オーバーロードの短編です。オーバーロードの世界になぜかスマホが当たり前のように登場したら……というテーマの短編作品です

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異世界スマホ

◇ヘッケランの悲劇◇

 

 ナザリック地下大墳墓 第六階層 闘技場──

 

「……ふん。貴様たちはこのナザリックに土足で入り込んだ。死あるのみ」

 

 ヘッケランは必死に叫んだ。

 

「……もし……もし誰かの許可を得ていたとしたら?」

 

 アインズは逡巡する。

 

「……それはどんな人物だったかね?」

 

「……大きくて、黒くて……テラテラしていました」

 

 アインズは考え込む。

 

「……大きくて黒くてテラテラ……か。……ふむ……」

 

 ヘッケランは手にしたスマホを覗きこむと明るい表情になる。

 

「……彼から伝言です。『ナザリック地下大墳墓のアインズによろしく』と……」

 

 アインズはたちまち激怒する。

 

「──なん……だと? き、きさまぁーーこの……ク……クズがぁ……よくもこの俺を──」

 

 

 

 

 大きくて黒くてテラテラした男──るし☆ふぁーはスマホを置いた。

 

 ……ヘッケラン達は間違いなく死ぬだろう……

 

 何故、彼らは死ななくてはならなかったのか? それは──

 

「フフフフフフフフ……リア充は死すべし! この世界中のリア充を根絶してやる! フハハハハハハ……」

 

 るし☆ふぁーの乾いた笑い声がいつまでも響いていた。

 

 

 

 

 

◇グリンガム危機一髪◇

 

 ヘッケランたちフォーサイトと同様にナザリックに挑んでいたグリンガム率いるヘビーマッシャーは危機に陥っていた。

 

「あがががが……なんだこれはゴキブリ……まずいな……」

 

「……リーダー! なんとかしてくださ……あがががが……」

 

 グリンガムは素早くスマホを操作する。

 

 たちまちのうちに5ちゃんねるにスレがたつ。

 

 【Gが一杯】悲報 ヘビーマッシャーゴキブリの巣に落ちて無事死亡【誰かタスケテ】

 

 早速ついたレスにグリンガムの顔が明るくなる。

 

 グリンガムはまず、兜の角をへし折ると針金を二本触角のように兜につける。

 

「カサカサカサカサカサカサ?(おや? もしかしたら同族か?)」

 

「カサカサカサカサカサカサ?(念のため恐怖公様に報告した方が良いのでは?)」

 

「カサカサカサカサカサカサ……(とりあえず食べるのはやめておこう)」

 

 Gがザザザと引き始めた。

 

「今だ! 逃げろ!」

 

 グリンガム達は出口を目指す。と、次の瞬間周りが歪み──

 

 

 

「……どうやらまたしても転移したようだな?」

 

 グリンガムはヘビーマッシャー以外の人間に気づく。

 

「──な! うむ。汝もいたとはなヘッケラン。我はいったい何処よりきたるなりや? ……つか太ったな?」

 

 ヘッケランは弱々しく首をふる。

 

「たぶんあんたらもあいつらの巣にされるんだな……すぐにわかる」

 

 ヘビーマッシャーのメンバーは全員芽殖孤虫王の巣にされるのだった。

 

 

 

 

 

◇イビルアイ無情◇

 

 リ・エステーゼの町外れで別れをかわす『漆黒』と『蒼の薔薇』の面々。

 

 意を決してモモンに近付くイビルアイ。

 

「……モモン様、是非メールアドレス交換をして欲しい……」

 

 モモンはイビルアイが差し出すスマホを一瞥すると冷たく突き放す。

 

「……すまないがiPhoneなのでiPhone同士でないとアドレス交換が出来なくてな……」

 

「……では私と──」

 

「……おう。俺っちもiPhoneだ。交換してくれ」

 

「……モモン殿のメアドげと」

 

「……同じく」

 

 モモンと賑やかにやりとりするメンバーにイビルアイの感情が爆発する。

 

「うわあああああ!」

 

 イビルアイはスマホを握りしめ走り出していった。

 

 しばらく走り続けたあとイビルアイは仮面を外す。

 

 泪でグチャグチャになった顔を裾でぬぐうと呟いた。

 

「……ブラックベリーの……ばか……」


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