「.......迷いました」
長い長い廊下の途中、彼はそう呟いた。
一日も終わり、各々の時間割を消費し談笑する生徒も多い中で、絶賛迷子である自分が心細くなってしまうのは仕方のないことだろう。
少し校内を散策したいので帰る時間になったら呼んでください、と深雪達に言ったのが約一時間なので、一人で大丈夫なのかと深雪に心配されてヒロイはできる子なのですと胸を張ったのも一時間前ということになる。
「自信満々にドヤ顔してた少し前の自分を殴りたいです.....と、ヒロイは一人後悔を吐露します.....」
飛び出してから10分経って、道がわからなくなった。そのままあれよあれよとえっちらおっちら歩き回る内に、最早自分の現在地すら把握出来ない。
ズーン、という擬音が目に見えそうな程に落ち込んでいる彼を、向かいから来た生徒がすれ違いざまに奇妙なものを見る目で見てくる。
その対応が彼の気分を一層暗くさせた。
ただ今の彼のテンションのグラフは、一昔前の世界恐慌よりも落ち込んでいるのである。
が、いつまでもうじうじとしていられるほど今の自分は暇ではないのだ。
「このままではお兄様達に迷惑をかけてしまいかねません.....と、ヒロイはいつ連絡が来るのかヒヤヒヤしながら必死で出口を探します」
全く表情が変わっていないのは置いておいて、このままでは本当に置いていかれてしまうかもしれない。いや、まだそれならばいい。
最悪なのは、このまま自分が脱出できるまで二人を待たせることだ。
いつ出口が見つかるのかも分からない、しかも現在地すら分からないような今の状況では迎えに来てもらうこともできないので、本当に日が暮れてしまう。
そんな時、携帯端末が震えた。
「..................」
震える指で取り出し、届いたメッセージを一瞥。
《受信(1)》
差出人:お姉様
宛先:拾
───────────────────────────────
そろそろ帰るから、正門前で待っているわ。出来るだけ早く来なさい
ね。ええ、出来るだけ、ね。
(今日 **:**)
「..............」((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ
何故こんなにも震えてくるのだろうか、わからないが取り敢えずなにやら女王様のご機嫌が斜めなのはわかった。
........いや、何で?
全くもって自分には心当たりがない、いや、家に押しかけている地点で色々と迷惑はかけている自覚があるが、そもそも深雪は歓迎してくれていたはずなのでやっぱりわからない。
「......仕方ありません。道を聞きましょう。と、ヒロイは決心します」
何はともあれ、もう猶予がないことはわかった。ならば最後の手段を取るしかない。
知らない人で会話が気まずいとか言っている暇はない。この際上級生だろうが、先生だろうが構わない。誰か、誰か聞けそうな人は....!
