「知ってます?皆殺しって、"鏖殺"とも言うんですよ。敵に言うと格好いいと思いません?『瞬く間に鏖殺してくれよう』とか」
敵対ギルドの面子を全滅させた後。円卓の間でダラダラとしている最中、ウルベルトがそう言い出して。素直なモモンガは!アイコンを出す。
「へぇ、そうなんですか。全然知りませんでした。ウルベルトさんって博識なんですね」
「そんな事は無いですよ。全ての悪魔を統べる者である悪魔の支配者としては必要な知識だけしかありませんんし」
笑顔アイコンを出しながらそうウルベルトが答えると、今度はペロロンチーノが口を開く。何の考えも無しに。
「ウルベルトさん、薔薇と醤油と憂鬱とかも書けそうー」
「……ひょっとしてペロロンチーノさん、俺の事馬鹿にしてたりします?まぁ、其れ位なら書けますけど」
そう言いながら、ウルベルトは円卓の間に置いてあるホワイトボードに文字を書き始める。
「さっき言ってた鏖殺って言うのが此れで、後は……薔薇と醤油と憂鬱、でしたっけ?」
サラサラと文字を書いていくウルベルトを、二人は!アイコンを浮かべながら尊敬の眼差しで見つめていた。
「ウルベルトさんマジすっげぇ!!漢字王じゃん!!」
「本当にすごいですね。俺、鏖殺は読めませんけど他は読むのはともかく書くのは無理ですね」
二人にそう褒められて、ウルベルトはドヤ顔アイコンを出す。
「まぁ、電子化してるから自分で書く機会なんて殆ど無いんですけどね。悪魔の支配者としての嗜みの一つと言いますか」
「じゃあ、ひょっとしたらウルベルトさん、ビャンビャン麺のビャンって書けたりする!?」
と、唐突にそう言われて。ウルベルトは苦笑アイコンを浮かべる。
「画数多ければ何でも書けるって訳じゃ無いですけど……まぁ、一応は。一世紀くらい前に流行った料理ですよね、ビャンビャン麺って。確か古代図書館のレシピブックにも載ってますから、料理長にレシピブック見せれば食べられる筈ですよ。俺はバフ付かないので食べたこと無いですけど」
そう言いながら、ウルベルトはホワイトボードにビャンビャン麺と漢字で書く。その画数の多さに、モモンガもペロロンチーノも思わず感嘆の声を上げていた。
「えっ!!マジで書けんの!?ウルベルトさんすっげぇ!!ひょっとしたらヤンキーが書くよろしくって漢字も書けちゃったりする!?」
期待を滲ませながらペロロンチーノがそう叫ぶと、ウルベルトは溜息アイコンを浮かべる。
「書けませんよ。ペロロンチーノさん、俺の事何だと思ってるんです?ヤンキー文字って悪魔の支配者らしくないし、そもそも美しくないじゃないですか」
「えー?そんな基準なの?漢字なら任せろ!っていうんじゃないの?」
「ペロロンチーノさん……別にウルベルトさん本人が漢字王って名乗った訳じゃ無いんですし、無茶振り過ぎません?」
ペロロンチーノの言葉に、モモンガがそう言うとウルベルトは笑顔アイコンを出す。
「ありがとうございます、モモンガさん。……ペロロンチーノさん。俺、ロールプレイに不要な知識はあんまり無いので、漢字だってそんなに書けないですよ?悪魔らしい虐殺とか拷問とかなら書けますけど……この程度は一般教養ですよね?」
「物騒!!何でそんな使いどころが限られてる漢字ばっかり!?よく考えてみれば鏖殺だってそうだけど!!」
ペロロンチーノは怯え顔のアイコンを出しながらそう叫ぶが、ウルベルトは平然と答える。
「だって、悪魔ってそんなモンでしょう?」
「そうかもだけどっ!!知識偏り過ぎてません!?」
ペロロンチーノのその言葉に、モモンガはのんびりと口を開く。
「……まぁ、でも皆そんな感じじゃありませんか?タブラさんも博識ですけど、専門の事以外は知らないことも多いですし。他の人もそうだと思うんですよね。ペロロンチーノさんだとエロゲですかね?専門分野」
モモンガのその言葉に、ペロロンチーノは!アイコンを出す。
「専門分野って言える程極めてるかは分かりませんけど、まぁそうですね。ぶっちゃけ、それ以外は俺あんまり知りませんし、ビャンビャン麺も書けないですし……」
「ペロロンチーノさん、どんだけビャンビャン麺推しなんですか?何でそんな昔に流行った麺類の事覚えてるんですか?」
ペロロンチーノのその言葉に、ウルベルトは呆れ気味にそう突っ込む。
「難読漢字なら、朱雀さんが多分詳しいですよ。インしてきたらその辺色々教わってみます?ロールプレイに必要な漢字とかも教えてくれそうですし」
モモンガが笑顔アイコンを出しながらそう言えば、ペロロンチーノもウルベルトも笑顔アイコンを出して応える。
「そうですね。それも楽しそうです」
「あ!難読漢字かどうかは分からないけど、俺、『嬲る』って漢字なら書けますよ!!」
嬉々としてそう言うペロロンチーノに、ウルベルトがすかさず突っ込みを入れる。
「止めろ馬鹿鳥。BANされんだろ、エロゲ関連用語は」
「えー?いたぶって殺すのも嬲り殺しとか言うし、セーフじゃね?」
「運営が何処まで許してくれるかを探るようなチキンレース、止めません?俺、ペロロンチーノさんがBANされたら悲しいですし……」
モモンガのその言葉に、ペロロンチーノはしょんぼりアイコンを出す。
「うぅ……。モモンガさんがそう言うなら止めますけど。朱雀さんに大人の漢字を教わる絶好の機会だと思ったんだけどなぁ……」
「朱雀さんもインしていきなりエロい漢字教えて下さいとか言われたら驚くと思いますよ……」
ペロロンチーノのその言葉に、ウルベルトは呆れたようにそう言った。
そうして、他のギルメンがログインするまで、三人は他愛ない会話を楽しんでいたのだった。
END