side 裕斗
「神父がこの町に入って来た?」
「ええ、そうよ。この私になんの挨拶もなく、無断で入って来たわ。だからちょっと探して見てくれないかしら?他のみんなももう探してもらってるから」
「......わかりました」
と言うわけで神父探しに出た。ハウル(もうみんな忘れてるかもしれないけど僕の使い魔の鳥)にも出て来てもらって手伝ってもらう。
「どこにもいないな...。他のみんなにも聞いてみようかな」
そう言って携帯を取り出そうとすると
「グアアアアアアア!!」
男の悲鳴が聞こえた。しかし、悪魔の聴力でようやく聞こえる程度に距離が離れている。急いで向かうが少し時間がかかってしまった。
「!!」
そこに残されていたのは一人の神父の死体だった。
とにかく死体などから裏の世界のことが公にならないように処理をし、リアスに報告するために部室に帰った。
「というわけで処理はしておきました」
「ありがとう、お疲れ様裕斗。これはまた厄介なことになって来たわね。神父が殺されていたということは全く別の第三勢力がいるということになるわ。しかもそいつらは神父が来るよりも前にこの町に来ていた可能性が高い。でも私たちはそれに気づけていなかった。これはまた一波乱ありそうね」
「そうですね。しかも少し前にはドーナシーク対策で監視を強化していた期間がありました。それなのに見つけられていなかったということは中々実力があると思っていた方がいいでしょう」
「ふぅ......。どうしてこう次から次へと問題が起きるのかしら...?」
「そのことで心当たりがあります」
「何かしら?」
「これはこの前の合宿中に分かったこと何ですが、兵藤くんの神器は龍の手ではなく赤龍帝の籠手でした。なので、その力に引き寄せられているのかもしれません」
「え!?な、何で報告しなかったのよ裕斗!!」
「報告が遅れてすみません。ですが、あの時はタイミングがタイミングだったので皆んなに余計な負担をかけたくなくて......」
「...それもそうね。あの時そんな情報を報告されてたら特訓どころじゃなくなってたかもしれないもの。いい判断だわ、裕斗」
「ありがとうございます」
「リアス、今大丈夫かしら?」
そう言って部室に入って来たのは朱乃だった。
「あら、どうしたの?」
「教会からの遣いが2人、明後日リアスに挨拶と交渉がしたいそうですわ。どうします?」
「神父は無断で入って来たのに遣いは挨拶に来るの?ということは神父は堕天使側の人間だったのかしら?......とりあえず分かったわ。許可を出しておいて」
「分かりましたわ。そのように返事をしておきます。裕斗くん、お疲れ様です。教会には思うこともあるでしょうから当日はお休みしてもいいんじゃないかしら?」
「そうね。ちゃんと情報の共有は行うから休んでもいいわよ?」
「いえ、僕もいつまでも引きずってるわけにもいきませんしこれもいい機会かも知れません。そんなピンポイントで聖剣関連のことが来るとも思えませんし、大丈夫ですよ」
「そう?でも無理だけはしないで下さいね?辛かったら私に甘えてもいいんですわよ?」
「ちょっ!?朱乃、抜け駆けはズルいわ!!裕斗!甘えたくなったら私に甘えなさい!!」
「と、とりあえずお気持ちだけ受け取っておきます」アハハ
この日はそんな会話をして解散した。
そして2日後、僕は一昨日の自分を切り捨てたくなった。あんな不用意な発言でフラグをバッチリ立ててしまっていたからだ。
「失礼する。私は教会の聖剣使い、ゼノヴィア・クァルタだ。よろしく頼む」
「私は紫藤イリナ。私も同じく教会の聖剣使いよ!!」
聖剣、使い......?その言葉に動揺するが顔には出さないようにする。
「ゆ、裕斗さん大丈夫ですか?顔色が優れないようですが......?」
前言撤回、しっかり出ていた。しかもアーシアに心配されてしまう始末だ。大丈夫とだけ告げて、僕は2人から目をそらした。
「それで?一体何のようなのかしら」
「あぁ、まず本題に入る前になぜ私たちがここにやって来たのかを話そう。教会からエクスカリバーが3本盗まれたんだ。それが全てこの町に集まっているからこそ私たちがここに派遣された」
「ちょっと待ちなさい!聖剣が盗まれた?何であんな超級武器が盗まれてるのよ!?」
「そこを責められると言葉もないが、今回は相手が相手なんだ」
「......その相手というのは?」
「堕天使の組織、
「コカビエル!?聖書にも名前を残す超大物じゃない!?一体なぜそんなことを!?」
「さすがに目的までは分からない。だがコカビエルがこの町にいるのは確かな情報なんだ。そこで本題に入らせてもらう。あなた方には今回の件に一切の手出しをしないでもらいたいんだ」
