木場裕斗GX   作:柳ノ介

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もしかしたら私は出来る子かもしれない

 side 裕斗

 

 ライザー・フェニックスとレーティングゲームすることが決まった日の夜、僕の家にギャスパーくんを除いた眷属のみんなが集まった。今後の方針を決めるためだ。

 

「明日からは山の別荘にこもって特訓よ」

 

「そうですわね。アーシアさんに戦闘のいろはを指導する必要もありますし、特訓に集中したいですもの」

 

「お手数おかけしますが、よろしくお願いします!私も部長さんのお役に立ちたいです!」

 

「ありがとう、アーシア。あなたの力は回復。ならやることは自ずと決まってくるわね」

 

「はい、アーシア先輩が学ぶべきことは…」

 

「逃げること、だね」

 

「逃げること?」

 

「うん、アーシアさんの神器が回復系ということは、君が残っている限り僕たちは何度でも戦える、ということさ。つまり君は僕たちの中でもかなり重要度が高いということになる。もしかしたら僕たちの中の誰かが犠牲になってでも守る場面が来るかもしれない。そういった意識改革も含めた特訓になるかもね」

 

「わ、わかりました。でも自分を犠牲にして私を守るとかはやめてくださいね?」

 

「あらあら、ならそうならないように相手に余裕をもって勝てるようにならないといけませんわね?」

 

「はい、アーシア先輩の要求しているレベルがさりげなくすごく高いです」

 

「ええっ!そ、そんなつもりは!」

 

「ふふっ、大丈夫よアーシア。みんなあなたをからかってるだけ。でも実際アーシアを守るためには手の数が足りないのよね。こちらが王である私含めても5人なのに対して相手はフルメンバーの眷属だけでも15人。これだけでも戦力差は3倍なのに、相手の王はフェニックスであるライザー。実際裕斗は勝てるとおもう?」

 

「そうですね。全力でやらせてもらえれば負けることはないと思います。魔剣創造なら不死殺しの魔剣も作れますし。ですが先ほど来たグレイフィア様からの連絡では、その類の魔剣を使うことを禁じられました。なんでも本当に殺してしまいかねないからだそうです」

 

「それは痛いわね。それ込みだとどう?」

 

「そうですね……。不死殺しが使えないとなると、少々大変ですね。僕の神器だとフェニックスの不死を打ち破るほどの火力は出せませんし。なので倒すのにはもう一つの手段、ライザーの心を折るという方法を使うことになります。時間がかかると思うので、1対1に持ち込ませてもらえれば倒せます」

 

「そう、ならライザーと戦う前に相手の眷属を全滅させるか、裕斗が戦ってる間他の全員で彼女たちの足止めをするかね。どちらの手段をとるにしてもやっぱり手の数が足りないわね。私とアーシアは前線に出るわけにもいかないし……」

 

「お困りのようね、リアス・グレモリー」

 

 そういってレイナーレさんたち3人が部屋に入ってきた。

 

「あの、どうやって入ってきたんですか……?」

 

「え?リアス・グレモリーに合いカギをもらったわよ?聞いてなかったの?」

 

「言ってないわよ、サプライズだもの」ニッコリ

 

「教えて下さいよ……」

 

「それで?どうしたのかしら」

 

「ええ、私たち3人で話し合って決めたのだけど、あなたの眷属になるという話、受けることにしたわ」

 

「本当!?歓迎するわ!でも急にどうして?」

 

「あなたたちは命の恩人だもの。それに、今は猫の手も借りたいんじゃない?」

 

「確かにその通りよ。でも転生したらもう元には戻れない、一生ものの決断なのよ。だからそういった恩とか気にしないで決めて欲しいの。その上で聞くわ、レイナーレ、カラワーナ、ミッテルト。あなた達3人は私の眷属になってくれる?」

 

「「「ええ(ああ)(はいっす)!!!」」」

 

「ありがとう、これからよろしくね?それじゃあ早速転生させるから私の前に並んでちょうだい」

 

 そう部長が言うと3人はまるで訓練されたかのように同時に並んだ。息ピッタリのようだ。

 

「なるほどね。元々そうするつもりだったけど、あなた達3人はチームワークが抜群のようだから駒を揃えて3人組で動きやすいようにしておくわね。というわけであなた達は3人とも兵士(ポーン)の駒よ」

