エターナルは大道克己さんーーではなく、大洞カツミという同音の別存在。ディケイドで平成一期のライダーたちが別人だったのと同じような感じだと思ってください。生い立ちとかは細部は違うけど大体一緒。
エターナルは敵役です。
続きを考えてはいますが、書くかわからないので一応短編で。
某国とある軍事基地。その応接室。二人の人物がテーブルを挟んでソファに腰かけている。
主に口を開いているのは彫りの深い顔の白人だ。上質なスーツの上からも鍛え抜かれた肉体が見てとれる。
一方はアジア系の青年だ。ボディアーマーめいた黒いジャケットとパンツを身に纏ってこそいるが、場違い感は否めない。
「ーーではミスター・ダイドー。こちらが今回の依頼の報酬三割。先払い分になります。どうぞご確認下さい」
白人は徐にアタッシュケースをテーブルの上に置くと、開閉口を青年の側にして確認を促した。
「いや、問題ない。今さら余計なことはしないだろう?」
それを青年は軽い口調で断りながら、しかし眼光鋭く「謀ればどうなるか……わかっているだろう?」と言外に告げる。
白人は表面上は微笑を浮かべながらも、背中に冷や汗が流れるのを感じていた。
このやり取りからもわかるように、この白人と青年は依頼主と“業者”としてはそれなりに長い付き合いになる。だからこそ、表面上は軽い調子のまま話が続く。
「さぁ、依頼の確認だ。今回は玩具の回収だったな?」
「ええ、そうです。とびっきりの玩具です。一応我が国の軍と技術者が引き渡しに向かっておりますが、どうもきな臭い。アレは極東の猿どもや、価値を理解しない愚者の手にあって良いものではない。我がステイツが管理してこそ意味があるのです」
「ふン。ご高説どうも。回収だけで良いのか?」
熱の入った主張をにべもなく一蹴されたことに、白人は僅かに不快そうな表情を作りかけるが、続けて放たれた問いに笑みを張り付けた。
「玩具の回収は第一目標です。ただ、可能ならば現地に存在するあるもの達を連れてきてもらいたい」
「ものたち、だと?」
「ええ、資料は後程別途お渡ししますが、【シンフォギア】とそれを使用する【奏者】と呼ばれるもの達を」
「シンフォギア……」
「おや、ご存知で?」
「ああ。たしか、例のルナアタックで聞いた名だったな」
「流石です。ええ、そのルナアタックの英雄達を、我がステイツに招待差し上げたい。無論、多少手荒でも構いません。もっと言うならば、生死も問いません。成功報酬は望むだけをお約束しましょう」
青年はやや思考するような間を空けながらも、
「了解した」
獰猛な笑みでもって是と応えた。
「頼みましたよミスター・ダイドー……いや、【NEVER】のマスター【エターナル】」
その日は日本という国は勿論、世界にとっても激震の走る一日だった。
電撃的なデビューで瞬く間に世界のステージに立った歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴと、片翼を失い、それでも高く飛び続ける悲劇の歌姫、風鳴翼。
人々を認定特異災害ノイズの恐怖の中にあって慰撫し魅了する世界的な二人の歌姫がこの日、日本でデュエットを組みライブを行った。
そして、そのライブ中にノイズの襲撃とマリアの世界への宣戦布告。
その際に、米国連邦聖遺物研究機関との共同研究のため岩国へと移送された筈のソロモンの杖ーールナアタックの主犯、フィーネが使用していたノイズを召喚する完全聖遺物が使用されていた。
会場にはまだ観客が多く残り混乱を極めている。
そんな中に、唐突に場違いな“音”が響く。
乾いた、けれど誰もの耳朶を刺激する軽い破裂音にもにたソレ。
パチパチ、パチパチと響く拍手の音。
そして、耳障りな笑い声。哄笑。
誰もがその異常の中にあってなお異常なそれへと眼を向ける。
「なにがおかしい!」
それはこの舞台の主役の一人だったマリアも同様だ。
そうして、そこに居たのはボディアーマーのような黒い装いの一人の青年。
音楽ライブの鑑賞という場にはどう考えてもそぐわないような出で立ちだ。
青年は席から立ち上がり、ゆっくりと舞台へと歩を進める。青年の周囲にいた人々は思わずといった風に道を空け、その様はまるでモーセのよう。
「おかしい? はっ! 思わぬ幸運と、堂々とした喧嘩の吹っ掛け方に関心しているのさ」
「……狂っているのか?」
「おいおい、今しがた世界へ向けて宣戦布告した奴の台詞とは思えねぇな。あーくそ、俺もやっとけばよかった」
