だよ。……イヴからの注釈がめっちゃ入る。ありがたいけど、ちょっと鬱陶しい。いかにも老魔法使いとはこうあるべきみたいな一歩間違えばサンタクロースっぽい風貌のダンブルドアは、校長のお話とはかくあるべきという短くておまけに意味が分からない新入生への祝辞を述べると、そのまま席に座った。

 

「あの人、ちょっとおかしいと思うんだけど……僕だけかな」

 

 ハリーが自信なさそうに呟くが、周りのこれから七年間を一緒に過ごすことになる同級生たちや、途中で卒業してしまうだろう先輩たちは割れんばかりに拍手喝采していた。俺はハリーの肩をポンポンと叩き笑ってやった。俺も変だと思ったよ、と。まあ、よく見ればぽつりぽつりと、ハリーの様に戸惑っている生徒もいる。上級生にそういう生徒がいないところを見ると、恐らくこの1年の間に俺たちはこれをおかしいとは思わなくなるのだろう。……教育という名の洗脳だね!……なにそれちょっと怖い。

 

「ふらりほも、はへはいほ?」

 

 ハリーの隣から不明瞭な声が聞こえ、俺とハリーはロンを見る。口いっぱいにステーキを頬張って、頬張り切れずに口から一部はみ出してるぞ?ともかく食べないのかと言いたかったらしい。ハリーはテーブルを見て驚いていたが、俺はさほど驚いてはいない。ま、派手な演出だなーとは思うが、魔法界で一応この見た目の年齢まで生きてきたわけだ。さっきまで空っぽでピカピカして並んでいたゴブレットや皿に、いつの間にかジュースや料理が盛られていた。ハリーは喜んで手元の空いた皿に料理を盛る。てんこ盛りに。いや、盛り過ぎじゃないか?ほとんど全種類盛ったぞ今。

 

「僕、預けられた親戚の家でお腹いっぱい食べた事がなかったから……」

 

 俺の視線に気づき、赤くなってそう言い訳するハリー。想像してちょっと目頭が熱くなった。「悪かった……しっかり食えよ」と言った俺の声は多分ちょっと涙声だった。「おかわりもいいぞ」ハリーは嬉しそうに素直に頷くと、その山盛りの皿を崩しにかかる。……ちょ、トラウマやめてよ。……トラウマ?まあ、ハリーはきっと育てられた家でトラウマを抱えているんだろうけど。……いやそういう事じゃなくてね?セリフのチョイスがね?……何言ってるのかよく分からん。イヴに内心首を傾げ、俺も目の前の皿に好きなものを盛って食べ始めた。

 

「あの、君はさっき僕を助けてくれた女の子の兄弟だよね?」

 

 ローストビーフにナイフを入れながらワイン欲しいなと考えていた俺は、しもぶくれのヒキガエルを探していた少年に声をかけられた。熱血暑苦しい寮と聞いたが、この子もグリフィンドールなのか。……グリフィンドールのドジっ子担当だよ。……ドジっ子担当ってお前。

 

「アダム・キャロルだ。蛙探しを手伝ったのは妹のイヴ。双子だよ」

 

「僕はネビル。ネビル・ロングボトム。さっきはありがとう、って……君の妹さんに伝えておいてくれると嬉しいな」

 

「どうして?お礼なら直接言った方が良くないか?イヴは三日後でも、一週間後でも、君から直接言われた方が嬉しいと思うよ、ネビル?」

 

 俺の言葉にネビルはもじもじとした。なんだ?と思う俺に、ネビルはチラリと視線をスリザリンの寮へ向ける。イヴが隣に座る女子と何か喋ってる。(パグ犬って可愛いけど、人間の顔だとすっごい微妙。おっさんでこんな顔の人いるよなぁ。って、ダメダメ、女の子相手にこの考えはちょっと失礼だよね。いやーでも、性格も悪そうっていうか悪いわ。純血純血うるさいし。聖二十八族じゃないって言った途端の見下しが半端ないんですけど!)うん、スリザリン寮でやっていくの大変そうだな。イヴの思考をちょっと盗み聞いた後、本当にパグ犬みたいな女の子に吹き出しそうになるのを耐え、ネビルに視線を移す。