「...それはどういうことかしら?」
「教会はこの話を聞いた悪魔であるあなた方は、コカビエル側につくのではないかと疑っている。悪魔たちからすれば聖剣が減ってくれるのは嬉しいだろうからな」
「見損なわないで!!私は誇り高い悪魔なの!わざわざ堕天使と手を組んでまで聖剣を破壊するつもりはないわ!!」
「その言葉、信じていいんだな?」
「もちろん、魔王様に誓って!!」
「ふむ、交渉が上手くいって何よりだ。ところでそこにいるのはアーシア・アルジェントか?」
「は、はい!?」
急に話を振られてアーシアは驚いてしまったようだ。
「聖女と呼ばれていた君が悪魔を助けたことで魔女になってしまった事までは知っていたが、まさか悪魔になっていようとは」
「残念ね。一度は聖女と呼ばれるほどに敬虔な信徒であったというのに......。もうその心は失われてしまったのね......」
「いや、違う。君からはまだ信仰の匂いがする。まだ信じているのだろう?」
「......捨てられていないだけです。私にはこれしかありませんでしたから...」
「なら私が介錯してやろう。その首を差し出せ。そうすれば悪魔がまた一人減り、主もお喜びになるだろう」
「それ以上はやめてもらおうか」
僕はアーシアとゼノヴィアの間に割って入った。
「彼女の心はまさしく聖女そのものだよ。命を切り捨てることしか出来ない君よりはよっぽどね?」
「なに?そこの女は悪魔を助けるなどという信徒にあるまじき行為をしたのだぞ。それにこの私が劣るだと!?」
「あぁ、そもそもアーシアは神器正しく使ったに過ぎないんだからね」
「正しく?悪魔を治療することが正しいわけないだろう!!」
「いいや、神器は神が、君たちが主と崇める存在が作ったものだ。そして聖母の微笑みは種族の違いが関係なく治療が出来る。神が本当に悪魔や堕天使を治療することを悪としているならそんな事は出来ないはずだ」
「な!?」
「つまり、君たちは誰一人神の意思を分かっておらず、アーシアだけが正しく理解していたんだ。まさしく聖女そのものじゃないか。それに、そんなこと関係なく彼女の心は、優しさは聖女以外の何者でもないよ」
「裕斗さん......」
「そ、そんなの詭弁だ!!」
「ちょっと、ゼノヴィア!!私も悔しいけど一理あると思っちゃったわ!だからとりあえず今はやめて!!」
「聖剣使いである私たちがそんなこと認められるか!認めてしまえば今の信徒の殆どが背信者ということになってしまう!」
「あなたのいうことも分かるけど!」
「貴様!私と勝負しろ!そして私が勝てば彼女は聖女などではないと認めろ!」
「......いいよ。そのかわり僕が勝ったら、いきなりアーシアの事を聖女と認めろとは言わない。でも謝罪はしてもらうよ。彼女は仮に聖女じゃなかったとしても、少なくともあなたたちのいう魔女なんていう存在じゃない」
成り行きで決闘することになってしまった。でも、これは聖剣云々は関係なく、アーシアを悪く言われたから許せなかったんだ。
場所を中庭に移し、人払いをする。
「勝負の前に名前を書いておこうか」
「木場裕斗。君たちの先輩にあたるのかな」
「先輩?貴様、まさか......」
「そうだよ。僕は聖剣計画の生き残り。よろしくね、天然の聖剣使いたるゼノヴィアさん?」
「!?何故知っている?」
「散々聞かされたからね。僕たちの同年代にゼノヴィア・クァルタという天然ものがいる。貴様ら愚図と違い選ばれた存在がいる、ってね。だから僕たちはひどく君を羨んだものだよ」
「......聖剣計画は教会の中でもタブー扱いになっている。その計画の立案者も追放された」
「!?そ、そいつの名前は!!?」
「バ、バルパー・ガリレイ。皆殺しの大司教と呼ばれている者だ」
「...バルパー......。そいつが僕の復讐すべき相手......」
「そ、それより!そろそろ話してほしいのだが!!」
「あ、ああ。ごめん」
僕はどうやらゼノヴィアの肩を思いっきり掴んでしまっていたようだ。それに怒ったのかゼノヴィアは顔を真っ赤にしている。
「「「「「「「裕斗(くん)(さん)(先輩)?」」」」」」」
なんだか皆んなが怖いオーラを放っているのでそちらは向けない。温厚なアーシアからも何かが出ている。
「そ、それじゃあ勝負を始めようか。リアス、合図お願いします」
「そうだな」
「あの時僕たちが憧れた聖剣の力、その片鱗でも見れると思うとワクワクするよ」
「ふん、そんな余裕があると思うなよ」
「両者いいわね、はじめ!!」
僕はとりあえず使い慣れている刀を取り出した。そこにゼノヴィアが突っ込んで来る。防御しようとするが、悪寒を感じ少し焦りながら避けることにした。
「ふ、その判断は正解だ」
ドガアアアアアアアン!!!!
