「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」   作:天道詩音

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その15

 

「お兄! 夜御飯食べてよ!」

「あっ、蘭ちゃん……」

 

「ん? 誰ですかこの可愛い子!? まさか一夏さんの彼女!?」

 

 蘭ちゃんは弾に夜御飯を食べてって言いに来たんだね。この兄妹ってけっこう仲が良いんだよねぇ。二人とも認めてくれないけど!それより蘭ちゃんにも、ちゃんと説明してあげないと……がんばろう!

 

「蘭ちゃん……えっと先に結論から話すけど」

「あっはい?」

「私は篠ノ之湊なんだ。蘭ちゃんと先週二人でレゾナンスに遊びに行ったり、昨日もメールでやり取りした篠ノ之湊だよ」

「え……えっと?」

 

 蘭ちゃんは突然名前を呼ばれてキョトンとした顔をしてる。まあ、困惑するよね。聞く側からしたら初めて会った人から、意味不明な事を言われてるんだから。でも分かってもらえたら嬉しいな。

 

「突然そんな事を言われても意味不明だと思うけど、蘭ちゃんには信じて欲しいな。二人で一緒に出かけて、アイスを食べたり、カフェで苦いねって笑い合いながらコーヒーを飲んだりした、蘭ちゃんとはそんな小さな日常をこれからも一緒に出来たらいいなって思うんだ。だから信じて欲しい」

「えっ……本当に湊さんなんですか? な、なんで……!?」

 

「詳しいことは分からないんだけど、もう男には戻れなそうなんだよね……」

「そ、そんな…………私の本当のお兄ちゃんだって思っていた湊さんがお姉さまになっちゃうなんて!?」

「えっ、ん? んん?」

「ちょ!? 蘭それってどう言う事だ!?」

 

 本当のお兄ちゃん?弾はドンマイだね……!でも蘭ちゃんみたいな可愛い妹なら大歓迎だけどね!

 

「うっさいお兄! 湊さんちょっと二人で話したいので、私の部屋に来て貰えますか?」

「うん。行くよ」

「ありがとうございます! お兄達は来ないでくださいね! あと聞くのも許しませんから! じゃあ湊さん行きましょうか」

 

 

 蘭ちゃんの部屋まで手を引かれながら行って、部屋の真ん中まで行ったところで、こっちを振り向いた涙目の蘭ちゃんに……抱きしめられた!?

 

「湊さん……! 本当に女の子になっちゃったんですか……?」

「うん。ごめんね」

 

 蘭ちゃんを抱きしめ返して頭を優しく撫でてあげる。どうして泣いてるかは分からないけど、泣いている子が目の前に居るんだから、泣き止ませてあげないと。

 

「蘭ちゃんがどうして泣いているか分からないけどさ。ごめんね」

「謝らないで……ください……湊さんは悪く無いんですから……」

 

「でも、蘭ちゃんを泣かせたのは私だよね。ごめんなさい」

 

 さらさらとした綺麗な赤髪を優しく何度も撫でる。

 

「湊さんは女の子になっちゃっても変わらないですね……」

「そうだといいなぁ……蘭ちゃんとこれからもずっと一緒に居られるかな?」

 

「それって告白ですか……?」

 

 まだ目を潤ませている蘭ちゃんに下から覗きこまれながら聞かれた質問は、本気で聞いてきたように思えた……目がしっかり答えて欲しいって強く訴えているから。

 

「私は蘭ちゃんの事を好きだよ。弾の妹だけどさ、私も妹だと思ってるくらい好きだから、だからこれからも一緒にいて欲しいって思ったの」

「…………妹ですか……分かり……ました! これからはお姉さまって呼びますね! だから、もう少しこのままで居させてください……!」

 

 また私の胸に顔を強く押し当てながら泣いている蘭ちゃんを強く抱きしめて、背中をさする。泣き止むまでずっとこうしてるから……涙が止まるまでずっと。

 