 

「ばあちゃんに、スリザリンには近付かない方が良いって言われてるんだ……」

 

 これはあれかな、差別かな?それは間違っていると言うのは簡単だが、列車でのロンの態度やフォイフォイの性格、あとさっきのイヴの様子を見ると、寮全体がそういうイメージなのもしょうがない気がする。だがまあ、フォローくらいはしておくか。

 

「でも、スリザリンじゃなくて、俺の妹には近付くなって言われてない。だろ?」

 

 ネビルは何を言われたのか分からなかったのか、ポカンとした顔をした。たっぷり時間をかけた後、くすっと笑う。

 

「本当だ、言われてないや!」

 

 初対面の印象通り、擦れていない素直な少年の様だ。ちょっと人よりのんびりしているところがあるようだから、この先苦労はしそうだが。真っ直ぐに育っていくんだぞネビル少年。……おやじ臭いよ、お兄……しょうがないだろ、精神年齢は四十だぞ。……途中から赤子や子供の経験値しか入ってないから、四十歳の精神があるのかは微妙だけどね。……精神年齢って経験値制なのか?……それより、さっき私の頭の中覗いたでしょ変態!……お前、自分はしょっちゅう俺の思考覗くのに?!……お兄がハリポタ知識なさすぎるからでしょ!

 理不尽な妹はパグ犬似の女の子と話を続けながらそう俺に怒る。器用な奴め。食事があらかた終わると、テーブルの上は綺麗になった。お皿はそのまま、汚れや食べ残しなどが一掃されてピカピカの状態に戻る。ハリーは満足そうにお腹をさすっていたし、ロンはちょっと行儀悪くゲップをした。俺も口元をナプキンで拭っていると、空っぽになったお皿に今度はデザートが現れる。ハリーは心底驚いた顔をした後、嬉しそうに糖蜜パイを手元の皿に入れた。さすがにもう全種類は食べられないらしい。俺は少し考えて、空のゴブレットにアップルパイを刻んで入れる。

 

「僕はハーフなんだ。パパがマグルで、ママが魔女。魔女だって事は結婚するまで秘密にされてて、パパはもの凄く驚いたって言ってたよ」

 

 雨上がりの運動場に似た髪色の男の子が笑って言った。なんかこう、お調子者感が溢れ出てる。名前はえーっと……シェーマス・フィネガン。……そうそう、シェーマスだ。……映画で授業に使う羽を爆発させたり、広間でゴブレットの中身に魔法をかけようとして爆発させてたりしてた子!……んー、そんなシーンあったようななかったような。っていうかイヴめっちゃ割り込んでくる。スリザリンに目を向けると、パグ犬の相手は終わって、今度は黒人の男の子と話をしていた。結構イケメンぽい。なんかこう、少女漫画に出てくるアラブの石油王子とかこんな感じじゃないか?……お兄の中の少女漫画どうなってんの?いやでも言われてみれば確かにそんな感じぶふふっ!

 

「僕の魔力じゃ入学は無理だと思われてたから、入学が決まった時は親戚中が大喜びしちゃって。アルジー大おじさんなんかヒキガエルをプレゼントしてくれたんだ」

 

 ネビルの話に相槌を打ちながら、遠くで笑いを堪えきれずにイケメンに首を傾げられているイヴを視界の端で確認する。あいつ笑いの沸点低いんだよなー。ゴブレットの中のアイスクリームの上にいちごを乗せて、俺はようやくスプーンを手に持つ。

 

「アダム、それ何?」

 

「デザートのパフェさ」

 

 即席パフェを口に入れ、俺はハリーに笑顔を向ける。うん、うまい。サクサクのアップルパイの上に溶けかかったアイスが絡まり、軽く崩したゼリーと食べやすいサイズに切ったいちごが爽やかだ。

