モンストD×D 〜我、堕天の王なり〜   作:☆桜椛★

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我、堕天の王なり

“冥界”と呼ばれる場所にあるとある戦場。そこでは蝙蝠の様な羽を持った悪魔、背中に純白の翼、頭上に天使の輪を浮かべる天使、そして烏の様な真っ黒な翼を持った堕天使と呼ばれる3つの勢力…通称“三大勢力”が大きな戦争を続けていた。

そんなある日の事、互いに本気の殺し合いを続けている最中、突然ドライグとアルビオンという、“二天龍”と呼ばれる赤と白の2匹のドラゴンが大喧嘩を始め、それぞれの勢力は多大な被害を受けた。

多くの同胞達を失った三大勢力は戦争を休戦し、互いに協力してその2匹のドラゴンを討伐する事を決定した。だが2匹のドラゴンの力は凄まじく、討伐は難航していた。悪魔の勢力は四大魔王が命を落とし、天使と堕天使も今まで以上の実力のあった同胞達を失った。

二天龍は三大勢力を蹴散らしながらも喧嘩を続け、三大勢力の主柱であった聖書の神はその2匹を神器の中に魂を封印する事を提案し、三大勢力は協力して二天龍を神器に封印する為に再び二天龍に挑み掛かり、喧嘩の邪魔をする三大勢力に腹を立てた二天龍もそれを迎え討とうとした。

 

 

だが、突如出現した乱入者によって、二天龍も三大勢力も大ダメージを受けた。

 

 

 

 

 

 

「ハァ…!ハァ…!畜生!何者だアイツ!?いきなり現れて二天龍どころか俺達にも攻撃してきたぞ!?」

 

 

堕天使総督を務めているアザゼルは、ボロボロの姿になりながら突如現れた乱入者を睨み、悪態をついた。

 

 

「ハァ…ハァ……さぁね。それはこっちが聞きたいよ」

 

「少なくとも…人間や悪魔、天使や堕天使ではないのは確かですね」

 

 

アザゼルの問いに、新たに魔王となったサーゼクス・ルシファーはたらりと嫌な汗を流しながら苦笑し、四大熾天使の1人であるミカエルは難しい顔で乱入者を分析していた。

3人の目の先には3匹(・・)のドラゴンが激しい戦闘を行なっていた。新たに乱入して二天龍相手に優勢なドラゴンは、ブロンズレッドの毛で全身を覆われた見た目をしており、そのドラゴンの背中には1人の少女が立っていた。

薄墨色の肌に黒い目にうっすら光る紫色の瞳をしており、胸元に鍵穴が付いた赤いベルトの拘束衣を身に纏っている。少しボサついたドラゴンと同じブロンズレッドの長髪をしているが、よく見るとその髪はドラゴンと一体化…いや、ドラゴンそのもの(・・・・)となっていた。

自身の髪をドラゴンにしているその少女はニヤァ♪と顔に笑みを浮かべながら楽しげに笑い声を上げている。

 

 

キャハハハハハハァ♪アハハハハァ♪

 

『グッ!貴様よくも!!俺達の戦いの邪魔をするな!!』

 

 

少女が操る髪のドラゴンによる攻撃によって二天龍は傷付き、苦しげな呻き声を上げたドライグは髪で出来たドラゴンに向けて火球を放った。髪の毛で出来たドラゴンはそれを躱す素振りも見せずに火球をその身に受けた。

自分の火球に自身を持っていたドライグと、ドライグと殺し合いをしてその威力を知っているアルビオンは勝ちを確信していたが、爆炎が晴れるとそこには髪の毛1本焦げてすらいない少女の髪の毛で出来たドラゴンが唸り声を上げながら二天龍を睨んでいた。

 

 

『バカな!?』

 

『“赤いの”の火球を受けて無傷だと!?』

 

さぁて…殺っちまうか!

 

 

自分の予想が裏切られ驚愕する二天龍を見た少女は楽しそうに叫ぶ。それと共に髪で出来たドラゴンは大きく吼えると、目を見開いていまだに現実を受け入れきれていない二天龍に襲い掛かった。

三大勢力の悪魔や堕天使達の攻撃を弾いていた2匹の赤と白の鱗は髪で出来たドラゴンの牙に貫かれ、爪に切り裂かれ、傷口からは2匹の鮮血が噴き出した。

 

 

『『グガァァァァァ!!?』』

 

食い散らかせ!もっと罪を!もっと罰を!キャハハハ♪アッハハハハハハ♪

 

