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「はっ、はっ、はっ」
ライザーは今墓標のように無数の剣が突き立てられている白銀の世界を逃げ惑っている。理由を知るには少し時間を遡る必要がある。
30分前ーーーー
「ここが貴様の世界だと?ふざけたことを抜かすな!そんなこと、あり得るわけがないなだろう!」
「僕は事実を伝えただけだ」
そう告げると裕斗はライザーを中心として半球状に大量の魔剣を展開させる。
「な!?」
「貴方は何もわかっていない。ここで僕の敵になるということはこの世界を敵に回すことに等しい。リタイヤするなら早めにすることをお勧めするよ」
「ふざけるな!!下級悪魔風情がこの俺に勝てると思うなよ!!」
「なら、まず一回だ」
裕斗が静かにそう告げると大量の魔剣がライザーを貫く。ライザーはこの寸前までまったくの別の世界に引きずり込まれた驚愕はあっても、焦りはなかった。先ほどまで裕斗が使っていた魔剣たちに一切の脅威を感じなかったからである。事実、裕斗はライザーの大火球は炎喰剣で防げていなかったし、氷結の魔剣が四本自分に刺さっても大したダメージではなかった。だからこそ大量の魔剣に刺されたところで大したダメージにはならないと踏んでいた。あえて貫かれた後余裕を見せてやることで裕斗の心を折ろうとしたのだ。しかしーーーー
「ぐはっ!?」
想定を遥かに超える威力だった。
「今貴方に向けて放った魔剣たちは特に能力は付与していない。ただ、よく切れていい威力を持っているというだけの剣たちだ。そして、これからこれ以上のものが無限に貴方に襲いかかる。受け切れるものなら受けてみろ!!」
先ほどまでとの火力の差の原因は当然ながらバランスブレイクしたことにある。
まず魔剣創造。こちらは能力と形状を軽く思い描くだけですぐに創造可能である。この即効性で、ある程度の能力が見込める。しかしこれは逆に言えばある程度の能力までしか見込めない。せいぜい武器としては二流が精一杯なのである。
それに対して無限の剣製。こちらはあらゆる要素を想像しなければならない。つまり創造までに一定の時間を要する。しかしこの問題は訓練によって解消することができる。同じものを何度も反復して作り出すことによってあらゆる要素を瞬時に想像できるようになればいいのである。そして更に重要な点が1つ。こちらの創造はほとんど武器の性能に上限がない。想像出来るなら創造出来るという破格の性能なのである。ただ、ここは裕斗が作り出した世界なので、この世界を崩壊させるほどの威力を持ったものは作り出せないが。
そしてもう一つ、明確な違いがある。魔剣創造はその性質状、剣の形でなければならないのに対し、無限の剣製は裕斗が剣だと思い込めれば何でも作れる。例えばーーー
「な、何だこれは!?」
復活してきたライザー今まさに縛り上げている天の鎖である。これは先端に鏃が付いており、そこで切ろうと思えば切れ、刺そうと思えばさせるから裕斗は剣だと定義した。他にもーーー
「ははは!!油断したな!!!」
ライザーはそういうと、今度は手のひらから裕斗にむけて火柱を放った。しかし、それは裕斗の前に展開された、七枚の美しい花弁のような何かによって防がれる。
「
伝承に残る盾の名前を冠するこれは剣ではないとも思える。しかし、裕斗はこれを防御に特化しているだけの剣であると定義した。
このように裕斗の中でこじつけることさえできてしまえば、何でも創造することができる。当然ちゃんとした剣の方が創造しやすいのだが。
「くそっ!なぜだなぜだなぜだ!!何故この俺が追い詰められている!!」
「貴方がリアスを泣かせたからだ!だから貴方はここで僕に負ける!!」
その宣言とともにまた大量の魔剣がライザーを囲う。
「ふざけるなあああああ!!!」
そうライザーが叫ぶと炎の翼が展開され、周囲にあった魔剣を薙ぎ払った!!
「この俺はライザー・フェニックス!!最強の不死鳥なんだ!!負けるはずがないんだああああ!!!」
これはライザーの必勝の技。裕斗にもはや自分の炎弾は効かないと悟ったライザーは、その不死身の体を持って自爆特攻を仕掛けたのだ。
「その程度の安い手でどうにかなると思わないで欲しいな。無限一刀流、乱立の並!!」
そういって裕斗は自分の周りに大量の魔剣を展開する。こちらも最強の技の一つ。自分の周囲の魔剣たちは剣であり、盾であり、弾であるのだ。
「ふっ!!」
まず八本の剣をライザーに向けて撃ち放った。ライザーは今自爆特攻中であり、避けることも防ぐこともしない。その剣たちが全て刺さったまま乱立の並に突っ込んでくる。そうするとひとりでに動き出し、裕斗の手にある一本を除いた十二本の魔剣たちがライザーを切りつけ始めた!!
