「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」   作:天道詩音

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その19

 

「鈴はやっぱ、湊の事を待っているよな?」

「だな……まあ、来れないのは仕方ないんだ。俺たちがフォローしようぜ」

 

 弾と一緒に空港で鈴を探しているけど、小さいから見当たらない……何処にいるんだ?

 昼ごろに電車に乗って、空港まで来てからしばらくロビーを探しているけど見当たらないし、鈴に電話してしてみるか?

 

「あんた達遅いわよ!」

 

 後ろからそんな声が聞こえて振り向くと、俺達を指さしている不機嫌な鈴がいた。どこに居たんだ?普通に見落としたけど……。

 

「ごめんな。ちょっと前に空港に着いていたけど、鈴が小さいから探すのに時間が掛かってさ」

「だな。鈴が小さいのが悪い」

 

「あんたらぶっ飛ばすわよ?」

 

「冗談だって、ごめんごめん」

「見送りに来たんだ。許してくれよ?」

 

「ふん。まあいいわ。湊はどうしたのよ?」

 

 鈴が一番来て欲しかったのは湊なんだし、やっぱり聞いてくるよな。嘘つくのは悪いと思うけど、湊が女になったって言って変にこじれたまま、鈴が中国に行くのが一番最悪だろうから……ごめん。

 

「湊は風邪で寝込んでいて、来れなくなったんだ。ごめんな」

 

「……そう。来るって言ってたのに……バカ湊」

 

「鈴、来れなくなった湊から手紙を受け取ってきたんだ。これだけど、読んでみて欲しい」

「……まあ、読んであげるわ」

 

 鈴が手紙を読み始める。湊がどんな事を書いたかは知らないけど、真剣に書いていたからな。ちゃんと気持ちが伝わってくれるといいな。

 

「今さら……なんでそんな事を……もう遅いわよ……」

 

 鈴が溢れる涙を拭いながら、手紙を読んでいる。

 

「…………バカ湊」

 

 手紙を封筒に戻して、長い息を吐いて気持ちを落ち着かせているみたいだ。湊は何を書いたんだ……?

 

「一夏、弾! 湊に伝えときなさいよ! 必ず日本に帰ってくるから、次に会ったら毎日酢豚を作るわって!」

 

 鈴はすごい良い笑顔でそう宣言した。それってつまりそう言う事だろ……?

 

「これから毎日味噌汁を作ってくれ的な意味か?」

「プロポーズって事か? 任せてくれ、ちゃんと伝えとくぜ!」

 

「ち、ちがうわよ! 見送りに来ない湊なんて嫌いなんだから!」

 

「ツンデレ乙」

「ツンデレだな」

 

 顔を真っ赤にしながら照れているんだ。嫌いな訳ないよな。鈴はツンデレだからなー。

 

「あんたら一発ずつ殴らせなさい!」

 

「ははっ、ごめんごめん。でも元気を出してくれてよかったよ」

「悲しい別れじゃなくてさ、笑顔で見送りたかったからな」

 

「ふ、ふん。殴るのは日本に戻ってからにしてあげるわ。覚悟しておきなさいよ!」

 

「ああ、楽しみに待ってるよ」

「鈴もがんばってくれよ。何かあればいつでも連絡してくれ」

 

 鈴の手を握って握手をする。弾も同じようにしたところで、鈴がキャリーケースを取りに行って戻ってきた。

 

「そろそろ行くわ! 私も元気でやっていくから、あんた達も元気でいなさいよ! バカ湊には早く風邪を治しなさいって言っておきなさい!」

「ああ。ちゃんと伝えておくよ」

「プロポーズの件も伝えておくさ……いてっ、足を踏むな足を!」

 

「プロポーズじゃないの! 湊が私の酢豚が好きって書いていたから、毎日酢豚を食べて欲しいって思っただけなんだから!」

 

「ツンデレ乙」

「ツンデレ乙」

 

「あんた達もほんとバカなんだから! じゃあ行くわ」

 

「いってらっしゃい。またな」

「また会おうぜ。気をつけてな」

 

 俺達みんなで待っているからさ、さよならじゃなくて、またなでいいよな。

 

「…………バカ。またね」

 

 後ろ手に手を振って、鈴は検査場に向かっていった。背中が見えなくなるまで見守っていたけど、最後まで振り返らなかった。元気でな鈴。鈴が帰ってくるからまでに湊も男に戻っていればいいけど、どうなっているかな?

 

「……帰るか」

「そうだな。湊も待っているからな」

 

 弾と一緒に空港を出て、電車に乗って帰る。今日は湊は大丈夫か?一人だと思うけど、出掛けてないよな?

 

「湊は家で大人しくしてるかな? 出掛けていたら心配なんだけど……」

「家に籠もるって言っていたんだろ? なら家に居るんじゃないか?」

「うーん……心配だ。早く帰るか」

「湊はめちゃくちゃ天然だけど、しっかりしてるところもあるし大丈夫じゃないか? たぶんな……」

 

「弾も不安じゃねーか!」

「よく考えたら不安だわ。あの容姿であの天然だろ? 一夏は昨日一緒に居たけど、どうだったんだ?」

 

「あんな可愛いのに、疲れたからマッサージして欲しいって言われたんだぞ? ヘンな声も出すし、めちゃくちゃ危なかった……」

「何やってんだお前ら……」

 

 弾に呆れられた顔をされたけどさ……いやいや、あの湊のお願いとか断れないだろ!

 

「ほら、駅に着いたから降りようぜ!」

「まあいっか。学校でも俺達がちゃんとフォローしてやろうぜ」

「だな。クラスの女子達と仲良くなれればいいけど、湊なら何とかなるか」

「だろうなぁ。男の時もクラスのまとめ役していて、女子達とも仲が良かったからな」

 

 一緒に改札を出て、湊の家に向かって帰る。今日は千冬姉は家に居ないし、湊の家で夜御飯を食べるか。

 

「弾、今日は湊の家で夜御飯食べるから、スーパーに寄ってから帰るよ」

「オッケー。俺は家に帰るとするか。湊によろしく言っておいてくれ。また明日な」

「おう。また明日」

 

 弾に手を振ってから別れ、スーパーに向かって歩く。駅の近くのスーパーは品揃えもそこそこあって安いから、食材を買うのはだいたいここだな。

 

 昨日湊はオムライスが食べたいって言っていたから、それでいいか。後は適当におかずを作るかな?少し時間が掛かるけど、グラタンでいっか。

 

 食材を買ってスーパーを出て、湊の家に向かう。湊も不安だろうから、鈴は元気に中国に向かったって教えてあげないとな。

 

 もう夕方だから料理の準備してなければいいけどな。もし準備していたら明日の分にするか。

 

 よし、湊の家の前に着いたけど、なんか仲が騒がしいけど、誰か来てるのか?

 

「……むー!?」

 

 いや、湊のくぐもったような声がした。大丈夫か湊!?

 

「えっ、どうしたんだ湊!? 鍵空いてる! 入るぞ!」

 

「い……いちかぁ……はぁ……」

「ッ! 大丈夫……か……へ?」

 

 部屋に入るとソファーの上で寝ている湊に覆い被さっている、青髪の女の子がいる。て言うか襲ってる……?

 

 

「湊が痴女に襲われている……!?」

「だれが痴女よ!? 私は湊ちゃんのお姉ちゃんよ!!」

 

 湊の姉は束さんだけだろ!一応箒もだけどさ!




鈴ちゃん初登場ですね。ツンデレ可愛いです。
ツンデレと言えばバカって台詞かなって思ってます。

今回も読んでいただきありがとうございます。
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