「おいおいなんの冗談だ!?アイツの髪はどんな硬さしてやがる!?」

 

 

その光景を目にしたアザゼル、そして口には出さなかったがサーゼクスとミカエルは目を見開いて驚愕した。自分達の攻撃を受けて殆ど傷付かなかった二天龍の鱗が少女の髪の毛に貫かれたのだから当然だろう。

そうしている間にも二天龍は体に傷を負って行き、遂には髪で出来たドラゴンに殴り飛ばされて意識を失った。三大勢力的には二天龍が倒れた事は幸いと普通なら感じただろうが、目の前の乱入者を前にしてそんな感じはしなかった。

 

 

さぁ、次はお前達だ!アッハハハハァ♪

 

 

狂った様に、楽しげに笑う少女の髪が作り出したドラゴンが口を開き、その口に球体状の光の玉の様なものが出現し、段々大きくなって行った。それを見たアザゼルは嫌な予感を感じて叫んだ。

 

 

「なんかヤバいぞ!全員退がれ!!」

 

燃え尽きてしまえ!キャッハハハハァ♪

 

 

サーゼクス達の背後にいた三大勢力の仲間達は慌てて下がろうとしたが、少女の髪が毛で出来たドラゴンの口に出現した光の玉は既に口から少しはみ出る程大きくなっていた。もうすぐ攻撃が発動すると察知したサーゼクス達は全力で結界を張った。

そしていよいよ攻撃が発動しようとした瞬間……。

 

 

ドガアァァァァァァァン!!!

ッ!?クゥゥッ!!?

 

「な、なんだ!?新手か!?」

 

 

突如飛来した光のレーザーが髪の毛で出来たドラゴンの口に出現していた光の玉を撃ち抜き、大爆発を起こした。爆発の威力は凄まじく、髪の毛で出来たドラゴンの頭は内側から弾けた。三大勢力の者達は皆唖然とそれを眺めており、サーゼクス達魔王とミカエル、アザゼルは新手の敵かとレーザーを放った者を探した。

 

 

「なかなか面倒な事になっているな……」

 

 

すると凛とした女性の声がサーゼクス達の耳に入り、声のした方に視線を向けると、そこには6枚3対の紫色をした翼を広げてこちらを見下ろす1人の少女がいた。

金髪のロングヘアーに澄んだ紫の瞳をし、胸元に水色のリボンの付いた白いネグジュリエの様な服の上に水色のローブの様なものを羽織り、額には紫の角の様なエフェクトがあった。そして彼女を中心に円を描く様にガラスの破片の様な光が漂っており、何とも言えない美しさを見せていた。

彼女は腕を組みながら二天龍、三大勢力、そして乱入者を順に見た金髪の少女は、面倒そうな顔をして溜め息を吐いた。

 

 

「はぁ……アイツも面倒な仕事を押し付けて来たものだ。さっさと済ませるとしよう」

 

ッ!!お前ぇ!!

 

 

乱入者の少女は髪を伸ばし、空を飛ぶ金髪の少女を串刺しにしようと7本の槍の様にして突貫させた。だが髪の槍は金髪の少女を串刺しにする前に、ガラス板を繋ぎ合わせたかの様な球体状のピンク色の光のバリアによって弾かれた。

二天龍の鱗を容易く切り裂いた髪の攻撃を弾いくバリアの硬さに悪魔や堕天使達、天使も驚愕の表情をしていた。

弾かれた後もなんとか貫こうと乱入者の少女は何度も何度も攻撃を繰り返すが、そのバリアは貫かれる事はなかった。

 

 

「全く、私の手を煩わせるな……」

 

 

金髪の少女は自身を守る光のバリアに甲高い音を立てながら弾かれる髪の槍を詰まらなそうに見つめ、少し両手を広げた。すると彼女の周りを漂う光の破片がその光を強くし、段々上に昇って行く。光の破片がまるで天使の輪の様に彼女の頭上にまで昇って来ると、乱入者の少女も、堕天使も、悪魔も、天使ですら美しいと感じた。

 

 

我、堕天の王なり……!!

 

 

彼女が声高々に自身をそう称すると、何処からともなく異形の軍勢が出現した。槍を持った細身の天使、数十メートルはある巨人、正体不明の獣などの異形の軍勢は、皆黒と紫が混ざった様な禍々しい影の様なもので出来ており、それ等は堕天の王と名乗る少女の合図に従って乱入者の少女に襲い掛かった。

 

 

ッ!?グッ!来るな!!来るな!!