僕が避けた聖剣はそのまま地面にあたり、そこを吹き飛ばしていた。
「私が持つのは
「たしかに今のを受けていたら一溜まりも無かったね」
やはりあの合宿で感を取り戻しておいてよかった。その前だったら判断を誤り、剣で防御しようとしてその上から剣ごと叩き切られていたかもしれない。でもーーー
「まだまだ行くぞ!!」
「いや、もう終わりだよ」
また真っ直ぐゼノヴィアが突っ込んで来たので、今度は避けるのではなく振り下ろしを刀を合わせて横に流させる。そこに明確な隙が生まれたので、その十字架のようになっている鍔に刀を引っ掛けその手から離させ、僕の後方に弾き飛ばした。そのまま剣の切っ先をゼノヴィアの喉元にあてる。
「これで僕の勝ちだ」
「くっ...」
「早くアーシアに謝ってここから出て行ってくれ」
「.........わかった」
「ゼノヴィア......。私も謝った方がいい?」
「出来れば謝って欲しい。今の勝負の結果に納得できないならもう一回同じ条件で僕は君と戦うだけだから」
「いえ、十分よ。私も謝るわ」
「そ、そんな、私は裕斗さんのお心だけで十分ですよ」
「いや、これはもうそういう問題ではない。私は負け、彼が勝った。なら誠心誠意謝るのが筋だ。貴女のことを魔女と罵ったことを許してくれ。すまなかった」ペコリ
「私もごめんなさい。聖女の心は失われただなんて言ってしまって。悪魔が聖剣を相手に戦うほどに貴女は大切だと思われている。なら、きっと貴女はそれほど素敵な人なんでしょうね」ペコリ
「あ、頭をあげて下さい!も、もう大丈夫ですから!」
「寛大な心に感謝する」
「ありがとうね」
「...ところで話は変わるんだが、やっぱりこの件について関わるなというのは取り消せないだろうか」
「え?急にどうしたのよ」
「私たちの任務は聖剣3本の回収もしくは破壊力。それをコカビエル相手に行わなければならない。それほど過酷な任務なのに派遣されているのは私たち2人だけなんだ。だから手伝って欲しい。先ほどの決闘で少なくとも木場裕斗は私より実力が遥か高みにあることは理解した。だからこそ協力して欲しいんだ」
「ちょっと、ゼノヴィア!?いいの?」
「ここは柔軟に行こう、イリナ。話を持ちかけている相手は魔王の妹だ。そこらの悪魔に比べれば100倍信頼できる。それに、死ぬ覚悟もしてきてはいるが、生きて帰り今後も主に仕えた方が良いと思わないか?」
「そりゃ思うけど、魔王の妹とはいえ相手は悪魔よ?」
「なに、最悪共同戦線をあらかじめ張っていたことだけ誤魔化してしまえばいいんだ。戦闘にしていたら領地の悪魔の介入を受け、もっとも危険度の高いコカビエルと聖剣の排除を優先した、とな」
「なるほど!ゼノヴィアあったまいいー!!」
「ふふん!それで、どうだろう?」
「......この件に関してはすこし皆んなで話し合いたいから一旦保留にさせて?その、分かるでしょう?」
「......たしかに些か無遠慮だったかもしれない。返事は3日後にまたここに来るからその時聞かせてくれ。それでは失礼する」
「また、3日後にね!」
そう言って2人は帰って行った。
「この件の決定権は裕斗、貴方に預けるわ」
「............え?何ですか?」
「聞いてなかったの?あの2人に協力するかどうかっていう話!」
「あぁ、はい。......少し、考えさせて下さい」
「...分かったわ。期限は3日後までよ」
「分かりました。今日は先に帰ります。失礼します」
そう言って僕は学校から出た。
「裕斗、大丈夫かしら?」
リアスの僕を心配する声は、もう耳には入って来ていなかった。
どうも、おはこんばんにちわ。
14話目でした。ついにここまで来ました聖剣編。これを楽しみに待ってくれている方も結構いたみたいで、その期待に胃が痛いです。穴ァ...空きそうだぜェ......。
ゼノヴィアアンチはないです(念のため)。彼女は登場の仕方からして最初は若干敵対せざるを得なくない?
あと実はイリナ聖剣計画の生き残りだったってぇ!!??何てこったい!?パターンも考えてたんですがなんかぐちゃぐちゃになって来てよくわかんなくなりそうで辞めました。ちなみにその場合ゼノヴィアはアーシアの知り合いになってました。ほーら、ぐちゃぐちゃだぁ!!
本日も最後に、感想、評価、お気に入りして下さった皆様、本当にありがとナス!!
次回は今回書こうかなぁと思って辞めた裕斗くんの最後の方の内心について触れて行こうかなと思うよ!(予定は未定)
ISのssはじめちゃおっかなぁ......。でも二作品平行なんてできんのかぁ?