同じ頃、五反田食堂
「今頃アイツ…女の園エンジョイしてるんだろうなぁ…」
「一兄に限ってそれはないと思うよ。弾兄」
「だろうな!!死ねばいいのに…」
弾、数馬、勇介は食堂で昼食を食べていた。
「ところでさ、なんでアイツだけ乗れたんだろうな」
「さあ?」
「勇介はどう思う?」
「うーん…、わからない」
菊地勇介、菊地啓太郎の息子だ。同時に、オルフェノクと人間のハーフでもある。
「確か、一兄ってあの天災と仲良かったんでしょ?そのせいでもあるんじゃない?」
その刹那、よく経験する感覚、首筋がピリピリするような、そんな感覚を味わう。
「ゴメン、ちょっと帰る」
代金を置き、五反田食堂を出る、三原さんにいつもの内容のショートメッセージを入れる。先輩たちはいつものことだと、顔を見合わせている。
「どこにいくんだぁ…?」
路地裏に入ると男が出てくる。目の焦点は合っておらず、恐らく正気ではない。顔に別の顔が浮かび『コッドオルフェノク』へと姿を変える。
「オッサンが暴れてもあんま影響しないとこ」
そういうと、俺は姿を黒い、ワタリガラスのような姿。『レイヴンオルフェノク』へと姿を変える。他のオルフェノクとは違い喪服をイメージしたような真っ黒な姿、恐らくオルフェノクとしての異能も関係しているのだろう。と思いながら羽を広げ、エネルギー放つ。本来であれば使徒再生攻撃はオルフェノクにとって猛毒であり、青い炎をあげて消滅するはずだった。
「ぐっ!?」
しかし、光を浴びたコッドオルフェノクは苦しみだし、青い炎をあげることすらなく、末端から灰に変わっていく。
「オッサンの命だけは、有効活用させて貰うから」
灰は勇介の周りに集まり光を帯ながら勇介に吸収されていく。他のオルフェノクの命を吸収したり与えたりする。要はオルフェノクとしての寿命を弄れるこの力は、狙われる…らしい。薄汚れたツナギを着た、とても肉体労働者には見えないが肉体労働者らしいおじさんが父さんや三原さんを交えて説明をしてくれた。その時は、デルタギアを使うか?と聞かれたりもしたが、この姿で戦えるので要らないと言ったのだ。人目を避ける必要はあれど、三原さんも戦えた方がいいと思ったし。
「一兄…、大丈夫かな…」
時折一緒に戦ってくれた、兄のような存在を思い出す。なおやんに捕まって、俺や父さん、三原さんと付き合うようになった頃は、自分が変わってしまった事を受け入れられずにたけど、乾さんや母さんの話を聞いて、俺たちの仲間になってくれた。トラウマもあったけど、一兄の作るご飯は美味しいし、友達も増えた。あの
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「ちょっと、よろしくて?」
「へ?あ、あぁ、どうしましたか?」
危ない危ない、一応接客業で鍛えた接客スキルを活用して当たり障りのないようにこたえる。千冬ねえにこそ反対されたが、クリーニング屋、西洋洗濯舗菊池でのバイト(一応手伝いということになっていた)は結構役に立った。千冬ねえの洗濯物をよりきれいにするためにも。ちゃんとスーツのクリーニングとかできるようになると、啓太郎さんは勇介の洗濯物を他人に任せないけど、その気持ちがものすごくわかった。話しかけてきた相手は、「ステレオタイプな白人の女の子」といった感じの子で、やや吊り上がったブルーの瞳で俺を見ている。
「一応ご挨拶をと、私はセシリア・オルコット。入試主席にしてイギリスの代表候補生ですわ」
「代表候補生…ってことは」
ISに関しての知識なんてあまりないけど、一応ニュースを見ていれば聞く単語くらいなら覚えはある。
「そう、国家代表の候補生として選出されるエリートですわ!」
あっ…この人おだてとけばいいタイプだ…と、バイトをしていた時に見ていた数々の訳の分からない女性たちを思い出しながら思う。一番御しやすいというか、対応が楽なタイプである。