「......そこのモブっぽい顔の人!助けてください!と、ヒロイは全身全霊でお願いしてみます!」
「誰がモブだ!!!?」
*
「なんとか外に出れました....と、ヒロイは額の冷や汗を拭います」
あの後、モブ先輩(仮)の案内でようやく校舎からの脱出に成功した。
その最中やたらモブと呼んだことを気にしていたが、仕方ないだろう、だっていかにもモブっぽい顔をしていたのだから。
耳の穴かっぽじってよく聞けよ!と言われた名前は数秒後には忘れていた。
........うん、やっぱりモブだ。
何はともあれ、これでようやくお兄様達のところに向かうことが出来る。
そういえば忘れていたが、なぜ深雪はあんなにとがっていたのだろうか。そんなことを考えながら(なぜだろう、足が震えて歩きづらい)メールの通り正門に向かうと、なにやら大勢が集まっていた。
「何かあったのでしょうか。と、ヒロイは少し興味を示してみます」
気になって近づいていくと、何やらトラブルなようで言い争いが起きていた。その中心にいたのはエリカ、美月、そして二人と同じく朝のホームルームで知り合った大柄な少年、西条レオンハルト。諍いの相手は───
「......あれは、昼間の一科生ではありませんか。と、ヒロイは昼間のことを思い出して顔を顰めます」
思い出されるのは数時間前の出来事。
達也・エリカ・美月・レオ・拾の五人で食堂で昼食を食べていた時、そこに来た深雪にくっついてきたかと思ったら『一科生の方が偉いんだZO☆』とかなんとかのたまって席を譲るよう要求してきたのである。
その時は達也が機転をきかせたことで事なきを得たが、またいちゃもんでもつけてきたのだろうか。
高校生なんだから一度の失敗で学べよ.....と呆れながら、そこから少し離れたところでオロオロしている深雪とその深雪を宥める達也を見つけて駆け寄った。
「申し訳ありません、遅れました。と、ヒロイは謝罪します」
「ようやく来たか、深雪がメールをした割には思ったより遅かったな」
「はい?」
「見ての通りだからな。事態を収集して早く帰りたかったから、深雪に一芝居打ってもらった」
「......お兄様、なんだかヒロイは急に真空飛び膝蹴りの練習がしたくなってきました。練習台になっていただけませんか?と、ヒロイは何してくれてんだこの野郎」
「わかったわかった。すまなかったな」
一応謝ったので矛を収める。深雪の申し訳ないという表情を見たら怒る気も失せてしまったので、目下の問題である集団の方を見ると、
「いい加減にしたらどうなんですか!深雪さんはお兄さん達と帰るって言っているじゃありませんか!」
「僕達は彼女に相談することがあるんだ!」
「そうよ!深雪さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」
相も変わらず同じような会話を繰り返していた。
特に中央の彼、あれが酷い。名前は知らないが、顔の系統がさっきの先輩に通ずるものがあったので奴も選ばれしモブの血を引く者(笑)なのだろう。小者臭がプンプンする。
そんなモブ男君とその愉快な仲間たちが、美月達と言い争っていた。美月が先頭になっていたのには少しだけ驚いたが、それよりも一科生達の言い分にもっと驚いた。
「はっ!そういうのは自活中にやれよ!そのために時間とってあるだろうが!」
「そういうことは深雪の許可を取ってからしなさいよ。それがルールなの。高校生にもなってそんなことも分からないの?」
全くもってエリカの言う通りである。
一科二科どうこうと話より、駄々を捏ねた子供を相手にしているようだ。あまりの暴論に、拾は開いた口が塞がらなかった。
「うるさい!ウィードが僕達ブルームに口出しするな!」
「.......お兄様、彼らは馬鹿なのですか?と、ヒロイは尋ねてみます。最早呆れることすら出来ないのですが.....」
「滅多なことを言うな.....とは言え、さすがにそろそろとめた方がいいかもしれんな」
「同じ新入生じゃないですか.....私達二科生とあなた達一科生に、一体どれだけの差があるって言うんですか!!
