兵藤くんに特訓について話をするために探し始めて30分ほどが経った今、僕は住宅街をウロウロしていた。しかし兵藤くんの家も知らないし、全く見つからない。ただ当てもなく歩き続けていると白いベールが風に流され飛んできて、反射的に掴んでしまった。そのまま立っていると右のほうから
「あひゃんっ!?」
という悲鳴とともにドシャァッ!と人が転んだ音が聞こえたのでそちらの方を向くと金色の髪を陽光に輝かせながら顔を抑えている少女がいた。
「あ、あの、大丈夫かい?」
「はっ、はい!心遣いありがとうございます!あっ、そのベール私のです!拾っててくれたんですね!重ねがさねありがとうございます!」
「いや、そんな、たまたまだよ」
「いえ、それは私にとってとても大事なものだったんです!だから本当にありがとうございます!」
「そういうことなら感謝を受け取るよ。どういたしまして」ニッコリ
「(はうっ!?か、カッコいいです...///)は、はい!主にこの出会いを感謝です!」
「つうっ!?」
「え?主へのお祈りで辛そうにしたらということは悪魔さんなんですか...?」
「...それについて話したいからこの町の教会までついてきてもらっていいかな?レイナーレさんがいるところなんだけど」
「わ、わかりました。案内よろしくお願いします」ペコッ
「それじゃあ、自己紹介するね。僕の名前は木場裕斗。この町にある学園の生徒だよ。よろしくね。君は?」
「私はアーシア・アルジェントといいます。この町に派遣されてきたシスターです。よろしくお願いします!」
「(簡単に信じてくれたけど、この娘大丈夫かなぁ。今後が心配だよ)うん、じゃあ付いてきて」
「はい!」
そのあと教会に向かって歩いている途中で公園に差し掛かった。すると「うえーーん!!」と、大きな泣き声が聞こえてきた。どうやら小さい男の子が転んで怪我をしたようだ。
「大丈夫ですか?」
「(アルジェントさんの言葉はイタリア語だから通じて無いな...)この娘は大丈夫か聞いて心配してくれてます」
「あら、そうなの?ありがとうね。ほら、もう泣き止んで!男の子でしょ!」
「だって痛いんだもーん!!!!」
「もう大丈夫ですよ」
そういうとアルジェントさんの手が、いや、よく見ると手に付けている指輪から緑色の光が出たと思うと男の子の怪我が治っていた。これが彼女の神器か。回復系の神器珍しいけど、なんとなく彼女にとてもよく合っている気がした。
「治ったー!!」
「え!?あ、ありがとうね!ほら、さっさと行くよ!」
「ありがとうー!」
「(母親の方、気味悪がっていたな...。なんとも後味が悪い...)男の子、ありがとうって言ってたよ」
「ええ、ちゃんと治ったようで良かったです!」
「...触れていいところかわからないけれど、これまでもあの母親のような反応をされたことがあるんじゃないかい?」
「...はい、何度か..」
「辛くは無かったのかい?」
「私は感謝されたくて治療しているわけではありません。ただ、怪我はつらくて痛いですから、だから治療しているんです。それで私に対して笑ってくれなくても、他の誰かと笑ってくれていればそれでいいんです」
「(こんな優しい子が教会にもいたのか。やはり見るべきなのはどこの所属なのかではなくその個人だよね)アルジェントさんはまるで聖女さまみたいだね」
「...そんな、私はそんな立派な者じゃないですよ...」
「(顔を曇らさせてしまった。地雷だったかな...)そんなことないさ。君は素晴らしい人だよ。自信を持って!それじゃあ、教会に行こうか!」
「(励ましてくれたんですね。ありがとうございます、木場さん)はい!改めてよろしくお願いします!」
そのまま2人で教会に向かった。
「ありがとうございました!助かりました!」
「ご苦労様。あんたのお陰でアーシアを探しに行く手間が省けたわ」
「いや、気にしないでください。僕もたまたま見かけただけですから。中に入ってアルジェントさんにこの町について説明したいんですが、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。入ってちょうだい」
「はい、ありがとうございます」
僕たちは教会の中に入って少し落ち着き、世間話をしてから本題に入った。
「それで、アルジェントさんはこの町についてどのくらい分かってる?」
「この町が悪魔さんの領土だということは知っているんですが、他のことはあまり...」
「なるほど。まずここは魔王サーゼクス・ルシファー様の妹君であらせられるリアス・グレモリー様の領土で、僕はリアス様の眷属悪魔なんだ」
「やっぱり悪魔さんだったんですね...でも、木場さんはいい悪魔さんです!これからこの町で、よろしくお願いします!」
「そうね、あんたのことはある程度信用してるわ。まだしばらくこの町に留まるつもりだから、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします。それで、もう1つの本題なんですが...」
「もう1人の堕天使、ドーナシークのことね?あいつとはあなたと初めて会った日の後は1回しか会ってないわ。シスターが来たら連絡をくれ、とだけ言われたわ」
「そうですか。僕も1度だけ会えたんですが、その時僕の学園の生徒を神器を持っているというだけで殺そうとしていたんです。それは堕天使としては当たり前なんですか?」
「まさか!そんなわけないわ!本来ならある程度見極めてから保護か、最悪殺すまでを考えるのよ。でも殺すのは本当に一握りの暴走した者達だけ。しかもそういう手段を取るときはちゃんと許可状が必要なの。これは他の勢力との変な争いを避けるためね。だからそんないきなり殺すなんてことはあり得ないわ!」
