「女の子の気持ちが知りたい? なら束さんに任せてよ!」 作:天道詩音
「とりあえず逃げようぜ!」
「えっ!? 一夏がなんでISをってわわっ!?」
一夏に抱きかかえられたと思ったらすごい勢いで景色が変わっていき、一瞬の間に空の上に来た。後ろを見ても追手は来ていないみたいだから安心する。
それに抱きかかえられているから一夏の顔がすぐ近くにあるのに気づいて顔が熱くなる。純白のISに光が反射していつもよりキラキラしている。いつもより格好良く見える一夏が近くに居てなんだか恥ずかしさを覚える。
「あ、痛いところとか無いか? 本当に心配したんだぞ!」
「痛いところはないよ! それと……ありがとうね」
突然誘拐されたこととか、ISを纏っている一夏と空を飛んでいることとか現実感が無さ過ぎて混乱しちゃうけど、夢の中じゃないよね? 現実だよね?
「追手は束さんがどうにかしてくれるみたいだから、安全なところまで連れていくからな」
「うん……」
それから無言で飛ぶ一夏に抱えられながらお空の旅を続けていたけど、しばらくして一夏の家の庭に降りたことで旅は終わった。姉さんが千冬さんに内緒で防衛機構を取り付けていたからここが一番安全なのかも。あとで千冬さんにばれて怒られてたけど。
でも、見慣れた一夏の家を見て現実に戻ってきたような気持ちになれた。追手も今のところ来ていないみたいだし、姉さんが何かしてくれたんだろうね。
『湊ちゃん、いっくんおかえり~! 二人とも無事でよかったよ!』
「姉さんもありがとうね。色々聞きたいことはあるけど」
一夏がどうしてISで助けに来れたのかとか本当になんでなんだろう? 一夏が男なのにISを使えるのが何でなのかすっごい気になる! しかもあのISって細部は違うけど白騎士だよね?
『湊ちゃんも聞きたいことが色々あるみたいだけど答えは私が天才だってことで全部解決だよ!』
「確かに! それで解決だ〜」
「いいのか……確かに否定できないけどさ」
私しか気づけないくらいの反応だったけど、一夏がISを動かせる理由は答えたくなさそうだったから聞かないようにしておこう。必要だったら教えてくれるだろうからね!
『あ、それより亡国機業の悪事を全世界にばらしちゃうからね〜! いっくんがISを使えることも一緒に説明しちゃうから二人も放送に出てもらうよ~』
「放送ってなんですか!?」
一夏も驚いてるけど全世界にばらしちゃおうって、なにするつもりの!? 全世界の放送局をジャックするとか普通にやっちゃいそうで怖い……
いつも通りの姉さんを見て、落ち着いたから安心のため息が零れてしまう。ISを解除して制服姿に戻った一夏も同じように安心したようなため息を吐いていた。
「湊が無事で本当に良かった。束さんから湊が誘拐されて酷いことされているって聞いたからマジで心配していたんだぞ」
「誘拐はされたけど、酷いことはされなかったからだいじょうぶ! ふふっ、颯爽と助けてくれた一夏は格好良かったよ!」
「そ、そうか」
一夏が格好よかったって言葉に照れたのか少し顔を赤くして照れている。照れた顔をじーっと眺めていたら恥ずかしくなったのか下を向いてしまう。それならと、俯いている一夏に近寄って下から覗き込んだらもっと顔を赤くして後ろにジャンプして距離を取られた。
そんな一夏が面白くて笑っていると突然両肩に手を置かれたので、顔を見上げると真剣な顔をしている一夏が目の前に居た。
「湊に言いたいことがあるんだ。いいか?」
「うん、いいけど……どうしたの?」
声もいつもの一夏と違ってすごい真剣な声でどうしたんだろう?心配させたのに変なことしちゃったから怒らせちゃったのかな?
「湊に言いたいことがあるんだ」
一夏が真剣だから私もしっかり話を聞けるように一夏の目を見て、次の言葉を待つ。
『さーて、それじゃあ今からあいつらの悪事を全世界へ公開しちゃ----』
「ずっと前から湊のことが好きだったんだ!!」
『おうか…………うぇ?』
「はっ……えっ?」
私のことが好き?一夏が私のことを……? 突然の告白に理解が追いつかない。
「親友として好きなんだと思ってた。ずっと一緒に居て家族のように育ったんだから、好きにならないはずが無いだろ。だから……今、湊の事を異性として好きだってこの気持ちを……親友として好きだと思うようにして蓋をしていたんだ」
「でも攫われた湊を助けて抱きしめた時に湊をずっと護ってやりたい、一生隣に居たいって思っちゃったんだ」
『あ……あのこれ全世界にほうそ……』
一夏の言葉の衝撃で姉さんが何かを言っていたけど頭に入ってこない。
「これからは親友としてだけじゃなく、男としても湊を支えていきたい。ずっと一緒に居たいんだ! だから俺と付き合ってくれ!」
異性として好き……そっか、私も一夏も一緒だったんだ。
隣に居てくれると安心できたこと。
一夏のことが誰よりも格好良く見えていたこと。
手を繋いだ時に顔が熱くなったこと。
帰り道で家の前で別れる時にまだ一緒に居たいって思ったこと。
まだまだいっぱいあるけど、そう言うことだったんだね。
私は一夏のことを女の子として好きになっていたんだ。
「ど、どうなんだ……?」
不安そうな目で私を見てくる一夏に愛しい気持ちが溢れてくる。
「私も一夏のことが好き……」
好きな気持ちが止まらなくて、身体でも伝えたくなって、目を瞑って一夏の顔に近づいていく。
『あーあー! 放送止めます放送止めますー!』
「うわ!?」
「ぴゃあ!?」
突然の姉さんの大声にびっくりして飛び上がってしまう。放送止めるってなに? なんのこと?
『あ、あのね。お姉ちゃん全世界に放送し始めた時にいっくんの言葉にびっくりして固まっていたの……』
何を言っているのか聞こえたけど、理解したくない。
『あー……あとは若い二人に任せるよじゃあね! お幸せに!!』
「初めから放送されてたってことなの……それも全世界に……おわった……」
「お、お、おれたちはこれから始まるんだ! だからだいじょうぶだ!」
一夏は変なこと言ってるしダメそうだ。
でも大丈夫だよね。
「一夏がこれからも守ってくれるんでしょ?」
「あ、あぁ! 任せてくれ!」
「ならこれからもよろしくね!」
つま先立ちになって一夏の頬に口付けをする。顔を真っ赤にしてる一夏を見て私も顔が熱くなってくる。そんな一夏を見てもっと好きになっていくのを感じる。
「大好きだよ一夏!」
いつまでも一緒に居てね!
湊ちゃん
恋を知って、女の子の気持ちが分かっちゃいました。タイトル回収。
一夏
全世界に告白が映された男。
世界は突如テレビの画面が切り替わり、映った告白の様子に困惑した模様。当然知り合いにも見られてます。
でも湊ちゃんと付き合えたんだからいいよね!
束さん
戦犯、だいたい束さんのせい。
なお、湊ちゃんと一夏が付き合ったことには大喜びしている。
以下、後書き
読んでいただきありがとうございました!
UA 103,221
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感想 79件
こちらもありがとうございます。
本当に励みになりました。
一夏と付き合って終了することはプロット通りなんですが、完結するために巻きになったので、まだやりたいことが残っています。なのでおまけとしていくつか投稿を続けていく予定です!
特に鈴ちゃんを全然出せていないのが心残りです!
ですが、当小説は一旦完結とさせていただきます。
本当に読んでいただきありがとうございました!