 

「そういえば、アダムの兄弟はスリザリンになったんだよな?」

 

 シェーマスがスリザリンのテーブルへ目を向けて尋ねる。俺は頷いて、微妙な表情のロン達に聞かせるためにシェーマスへ説明した。

 

「双子の妹なんだ。てっきり同じ寮になると思ったんだけどな。俺なんかよりよっぽど正義感のある良い奴さ。ちょっと変人なとこはあるけど」

 

「でも、スリザリンだろ?」

 

 スリザリンに組み分けされたんだから、たとえどんなに良い奴だとしても実は悪人だったんじゃないか?とでも言いたげなロン。寮差別パネェです。でもこれはロンがというよりは、ホグワーツの、イギリス魔法界全体の問題だよな。完全に親のケンカを子供の世代まで持ち込んでるやつ。しかもその親はさらにその親のケンカを引き継いでるんだろうな。……残念、ホグワーツのグリフィンドールVSスリザリンは創立以来のいざこざです。つまり日本風にすると、平家と源氏のいざこざを現代まで守り抜いてきた感じ。……そんな歴史的なケンカなの?!

 

「僕、イヴは良い子だと思っていたから……ちょっとショックだった」

 

「ハリー、良い子だって思ったんなら、ハリーにとってイヴは良い子なんだよ。寮が違ったって、それがなんだよ。別にイヴがあの寮に入ったからって悪い奴になるって決まってるわけじゃないさ」

 

「そうだね……」

 

 ハリーは笑ってくれたが、ロンはまだ懐疑的な目をしていた。うーん、根は深いなー。

 

 その後、デザートタイムも終了して、テーブルの上は食べかす一つない綺麗な状態へと変わった。お腹が膨れ、列車の長旅の疲れがドッと押し寄せる。要するに眠い。ふぁ、と小さく欠伸をしたら、向かい斜めに座っている女の子と目が合った。黒髪が綺麗な東洋系の美少女。俺は欠伸を誤魔化す様ににこやかな笑顔を浮かべて手を振った。うん、無視された。

 そういやイヴからの注釈が入らなかったなと思ってスリザリンの方を見ると、イヴは目を細めて真っ直ぐ教師席を見ていた。真剣な顔をしているが、双子の兄妹の俺には分かる。あれは半分寝ている顔だ。あいつは昔からああやって、授業中に寝てませんアピールをするのが得意だった。ざわざわしていた生徒たちは、教師席のダンブルドアが立ち上がるのを見て話をやめた。十分に静かになったことを確認すると、ダンブルドアは一つ咳払いをして話始める。

 

「さて、皆思う存分に食事を楽しんだ事と思う。始まりと同様、また二つ三つ、君たちに伝えておく事にしよう。まず新入生への注意だが、敷地内の森へと入らない様に。これは上級生の何人かにも改めて注意しておこう」

 

 なんで学校内に森があるんだろうな。俺がもし学校を作るなら、絶対敷地内に森を作ったりはしない。中に入るのも危険だし、生息する生き物も危険だし、学校に侵入する経路としても危険だし、逆に良いとこって何がある?自然が豊かとか?

 

「管理人のフィルチさんからは、授業の合間に廊下で魔法を使わない様にとの注意があった」

 

 これは休み時間に廊下で箒野球して用務員のおっちゃんに叱られるやつだな。魔法界も外国も、学生のやる事は一緒らしい。あー、でも懐かしいなー。昔それで窓ガラスを割って、学校に親呼び出しくらってげんこつ落とされたっけ。

 

「今学期の二週目にはクィディッチの予選があるので、チームに入りたいという者はマダム・フーチまで申し出るように」

 

 この知らせに生徒たちはざわめいた。やっぱクィディッチ人気だな。俺は観客でいいや。

 

「そして最後に、悲惨な死に方をしたくなければ、今年いっぱい四階の右側の廊下には立ち入らない事」

 

