カルネ村に戻ってきてから、モモンガ様は無駄に明るく振舞っていたと思う。
あの事は私が解決しておくから、安心するといい。
それだけ言って、モモンガ様はどこかへ行ってしまった。
「お姉ちゃん、モモンガ様、なんか変だったね」
「うん…… またすぐに戻ってくると思うけど……」
何だかんだ言って、モモンガの変化はすぐにバレる。
お互いをよく見ており、思いやっている三人の絆は深かった。
普段の鎧姿ではなく、闇色のローブを纏って王都を彷徨うモモンガ。久しぶりのフル装備で魔法を使い、八本指の情報を集めていく。
「どの世界でも腐った連中というのは、いるのだな……」
敵は分かった。
そして、今のモモンガは一人である。
『嫉妬する者たちの顔面』により、ステータスが跳ね上がっていく。
組織は色々と癒着があるようだが、誰一人として逃す気は無い。
皆殺しにする事は簡単だし、そうされても文句は言えない連中ばかりだ。
しかし、自分は胸を張って、彼女達の元に帰りたい。
自らの手では無く、法の裁きによって潰す事を決意する。
モモンガは集めた情報から、八本指の拠点を割り出し、次々と襲撃していく。
「〈
念には念を入れた、強化をこれでもかと詰め込んだ魔法により、拠点丸ごと魔法をかけていく。
「お前達はこれから王城に行け。そこで、自分の罪が正しく裁かれるまで、自らの犯した罪を喋り続けろ」
魔法をかけられた人達が、ぞろぞろと王城に向かって進んでいく。
こうしておけば、賄賂を積もうが何をしようが、裁かれるまでは意思を取り戻せない。
王国の法に基づくと、彼らは皆、極刑である。
その後、自らが死ぬその時まで、罪を喋り続ける囚人達という、異様な光景があったとか……
八本指とその関係者は、こうしてリ・エスティーゼ王国から消えた。
「これで、少しは救われる人もいるのかな…… さぁて!! ネムに会って癒されに行こう!!」
重い話はヤメヤメとばかりに、カルネ村に突撃していく骸骨。
夜も遅いが、許してくれるだろうと軽く考える。
ネムが笑い、エンリには叱られるが、そんなやり取りが日常を思い出させてくれる。
モモンガはこれが大好きだった。
「あの骸骨!! こんな人数、どうしろって言うのよぉぉぉおおーっ!!」
ちなみに八本指を襲撃した先で、助け出した人達は、全てラキュースに放り出してきた。
渡した〈
モモンガの知っている、〈
誰一人として見捨てず、何とかしようとするあたり、人選としてはバッチリだった。