 

 

突然の事に反応が遅れた乱入者の少女は、自身の髪を伸ばして迫り来る軍勢を串刺しにしたり、切り裂いたりしたが、物量に負けて天使の影が持った槍に体を貫かれ、断末魔の叫びを上げながらその体を光の粒子に変えて霧散した。

散った粒子は金髪の少女が取り出した小さな檻の様な物に吸い込まれて行き、全ての粒子が入ったのを確認すると、彼女はそれを仕舞い、チラリと三大勢力達に目を向けると何も言わずに翼を羽ばたかせて飛び去って行った。

残されたアザゼル、サーゼクス、ミカエル達はただ唖然と彼女が飛び去って行くのを眺めている事しか出来なかった。

その後、我に返った三大勢力の面々は無事二天龍を神器に封印する事に成功した。だが代償として聖書の神が命を落とし、三大勢力は二天龍と乱入者によって多大な被害を負って戦争を終えた。

その後、自身を堕天の王と称したあの少女を“英雄”と呼ぶ者が多くいたが、同時にプライドが高い悪魔達や、多くの堕天使達には彼女は快く思わない者が多かった。

 

 

 

 

 

 

金髪の少女side…

 

 

私の名はルシファー、前世の記憶……いや、知識を持った所謂“転生者”と呼ばれる元男子高校生の堕天使だ。

ある日、普通の何処にでもいる男子高校生だった私は、気が付くと既にこの姿で見知らぬ場所に立っていた。そこは“モンスター界”という、私が生前好きだった引っ張りハンティングRPG、【モンスターストライク】…通称『モンスト』に登場するモンスター達が暮らす世界だった。

最初の頃はその『モンスト』のルシファーになれて嬉しさ半分、女になって悲しさ半分という複雑な気持ちになったものだ。

そして、モンスター界の外には勿論人間の暮らす“人間界”があったのだが、この世界では悪魔や堕天使、天使や妖怪、更には神も存在する世界だったのだから驚きだ。人間界とは“モンストゲート”という門から行き来出来、私達モンスターは様々な理由で人間界に行く事がある。

 

 

「まぁ、まさかカインを捕まえる事になるとは思わなかったがな」

 

「済まぬなルシファーよ。他に頼める者がいなかったのだ」

 

 

私は今、モンスター界のとある神殿の再奥にて、この神殿の主人であり、私にカインの捕獲を依頼して来た筋肉隆々の髭を生やした老人…“全知全能の最高神” ゼウスに申し訳なさそうに謝られている。

ゼウスは全知全能の割には浮気ばっかりやっており、よく奥さんのヘラさんに半殺しにされたり、私に今回の様な面倒な仕事を持ち掛けてくる。

因みにカインとは、人類で初めて人を殺し、嘘をついた旧聖書に載っている人物がモデルにされたモンスターで、私が先程倒した少女の事だ。普段は封印されているのだが、ゼウスがまた何かやらかしたらしく、脱走したので私に捕まえてくれとゼウスが頼み込んで来たのだ。何をしているのやら……。

 

 

「はぁ…ほら、早く再封印しろ」

 

 

私は小さな檻の様な物…“小さな監獄(スモール・プリズン)”という倒したモンスターを閉じ込める道具をゼウスに差し出した。

このまま何処かに保管する手もあるが、この監獄は力の強いモンスターなら時間が掛かるが破る事が出来る為、キチンとした封印が必要になる。私は封印は専門外なので、この神に預けておけばいい。コレは簡単に壊れる心配も無いので、故意に開けようとしない限り外側から開く事も無いので安心だ。

だが、差し出された監獄をゼウスは手に取ろうとしなかった。

 

 

「………おい、何をしている?早く再封印しろ」

 

「い、いや〜その……全知全能の私でもこんなにも早く捕らえてくるとは思わなかったのでな。まだ再封印に必要な準備が出来ていないのだ」

 

 

目を逸らしながら汗を一滴流す自称(・・)全知全能を私は冷めた目で見る。私にカインを捕まえてくれと頼んで来たのが1週間前、本来コイツなら準備が出来るのに十分過ぎる時間だ。なのにそれが出来ていない。

 

 

「………つまり?」

 

「つまりだな……封印の準備が出来るまでカインを其方の家で預かってくんね?」

 

ふざけるなこの浮気常習犯。消し炭にしてやろうか?

 

 

その後、結局カインはうちで預かる事になった。まぁ、監獄から出したカインは私にかなり臆している様で、大人しく言う事を聞いてくれたのは幸いだった。

取り敢えずゼウスには追加料金を請求するとしよう。

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