「......どれだけ優れているのか、知りたいか?」
「面白ぇ、是非とも教えてもらおうじゃねえか」
「.......遅かったか」
「お兄様、どうされますか?指示があれば迅速に制圧しますが.....」
「...........」
「いいだろう、なら教えてやる。これが──」
サイオンが活性化し、モブ男──森崎が、術式演算補助装置──CAD(Casting Asistant Device)を腰のホルスターから引き抜いた。
その洗練された動きと起動式の構築速度は、彼が決して平凡な魔法師でないことを示している。
どうやら彼のことを少々侮っていたようで、拾はそれを見て自分の中で彼の評価を上書き修正しつつ───
「───才能の差だあがァ!!?」
──彼が引き抜いたCADを
「
「拾.....お前」
「お言葉ですがお兄様、あのままではレオが負傷する可能性がありました。この判断は的確かと。と、ヒロイは自分の行いの正当性を主張します」
拾が涼しい顔で答える。
が、やられた方の森崎はそうもいかない。
「お、おい!何をするんだお前!!」
「はい?」
「とぼけるな!魔法を使ったのはお前だろう!!」
「そうですが、何かありましたか?と、ヒロイは尋ねます」
「何かって......」
森崎が拾に詰め寄った。が、当の拾の表情は全く動かない。
「あなたが魔法の不正使用をしたから止めたのではありませんか。と、ヒロイは盛大にブーメランをかます目の前の馬鹿に懇切丁寧に説明します」
「な、なんだとッ!?誰が馬鹿だ!!」
いや、気づくいて欲しいのはそこじゃないんですけど.....とツッこむ暇はなかった。
気付けば、森崎の後ろの一科生の集団の何人かが魔法を使おうとしていた。どうやらさっきの行動が反感を買ったようである。
もう一度さっきの魔法───
さて、どうするか。
取り敢えず回避行動を取ろうと足に力を込めた瞬間、それは起きた。
「みんな、ダメッ!!」
また一人、一科の生徒が魔法を使おうとCADを操作した、が、次の瞬間その魔法式は突如として打ち込まれたサイオンの塊によって砕かれる。衝撃で崩れる女子生徒、それを支えるもう一人の一科の生徒。
「やめなさい!魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に犯罪行為ですよ!」
そして現れる第三者。
少女の名は七草真由美。
この国立魔法科高校第一高校の現生徒会長にして、十師族・七草家の長女。十年に一人の天才と称されるほどの遠距離魔法の腕前を誇る『妖精姫』。
もう一人は渡辺摩利。
肩書きは風紀委員長。十師族ではないが、生徒会長である真由美にも決して引けを取らない実力者。
「君達は1-Aと1-Eの生徒だな。全員事情を聞きます。ついて来なさい」
拾は反論してやろうかと思ったが、魔法を使ったのは確かなので何も言うことは出来ない。
実質的にこの高校の頂点に君臨する二人に言われてしまっては、先程までは威勢のよかった生徒も黙るしかなかった。
.......が、しかし。いつの時代にも例外はいる。
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
一歩、前へ出る。
警戒した摩利が魔法を照準するも、一切怯んだ様子はない。
「はい。森崎一門のクイック・ドロウは有名ですので、後学のために見せてもらっていたのですが.....あまりにも真に迫っていたので、つい手が出てしまったようです」
これには当の森崎も目を丸くしていた。まさか庇われるとは思っていなかったようだ。実際は後々面倒になるのが嫌なだけだが。ついでに拾も目を丸くしていた。兄の作り話のあまりのクオリティに、これさすがに風紀委員長怒るんじゃないかなー....とビクビクしている。
「.....では、1-Aの女子生徒が攻撃性の魔法を使おうとしていたのはどうしてくれる?それも悪ふざけだと言うのか?」
当たり前だが、摩利が反論する。矛先を向けられた女子生徒がビクリと反応する。だが、その質問に対しても達也は冷静だった。
「あれはただの閃光魔法ですよ。威力もかなり抑えられていました。反射的に魔法を発動させられるなんて、さすが一科生ですね」
ますます白々しい。今の達也の言い訳はその一言に尽きた。だが、摩利が目を細めたのはそこではない。
「ほぉ....どうやら君は、展開された起動式を読み取ることが出来るらしい」
ピクリ、と、深雪と拾が反応する。
当然だろう、基礎単一系魔法だけでもアルファベット三万文字を超える膨大なデータの羅列を一瞬で看破するなど、どう考えても普通の学生がやる事ではない。
「実技は苦手ですが、分析は得意です」
「......誤魔化すのも得意なようだ」
「誤魔化すだなんてとんでもない。自分はただの、二科生ですよ」
「兄の申した通り、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
達也のこの仰々しい、小馬鹿にしたような言い方に摩利が眉間のしわを益々深くするも、完璧美少女の深雪が何の小細工もなしに頭を下げたのを見て思わず目を逸らす。
「もういいじゃない、摩利。達也くん、本当にただの行き違いだったのよね?」
いつの間にか名前で呼ばれていることに達也が若干の不満を感じるが、今はこの流れにのっておくのが最善だろう。
真由美の話も終わり、二人がこれにて一件落着と踵を返す。が、一歩踏み出したところで振り返った。
「君の名前は?」
「1-Eの、司馬達也です」
「そうか。君は?」
「....え?」
「え、じゃない。名前を聞いてるんだ」
「......1-E、雲井拾です」
「覚えておこう」
そう言うと、今度こそ摩利は去っていった。
*
.......え?なになに、何ですか?