 

 そう部長が言うと3人に悪魔の駒が入っていく。いや、レイナーレさんだけ上手くいっていない。

 

「わ、私だけなれないの?」ウルッ

 

「いえ、これは良い拾い物だったかもしれないわね」

 

「そうですわね、リアスの駒で転生できないなんて......」

 

「もう一つ入れてみましょう」

 

 今度は上手く転生出来たようだ。どうやら部長の兵士の駒一つではレイナーレさんを転生させるには足らず、二つ必要だったようだ。

 

「なるほど、私が優秀だったから駒が二つ必要だったってわけね!」ドヤァ

「さすがです、レイナーレさま」

「さすがレイナーレお姉様っす!!」

 

「さすがです!レイナーレさま!」

 

「心強い味方が一気に3人も増えて僕も嬉しいよ」ニッコリ

 

「ま、まぁそうね///!これからもよろしくしなさい木場裕斗!!」

 

「あっ、僕のことはそんなフルネームじゃなくて下の名前で呼んでください。これからは同じ眷属の仲間なんですし」

 

「わかったわ、裕斗って呼ばせてもらうわ。私のこともレイナーレって呼び捨てでいいわよ」

 

「「「ちょっと待ちなさい((待ってください))」」」

 

「な、なによ?」

 

「裕斗は部活中は全員さん付けで呼んでるの。それなのにあなただけずっと呼び捨てなんてずるいわ」

 

「そんな!?いいじゃない、これくらい!」

 

「だめよ!私なんて部活中は部長なんていう味気ない呼び方されてるのよ?それなのにあなただけ名前で呼び捨てなんかされてたらおかしくなりそうだわ!!」

 

「あら、でしたらこれを機に裕斗くんには部活中でもみんなの事を呼び捨てで呼んでもらいましょうか」

 

「「「「「「それだわ((です))(だな)(っす)!!」」」」」」

 

「決まりですわね」

 

「あの、僕の意見は......」

 

「いいじゃない裕斗。眷属も増えたし部活の時間中からフレンドリーに行きましょう?」

 

「......分かりました。でも部活中の敬語だけは外しませんからね!」

 

「部室内とかのプライベート空間ではいいと思いますが、私たちにとって部活中はある意味仕事中みたいなものですからね。裕斗先輩のプロ魂って感じですね」

 

「話は変わる、というか戻るんだけどみんなはどの駒で駒の数はどうなってるのかしら?」

 

「そうね、あなたも私の眷属になったんだからその辺のことを詳しく話すわね。

 まず朱乃は女王の駒。これは当然一つで済んでるわ。

 次に小猫は戦車の駒。小猫も一つで済んでるけど、戦車の駒は兵士の駒三つ分よ。

 あなた達があったことのない僧侶の駒の子もいるの。この子は変異の駒(ミューテーションピース)と呼ばれる複数消費が必要なところを一つで済ませてしまうという特殊な駒で転生してるわ。

 アーシアはあなた達も知ってる通り、僧侶の駒一つ。

 最後に裕斗は騎士の駒一つと兵士の駒二つという扱いなの。これは特殊な事情が絡んでるんだけど、あなた達は元々裕斗がルシファー様の眷属だったのは知ってる?」

 

「ええ、堕天使側では無限の剣聖の名を知らないものは居ないくらいだもの。流石に神器を見るまでは気づかなかったけれどね」

 

「そんなに有名なのね......。それはともかく、幼少期から魔王眷属だった裕斗はそこで鍛え上げられていったの。そしてある程度成長してから年が近くて現ルシファー様の妹である私の眷属になったの。当然その時の私では到底眷属に出来るような強さじゃなかったから、騎士の駒一つと兵士の駒二つで当時お兄様の兵士一つ分だった裕斗をトレードしたの。

 

 その時悪魔の駒の開発者であるアジュカ・ベルゼブブ様に協力していただいて、裕斗の中には私の騎士の駒と兵士の駒二つを統合した騎士の駒を入れて、元々入ってたお兄様の兵士の駒はルシファー様に返したの。

 

 これは本来許されないことなの。魔王様の眷属をトレードするなんて普通あり得ないわ。でもお兄様は裕斗を転生させる時元々そうしようと思ってたみたいなの。だから秘密裏にそんなトレードをしたわけ。

