ユグドラシル小話   作:赤紫蘇 紫

8 / 10
※実在のコミカライズ作品を読んだ瞬間、私の脳内でペロロンチーノさんが騒いだので書きました。(笑)


喪男の日常【無課金同盟】

「あー、もうっ!!一体前世でどんな徳を積んだら幼女に馬にされて鞭打たれるなんてご褒美貰えちゃうんです!?」

「……は?」

 ログインして早々、そう訳の解らない事を叫ぶ友人に、モモンガは呆気に取られる。

「えーと……何の話ですか?って、鞭打たれるのがご褒美って何でですか!?」

 常人には理解不可能なペロロンチーノの思考回路に、モモンガはそう訊かずにはいられなかった。

「これ!!姉貴に勧められたラノベのコミカライズなんですけどっ!!転生幼女が使用人を馬にして鞭打つ描写があるんですよっ!!」

 タブレットでデータをモモンガに見せながら、ペロロンチーノはそう捲し立てる。

「はぁ……それで?何でご褒美になるんですか?」

 テンションが信じられないくらい高いペロロンチーノとは正反対に、落ち着きまくってるモモンガがそう訊くと、ペロロンチーノは!アイコンを出してモモンガを凝視する。

「……え?モモンガさん、マジで言ってます?」

「え?え??マジでって……何でですか?」

 さっぱりペロロンチーノの言っている意味が理解出来なくて、?アイコンを出すモモンガに、ペロロンチーノは嘴がぶつかりそうなくらいに近付いて持論を力説し始める。

「いいですか?モモンガさん。まず、俺が幼女好きなのはご存じですよね?」

「え?えぇ、まぁ。合法ロリ最高って言ってますもんね、常日頃から」

 モモンガのその言葉に、ペロロンチーノは大きく頷いて続ける。

「で、ですよ。そんな俺にとって、幼女の馬になるのはご褒美なんですよ」

「それ!!それですよっ!!何でそれがご褒美になるんですか?俺にはそれ理解不能なんですけど……」

 至ってマトモなモモンガの言葉だったが、ペロロンチーノは?アイコンを浮かべて首を傾げている。

「え?ご褒美ですよね?幼女の馬になれるなんて。だって、乗って貰えるんですよ??」

「……」

 サッパリその言葉が理解出来ないモモンガは無言のままだ。だが、ペロロンチーノは構わず語り続ける。

「更に鞭ですよ、鞭!!ご褒美過ぎませんっ……!?」

「……俺にはそういう変わった趣味は無いので、何とも言えませんね……」

 辛うじてそう返すモモンガに、尚も言い募ろうとするペロロンチーノだったが、ペロロンチーノが口を開く前に別の声が聞こえた。

「こんにちは、モモンガさん、ペロロンチーノさん。何を話してたんですか?」

 ついさっきログインしたばかりのウルベルトがそう挨拶をすると、モモンガもペロロンチーノも二人して同時に!アイコンを出した。

「ウルベルトさんっ!!ペロロンチーノさんが特殊な趣味過ぎて俺ついて行けません……!!」

 と、モモンガがそう言えば。

「ウルベルトさん!!幼女の馬になるのってご褒美ですよねっ!?」

 と、ペロロンチーノも叫ぶ。

「……一寸、待って貰って良いですか?いきなり二人して何言ってるんですか?」

 そう言うウルベルトに、ペロロンチーノはダッシュで近寄ると持説を熱く語る。

「聞いて下さいよっ、ウルベルトさん!!どんな徳を積んだら、幼女の馬になって鞭打たれるようなご褒美プレイをして貰えるんだと思います!?」

「……モモンガさん、状況説明をお願い出来ますか?俺、ペロロンチーノさんの言葉を聞いても全く理解出来ないんですけど……」

 ペロロンチーノの言葉に混乱したウルベルトは、静かにそうモモンガに訊く。すると、モモンガはさっきのやり取りをそのままウルベルトに伝える。

「……ペロロンチーノさん」

「はい?」

「ドMでもなきゃ、鞭打ちって普通に拷問ですからね?幾ら相手が幼女でも、鞭ですよ?痛くない訳無いじゃ無いですか。なのに、何でそれがご褒美とか言い切ってるんですか?ペロロンチーノさんと違ってマトモなモモンガさんが混乱するから止めて貰えます?」

 と、ウルベルトは冷静にペロロンチーノの言い分を一刀両断したのだった。

「えっ!!酷いウルベルトさんっ!!それじゃまるで俺がマトモじゃないみたいじゃないですかっ!!」

 そうペロロンチーノは反論するが。

「マトモな人は馬になりたいとか言いませんよ……。エロゲ脳過ぎません?少なくとも一般常識ではマトモとは言いません」

 ウルベルトはバッサリと切って捨てたのだった。

「良かった……!やっぱり一般的にはご褒美じゃないですよねっ!!俺がおかしいのかと思っちゃいましたよ……!」

 そう言って胸を撫で下ろすモモンガに、ウルベルトは笑顔アイコンを浮かべる。

「安心して下さい、モモンガさん。ペロロンチーノさんの常識はエロゲ内での常識なので、一般的には非常識です」

 ウルベルトの容赦の無い言葉に、ペロロンチーノは泣き顔アイコンを浮かべる。

「ウルベルトさんっ、酷い!!俺に厳しくない!?」

「厳しくないですよ。多分、他のギルメンに訊いても同じ答えが返って来るんじゃないですか?……ドMな人でもなきゃ、同意しないと思うんですけどね……」

 溜息を吐きながらそう答えるウルベルトは、呆れたようにペロロンチーノを見ていた。……実のところ、ペロロンチーノが訳の解らない事を言い出すのは、これが初めてでは無い。その度にウルベルトが冷静に突っ込みを入れるのが当たり前になっていたのだった。だからこその、幾分冷めた反応だったりするのだが。

「兎に角。もうモモンガさんに変な知識を常識だと教え込まないで下さいよ?モモンガさんも、ペロロンチーノさんの発言は話半分くらいに聞いておかないと」

「はい……そうですね」

 ウルベルトの言葉にモモンガは素直に頷く。

「ちょ!?モモンガさんもウルベルトさんも酷くない!?」

「酷くないですってば。ペロロンチーノさんが毎度毎度変なこと言うからでしょうに……」

 そうやって騒いでいるペロロンチーノとそれをいなしているウルベルトを見て、モモンガはひっそりと笑った。こんな平穏な日々がずっと続けばいいな、と思いながら。だが、今のモモンガはアバターの姿なので、誰も今モモンガが笑っていたなんて気付かなかった。

 

 

 

 

 転移後。シャルティアが罰として椅子になりたがった時、モモンガの脳裏に浮かんだのはこの時のペロロンチーノだった。

(……NPCって本当に創造主に似るんだなぁ……)

 と、当時の事を思い返し、モモンガは密かに幸せな気持ちになっていたのだった。

 

 

終わっちゃう。

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