何故自分は今名前を聞かれたのだろうか。兄と違って『俺、分析得意なんだ( ー`дー´)キリッ』とか言ってドヤ顔してないし(してません)、『嘘なんかついてない(`・ω・´)フンスッ』とか言って(言ってません)白々しい嘘をついてもいない。
..........まさか、入学早々に問題を起こしてくれやがった問題児としてロックオンされてしまったのであろうか。いや、確かに魔法は使っちゃったけどさぁ。
「........拾、何をそんなに百面相しているの?」
「いえ。ちょっとフェルマーの最終定理について考えていました。と、ヒロイは複雑な心中を吐露します」
「何を言ってるんだお前は」
帰り道にて。『モブ崎のモブ崎によるモブ崎のための早撃ち披露大会()』の後、結局彼らは一緒に帰路についていた。そのメンバーの中には、魔法を発動しようとして真由美に止められた女子生徒・光井ほのかと、その親友の北山雫も含まれている。
最初の方はさすがにぎこちない感じがあったが、時間が経つにつれてそれもなくなっていき今ではエリカが持ち前のコミュ力で雫と女子トークを繰り広げていた。
「そういえば拾君、さっき凄い速さで魔法使ってなかった?確か拾君はあの一科生が起動式を展開した後に魔法を使った気がしたんだけど....そこんとこどうなの?」
ある意味この場の全員(達也と深雪を除く)が聞きたかったことをエリカがズバリ聞いた。他人の魔法について根掘り葉掘りするのはマナー違反ではあるが、魔法師は何時の時代も知的探究心旺盛な生き物なのが世の常である。
「秘密です。と、ヒロイは口の前でバツを作ります」
「ケチー」
そんなことを言われても、教えられないものは仕方ない。申し訳ないというように肩を竦めた。
「それにしてもさっき初めて拾君を見た時は驚いたよ」
その時唐突に、ほのかがそんなことを言った。
「どうしてです?と、ヒロイは疑問をぶつけてみます」
「だって、まさか合格してるとは思わなかったんだもん」
「いきなりご挨拶すぎません?と、ヒロイは何故自分が初対面であるはずの光井さんにここまで言われているのか訳が分からず混乱してみます」
そりゃそうである。まさかこんな優しそうな面の皮の裏にはとんでもない悪女の顔があるのかと疑った拾だったが、そんな拾の心境を察したほのかが慌てて説明した。
「あっ、違う違う!!別に馬鹿にしてる訳じゃないの!!ただちょっと、意外だっただけだから!!まさかあんなことしてた人が合格してるなんて......」
「.............あんなこと?」
「拾.......あなた、一体何をしたの?」
「誤解です、お姉様。と、ヒロイは慌てて弁明します。このヒロイには全く心当たりがありません」
「覚えてないの?ちょうど筆記試験の時───」
*
「.......よし、解けた」
おそらくはこのテストの中でも難問の部類に入るだろう問題を解き終えて、ほのかが満足そうに笑った。
ほかの問題もいささか不安はあるが、概ね合っているだろう。これであとは実技さえ上手く出来れば.....