「そうですよね。ちなみに彼との関係って聞いてもいいですか?」
「え、ええっ!?//あ、あいつとは別になんともないわよ!大した仲じゃないわ!!」
「え?いや、そうじゃなくて彼とはいつ頃からの知り合いかとか、信用してるかとか聞きたかったんですけど...」
「なっ!?///そういうことは先に言いなさい!...そうね、あいつとはここに来ることが決まった時に知り合ったのよ。「自分もここの担当になった」って。私達3人は以前からの仲なんだけどね。ちゃんとした書類も持ってたしそのまま合流したってとこよ」
「なるほど。...少し不安ですね。すみませんが、僕の使い魔のハウルの羽を4人とも持っておいてくれませんか?」
「何故かしら?お守り?」
「ふふっ。違いますよ。何かあった時この羽を折って貰えばそれがハウルに伝わって、そのまま僕にも伝わるという仕組みになってます。防犯ブザーみたいなものです」
「便利ね。ありがたく頂くわ」
「ありがとうございます!」
「ありがとう」
「ありがとうっす!」
「それにしても、レイナーレさんも冗談とか言うんですね。少し打ち解けたみたいで嬉しかったです」ニッコリ
「っ!?///そう言うことを急に言うのはやめなさい!」
「照れてるな」「照れてるっす」
「照れてない!!///」
「ふふっ。仲が良さそうで何よりです。それでは、今日はもう戻りますね。アルジェントさんもまたね。またそのうち様子を見に来るから」
「はい、またお会いしましょう!」
「また来なさい。あなたなら歓迎するわ。アーシアも喜ぶし(...私も)」
「そうだな。また土産話でも持って来てくれ。そうすれば、こちらもお茶くらいはご馳走しよう」
「また来て下さいっす!その時はトランプゲームでもしましょう!」
「ありがとうございます。また来ます。それでは」
そう言って僕は教会を後にした。今日のことも部長に報告しなければと思ったのと、部長に戻って来るよう言われていたのを思い出し、夕焼けに染まる町並みを見るながら部室に戻ることにした。
「木場裕斗、ただいま戻りました!」
「裕斗先輩、お疲れ様です」
部室に戻ると小猫ちゃんがソファに座ってケーキを食べていた。ケーキの皿の横にある、恐らくケーキを食べた後に残る台紙が山のように積み上がっているのは気にしない。いつものことだし、流石に慣れた。
「小猫ちゃ「小猫です」...小猫、部長がどこにあるか知らない?」
「部長は先ほど朱乃さんと一緒に大公からの連絡を確認しに行きました。出たばかりなので、恐らく30分くらいかかると思います」
「そっか。じゃあ、僕もお茶でも飲みながら待とうかな。小猫ちゃんもいる?」
「ありがとうございます。いただきます」
お茶を入れてソファまで戻って座ると、膝の上に小猫が乗って来た。
「本当に小猫はそこが好きだね」
「はい。ここが1番落ち着きます(それに裕斗先輩の匂いも感じられますし...)」
「ふふっ。僕も小猫が膝に乗って来るの好きだよ。あったかいし」
「っ!?///あ、ありがとうございます。ならこれからは、2人きりになった時できるだけ膝の上に乗せて下さい///」
「うん、いいよ。いつでもおいで」
というようなやりとりをしているとすぐに30分経ってしまった。
「部長がそろそろ戻って来そうなのでどきますね」
「うん、わかった」
と言って小猫が膝の上から退いたらすぐに部長が帰って来た。
「あら、裕斗。おかえりなさい」
「裕斗くん、おかえりなさい」
「はい部長、朱乃さん。ただいまです。ご報告があるのですが、今大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。何かあったの?」
「いえ、以前伝えていた堕天使の件なんです。その堕天使達の目的はある神器所有者の保護だったんですが、その保護されるシスターが道に迷っていたのでそのまま彼女達の元へ連れて行きました」
「なら、とりあえず堕天使のことは一旦大丈夫かしらね」
「いえ、その3人とは別の残りの堕天使のことなんですが、どうやら3人のもとにほとんど戻ってないみたいなんです。なんだかきな臭く感じたのでハウルの羽を渡しておきました」
「なるほどね。こういうことに関する裕斗の嗅覚は鋭いから、その判断は正解だと思うわ。まぁ、当たって欲しくない類のものではあるけれどね」
「たしかに、そうですね」苦笑
「それで?兵藤くんは見つけられたの?」
「あっ」
部長に言われて初めて思い出したが、兵藤くんのことをすっかり忘れていた。本当は明日の朝から特訓始めたかったんだけどなぁ...。
「ふふっ。そういう少し抜けてるところも可愛いわよ」ニッコリ
「あらあら、おっちょこちょいの裕斗くんも確かに可愛いですわ」ニッコリ
「ちょっとお間抜けな裕斗さん、可愛いです」ニッコリ
「ちょっ!?皆んなしてからかわないで下さいよ!///」
この後、解散するまでいじられ続けた。うぅ...は、恥ずかしい...。
どうも、おはこんばんにちわ。
4話目でした。アーシアさんとの出会い方は原作一誠くんを踏襲しました。うまく思いつかなかったとかではない。そんなことはない。ないったら無い。
お互い元教会側ということから幼少期から知ってるゥ!!ルートも考えたんですが、本作の設定だとまともに関われるの4歳まで、なんですよねぇ..,。絶対覚えるわけないだろ!いい加減にしろ!と思って廃案になりました。
本日も最後に、感想、評価、お気に入りしてくださった皆様、本当にありがとナス!!
次回も、見ろよ見ろよ。(淫夢感)
この最後の一言は1日1万回感謝の正拳突きと同じなんで、そんなに気にしなくていいです。そのうち音を置き去りにします。