「ぐはっ!!」
さすがのライザーもここで少し勢いが落ちる。そしてそこに、最後の一本を持った裕斗が目にも留まらぬスピードで接近する。
「乗法二十四本!」
ライザーを切りつけていた魔剣たちの上から打ち込むようにしてライザーを切る!
こうしてライザーは3回目の死を迎えた。だが、そこは不死鳥。3回程度ではリタイヤにはならない。しかし、復活したライザーは四つん這いになっていた。
「まだ、やるのかい?」
「ひっ」
その声を聞いただけで震え上がりライザーは逃げ出した。ここまでの時間はたったの8分。その間に自分は3回死亡し、逆に相手は傷一つ負っていない。その実力差にライザーは逃げ出した。しかしここは何度も言うが裕斗の世界。どこに逃げようとも、どこに隠れようともその居場所は割れている。元の時間に戻るまでにライザーは追加で23回、計26回死亡した。
だがまだリタイヤにはならない。リザインもしない。ライザーはこの状況において、たった一つだけ希望を持っていた。それはバランスブレイク の時間切れである。この能力は明らかに強すぎる。しかし裕斗は冥界では無名の下級悪魔であり、自分から見ればヒヨッコのリアスの眷属なのである。こんなに強いわけがない。グレイフィアが何も言いださないことから、何かしらの不正でこの力を得ているとは考えにくい。なら、無理をしているに違いない。だから時間稼ぎさえ出来れば、こんな世界から出て行くことが出来ればこんな男を殺せる。そしてリアスは自分の嫁になる!ライザーは自分の考えを疑わなかった。しかし、そんな淡い希望もあの男の、木場裕斗の宣言で消されることになる。
「ライザー・フェニックス。貴方が考えていることは手に取るように分かる。僕がこの世界に連れてきた敵は皆同じことを考えるからね。明らかにこの能力は強すぎる、だから僕はどこか無理をしているはず、なら時間稼ぎが出来ればここから脱出できるってね。
でも、それは違う。僕はもうこの能力を丸3日使い続けても倒れることはない。それほどの鍛錬を積んできた。それほどこの世界を作り慣れている。だから貴方に勝ち目は無いよ」
「で、デタラメを言うな!!これほど強力な能力ならそれ相応の対価が必要なはずだ!!」
「その対価を払うのにもう慣れ切っていると言うことだよ。僕にとっては大した問題じゃ無い」
「そんな......」
「ところで、貴方はあと自分が何回死ねるか分かりますか?」
「は?俺は不死鳥だぞ!何回死んでも蘇るからこその不死だ!それこそ存在ごと掻き消されでもしない限り死ぬことはない!!」
「疑問に思ったことは無いんですか?自分の家の不死という他の家には無い特性はどういう原理で成り立っているのか」
「......そんなこと考える必要もない!我々フェニックスは選ばれたものだから不死なのだ!!!」
「まぁフェニックス家に生まれたという一点においてはそうなのかもしれませんね。でも僕が聞いてるのはそんなことじゃない。何故フェニックスは死なないのか。もともとあたりは付けてたんだけど貴方を何度も殺しているうちに確信が持てたよ」
「........」
「魔力だよ。フェニックスの遺伝子に刻まれた特殊な魔法によって、極々微量な魔力で復活出来るようになっていたんだ。これまでは全員フェニックスを倒すには心を折るか、とんでもない一撃を与える以外に方法はないと思い込んでいたから誰もそんなことに注目していなかった。それに、そうかもしれないと思っていた僕が注視した上で貴方を30回近く殺すことでようやく気づけたんだ。その魔法を組んだものは天才だよ。
でもそれでも魔力消費をゼロにすることは出来なかった。一度の復活に必要な魔力量と貴方の今残ってる魔力量から考えて貴方は、あと857回殺せば死ぬ」
自分すら知らないフェニックス家の秘密を暴かれた驚愕もあるが、857という数字を聞いて安堵もした。しかし、少し考えて一気に恐怖に思考は染まった。今戦い始めてから30分ちょっと、死んだ回数は26回。戦闘だけでなく会話も少なからずあったので、おおよそ1分に1回のペースで死んでいることになる。つまり自分の余命は857分、14時間ちょっとということになる。ここまでの時間で抵抗しても勝てず、逃走すれば殺されるペースが上がることは分かっている。このままいけば自分は必ず......死ぬ。
だが、857という数字がとても多いことも事実。何百回も特攻を仕掛ければあるいは...、と考えているとまた裕斗が喋り出す。
「ここまで特殊な能力の魔剣を使わなかったのは貴方の不死のメカニズムを探るためだけじゃない。その復活のトリガーも探っていたんだ。再生は恐らく意図的に起こさない限りしない。そして、オートで発動するのは貴方の意識が強制的にシャットアウトされることがトリガーになっている。つまり、貴方を殺さずに倒すには魔力切れの状態で意識を奪えばいい」
「出来ないことを言っても無駄だぞ、小僧!結局お前が856回死ぬのが先か、俺がお前に特攻を成功させるのが先かという勝負だ!!」
「いいえ、そんな長い勝負にはしない。だって僕には武器がある。ここまでは貴方を殺さないように僕の切り札を一本も使っていない。そしてその中にまさにこの状況にうってつけのものがある。
僕が作り出した氷雪系最強の魔剣、その銘は『氷輪丸』」
その手に一見普通の刀が握られる。
「さらに力を解放することで魔力どころか存在ごと凍てつかせる。卍解!『大紅蓮氷輪丸』!!!」
そう裕斗が叫ぶと背中から氷の翼が生え、氷輪丸を握る右腕に氷の龍を纏っていた。
裕斗が大紅蓮氷輪丸を出した影響か、そらは雨雲に包まれていた。裕斗の上を除いて。
その雲の穴から裕斗に光が差す。氷の翼を背負い、日光を反射させるその姿は神々しさを感じさせた。
そのまま雨雲は発達していき、ついには雪が降り始めた。その雪がライザーに当たるとまるで華のように凍りついた!!