「........ィ、は」
「.......?」
今、何か聞こえた気がした。気の所為だろうか。
「...ロォイ、ハ」
.......断じて気の所為ではない。明らかに、隣にいるおそらくは男子が、なにやら呟いていた。問題を解いているのかと思ったが、なんというか呟きというよりは段々とうめき声に聞こえてくる。
もしかして、体調でも悪いのだろうか。カンニングになってしまうだろうかと悩みながらも、優しい彼女は結局相手の安否を優先した。意を決し、ちらりと横を覗き見る。
「......ヒろォいは、ひrオィらは、ひろjkmpmtjag......」
どうしよう、明らかに無事じゃない。
目は虚ろだし、なんだか呂律も回ってない。というより言葉にすらなっていない。手に持ったシャーペンは答えを書くことなくガリガリガリとテスト用紙に穴を開けているし、それを持つ手も震えている。
体調が悪い......というか、なんかヤバいクスリでもキメたようにしか見えない。声をかけてやれ?馬鹿なことを言うんじゃあない。たまに見る漫画や小説ではテスト中になにやらコソコソ()やり取りしている描写があるが、あんなものは試験官が居眠りしていなければ出来ないのだ。そんなことしようものならいよいよカンニングな上にそもそも声をかける対象自体がが怖すぎる。
そんなこんなで、結局ほのかは試験終了1分前になってようやく収まった奇行に安堵することしか出来なかった。
*
「.................あー、なるほどな」
ほのかの話を聞く限り、彼女の言い分は全く正しい。テスト中にそんなことをしてた人間が二科生とはいえ一校に受かっているなど、彼女からしてみれば不自然極まりない。
「た、確かにそのような行動をしたことは事実ですが、それにはちゃんとした理由があったのです!と、ヒロイは自分の汚名を払拭すべく立ち上がります!」
「じゃあ何で?」
「...............えーっとですね」
拾がテスト中におかしくなったのは、前に話した通り博士によるおかしな実験の失敗により発生した電磁波を近くにいた個体がモロに受けたためだ。ネットワークは並列であるため、一人の個体が影響を受ければネットワークを共有している【弟達】全員が被害を被る。
なお、拾の狂乱っぷりは、某リアル電波系少女の10777番目の妹がロシアでお姉様の電撃を受けた時の様子を想像していただければ最もわかりやすいだろう。
「そ、それよりエリカ、さっきの警棒はCADだよな?ちょっと見せてくれないか?」
詰まった拾を見かねた達也がフォローに入る。しかし、それはこの場においては完全に悪手である。
「.....へぇ、凄いね達也くん。これがCADって分かるなんて」
しまった、という顔の達也。普通の高校生なら、やはりエリカの警棒がCADとは気づけない。普段の達也ならばありえない失態だが、拾が絡むと彼は稀にポンコツになる。
「え、それCADなんですか?どう見てもただの警棒にしか......」
「.........刻印型の術式ですか。と、ヒロイは予想します」
「おっ、あったり〜。拾君の言った通り、これは刻印型の術式が内蔵されてて、柄のところ以外は全部空洞になってるの」
腰から抜いた警棒──刻印型の武装一体型CAD──をクルクルと回す。何処か得意げな彼女だが、それだと色々問題があるのではないだろうか。
「てことは、使ってる時にずっと
そう、そうなのだ。そんなスカスカの警棒を武器として振り回していたのでは、たとえ相手が木刀だったとしても一度打ち合わせただけで使い物にならなくなる。が、逆に常時
「お、流石に得意分野。でも惜しい、あと一歩ね。振り出しと打ち込みの瞬間にだけ
そう言って締めくくるエリカ。しかし、それを聞いていたその他大勢は空いた口が塞がらないというようにポカンとしていた。
「......どしたの皆?」
「エリカ.....兜割りってそれこそ秘伝とか奥義とかに分類されるものだと思うのだけれど.....
「.......もしかしてうちの高校って、一般人の方が少ないんでしょうか?」
「魔法科高校に一般人はいないと思う」
正論すぎる雫の一言に、その場の全員が納得した。