「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」 作:天道詩音
「海と月、水と月……クラゲを漢字で書いたらこんな風に書くんだよ」
ポーチから取り出した手帳にクラゲを漢字で書いていく。
「名前の由来はね、海面に映る月の様だったり、海中や水中に月があるように見えるからなんだよ」
海の中でゆらゆら泳ぐ月に見える生き物、昔の人には幻想的な生き物に見えたんじゃないかな?
目の前の水槽の中ですブラックライトに照らされてふわふわと漂っているクラゲに目を奪われながら一夏にクラゲの由来を教えてあげた。
「確かに月っぽいな! クラゲって今でこそ生き物だって誰でも分かるけどさ、昔の人から見たらすごい幻想的な存在に思われていたんじゃないかな? こんなキレイなんだからさ」
「わー……! 一夏がそんなにクラゲのことを分かってるなんて思わなかったよ!」
好感が持てる男性ランキングの一位はクラゲ(趣味)を理解してくれる人だと思っていたけど、さすが一夏!
私の親友だけあってちゃんと解ってくれるね!
「あっ! 次はあっちの水槽を見に行こう!」
一夏の手を引いて遠くに見えるタコクラゲの水槽に移動する。このフロアにならいつまでも居られちゃうなー。クラゲばっかり見ていたけど周りに居る人たちを見たらカップルが多かった。たしかに万人受けするかわいさだから男女関係無く魅了しちゃうんだろうね。
「なんかカップルが多くないか? もしかしてお、俺達もそう見えてるんじゃないか!?」
「何言ってるのー。私たちは親友同士なんだから友達で来てるって思われてるよー」
「て、手も繋いでるしカップルだと思われるはず!」
「あ、ごめん! ほら、離したからだいじょうぶ!」
こっちの水槽を観に来る時に手を引いてそのままで、なんか周りからカップルだと思われていると考えてしまうと途端に恥ずかしくなって手を離してしまった。なんだか周りの目線も気になってしまう。
「変なこと言わないでクラゲを見るよ! 今日はクラゲに会いに来たんだから! 一夏はそのオマケなんだからね!」
「ひでーなぁ。まあいっか、じゃあクラゲ見ようぜ!」
そこからクラゲを見たり、お昼ご飯を食べてまたクラゲを見て、イルカショーを見てからまたクラゲを見て……と閉館時間まで水族館を満喫して帰ることとなった。
電車に揺られながら今日は楽しかったなぁと思い返す。一夏も楽しめたかな?
水槽を見ている時に一夏からすごい視線を感じてて、水槽よりも私を見てた時間の方が長かったんじゃないかって思うくらいだったけど、何か話したかったのかな?
「今日楽しかったな! また水族館……と言うよりクラゲを見に来るか?」
「うん! また連れて行って!」
隣に座っている一夏のにこやかな表情を見て、楽しめたんだなって言うのがわかった。また一夏に連れて行って貰いたいな。やっぱり一夏と居ると楽しいなー。
それから一夏と今日の事を話しながら帰り、家の前まで一夏に送ってもらい家に入った。
お風呂に入るために寝室に行って着替えを取ろうとするけど、ちょっと疲れたから目に入ったベッドにダイブする。
目を閉じながら今日の事を思い浮かべる。
今日がとても楽しかったからか、これからもこんな時間が続いてくれたら良いなって思う。
先の事を考えると疎遠になってしまわないか心配だ。
IS学園に入ることは決まっているから、高校に入学してからは一夏とも弾ともあまり会えなくなると思うし、それが不安だな。
よし、お風呂に入ってさっぱりして不安なことは忘れちゃって、今日はぐっすり眠っちゃおう!
読んでいただきありがとうございました!