「な!?なんだこれは!?」
「"氷天百華葬"。その雪に触れたものは瞬時に華のように凍りつく。百輪の華が咲き終える頃には貴方の命は消えている」
そう言っている間にもどんどんライザーは凍りついていく。もう姿も見えないほとだ。
「安心していいよ。殺しはしない。でもこれて貴方の負けだ」
そう言った時にはもう雪はやみ、空も晴れていた。氷の華の塔が日光にきらめく中、グレイフィアのアナウンスが流れ、このゲームは終了した。リアス・グレモリーの勝利という形で。
side out
side 裕斗
勝負が終わり、僕はバランスブレイクを解いた。すると、リアスが凄い勢いで抱きついてきた。
「裕斗!!」
「ただいま戻りました、リアス」
「貴方のおかげて私は、私は......!本当にありがとう!」ウルッ
「泣かないで、リアス。僕は君に笑っていて欲しいんだ」
「!!ふふっ、やっぱり貴方は最高の
「お褒めに預かり光栄です」フフッ
リアスと話していると転移が始まった。
「そういえば皆んなは?」
「えぇ、全員無事よ。ライザーの眷属も誰一人リタイヤさせてないわ。皆んな本当によく戦ってくれたわ」
「そうですね、やっぱり皆んな頼りになります」
「本当にね」
転移が終わり目を開けるといつもの見慣れた部室にいた。
「「「「「裕斗(くん)(さん)((先輩))!!」」」」」
「皆んな!」
「お疲れ様でした、裕斗くん。ほら、座って座って。お茶をどうぞ」
「ありがとうございます朱乃。でも朱乃も戦ってたんだから休まないと」
「いえ、私たちは割とすぐに観戦モードになってしまいましたわ」
「え?観戦?」
「えぇ、裕斗が行った後ロープで縛ろうとひながら説得してたのよ。そしたら向こうの眷属たちが「ライザー様の気配が消えた!?」って動きが止まったから何事かと思ってみたら貴方とライザーが居なくなってリアスだけが残ってたの。で、リアスに事情を聞いたら貴方がバランスブレイクでライザーごとどこかに行ったって聞いて全員戦闘はやめたの。それでグレイフィア様に頼んで貴方の世界の中継映像を見せてもらってたのよ」
「あの時中には僕とライザーだけしか......。いや、でも言われてみればなんか小さいのがいたような......?」
「ふふっ、きっと裕斗さんはフェニックスさんに集中してたんですね!リアスさんのために!」
「そうね。それで貴方がライザーを連れて行ったタイミングで中継用の使い魔も入ってたみたいなの。それで貴方たちの戦いを見てたってわけ」
「そうだったのか......。僕は追い詰めるような戦い方をした。怖かったろう?」
「そんなことないわ!貴方は私のために必死になってくれただけよ!」
「そうですわ。むしろかっこよかったです」
「あぁ、毅然とした態度で戦う君の姿は、その、素敵だったと思うぞ」
「裕斗先輩、すごかったです」
「カッコよかったっす〜!!」
「裕斗さんは色んな人を助けたんです。もっと誇っていいんですよ!」
「その通りだ裕斗くん。今回は君のおかげで非常に助かった」
その発言とともに、部室にサーゼクス様が入ってきた。全員慌てて跪く。(アーシアたち最近入った四人組は周りにとりあえず合わせたようだった)
「そんなにかしこまらなくていいよ。今は仕事でここにいるわけじゃないからね」
そう言われて全員立ち上がる。
「お兄様、どうしたんですか?」
「なに、今回のことについてお礼を言おうと思ってね。これまでライザーくんの悪事は巧みに隠蔽されていた。それを暴くことに成功したんだからね。彼の今後の処遇については冥界に帰ってから決まると思うよ。眷属の皆んなのこともね」
「そうですか。サーゼクス様が処理に当たってくれるなら安心ですね」
「まぁ任せておきたまえ。それにしても裕斗、強くなったね」
「そんな、恐れ多いです」
「あの最後の技はカッコよかったよ。...今後の作品の参考にしようボソッ」
「あ、ありがとうございます」
「うむ。これでライザーくんの検挙もできたし、リアスの婚約も解消出来たし、万々歳だよ」
