「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」   作:天道詩音

33 / 38
誤字報告、感想ありがとうございました!


その31

 

 昨日は姉さんと電話した後にすぐに寝ちゃったんだよね。もちろん家で。

 

 それなのに今は窓のない真っ白な部屋の中でベッドに寝かされていた。ここはどこなんだろう? それにこの人誰なの!?

 

「あの、あなたは誰ですか?」

 

 まずはこの人が誰か確認することで、どういう状況なのかを知っていこう。こんなきれいなお姉さんなんて忘れるはずが無いんだから絶対知らない人だよ!

 

「私はスコール。亡国機業の者よ」

 

 にこやかに微笑みながら答えてくれた。亡国機業もスコールの名前にも聞き覚えは無い。やっぱりこの状況からして誘拐されたのかな? 意味わからない状況すぎて逆に冷静に考えられている。

 

「目的は姉さんですか?」

「ふふっ、頭の良い子は好きよ。その通り、私達は篠ノ之博士に用があるのです」

 

 あの姉さんをどうにかできる人なんていないだろうし……あっ、千冬さんならできるか。でもそれ以外の人達はダメだろうからね。姉さん天災だし。だから狙うなら私ってことか。でもお姉ちゃんが護衛を付けていたはずだから簡単に連れ出すことはできないと思うんだけど……どうやったんだろう?

 

「更識家の護衛の人達が居たのにどうやって……」

「私達の協力者が護衛の中に居たから簡単だったわよ。貴方と篠ノ之博士との会話の傍受後に直ぐ行動に移って貰ったのよ」

 

 思わず口に出してしまった疑問に答えられたけど、スパイが居たってことか……罰としてお姉ちゃん失格だよ*1って言っちゃおうかな。絶望の表情を浮かべるお姉ちゃんを想像して思わず笑みを浮かべてしまう。

 

「ずいぶんと余裕なのね」

「姉さんがどうにかしてくれるって思ってるからね。それに私に何かしてたら交渉もできないと思うよ」

 

 あの姉さんなら何とかするって思っちゃうから心に余裕がある。姉さんなら月からでも助けてくれそうだって思う。

 

「まあいいですわ。これから私が篠ノ之博士に可愛い妹は預かったと連絡するから楽しみにしていなさい。その時に少しは痛い目を見せてあげる」

 

 そう言って取り出した銃をテーブルの上に置いた。人を殺せる凶器が目の前に出てきたことで恐怖が溢れてきた。でもよく見たら銃口もかなり小さく造りの精巧さが無いからおもちゃなのかも。うん、そう思うようにしよう。

 

 スコールさんは私の携帯電話を手に取り、履歴の一番上にある『束お姉ちゃん』にコールを掛け、数コール鳴った後に通話が繋がり、空間投影された映像にはお姉ちゃんの横顔とその後ろに小さくクロエちゃんが写っていた。どちらも作業に集中しているのかこちらを向いていない。

 

「おはよー湊ちゃん! お姉ちゃん忙しいけど湊ちゃんのためならいくらでも時間を作るよ。今日はどうしたの? お姉ちゃんの声を聞きたくなっちゃったとか? うんうん、いくらでも話してあげるから沢山声を聞かせてあげるよ。本当に湊ちゃんはお姉ちゃんのことが大好きなんだから」

 

 スコールさんが無限に話し続ける姉さんを見て、あなたのお姉さん大丈夫? って感じな目を向けて来たので思わず首を横に振ってしまう。姉さんはもうダメですね。

 

「こほん、私は亡国機業のスコ----」

「は? 誰お前、何なの? 気持ち悪いなぁ大事な妹への言葉を勝手に聞くとか死んだ方がいいよ。早く消えてくれない? ほんとキモいんだけど」

 

 血走った目をこちらに向けて怒鳴り続けている姉さんを見て、あなたのお姉さんヤバくない? って目を向けてきたスコールさんに思わず首を縦に振ってしまう。怒った姉さんは銃より怖い。

 

「あなたの可愛い妹は預かりました。こちらの要求は月面基地とISの技術の全てです。いい返事を期待していますわ」

「ふーん、月面基地ね。私との通信が傍受されるなんて有り得ないから会話を聞いてたんだ。てことは護衛の中にお前の仲間が居たのか。あいつゴミ共すらまともに管理できないなんて姉失格だな。やっぱり湊ちゃんの姉は私だけだよ」

 

 怒りすぎて冷静になっているのか、状況を淡々と分析してる姉さん怖い。けど何とかしてくれるって信じてるから! でも部下の管理能力は姉の資質とは関係ないと思うな。

 

「で? 要求を飲まなかったらどうするの? 湊ちゃんに手を出したら地球滅ぼすよ。もちろん湊ちゃんを助けた後でね」

 

 姉さんが逆に脅迫してきた! 地球滅ぼすって本気でやりそうなのが怖いんだけど……スコールさんも冷や汗を搔いている。

 

「と、とにかく一時間後に回答して貰います。いい返事を貰えない場合はこうしますわ」

「ひゃわ!?」

 

 スコールさんが私の後ろに回って来たから何されるのかと思い、振り返ろうとした時に横腹にくすぐったい感触が突然来たせいで、思わず声を上げてしまった。さっきの姉さんが怖かったのか加える危害のグレードがすごい下がったけど、誘拐犯それでいいの……? ってスコールさんに視線を向けると恥ずかしそうに目を逸らされた。

 

「お前ふざけんな!」

 

 突然、姉さんの怒号が飛び交った。え? わき腹を突かれただけだよ?

 

「湊ちゃんのわき腹をつ、つ、突くなんてお姉ちゃんでもしたことないのに……許せない。湊ちゃんの初めてを奪うなんて絶対ころ----」

 

 通話を突然切ったスコールさんの方を向くと、目が合った。お互いに言いたいことは一緒だと分かる。

 

「「そんなに怒ること??」」

*1
楯無に取っては滅びの呪文と同じ効果※束にも効く




読んでいただきありがとうございます!
明日も18時に投稿予約しています。

湊ちゃん
誘拐されてるけどなんだか余裕そう。

スコールさん
テロリスト?
誘拐と脅迫は犯罪だけど、今のところ被害は突かれただけ。
それでいいのか亡国機業。
なお姉さんにはクリティカルヒットした模様。

束さん
愛しの妹ちゃんからの電話だと思ったら他人で発狂。
妹の横腹を突かれた殺意の波動に目覚める。

くーちゃん
横顔だけ登場。
24時間続いていた湊様モニターチェックが月ではできていなかったので湊成分欠乏中だった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。