「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」 作:天道詩音
『ジリリリリリリ……』
んぅ……うるさいよー。もー静かにしてよね……はい止まった!
もう朝かぁ。寒いし起きたくない……くぅ……だめだめ起きないと……!
まだ寝ていたい誘惑は押し切って、ベッドから出る。
「ふぁー……おはよー……」
ベッドサイドで腕を伸ばして伸びをする。
どこからかは分からないけど、毎日私を見てる
ボタンを外したパジャマから覗く胸元の膨らみだけど、見ても何も感じなくなっちゃったなぁ。最初の頃は恥ずかしくて見れなかったけど、もうこの体になって半年も経ったし、見慣れちゃったのかな……?
パジャマの上着を脱いでベッドの上に置き、着替えを用意していなかったのを思い出した。着替えを取らないと寒いよー……
新しく購入したハンガーラックに掛かっている白色のニットのブラウスに茶褐色のコートと、勉強机の上に置いていた黒のミニスカートにオーバーニーソックスに着替える。寒いし早く着替えないと風邪ひくかも!
ニットを被るように着て、胸に引っかかった部分の皺を整える。下に履いているパジャマも脱ぎ、スカートに穿き替える。スカートへの抵抗力ももうゼロだし、むしろ穿き易いって考えちゃうのはもう致命的かも……まあ、それより靴下を履かないと。
黒のオーバーニーソックスを履くために、ベッドに座り、片足を上げてつま先から靴下を通していく。反対も同じように靴下を通し、最後に伸ばしてから口ごむの部分を整えて、はい完成!
ベッドから立ち上がって、身体全体が映る姿見の前に立つ。
鏡に映る、姉さん似の可愛い美少女……これが私なの!?
って前は驚いていたけどもう見慣れっちゃったよ!戻れる兆しは全くないし、そもそも姉さんが戻そうとする気が全くないみたいで、今の私に似合いそうな服が毎週送られてくるし……その度にくーちゃんに会えるのは嬉しいけどね!
そんな事はもう忘れてさ、今日は楽しまないとね!だって今日はクラゲに会える日!じゃなくて、一夏と一緒に水族館に出かける日だからね!
突然、水族館に二人で行こうって言ってきたのはビックリだったけど楽しみだなぁ。今行くとミズクラゲの赤ちゃんが見れるんだってさ!初めて見るけどきっと、小さくてふよふよしてて可愛いんだろうなぁ……早く会いに行かないとね!
準備する物ってなにかあったかな?お昼ご飯は水族館のフードコートで買って、イルカショーを見ながら一緒に食べようって言っていたし用意しなくていいよね。
冬だし、外の気温はもっと寒くなるかもだからマフラーをバッグの中に入れておこうかな。淡いピンク色の二人で巻けそうなくらい長いマフラーを千冬さんから貰ったんだよね。これを持っていこう!一夏と一緒に巻くといいって千冬さんは笑いながら言っていたけどそんな予定はありません!
あとはお財布とか化粧ポーチの一式はバッグに入っているから、これで大丈夫そうだね。
よし、昨日作ったパンでも食べて、その後残りの準備をして、出発しようかな。
昔の夢を見たせいか、準備をしながら何となくあの日からの事を考えちゃうなぁ。
あの日突然、女の子になっちゃったけどなんだか楽しくやっている気がするよねぇ。学校でも今まで話さなかった子と仲良くなれて、色々話したり、たまーに一緒に出かけたり。
楯無さんって呼んでたのに、今はお姉ちゃんって呼んでいるし、よくお泊りしてくるようにもなって、寝るまでずっと楽しい時間が続くし。
一夏も弾も今までと変わらずに親友として仲良くしてくれているから、毎日が楽しいのも二人のお陰かもね!
特に一夏にはずっと支えて貰っていたから、何かお返しできたらいいんだけど……一夏がして欲しいことってなにかな?たくさん感謝しているから何でもしてあげるよ!
この後一夏に会ったらそう言ってみよう!一夏がして欲しいことってなんだろう?私が出来ることならいいけどね!
「じゃあ姉さん! 行ってきます!」
「みーちゃん行ってらっしゃい!」
そんな幻聴が、閉じた扉の後ろから聞こえた気がしたけどきっと気のせいだよね!じゃあ行ってきます!
読んでいただきありがとうございます。
今回は、スキップした時間の回想+次回の導入回なので、ちょっと短めになっています。
基本は2000文字くらいで進める予定です。
前回から半年ほど進んだ湊ちゃんはどうなっているのでしょうか。
次回も読んでくれたらうれしいです。