「ごめんなさい! 湊さんじゃなくてお姉さまですね……」

「蘭ちゃんが呼びたい方でいいよ?」

「お姉さまにしておきます! それでお姉さまはどうして家に来たんですか?」

「蘭ちゃんと弾にはこれから私は別の人間として生きていくけど、篠ノ之湊だって知っておいて欲しかったんだ……」

 

「そうですか……私に出来ることがあればなんでもしますから!」

 

「ありがとう。でもこんな風に蘭ちゃんと話せるだけで幸せだから、それだけで十分だよ?」

「……うぅ湊さんってずるいです……」

「ずるいかな?」

「ずるいです! 反則です! だからこれからも私と一緒に居て貰いますからね!」

 

 優しく笑う蘭ちゃんが本当に可愛いと思った。やっぱり、蘭ちゃんには笑っていて欲しいよね。

 

「そろそろ、お兄のところに戻りましょうか? 一夏さんも待たせてますし」

「そうだね。蘭ちゃんは夜御飯食べた? まだなら一緒に食べない?」

「まだです! 一緒に食べたいです!」

「わっ! ふふっ、なら一緒に行こう」

 

 腕に抱きついてきた蘭ちゃんと一緒に弾の部屋に戻る。弾の部屋の扉の外からでも聞こえるくらいの大きな音で音楽を聞いているみたい。聞かないようにしてくれたのかな?二人とも優しいね。

 

「お兄うるさいよ! さっさと音楽消して!」

「お、おう。ほら消したぞ」

 

「お姉さま! お兄も一夏さんも放っておいて、私と二人で食べましょう!」

「そうだね。行こうか?」

「お姉さま!? どういう事なんだよ湊!?」

「どうしてそうなった!?」

 

 蘭ちゃんが嬉しそうに手をひっぱってくるから、一緒に食堂の方に向かう。後ろで聞こえてくる男二人のうるさい声は無視しちゃおう!

 

 蘭ちゃんと一緒にカウンターに座って、メニューを眺める……今日も業火野菜炒めにしようかな……少なめで!

 

「厳さんすみません。業火野菜炒めをちょっと少な目でお願いします」

「あいよ。蘭も一緒でいいな」

「うん。ありがとうお爺ちゃん!」

 

 注文したところで、一夏と弾も食堂に来て、私の隣に一夏、蘭ちゃんの隣に弾が座った。コップを取って一夏と蘭ちゃんに水を注いであげる。弾は遠いからごめんねー。蘭ちゃんに……って思ったら自分で注いでた。蘭ちゃんには頼めないのかな?弾もシスコンだからねぇ!

 

「それで、湊はなんでお姉さま呼びになったんだ?」

「兄妹は俺が居るから十分だろ!?」

 

「私の姉妹はお姉さまだけですから! お兄とか要らないし!」

「そ、そんなぁ……」

「私も妹は蘭ちゃんだけだよ?」

「お姉さま-!」

「蘭ちゃん!」

 

 姉さんと自称姉の二人は家族に居るけどね。くーちゃんはもはや娘みたいに思ってるし!

 

「お前らイチャつくな! 特に湊! 俺の妹に抱きつくなよ! ウゴッ!?」

 

「弾うるせーぞ! 黙って座ってろ!」

「あい……済みませんでした……」

 

 厳さんが投げたお玉が弾のおでこに直撃して、おでこを抑えながらカウンターに倒れ伏してる……痛そう!

 男の頃は私にも飛んできたけど、今は飛んでこないのかな?い、今まで通りに投げてもいいですよ!私は私なんだから!

 

「厳さん! 今までみたいに私にも投げてきても大丈夫ですから!」

「……今の湊にはこれで十分だろ? 業火野菜炒めおまち!」

 

「あ、ありがとうございます……!」

 厳さんやっぱり格好いい……!




次回蘭ちゃんifルートです。
蘭ちゃんが泣いたのはなぜかは、次回で分かると思います。

読んでいただきありがとうございました。
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