いつものように自転車便で宅配に来た三山剣。
しかし、そこは崩壊していた。

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第1話

「あの~。誰かいませんか~?」

俺―――――三山剣は自転車便で届け場所へと来ていた。

が、人一人そこにはおらず、ただ単に長くて暗い廊下には俺の声が響いている。

人類基盤史研究所―――――通称、BOARDという研究機関に俺は来ている。

普段なら受付に行くと警備員のおっちゃんが二人ほど立っていて、そこで受け取り確認の印鑑を押してもらって、届物を渡して終わりなんだが今日は休みなのかいつもの人がいないばかりか、

警備員すらいなかった。

なんとなくヤバメの何かを感じたんだ荷物を届けないと俺が先輩にどやされるので恐怖で体を少し震わせながらも長い廊下を進んでいく。

「マジで誰もいねえじゃん。もしかして今日休館日とかか? いや、

でもここ確か研究所だから休日もへったくれもないって愚痴を聞いたことが……お?」

そんなことを呟いていると小さく扉が開いていることで部屋から光が漏れているのが見えたので、

俺はホッと一安心しながらその部屋の前に小走りで近づいた。

「すみませ~ん。自転車便…………な、なんだよこれ」

部屋の中に入るとそこはもう惨状だった。

置かれている机はすでに原形をとどめていないほどにまでボコボコに凹んでおり、机の上に置かれていたであろうノートパソコンは画面に足の形をした穴がぽっかりと空いていた。

この光景を見ただけでも十分驚くのだが最も驚いたのはコンクリートの壁にはいくつもの大きな穴が開いており、外の景色がちょっとだけ見えていた。

さらにところどころには血痕らしき液体も付着しており、先ほどから鉄くさい匂いがしている。

「誰か……いるの?」

か細い声が聞こえ、振り返って見ると白衣の腕の部分を赤く汚した女性が俺からは死角になっている机の下から出てきた。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ま、まあね……逃げた方がいいわ」

「そ、そりゃ逃げたいですよ。こんなと」

直後、スパン! という何かが切断されるような音が聞こえたのと同時に何か重いものが高い所から地面に落ちた時に聞こえる音が部屋に響いた。

女性の視線は俺の背後に向けられており、俺も恐る恐る振り返ってみるとそこには銀色の体色に、

両腕の肘のあたりからなんでもスパスパと切れそうに鋭い刃が生えている怪物が立っていた。

「……コスプレ?」

「逃げるわよ!」

女性に腕を引っ張られる形で俺も走り出すと怪物も同時に俺達を追いかけてきた。

「な、なんなんすかあいつは!」

「あいつはスペードスート・カテゴリー2のアンデットよ!」

「ス、スペー?」

「良いから逃げる!」

『シャァ!』

逃げている俺達を飛び越し、目の前に飛び込んできやがった!

「伏せて!」

女性の声が聞こえた瞬間、怪物の肘から伸びている刃が光輝き、

怪物が大きく振りかぶるとその光輝く刃が俺たちめがけて飛んできた!

俺も慌てて伏せるが手に持っていた小包が真っ二つに切り裂かれ、中身が床を滑っていった。

チラッとそれを見てみるとそれはベルトのバックル部分のような形をしており、

その傍には一枚のカードが落ちていた。

「逃げるわよ! ねえ聞いてるの!?」

『シャァ!』

「きゃっ!」

「わっ!」

怪物が飛びかかってくるのと同時に俺と女性は別々の場所へと飛び退いて怪物を避けた。

飛びのいた先に転がっていたカードとベルトのバックルを手に持つとカードを入れることができそうな場所があるのに気づいた。

…………一か八か!

