「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」   作:天道詩音

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その1

 

 無かったことにしたい過去。あの時、別の選択をしておけば……って思ったことはないかな?

 

 俺はある!

 あの一言さえ無ければ、今まで通りに過ごせていたはずなのにって思わずにはいられない。

 

 きっかけは些細な事だったんだ。指名手配されてる姉さんが珍しく電話してきたのに、話題が無かったんだよね……。

 

 女の子って男の俺らから見ると、不思議で訳の分からない生き物だろう?

 

 仲良くなれたと思ったら、突然『あんたなんて嫌いなんだから!』って言われたり、嫌われたと思えば次の日に『酢豚を作ってきたけど、作りすぎちゃったから食べていいわ!』とか言い出したり。

 酢豚はおいしかったけど、訳が分からない!

 

 一夏みたいに白黒はっきりつける性格なら分かりやすいのに、女の子……特に鈴って奴はよく分からない!

 

 女の子の気持ちがよく分からない!

 

 そんな思いの丈を、姉さんにぶつけたら『女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!』と自信満々に答えられたんだ!

 

 そんなに自信満々ならよろしくお願いします!って言ってしまった結果がこれだよ……!

 

 あの時に、分からなくても鈴と話していく中で、自分で答えを見つけるよって、言っておけばよかったのに!

 

 過去に戻って、やり直せるならそう言ったよ!

 

 タイムマシンは天才兼天災の姉でも、『時間の不可逆性はどうしようもないかなー?』って言っていたから作れないんだろうね……姉に無理なら誰が作れるんだ……?

 

 『IS』なんて、時代を何世紀先取りしたか分からない物を作った姉が無理って言うなら、もう無理だよね……。

 

 無理な事を考えるのは無駄だし、今できることを考えていこう。

 

 とりあえず姉さんに電話して、この状況をなんとかしてもらおう!

 姉さんに電話をしてみると、ワンコール鳴る前に電話に出てきた。

 

「もしもしー? みーくんからの電話だわーい! 束さん一晩でがんばったんだよ! これで女の子の気持ちが分かるよ! よかったね!」

「よくないわ! 天才の姉さんならもっとやりようがあったよね! もっと良い選択肢があったはずだよね!」

 

 電話越しの姉さんはすごい嬉しそうだけど、こっちは全然嬉しく無いんですけど!

 

「これが私の最適解だよ! キリッ!」

「キリッじゃない! それは口で言うセリフじゃないし、俺にとっての最適解は別だったから! てか元に戻してくれ!」

 

「それは無理かなー? 男性の持つ染色体は不安定なんだよね。それを安定させたのに、また戻そうとするなんて、染色体が壊れちゃって死んじゃうかもよ? 私の大切なみーくんにそんな危ないことはできません!」

「できませんじゃなくて! ええ……もう、戻れないのか……」

 

 なんか男性より女性のDNAの方が優れているって聞いたことがあるけど、そんなのいいからなんとかしてください!

 

「逆に考えよう。生物学的に完成に近づいたんだから、むしろ進化したんだって! みーくんがもっとかわいくなって、束さんはすごいうれしいよ!」

「俺ははうれしくないって! どうしてこうなった!?」

 

「え……束さんはみーくんの為を思って、寝ないでがんばったのに……嫌なことしちゃったのかな……?」

「いや、姉さんが俺の為にやってくれたのは、分かってるしうれしいよ……でもね、ちょっと思ってたのとは違ったかなーって」

 

 悲しそうな姉さんの声に闘志が折れそうになったけど落ち着け……今は元に戻ることを優先しよう。

 

「もう怒ってない……? 束さんのことを嫌いにならないよね……?」

「嫌いにはならないよ。俺の大切な姉さんなんだから! だから、どうか元に戻してくれ!」

 

「それは無理っ!」

「無理っ! じゃなーーい!」

 

「束さんにも不可能はあるんだよ。日常生活に支障がないようにちーちゃんに、色々教えてあげてって言っておいたから、あとはちーちゃんに任せるね。おっと、そろそろ脳を休めないといけない時間だから切るね! じゃねー! みーくん改めみーちゃん!」

 

「…………え、切られた? これからどうするんだよ……? 姉さんが無理ならどうしようも無いじゃんか!」

 

 もう終わったーとうずくまって頭を抱えていると、ピンポーンとインターホンが押された音が鳴った。そう言えば千冬さんにあとは任せたって言っていたな……世界最強の千冬さんならこの状況をなんとかしてくれるかも……?まあ、無理かー……。

 とりあえず出ようか。

 

「いま出ますよ-? 千冬さんこんにちは! 早速助けてほしいんですけど……」

 

「…………すみません。間違えました」

 

 千冬さんが頭を下げてから、扉を締めた。いやいや、合ってるからね!

 慌てて扉を開けると、表札と部屋番号を見て首をかしげている千冬さんが居た。

 

「千冬さん合ってますから! 俺が篠ノ之湊ですから!」

「しのののみなと……? ああ、部屋は合っているな。君は湊の彼女か。湊は居るか?」

 

「俺が湊ですって! 束姉さんの弟で、一夏の友人の湊ですから!」

「いや、湊は男だからな? ちょっと鏡を見てみろ」

 

 千冬さんがバッグから手鏡を取り出して俺の前に差し出す。あの千冬さんが鏡を持ち歩いているん……痛っ!思っただけで叩かないでください!

 

 そこに映ったのは、腰まで伸びた艶やかな黒髪に、一目で清楚だと思えるような可憐な顔立ちで、愛くるしい大きな目をしている、男物のだぼだぼな服を着ている美少女が鏡の中で驚愕の表情を浮かべている。

 

 なんだか小さくなった姉さんって感じ?

 

「これが……俺?」

 

 目を覚ました時から、違和感があったし、声も高くなって、胸もなんだか大きくなってたし、立ち上がったら目線が低くなっていて、変だとは思っていた。

 

 でも鏡で自分の姿を見たら、現実を認めないといけなくなる気がしたから、自分の姿が映る鏡とガラスは一切見なかった。

 でも、千冬さんの取り出した鏡に映る自分は、完全に女の子だった……。

 

 

 姉さん……女の子の気持ちが知りたいとは言ったけど、女の子にしてとは言ってないからね……お願いだからどうか元に戻してください!




よくあるISのTS物です。

TSした主人公が、今後どうなっていくのか。
鈴ルートを行くのか、千冬さんルートか?
王道?の一夏ルートへ進む可能性もありますね!
原作に可愛いキャラはたくさん居ます!どのルートへ進むのでしょうか?

まあ、似たような話はISで沢山あるのでこの話はこれおしまいの予定ですが!※続きました!すみません!

読んでいただきありがとうございました!

登場人物紹介
篠ノ之湊
しのののみなとちゃんになりました。
男には戻れないそうです。
これで女の子の気持ちが分かりますね!
一家離散はしても一夏と同じ学校に通っているみたいですね。
篠ノ之束
湊の姉さん。
束さんが一晩でTSさせてくれました。
織斑千冬
ちーちゃんも女の子だから鏡を持ち歩くんだよ!
鈴ちゃん
伝わらないツンデレ。酢豚はおいしいです。

以上です!ありがとうございました!
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