「一応…、訓練はできてたのかなぁ…」
一悶着あったが、うまく千冬ねえがフォローしていることを祈ろう。まぁ、箒とは気まずいままなんだがな!!…辛いです…切実に。
「織斑、これがお前の専用機だ」
と、言われて引き合わされたものは、濃紺のISだった。
「打鉄Λ(ラムダ)、打鉄ベースで撃鉄弍式に搭載される特殊装備のテストヘッド…という設定の奴が作ったISだ」
ぶっちゃけた、盛大にぶっちゃけた。現在開発中のISのテストヘッドに見える別物、ということだろう。
「それって…」
「あぁ、搭載している装備は荷電粒子砲ですらないし、そもそもフレームからして打鉄に見える別物だ。あいつがデータごと寄越してなければ間に合ったかも定かではない」
というより、整備すら怪しかったようだと、言いながら織斑先生が端末を渡してくる。RISW-0624 フォトンブラスターⅡと銘打たれた其のスペックは凄まじいのだろう。よくわからないけど。
「まぁ、狭いところですまんが、一応ここを借り受けてある。本来は保守点検のためなのだが、…まぁ、慣らし程度では邪魔にもなるまい。武装のテストはできんがな……それと、スマン一夏、フォローは失敗した」
…やっぱり?まぁ…なぁ、箒には今の俺は受け入れがたいんだろうな。
と思いながらオプションを確認する。
「RIS-062Pラムダフォン…?スマホまでサービスしてくれるのか?」
…通信料金とか大丈夫だろうか?
ー充電は不要だし、料金はかからないよ、ソシャゲとかで多々買わなければね!!ー
水色のワンピースを着たそこはかとなくウザいウサギのマスコットがそんな表示を出している。うん、ソシャゲの趣味はない、と思いながらそのISに触れる。
濃紺に白く輝くラインが入ったISが展開される、つまりは…フォトンブラット。
束さん…アンタ何をしてるんだ。いや、束さんは知っているんだろう。俺のことも。それが何を意味するかも、それを知ったうえでこれを送ったのなら。
「そういうこと…なんだろうな」
IS学園がオルフェノクを擁する何かに狙われている。ここには修二さんもここには入ってこれない、何より、こんなことバレたらIS以上にヤバい。現状、オルフェノクの存在は都市伝説レベルでしかない、そういうオカルトなもののままである。幸か不幸か、スマートブレインという隠れ蓑の消失は、活発に活動するオルフェノクの減少ももたらした。IS学園で盛大に暴れられたら、公にならざるを得ないし、スマートブレインという企業も壊滅しているのだから隠ぺいのしようがない、騒ぎにはなるだろうし、ぶっちゃけた話、弱いのならISがあれば倒せはする…だろうと思うけど。まぁ、フォトンブラッドがあった方がいい場合もあるのだろう。触れるだけで灰にするようなのもいるって話だし。ヤベェのはとことんヤベェ。遠くからフォトンブラッドの一撃を見舞うべき敵ってのも居るのだろう。
「そういうこととはどういう事だ?」
「ちょっと…ね、秘密の話」
千冬ねえ、には間違っても明かせない秘密である。俺のことを話せば間違いなく傷つけるし、絶対、この姉は俺を守るためにと言って首を突っ込む。俺は千冬姉を裏切ったし、どうせこの後裏切る、けど、だからこそ、裏切るその瞬間までは、千冬姉が俺がいなくても幸せになれるまでは、千冬姉の望む織斑一夏で居続ける。でも、これだけは話せないんだ。千冬姉が今幸せであるために。
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「一夏…」
暗い部屋で呟く、剣が握れない?剣と認識したものを見ると原因不明の苦痛に襲われる?何故だ?なぜそんなことが起こるのだ?山田先生の説明は分かりやすかったものの、だからと言って認められるものではなかった。飛び出してきてしまったが私は悪くない。
剣道部からは一ヶ月の参加禁止、学校から反省文20枚、竹刀や木刀の自室持ち込み禁止、処罰は受けたが部屋の移動は無かった。まだ挽回の機会はある…はずだ。と思いながら一夏と同じ部屋で生活するもほぼ没交渉だ。気まずい。どのようなことを話せば良いのだ?一夏自身も私を避けているような節があり、部屋に帰ってくるのが遅い、ほぼ寝に帰ってきているようなものだ。聞けば遅くまで自主連をしているという。協力しようかとも思ったが、常に周りに誰かいるのだ。易々と話に割り込めるものでもない。どうすれば良いのだ…。
Λのイメージは重武装の中衛タイプ、機動力以外ラファール・リヴァイブカスタムの上位互換、決定力もあるよ!!って感じです。