の、リアルの話「無課金同盟がナンパをする話」の後の話です。今回はユグドラシル内でのお話なので、こっちに入れました。
彼女が欲しい無課金同盟のお話です。
ウルベルトさんが紹介するって言ったのは上のリンクの話で名刺をくれた夜の蝶さんのお店です。エッチなお店ではありません、念の為。
「はー……。マジ彼女欲しいーーー!!!!!!」
溜息アイコンをピョコン、と表示させたかと思ったら、いきなりそう叫ぶ親友の姿に、モモンガは困り顔アイコンを出す。
「ペロロンチーノさん……また言ってるんですか?バードマンの発情期って春でしたっけ?」
と、サラリと辛辣なことを言っているのはペロロンチーノのもう一人の親友、ウルベルトだ。
「発情期とか言わないで下さいよっ!俺は恋がしたいんです!!それこそ、ときめいちゃってメモリアル的な?」
首を傾げながらそう言うバードマンを目にして、モモンガもウルベルトも顔を見合わせる。
「ペロロンチーノさん、いつも俺の嫁がーって言ってるじゃないですか?新作のエロゲがしたいとかじゃなく、マジで三次元の女性と恋愛したいんですか?」
怖ず怖ずとモモンガがそう言うが、その内容は地味に結構酷い。
「したいに決まってるじゃないですかっ!!嫁は嫁ですけど、こう、温もりが欲しいって言うか?」
「じゃあ、またナンパに行きます?最低でも十人くらいに声掛ければ一人くらい端末のID教えてくれるでしょ」
しれっとそう言うウルベルトに、モモンガもペロロンチーノも大きく頭を振って拒絶の意を示す。何だかんだ言っても喪男かつ童貞の彼らにはナンパはハードルが高過ぎたからだった。
「ウルベルトさん、マジで心臓に毛が生えてるでしょ!?何で俺らがまたナンパ行くとか思ったんです?前回あんな目に遭ったのに!!」
ペロロンチーノがそうウルベルトに食ってかかると、ウルベルトの頭上に?アイコンが浮かんだ。
「え?彼女マジで欲しいのなら行動しなきゃでしょ?俺はこうして皆さんと遊んでる方が愉しいから、積極的に彼女作ろうとは思いませんけど……ペロロンさんくらい必死に言うのならガチでナンパするなり相談所に行くなりしないと」
……正論で返されて、ペロロンチーノは一瞬黙る。が、次の瞬間、!アイコンを連打しながらウルベルトに食ってかかった。
「そんなのっ!!全ッ然ロマンチックじゃないじゃないですかっ!!こう、通勤途中に女子とぶつかって恋が始まったりとか!夢見たっていいじゃないですかー!!!!!」
「……」
「……」
思っていた以上に喪男を拗らせまくっているペロロンチーノに、モモンガもウルベルトも無言になっていた。そして、ウルベルトは深く深呼吸をして再び口を開く。
「……ペロロンさん、エロゲ脳過ぎません?リアルでそんな出会い、宝くじの一等に当選するくらい奇跡的な確率だと思いますけど。そもそも、外だと皆マスクしてるんですから顔なんざ見えませんし、一目惚れとか難しいでしょ、お互い」
「あー。確かにそうですね。ぶつかるくらいはあるでしょうけど、そこから恋に発展までは厳しいかも?」
ウルベルトの言葉にモモンガは!アイコンを出して頷いている。
「酷いですよウルベルトさん!姉貴と似たようなこと言って男の夢を否定するなんてっ!ウルベルトさんだって俺の気持ちわかるでしょう!?同じ男なんですからっ!!モモンガさんも、何でそう変なとこで現実見ちゃうんですか!?もっと夢見ましょうよ!!いつか叶うと信じて!!」
(あー……。ペロロンさん、茶釜さんの前でも彼女欲しいって言ってるのか。そりゃ突っ込まれるよな……。そう言いつつも外出なくてエロゲ三昧じゃ……)
そう思いつつも、ウルベルトはその事には触れないでおく。一応一番年上なので、大人の情けというやつだ。
「そ、そう言われても……!確かにそういう偶然の出会いからの恋って憧れますけど、実現するかって言ったら難しいのも理解出来ますし……」
モモンガは困り顔アイコンを出してそう答えている。
「ペロロンさん。温もりが欲しいだけならそういうお店紹介しますから。綺麗なお姉さんに悩みを話して、スッキリしてきたらどうですか?俺、この間名刺貰いましたし……紹介出来ますよ?」
笑顔アイコンを出しながらウルベルトがそう提案すると、ペロロンチーノは三対の羽根をばたつかせながら叫ぶ。
「違うんですよっ!!温もりは欲しいですけど、それだけじゃなくってときめきが欲しいんですっ!!」