 何人かのくすくすという笑い声が聞こえ、すぐに止んだ。さすがに何のことか分かった俺は、すぐ側で笑いをひっこめて赤毛の上級生に冗談じゃないのかと聞いているハリーを見て、心の中で頑張れよと応援した。

 

 その後、ダンブルドアから好きなメロディーで校歌を歌う様にと指示があり、俺は前世で大好きだった曲に似せて歌った。空中に金のリボンで表示された歌詞は、ダンブルドアの魔法によるものだ。それが終わると俺たちはそれぞれ帽子に組み分けられた寮へと向かう。

 先程ハリーが話しかけていた赤毛の上級生は監督性で、パーシーという名のロンの兄だった。彼を先頭に俺達は大広間から出て、冗談みたいに分かり辛い隙間や掛け軸ならぬタペストリーの裏をくぐり抜け、馬鹿みたいに階段を上り続けた。ああ、これはあれか、七年間階段を上り続けるのか。グリフィンドールは外れだったな。途中でゴーストが悪戯して来るというアクシデントはあったが、無事に廊下の突き当りに到着する。

 

「合言葉は?」

 

 少しふくよかな体に、薄いピンクのドレスを纏ったご婦人の絵画。ウェーブした金の髪と体を揺らし、両の手を広げてパーシーに問いかけた。

 

「カプート、ドラコニス」

 

 パーシーの答えに微笑んで、婦人の絵が前に開く。絵の後ろにぽっかりと開いた穴の奥が、どうやら寮の様だ。前のハリーがギリギリ登れる高さの穴に四苦八苦する間に、俺はそっと絵の方へと近づいた。婦人は扉の様に開いている間は廊下の壁しか見えないために油断していたらしい。回り込んだ俺に欠伸を見られ、慌てて取り繕う。何事もなかったかのように佇んでいるが、羞恥で頬がピンクに染まっているのが可愛らしい。

 

「七年間よろしくお願いします、レディ?」

 

 微笑んでそう挨拶してから、俺はようやく穴に登ったハリーの後を追った。前を行くハリーから「わあ……」と小さな歓声が聞こえた。穴から出た俺は、ほうと息を漏らす。殺風景な石造りの廊下から入った後、寮の中の赤と金の装飾が飛び込んでくる様はなかなかぐっとくる。丸みを帯びた部屋。基本的に廊下と同じ石の造りだが、床は絨毯が敷かれ、壁も深めの赤い壁紙が貼られている。家具はほとんどが木で作られ、重厚なダークブラウンの色味が壁紙や部屋の雰囲気に合っている。明るいながらも結構落ち着いた色味に、俺はホッとした。

 

「さあ、男の子はこっちの階段を上がって。女の子はこっちだ」

 

 パーシーの声に従って、俺はのろのろとその螺旋の階段を上がる。寮内でまだ階段を上がるとは。この寮は本当に外れだな。一階の寮ってどこだったんだろう。ようやく部屋に入ると、まず天蓋付きのベッドが六つ目に飛び込んで来た。そのベッドの側にはトランクが置かれ、それぞれ誰がどのベッドかは決まっている様だ。俺が自分のトランクが置かれたベッドに行くと、他のみんなもそうした。ハリーとロンのベッドと比較的近いなと思いつつ、俺はパジャマに着替えてベッドに潜り込んだ。他の皆もそうみたいだが、もの凄く眠い。

 ベッドの天蓋のカーテンを閉め切ると、六人部屋だがまあまあプライバシーは守られる。ロンがハリーに話しかける声が聞こえたが、それに混ざる余裕はなかった。イヴは今頃スリザリンの寮にいるんだよな、と思って声をかけてみるが返事はない。どこにあるかは知らないが、グリフィンドールみたいに城のほぼてっぺんまで登らなきゃいけないほど大広間からは遠くないとしたら、とっくに着替えて寝ている可能性は高い。もしかすると大広間から一番近いのかも。もしそうなら、俺もスリザリンに入ればよかったなと、じわじわと眠りに侵食される頭でぼんやりそう考えた。

 

 

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