「そうですか、改めて、織斑一夏と言います。ある意味不運にも、こんな状況に陥ってしまったためISに関しての知識はほとんどありません。もしかしたら、ご迷惑をおかけするかもしれません」
「えぇ、そうでしょうとも。頼まれたら教えて差し上げてもよろしくてよ」
多分、先生に頼ること…散々「特定の人物、特に他国の生徒と仲良くなるな、恋仲などもってのほかだ」と、黒い服を着た怖いお兄さん達に言い含められている身としては、頼るのは少し不安だが、やはり聞ける存在というのは必要だろう。
「では、その時はよろしくお願いします」
そういうと満足げに頷き、セシリアは自分の席へ戻っていく。時計を見ると、チャイムまでもう少しだったので次の授業の準備をしておとなしくしよう。
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三時間目は山田先生でなく、織斑先生が受け持つようだ
「まず、来週行われるクラス対抗戦に出場する代表を決める…クラス代表とは、…まぁクラス長だな。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への代表も務めることになる。ちなみにクラス対抗戦は、現時点での各クラスの実力推移を図るものだ、今の時点で大した差はないと思うが、競争は向上心を生む。一度決めると変更するつもりはないからそのつもりで」
クラス長か…面倒事が多そうだな…。
「はい!!織斑君を推薦します!!」
オイ待て、俺のどこに推薦される要素がある!!急いで辞退しようと立ち上がる。
「ちょっと待って、辞退」
「辞退は受け付けていないぞ織斑、推薦してくれたものの善意をふいにする気か?」
そういう問題じゃないだろう。というかこういうときに暴君になるな!!
「そうは言われても…」
「諄い、なら誰か推薦すればいいだろう」
…あ、そうか。
「じゃあ、オルコットさんを推薦します」
代表候補生だし、あの性格上、こういう目立つ役割は大好物だろうと勝手にアタリをつけて推薦する。実力的に問題なさそうだし。
「私ですか…、ええ、構いませんわよ」
「…ふむ、では織斑とオルコットで多数決…というのもつまらんな。一週間後、模擬戦を行う。準備しておけ」
最悪だ…と一瞬思ったが、これは千冬ねえなりの善意かもしれない。相手は代表候補生、ISに乗れてしまっただけの人間が勝てるはずがない。多数決なんかやった日には、パンダな俺が勝ってしまう危険性がある。合法的に代表をやらなくて済む。そういうことだろう。オルコットが憤慨しているが。後々話して苦労を掛けることを謝っておくか。
授業後オルコットさんがこちらに来た。表情からして、皮肉の1つでも言いに着たのだろうと思ったが。
「…少し、お話してもいいですか?」
一瞬虚を突かれたような表情になったが、受け入れてくれた。恐らく、千冬ねえの考えていたことを言う。
「難儀なことですわね…」
同情するような視線を向けられる。多少冷静になったらしい。千冬ねえの発言の裏を理解したようだ。
「注目度『だけ』はそれこそ国家代表以上かもしれないからな…」
全世界、IS保有国に一人は絶対にいるから100人以上の中の一人と、世界にたった一人では注目度が違う
「えぇ、そうでしょうとも。だからその注目に見合う程度の動きはしてくださいな。私も、弱い者いじめの趣味はありませんから」
でしょうね。それと残念ながら俺は、とんでもなく弱いだろう。…できることはやらせてもらうが。
勇介のオルフェノク形態は、初期案では光る人かタイガーオルフェノクでした。でも光る人もタイガーオルフェノクもちょっと違うな…ってことでこんなチートオルフェノクを考えてしまいました。
オルフェノク設定
コッドオルフェノク
カモメ型オルフェノク
身長210cm
体重125kg
ぶっちゃけ使い捨てなので特に能力とかは無い。鳥類モチーフなのに飛翔態すらない、下の下、使徒再生個体。