「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」 作:天道詩音
「湊ちゃんも大変だったのね……」
「でも私の姉さんですし、いいところも一応あるので、嫌いになれないんですよ」
「ほんとにいい子ね! どう、私の妹にならない?」
「あはは、姉が増えるのはもう結構です……」
姉さんへの脅迫?の通話が終わってからは、スコールさんもやることが無かったみたいで待っているだけだったので、時間があったのでお互いに愚痴を言っていたらいつも間にか仲良くなっていた。誘拐されている立場なんだけど、なんか憎めないんだよね。
月に居る姉さんはともかく、千冬さんかお姉ちゃんが直ぐに助けに来てくれるかと思ったけど、二人とも国外に居てすぐには来れないみたい。だから大チャンスだったのよとスコールさんが嬉しそうに話していたけど、私も運が悪いなぁ。まあ嫌なこととか怖いことはされて無いからそれだけは良かった。
「あら? いつの間にかそろそろ約束の時間ね。あなたのお姉さんに答えを聞きましょうか。そうだ、私達の本気を知ってもらうためにまた突くからたすけてーと言ってもらえるかしら」
「いいですけど、誘拐犯としてそれでいいんですか……?」
「いいのよ。私だって別に傷つけたくないもの」
「分かりました。私も痛いのは嫌ですし、突かれるくらいなら我慢します」
結構くすぐったいけどね!
スコールさんが通話ボタンを押して、コール音が鳴った瞬間に姉さんの映像が投影された。
「湊ちゃん無事!? 変なことされてないよね!?」
姉さんが慌てた様子で声を掛けてくれるけどごめん、スコールさんと話してだけなんだよね。
「では篠ノ之博士、回答を聞きましょう。可愛い妹さんのために月面基地とIS技術の全てを渡してくれますね?」
「ふんっ、渡したところで凡人共に扱えるなんて思えないけどね」
IS技術は姉さんの夢だから悪いようには使われて欲しくないな。スコールさんは世界の発展のために技術の全てを公開させるって言ってた。それが人類の宇宙進出に繋がるのなら姉さんの夢にも繋がるから渡してもいいと思う。でも戦争に使われるようになるのなら止めないと!
「様々な技術者が集まっているのでIS技術も十全に扱えますわ」
「ゴミ共がいくら集まってもゴミでしょ。未だに第一世代、第二世代とか開発してるけど、IS技術を公開してから何年経ったと思っているの? その程度なら私が十年前には構想していたよ。そんなゴミ共により高度な技術を渡しても理解すらできないでしょ」
「……随分と強気ですね。いいのですか? 私達の技術力なら妹さんに色々できますのよ。例えば……性別を無理やり変えるとかね」
「あっ、それはぜひお願いしま----」
「はぁ? 湊ちゃんの性別を変えるとか有り得ないでしょ!! 本当に死にたいんだね。なら今すぐにでも望み通りにしてあげるよ!」
え、えぇ……姉さん、私の性別変えたこと覚えてるよね……? 男だったんだよ私。諦めもあったけど、今ではもう慣れちゃったし女の子のままでいいような気がしてるけど……原因は姉さんなんですけど! 女の子の気持ちが知りたいって姉さんに相談しちゃった私も悪いけどね!
「あら、冷静じゃなくなっているわよ。そうね、なかなか首を振らないのですから、こうしても仕方ないですわね」
「ま、待って!? そっちは反対側だよ! ファーストじゃなくてセカンドまでも奪うって言うの? そ、それだけは……」
「ひゃわっ」
スコールさんに左のわき腹を突かれる。左の方がくすぐったく感じるなんて知らなくてもいい情報だったよ……
「そろそろ助けてって言ってくれるかしら今がチャンスよ」
小声でそう伝えられたので、頷いて姉さんに向けて声を掛ける。
「ね、ねえさんたすけてー」
「あ、あぁ……湊ちゃんそんな悲しい声を出して……」
出してません。棒読みになっちゃってました。
「でも大丈夫。湊ちゃんにはね、とっても心強い騎士様が味方なんだから!」
突如、後ろから轟音が鳴ったと共に勢いよくコンクリートの破片が周りに沢山飛んできた。でも痛くない……なんでだろうと思って後ろを向いた。
「助けに来たぜ、湊!」
純白のISを纏った一夏がそこに居た。
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