「好みのお姉さんに当たれば、ときめくかもしれませんよ?まぁ、多少お金は掛かりますけど」
笑顔アイコンを再び出しながらウルベルトが言えば、モモンガは困惑顔アイコンを出す。
「……その、ウルベルトさん。そのお店での恋愛成就率ってどれくらいなんです?」
どうやら、モモンガも少しは興味があるらしい。
「ゼロでは無いですけど、まぁ低いでしょうね。俺の体感だとナンパの方が成功率は高い気がします。……って言っても、俺も喪男だし大抵は友達止まりですけど」
「そうですよね……。けど、俺もペロロンチーノさんももうナンパは無理なので……」
しょんぼりアイコンを出してモモンガがそう言うと、ウルベルトは途端に慌て出す。
「じゃ、じゃあ、合コンならどうです?俺、ナンパで結構女友達出来たのでセッティングしますよ!」
「ほ、本当ですか!?ふわりん♪似の娘とか来ます!?」
ウルベルトの言葉に思いっきり食いついたのはペロロンチーノだ。素面だとギルメン以外の女性とはあまり話せないというのに。話題がエロゲばかりであるが故に。
「……ロリとかは無理ですよ?それこそたっちさんに捕まりますから、成人女性限定になりますけど……それで良ければ」
ペロロンチーノのあまりの勢いに一歩引きながらウルベルトがそう答えると、ペロロンチーノは思いっきりウルベルトにハグをして笑顔アイコンを連打した。
「オッケーです!!後で端末にふわりん♪の画像データ送るので、それ系の娘お願いしますっ!!俺、土日空けときますからっ!!」
「了解です。モモンガさんもそれでいいですか?清楚系の巨乳のお姉さん呼びますんで」
ウルベルトのその言葉に、モモンガは無言で何度も拍手アイコンを飛ばしていた。
後日。ガチで行われた合コンでも結局二人とも彼女は出来なかった。ペロロンチーノの敗因は話題の少なさ、モモンガの敗因は良い人過ぎて恋愛対象に見られないという点で。傷心の二人を慰めるウルベルトの姿が複数のギルメンに目撃されていたのだった。
そして、それは季節の変わり目毎に目撃されていて。アインズ・ウール・ゴウンではいつもの光景となっていたのだった、悲しいことに……。
「彼女欲しいーーーー!!!!」
そう叫ぶペロロンチーノの姿はある種の風物詩となっていたので、他のギルメンはその叫びで季節が変わることを実感していたのだった。
「またペロロンチーノさんが叫んでますね」
「あー、そろそろ冬だからじゃないですか?クリスマスもありますし」
ヘロヘロとぷにっと萌えがそう言う先には、相変わらず騒がしい三人の姿があった。
「……そう思うんならゲーム以外の話題を作って下さいよ……。俺もう紹介出来る娘居ませんよ?」
「パンを咥えた合法ロリっ娘とぶつかって恋に落ちたい……!!転んだあの子に手を差し伸べて、ごめんね、大丈夫?って言うんですー!!」
「まだ言ってるんですかペロロンチーノさん。俺は……友達以上になれる女性がいいです……」
哀愁を帯びた風にそう言うモモンガに、ウルベルトは?アイコンを出している。
「話題がほぼ無いペロロンさんは兎も角、営業やっててコミュ力もあるモモンガさんに彼女が出来ない方が不思議ですよね……。紹介出来る娘マジでもう居ないんで、頑張って友達からステップアップを目指すしか……」
「それが出来たら苦労はしませんよっ!!俺、ユグドラシルと彼女だったらユグドラシル優先しますしっ!!」
そう答えるモモンガに、ウルベルトは頭を抱えた。
「……モモンガさん、原因ソレです。彼女出来たら俺らよりそっち優先してあげて下さいよ……。何でユグドラシル優先しちゃうんですかっ!」
ウルベルトが溜息交じりにそう言えば、モモンガはすぐに答える。
「え?そりゃ皆と居る方が楽しいからに決まってるでしょう?」
「……」
「……」
モモンガのその言葉に、二人とも一瞬黙って。次の瞬間、爆笑していた。
「あー!もう、モモンガさん最高!!俺、しばらく彼女居なくてもいいかな」
「そうですね。ペロロンさんの場合は暫くって言うかずっと居ませんけども」
楽しそうに笑いながらそう言う二人を、モモンガは?アイコンを浮かべながら不思議そうに見つめていたのだった。
こういう、何気ない日常をアインズ様が思い返してるのかな、とか思ったら切なくなりました。アインズ様には幸せになって欲しいです。