そう言って青年は観客たちよりも前に、丁度観客とノイズとの中間地点で脚を止めた。
「二番煎じめいているが、これはお前らへのリスペクトだと思ってくれ」
言って、男は何時の間に手にしていたのか、白い何かを握っていた。そして、黒いボディーアーマーの腰の部分には先程までは無かった筈の仰々しい赤いベルトが巻かれている。
そして。
『ETERNAL』
「変、身」
白い何かを赤いベルトのソケットへと挿入した。
瞬間。白光が青年を包み込む。
光は一瞬。そして光が収まるのに合わせて強い風が放射状に巻き起こった。
光と強風に、誰もが一時顔を逸らした。
そして再び眼を向けた時。
蒼炎が両腕を覆い、影を、闇を纏うように漆黒のローブを翻す黄色い複眼の白い怪人がそこに居た。
「なっ!?」
それはこの舞台を整えたマリアの声か。それとも、機を伺っていた英雄たちの驚愕か。
「さて、それじゃあ遊ぼうか」
腰に帯びていた機械的な意匠のコンバットナイフを構え、ベルトに刺さっていた白を抜き、代わりにナイフのソケットへと挿入する。
『ETERNAL. Maximum Drive』
怪人の構えたコンバットナイフから不可視の力場が放たれた。
そして怪人はおもむろにノイズの群れへ突撃。文字通りに手近なノイズを一蹴する。
それにまた誰もが眼を剥く。
その間にも怪人の進撃は、蹂躙は止まらない。蹴り、殴り、刺し、斬り捨てる。
数十体は居たノイズの群れが、瞬く間に一掃されていく。
「どうした。こいつらはただの案山子か?」
挑発的な言葉を嘲笑混じりに投げ掛けられ、マリアは我に返るとノイズに攻撃命令を下す。
しかし見るからに戦い慣れしているだろう男の動きは僅かに翳ることもなく、まるで動こうが止まっていようが変わらないとばかりにノイズを殲滅していく。
その間もノイズは追加されているが、追加速度よりも殲滅速度の方が速いという出鱈目ぶりだ。
そして。
「くっ!」
ノイズの群れを飛び出した怪人はマリアへと躍りかかり、コンバットナイフを叩きつけた。
しかしマリアはそれを間一髪、後ろへと跳躍して躱す。
「どうした? 武器を取り出さないのか? アームドギア、だったか? あるんだろう?」
言いながらも怪人は流れるようなナイフ捌きでマリアへの攻撃の手を緩めない。まるで、この程度ならまだまだ余裕だろうと言わんばかりだ。
マリアはそれを硬質化したマントや体術で受け流す。
「ははっ! やるなぁ! そうでなくては。それじゃあ、ギアを入れるぞ」
ナイフでのみの攻撃から、蹴りや拳撃までもが混じるようになる。
「くぅっ! 重いっ!?」
恐るべきことに、アームドギア相応の攻撃力を有するマントによる攻撃と打ち合っている怪人の四肢にはまるで痛痒が感じられていないようだった。どころか拳や蹴りが重く、思わず困惑と驚愕混じりの声がマリアの口から漏れる。
「出し惜しみか? なら、これならどうだ?」
男は一度距離を空けると、どこからか取り出した白い物体と同じ形状の青を取り出し、コンバットナイフへと挿入した。
『TRIGGER』
すると、ナイフの刃先から青いエネルギーの弾丸がマンシンガンのように速射される。
マリアは驚愕しながらも、たまらず回避行動に移る。
「出し惜しむのは勝手だ。が、生憎と俺に勿体無い精神はないんでな」
言うや、再び色の異なる何かを手に、今度はそれを腰の横に着いたソケットへと挿入する。
『PUPPETEER』
すると、どうした訳か残存のノイズたちが白い怪人ではなく、マリアへと攻撃の手を変更した。
「なに!? くっ、なめるなぁ!」
雪崩のように襲い来る青の弾丸とノイズの波状攻撃に、ついにマリアはたまらず槍型のアームドギアを取り出し、振り回すことで弾丸を弾きノイズをもまとめて蹴散らす。
「ははは! そうだ、それで良い」
「貴様は、貴様はなんなのだ!」
上機嫌な様相を晒す怪人に、苛立ちも露にマリアが誰何する。
「ん? ああ、言ってなかったか。名乗り遅れたな」
白の怪人は漆黒のローブを翻し、己の身を、存在を誇示するように高らかに名乗りを上げた。
「俺は……エターナル。【NEVER】のエターナル」
怪人は穏やかな口調で、しかしマグマのように燃え立つ戦気を滾らせながら、
「お前らを奪う者だ」
宣った。
ネタバレ。
・エターナルは仮面ライダーを名乗りません。そんな概念ないからね。仕方ないね。本作ではエターナルとしか名乗りません。これはカツミの意地でもあります。
・エターナルはシンフォギアG終盤くらいで死にます。
続きは仮面ライダーエターナルが日朝8時放送決まったら。