※一度シリーズ間違えたので、再投稿しています。
「ウルベルトさんって、マジでパネマジですよねー。喋らなけりゃフツーに格好いいのに、色々残念と言うか?」
そんな事を言い出したのは、バードマンのペロロンチーノで。その場にいた全員が“お前が言うな!!”と激しく内心で突っ込んでいた。
「……ペロロンチーノさん。童貞の癖にパネマジとかご存知なんですね。それはさて置き。俺はペロロンチーノさんだけには、ソレ言われたくありませんけど?ペロロンチーノさんだってアバターの造形格好いいのに、喋ったら単なるエロ好きのアホじゃないですか?」
と、ぴょこん!と笑顔のアイコンを浮かべながらそう言う悪魔の支配者。そのアイコンとは裏腹の冷えた空気に周囲も固唾を飲んで二人のやり取りを見守っている。
「ありがとうございます!俺、やっぱり格好いいですよね!?なのに何で彼女出来ないんですかねー??……ギルメン以外と交流無いからですかね?」
小首を傾げながらそんな事を言い出すペロロンチーノに、ウルベルトは頭を抱えた。
(……コイツ、マジ都合の良いことしか聞いてねぇな!)
と、内心そう思いつつも声には出さない。
「知りませんよ。ユグドラシル内で彼女作ったって虚しいだけでしょうに。リアルで作る努力でもしたらどうです?結局、ナンパだってしてないんでしょ?そりゃ出会いもありませんよ」
先日のオフ会の時の話を持ち出すと、ペロロンチーノは途端に猛然と反論し出す。
「あれはウルベルトさんの方がおかしいんですー!!フツー、あんな風に声掛けられませんからー!!俺とモモンガさんの方がフツーなんですー!!」
ブーブーとそう言うペロロンチーノは、いつの間にかギルマスを強引に話の輪に加えていた。その様に、周囲のギルメンは微妙な表情で三人を見守る。
「ちょっ……!ペロロンさん、何でまた俺まで巻き込むんです!?止めて下さいよ、本当にっ……!」
魔王然としたアバターなのに、人の良さそうな声で慌てている不死者の王。彼もある意味パネマジであった。外見と実物が一致しない、という点で。
「えー?だって、あの場にいたの、俺らだけでしたし。ナンパに怯まないウルベルトさんの方がおかしいんですよね?!」
そうバードマンに詰め寄られて、モモンガは困り顔のアイコンを出す。
「そりゃ……ウルベルトさんの胆力は凄かったですけど。俺、あんな目に遭うならずっと喪男のままでいいと思いましたからね」
と、モモンガはあの日のことを思い出してでもいるのか、遠い目をしていそうな声でそう言う。……酒の勢いで素人をナンパして、不審者扱いされてしまった苦い思い出だ。ペロロンチーノなんかは通報一歩手前だったので、まだモモンガの方がマシではあったのだが。
「……話、ズレてません?って言いますか、そもそもリアルとアバターじゃあ皆パネマジでしょう?多かれ少なかれ、皆さんキャラを作ってるんでしょうし」
ウルベルトのその言葉に、モモンガも周囲のギルメンも大きく頷いた。だが。
「あ!でも、たっちさんだけはパネマジじゃなくない?」
と、そう言い出したピンク色の粘体。ペロロンチーノの姉のぶくぶく茶釜だ。
「えっ!?私ですか?」
突然の御指名に、たっち・みーは困惑したような声を上げる。
「そーそー。たっちさんさー、リアルでもこっちでも言ってること変わらないし?キャラぶれ、ほぼ無いと思うんですよねー。紳士キャラ、って言うの?」
そう言うと、茶釜は視線をウルベルトに向ける。
「ウルベルトさんとかモモンガさんは、ロール重視だからパネマジで当たり前なんだけどね。……愚弟は、まぁ、身内から見ても残念なのは認めるから、アバターと比べたら当然パネマジだしねぇ……」
大きく溜め息を吐きながらそう言われて、ペロロンチーノは!?アイコンを出した。
「ちょ……!姉貴酷くない!?可愛い弟にその発言!!背後からめちゃくちゃ撃ってるじゃん!!」
「……カワイイヨー。けど、パネマジの事はおまいうだったし?つい突っ込んじゃった♡てへぺろ♡」
ハートアイコンを浮かべつつ、営業声でそう言われてペロロンチーノは叫ぶ。
「姉貴のバカー!!そんな声で言ったって許さねぇからな!?何で姉貴がふわりんの仲間のゆりりんなんだよ!!期待してたのに使えねぇじゃねーかー!!」
……ペロロンチーノの怒りは、パネマジ発言からすっかりとズレていた。
「えー??知らなぁい♡だってアレ、御園百合でしょ?声優」
茶釜はハートアイコンを連打してペロロンチーノを煽る。分かりやすいしらを切りつつ。
「ふざけんなぁあっ!!この俺が気付かないとでも!?オタクの駄目絶対音感舐めんなー!!」
ぎゃあぎゃあと仲良く姉弟喧嘩を始めた二人を尻目に、ウルベルトはモモンガを誘って姉弟から距離を取る。
「……で、モモンガさん。今日は何を狩りに行きます?」
「そうですね。ドラゴン系はどうです?確かぷにっと萌えさんが寒冷耐性の装備が欲しいって言ってたので、素材集めに」
そう話しながら遠巻きに見守っていたギルメン達の輪に入ると、たっちが声を掛けてくる。
「……その。結局、パネマジって何なんですか?意味が分からないのですが……」
途端に、その場の全員が固まった。
「たっちさん、どうかそのままでいて下さい。余計なことは知る必要無いですから」
と、モモンガがそう言えば、
「そーそー!貴重な枠なんだから、ボクもそのままでいいと思うなー」
と、やまいこまでもがそう言ったことで、たっちはそれ以上訊くことが出来なくなってしまった。
「……チッ。これだからアーコロジー育ちは」
そうウルベルトは悪態を吐いたが、他のギルメンたちの会話にかき消された。……異形種たちのギルド、アインズ・ウール・ゴウンは今日も平和なのであった。
END