 

 公式の記録には裕斗が魔王眷属だったことは乗ってないわ。最初から私の眷属だったことになってるの」

 

「そんなのすぐバレちゃうんじゃない?少なくとも堕天使側では魔剣創造の所有者は魔王眷属だって有名だもの」

 

「実はね、裕斗の名前は悪魔側では有名じゃないの。むしろ無名といっても過言じゃないわ。これは裕斗が幼少期堕天使やエクソシストと特訓で戦ってあげた戦果が全て他のお兄様の眷属の方のものになってるからなの。だから悪魔たちは記録のない木場裕斗という名の魔王眷属がいたことを信じない。

 

 さらに堕天使側でも有名なのは木場裕斗という名前ではなく無限の剣聖という二つ名だけでしょ?年も顔も知らなかったからこそ貴方たちは裕斗が無限の剣聖だと気づかなかった。

 

 あと裕斗は幼少期から信じられないくらい強かったの。だから子供ではあり得ないような戦果を上げ続けていたわ。

 

 つまりこの話をまとめると、無限の剣聖はその強さからある程度年を重ねた熟達者だと思われているけれど、本当は裕斗の子供時代の話だから年齢が噛み合わなくて基本的には信じないのよ」

 

「でもドーナシークは気づいてなかった?」

 

「確かにそうね。どうしてかわかるかしら裕斗?」

 

「そうですね、もしかしたら過去に一回会ったことがあるかもしれません。あのシルクハットには少し見覚えがありました」

 

「それだけで気づいたのかしら?」

 

「一つ確実に言えることは、ドーナシークは一定以上の強さを持って居ました。だからこそレイナーレさんたちは捕まってしまったし、僕も全力で逃がさないようにしました」

 

「うっ、耳がいたいわ......」

 

「なるほどね、私はトドメを刺しただけだから気づかなかったわ」

 

「まぁ今は既に倒した敵のことはいいじゃないですか。明日からの特訓頑張りましょう!」

 

「そうね。みんな!明日からは学校を休んで10日間の特訓に入るわ。英気を養うために今日は皆んなでここに泊まって、そのまま別荘のある山まで行くわよ!というわけで、皆んな荷物を取りに一旦家に帰りなさい!解散のちすぐ再集合よ!!」

 

「「「「「「はい、部長!!!」」」」」」

 

「え、泊まるんですか?明日から合宿なんだから今日くらいはいいんじゃ......」

 

「「「「「「「だめよ(ですわ)((です))(だ)(っす)!!」」」」」」」

 

 と言うわけで今晩は有無を言わせず皆んなうちに泊まった。寝室や客室を皆んなに明け渡し、僕はリビングに布団を敷いて1人寝ていたが、朝起きたら皆んな布団に入ってきたり、僕の上で寝たりして凄い事になっていた。健全な高校生男子には非常に危険なものだった、とだけ伝えておく。

 

 

 

 

 あ、一応兵藤くんも最近特訓をサボりがちだったのでついて来てもらう事にした。何だか鼻息を荒くしながら喜んでいたのに危険なものを感じたので、思わずチョップしてしまった僕は悪くない。




どうも、おはこんばんにちわ。
10話目でした。ついに二桁に乗りましたね。まぁそれはともかく、前回「次回で特訓編終わります」みたいなこと書いてたのに特訓編に入ることすらできなくてすいませんっした!!なんか気づいたら今回は設定説明回みたいになってました。なので、今回つまんねぇーなおい!クソかよ!と思った方もまだ僕を見捨てないでください!何でもしますから!!ん?今なんでもって以下略。
最近会話文でしかストーリーが進んでないですね。たまには地の文がガッツリあるのも書きたいですな。書けるかは別にして。まぁ、そのうちね?

本日も最後に、感想、評価、お気に入りしてくださった皆様本当にありがとナス!
次回も見て欲しいなぁ、俺もなぁ......(MUR大先輩感)
因みに前回のサザエさんのじゃんけんはチョキでした。勝てた皆んなはこの小説の評価に☆10を、負けた方は評価に☆10を、あいこだった方は評価に☆10をつけると異世界転生出来ますやってみてください。

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