それらを我慢できるのでしたら読んで笑ってくれるとうれしいです。
「先輩何を読んでいるんですか」
「アルトリアの伝記だよ。そういえば俺はあいつの伝説についてよく知らないと思ってさ。改めて調べてみようと、図書館で一番簡単そうなのを借りてきたんだ」
「それはおもしろそうですね。私もご一緒させてもらってもいいですか」
「……てぇ、…………ま、ねと、…てぇ」
病床の中にあってもアーサ王の父、ウーゼルの覇気は衰えることは無かった。
内に眠り情熱の炎は恒星のように燃え上がり、起き上がることすらもままならぬ身でありながらも今この時こそが彼の生涯の全盛期だった
彼は心が赴くままに同じ言葉を繰り返す。
「人妻寝取りてぇ」っと。
彼がどうして寝込むようになったのか。その原因は彼と長年の敵対関係にあったコーンウォールの領主ティンタジェル公との和睦の席にさかのぼる。
長年の敵対関係にあった両者であったが、全イングランドを滑るウーゼルの前に徐々に国力をすり減らしたティンタジェルは和睦のために妻であるイグレーヌと共にウーゼルのもとにはせ参じたのだ。
和睦は順調に進み、彼等はそれに続くお披露目会のためにも数日間、ウーゼルのもとに滞在することとなったのだが、問題はその夜に起こった。
「やらないか」
公の妻イグレーヌは非常に美しく聡明な人物であり、ウーゼルはそんな彼女に一目ぼれした。
彼女の夫には適当な騎士の相手をさせ、イグレーヌを個人的な話があると寝室に呼びつけると下半身を熱くしながらこう言いました。
いい年した大人だというのにのりは男子高校生と大差ありません。
「お断りします」
返答まで0.1秒。
彼女は神速で寝室から立ち去りました。
「ふむ、今回は逃がしたか。だが、やつらがこの城に滞在する期間はまだまだある。その間に必ず落として見せようぞ」
そういって、彼はどこぞの魔王のような高笑いを浮かべました。
翌日、自分の男らしさを彼女に見せつけようと寝室に向かうとそこはもぬけの殻。
昨日の時点で身の危険を感じたイグレーヌは夫に事情を全て話し逃げ出したのだ。
「なんと、なんと失礼のやつらなのだ。
この俺をコケにしやがって!!」
ウーゼルは激怒した。
彼はもともと頭のまわる男ではなかった。
その腕っぷしの強さと行動力の高さで人々を率い戦ってきた猛将でしかない。
故に、侮蔑や蔑みそういった負の感情には人一倍敏感である。
なお、ここではどちらが無礼かはあえて考えないものとする。
彼は即座に部下を招集した。
昨日自らの主人が特攻(意味深)したという事実を知らない
「まったく、あやつはこの和睦を何だと思っているのだ」
「我らがこの交渉にどれだけの時間を費やしたと思っている」
「私ならば、妻が寝取られるようなことがなければ立ち去らん」
「和睦を結び、民の前で公式発表する前に立ち去るなど。やつらは最初から和睦する気などなかったのだ」
この和睦を台無しにした原因がすぐ傍らにいることを知らない彼らはティンタジェル公に対して怒り心頭。
知らないというのは本当に怖いことだ。
「良し、ここは再び公を城に呼び戻しましょうぞ。そして、戻らぬというのならば戦争もやむなしです」
結果、勧告は握りつぶされた。
ウーゼルは怒りのままに筆をとった。
「感らずだ、必ず四十日以内に
宣戦布告と共に戦争が始まった。
当初、40日で引きずり出すと宣言したことからわかるようにウーゼルは敵をなめきっていた。
直ぐに寝取れると思っていたのに、まさかの大苦戦。
終いには、ティンタジェル公への“理不尽な”怒りとイグレーヌへの恋慕によって病に陥ってしまう。
王のみを案じた一人の騎士がある魔術師に対して横断を持ちかけた。
その魔術師こそが、グランドクソやろ……マーリンさんである。
病床で横たわるウーゼルに対してハッとシンパシーを感じるマーリン。
そして、彼はとっておきの魔法の呪文を唱えるのだった。
「ヒトヅマ!! ヒトヅマ!!」
「―――NTR!! NTR!!