「ちょっと待ってお兄様。もともと婚約には反対だったの?」
「もちろんさ、リーア。僕は君が誰のことを好いているかくらい分かっているからね。恋愛結婚をした僕がそれに反対するわけないじゃないか。それにお父様はこの婚約をフェニックス卿との飲みの席で決めてしまったらしく、お母様にこってりしぼられていたよ。一度結んだ手前、その婚約をお父様が無理矢理破棄するわけにも行かなかったんだ。だから今回のような形にした。ライザーくんは必ず裕斗がなんとかしてくれると思っていたからね。もし、万が一なんとかならなかったら無理矢理僕が解消させてたよ」
「あ、あはは、私の気苦労は一体......」
「あ、あらあら、落ち込まないで、リアス」
「ドンマイです、リアス...」アハハ
「まぁとにかく、これで万事解決さ。本当にお疲れ様。今日は皆んなゆっくりするといいよ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
こうしてリアスの婚約騒動は幕を閉じた。
後日談
ライザーはフェニックス家から勘当され、懲役3000年になった。これは眷属を無下に扱っている悪魔たちへの見せしめであったのだ。悪魔には眷属を道具としか思っていない奴らが少数だが、一定数いるのだ。そいつらが今回のことで対応してを改めるかは分からないが、こういった前例を作っておくことで、また最低な扱いを受けた眷属の主人が捕まった時しっかり罰することができるのだ。これはよりクリーンな悪魔界への第一歩となったのだ。
ライザーが担当していたフェニックスの涙の実権については、ライザーの眷属の中で唯一の首輪をしてなかった子であり、やつの妹のレイヴェル・フェニックスが引き継いだ。彼の眷属も全て彼女が引き取ったのだ。今はまだ上級悪魔ではないので正式なものではないが、いずれなった時の予約のようなものだ。
彼女はもともとライザーの眷属として、彼の仕事の手伝いもしていたし、眷属同士は仲良くしていたのだ。いつになるかわからないが、ある程度家のことが落ち着いたら駒王学園に編入してくるそうだ。今回のゲームでは話す機会がなかったから、次に会うのが楽しみである。
そして、僕に直接関わる変化はリアスがうちに住むようになったことだ。ゲームが終わった次の日、普通に学校から帰ると引越し業者がうちに来ていた。非常に心臓に悪いのでやめていただきたい。さらに部室で朱乃と小猫からは何か怪しいオーラが出ているし、リアス、アーシア、僕の3人で登校しているところを兵藤くんに見られ、彼は血の涙を流しながらこちらを睨んでくる。ちなみに兵藤くんとの特訓はやっていない。というか合宿の時以来まともに話せていない。何というか、あの時の彼とのやりとりで何かが切れてしまったように感じる。彼のことは好きではないが、死んでほしいとまでは思わない。適度に自主トレでもつんでくれればいいが...。
まぁとにかく、これでこの騒動については終わった。しかし、この地にはまだ平穏は訪れない。その予兆はもう既に出ていたのだ。
to be continued
どうも、おはこんばんにちわ。
13話目でした。前話から始まるライザーアンチはこれで終了です。僕が思ってるよりライザーファンの方がいたみたいでそこは申し訳ないかなと思います。でも僕は原作じゃなくてアニメとssという純然たるにわかなので彼にはあんまりいい印象がないです。気付いたらアンチになってました。そういうこともあります。
いよいよ次回から聖剣編です。原作だと木場くんが1番輝くところなのでこっちでも輝かせたいなぁ...。イルミネーションでも巻きつけとけばいいか。
そして、ついにやってしまったkbtit!!あの先生のお力を借りてしまいました。やっぱオサレやわぁ。はー、すこ。というわけで今後も何個か斬魄刀は出てくると思います。俺に力を貸せ!
本日も最後に、感想、評価、お気に入りしてくださった皆様、本当にありがとナス!!
次回も、ポケモン!ゲットだぜ!!あ、この作品にザトゥーズィさんは出る予定ないです。