俺はカードをバックルに挿入し、腰の辺りにそれをつけるとバックルから赤いベルトのような帯状のものが射出され、怪物を弾くとそれらが俺の周りをグルグルとまわって、帯状のものが腰回りに巻きつき、バックルを固定した。

「ど、どうすりゃいいんだ!? こ、これか!?」

『Turn・up』

適当にガチャガチャベルトを触っているとレバーのようなものに手が引っ掛かり、

なんとなくそれを引っ張ると音声とともにカードが入っている部分が裏返り、

中央にスペードのマーク、そして周囲が赤色のものと入れ替わると同時に目の前に青色の壁のようなものが射出された。

「それを通って!」

女性の言う通り、その青い壁を通り抜けると急に視界が普段とは全く異なる風景を映し出した。

……お、俺なんか被ってる?

ペタペタと顔を触ってみるがやはり、普段の触感はせず、どこか金属質の物が感じられた。

『シャァ!』

「イタイタ! イテェよぉ!」

怪物に抑え込まれ、ひざ蹴りを数発貰った直後に相手の腹に拳を打ち付けると相手は吹き飛んで、

そのまま壁を貫通して外にまで行ってしまった。

相手を追いかけようとしたときにふと壁に大きな鏡があることに気づき、

横を向くと俺は全く異なる姿をしていた。

青色のスーツの上にところどころ銀色の鎧を身に纏い、

頭にはカブトムシの角に似たものが伸びている。

「……な、なんだこれ?」

「……い、一般人がなんでブレイドに……」

女性は俺の姿を見て何やらあり得ないと言いたげな顔でブツブツとつぶやいている。

と、取り敢えずあの怪物をどうにかしないと……。

「や、やってやるぅぅ! おぉぉぉぉぉ! どあぁぁ!」

怪物に殴りかかるが相手の銀色に輝く刃の一撃を受け、

胸に衝撃が走ったかと思えば壁に激突した。

「イッテェェェェ! な、なんか武器……あ、あった!」

『シャァァ!』

「どりゃぁ!」

腰にぶら下がっているホルダーの中にある剣を取り出すと同時に飛びかかってきた相手を斬るように横に振るうと火花が散るとともに怪物が横に吹き飛んだ。

「おぉぉ。いける……行けるぞぉぉぉぉ!」

叫びながら相手に我武者羅に剣を何度も振り下ろしていく。

「だぁぁぁ!」

思いっきり下から上へと剣を振って、相手を斬ると火花を散らせて相手は吹き飛び、

フラフラとしながらも立ち上がって何発も連続でさっきの銀色の刃を投げつけてくる!

「イタイタ! んのやろ!」

飛んでくる刃を避けるように空中へと高く跳躍し、

そのまま相手めがけて剣を構えて落下していく!

「どっせいやぁぁぁぁぁぁ!」

一際大きく開いてから火花が散ったかと思えば怪物が小さな断末魔を上げて、

そのまま地面へと背中から倒れ込んだ瞬間、爆発を上げた。

「おっ! た、倒したんだよな……ん?」

倒したのをホッと一安心しているときに剣の持ち手の近くから光が漏れているに気づき、

その部分を凝視すると取ってのようなものがあるのに気付き、それをひぱってみると中に収納されていたであろうカードトレイが出てきて、最終的に十二枚分のカードを入れることができるトレイが出せた。

トレイの中に入っているカードは何かが鎖で巻かれているような絵が入っており、

そしてその十二枚の中の一枚が淡く光り輝いている。

試しにそのカードを取って見るとカードが勝手に俺の手元から離れて、

倒れている怪物に突き刺さると緑色の輝きを放ちながら、怪物がカードの中に吸い込まれていくようにして消え、カードが手元に戻ってきた。

手元に戻ってきたカードを見ると先ほどはなかった尻尾が鋭い剣になっている動物が描かれていた。

「スペードの2……スラッシュ? ……あ」

俺は女の人のことを思い出し、すぐにその場所へと向かうと女性は先ほどよりも広い面積を血で汚していた。

「はぁ……死ぬ……のかな…………もうちょっと…………発明…………したかった」

「すればいいさ。いくらでも」

俺は女性を姫抱きにして崩壊した研究所から女性とともに脱出した。




なんとなく書いてみました。

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