ハッ、私は一体何を」
ウーゼルは先ほどまで病床のみで、立つことすらままならなかったというのに気が付くと手拍子に合わせた音頭に体が反応し立ち上がりました。
しかし、そんなことは問題にもなりません。
「友達」「友達」
二人の間に芽生えた固い友情に比べれば。
ウーゼルはこの時代では千里眼を持つマーリンさん以外が知らないはずの魔法の言葉NTRを知っていた。
それだけでわかってしまう、彼は自分と同類だと。
ちなみに、周囲の騎士はこの言葉の意味を理解できずに呆然としていたという。
多くの人物はマーリンが素晴らしい魔法で王を治療したと涙を流し感謝し、一部の強者が己の心理にいたり涙を流した。
ランスロットとかがいればさらにおもしろいことになっただろう。
ウーゼルお話を聞いたマーリンは同情のあまりに涙を流しました。
「そうだよね。美人の人妻が目の前にいたら寝取りたくなるよね。
安心して、僕が君に幻術をかけて君をティンダジェル公の姿にするから、真っ直ぐティンダジェル城に行くんだ。
そこから先は君の思いのままだ。
ただし子供ができると思うからその子は僕に渡してね」
「え! ちょ」
「構わん構わん」
「「「え!!」」」
この頃ウーゼルは全イングランドの王であるというのに未だに世継ぎがいませんでした。
世継ぎの問題というのは国すら揺るがす大問題。
家臣たちは思わず口を挟もうとしますが、ピンク色の妄想に取りつかれた彼はそんなこと気にも止めません。
そして、彼等は寝取るための行進に出掛けました。
ちなみに、テインダジェル公はウーゼルが戦争中に本陣から消えたのを体調不良のせいだと推察。
本当はお前の妻を寝取りに行っているのに非常にのんきなものだ。
今が好機と調子に乗って一台攻勢をかけましたが流れ弾に当たって死亡。
帰らぬ人になりました。
その死後、数時間後イグレーヌは美味しく食べられました(意味深)。
さあ、皆さん一斉に―――ティンダジェル公運悪すぎだろ。
ステータスはクーフーリンだ。
公が死んだことによって、両者は和睦に進んだ。
この頃にはウーゼルの部下たちもこの戦の発端が自身の上司が寝取りたいがゆえにあの手この手を尽くしたせいで向こうがブチギレタことに気が付いていますから戦争そのものがバカらしくなりました。
向こうも向こうで総大将が倒れ、これ以上戦う力がありません。
線香一本立てる程度の簡易なティンダジェル公の葬式の横でウーゼルとイグレーヌの結婚式が開かれた。
ここに寝取りは完璧に達成されたのだ。
幸せ絶頂の中にあってもイグレーヌには一つ不安がありました。
夫が死んだ日同じベットで寝た相手が一体誰なのか。
誰かが化けてきたというのはわかりますが誰なのか分かりません。
これが公になれば和睦は破棄され再び戦争がはじまりかねない重大事件だ。
だんだんとお腹が膨らんでいく中で王妃は不安で夜も眠れません。
ある晩ウーゼルは思い悩む王妃に対して真実を告げることを決めた。
「どうか真実を行ってほしい。そのお腹の子のことだ」
「そ、それは」
言いよどむ王妃に彼は優しく微笑みかける。
「その子をみもごったのは君の夫が死んだ日だね」
「ど、どうしてそれを」
「その夜、君の寝所にもぐりこんだのは、実は私だからだ」
揺れるローソクの明かりの中、ウーゼルがどんな表情で真実を告げたのかは語るほどでもないだろう。
こうして生まれた王子はマーリンの手に渡され、それからすぐ後、ウーゼルは大病を患いました。
これまで従順に従っていた家臣たちも、寝取り大戦を見て愛想をつかし、四方八方から攻められることに。
さあ、皆さん一斉に―――そんだけ好き勝手やれば国が滅んで当然だろ!!
こうして、ブリテンは戦乱状態に陥りました。
アーサー王の父、ウーゼルの暴政のせいで。
どこかの騎士王さん。
金ぴかと赤毛の議論での反論。それは暴君のナンチャラカンチャラもう一回行ってみて、ねえ、ねえ!!
「桜、俺たちは何も見なかった」
「そうですね、先輩」
開いていた本は静かに閉じられた。