モンストD×D 〜我、堕天の王なり〜   作:☆桜椛★

2 / 12
冥界の森の鎌鼬

ルシファーside…

 

 

♪〜〜♪〜♪〜♪♪〜……

「……うむ、ここはもう少し変えた方がいいか」

 

 

私は家の自室にあるベッドに座り、ベースの練習をしていた。私はこう見えて、従兄弟が作った“背徳(はいとく)ピストルズ”というバンドでベースとボーカルを担当している。

メンバーは私とギター担当で従兄弟のサタン。そしてドラム担当の茨木童子(いばらきどうじ)の3人。私は最初は気が進まなかったが、サタンには本気の土下座、茨木には半泣きでお願いされて仕方なくやってみたら、いつの間にか私自身もライブが楽しく感じるようになっていた。

今ではなかなかの人気を集めており、近日中にまたライブをするらしい。その為私は暇があればベースや歌の練習をしたり、新しい曲の歌詞を考えたりしている。

……まぁ、あの2人と話すのは少し疲れるのだがな。

 

 

♪〜♪〜♪♪〜〜♪…

「………ん?」

 

 

ベースの練習を続けていると、廊下の方からドタドタと慌しい足音と、ゴロゴロと何か重い物が引き摺られる様な物音が近付いて来た。そして部屋の扉の前まで来ると、バン!と扉が壊れるんじゃないかと思う勢いで扉が開き、家で預かっているカインが入って来た。

 

 

「ルシファー!この漫画の続きは何処だ!?」

 

「もう読み終わったのか?ほら、そこの本棚に並んでいる。私はもう読み終わっているから、一気に3・4冊程持って行くといい」

 

「おぉ!ありがとう♪ルシファー!」

 

 

私が部屋に置いてある本棚を指差すと、カインは礼を言いながら本棚に歩み寄った。カインが歩く度に左足に付けられた足枷の大きな鉄球がゴロゴロと音を立てながら引き摺られて行く。

彼女の再封印の準備が完了してから長い月日が経過しているが、彼女は未だにこの家に住んでいる。何故なら、彼女の再封印をする必要が無くなったからだ。

これは私が彼女と一緒に暮らし始めた日に気付いた事なのだが、彼女はどうやら戦闘以外の娯楽を知らなかったのだ。それに気付いた私は彼女とテレビゲームをやったり、漫画を読ませたりした。

その結果、私は彼女に懐かれ、今では彼女は新しい家族として一緒に暮らしている。

 

 

「え〜っと?…7巻…7巻……あ!あった♪」

 

 

子供の様な笑みを浮かべるカインは、両手を拘束されている為自分の髪の毛を手足の様に操って本棚から漫画を引っ張り出した。

彼女が今嵌っているのは、『約束の地の大冒険』というモンスター界でも大人気の漫画だ。私の親友であるカナンという、旧約聖書に登場する“約束の地”がモデルとなった天才漫画家が書いた作品で、私もよく読んでいる。

 

 

「じゃあ借りて行くぞ!あぁ、そうだ。さっき冷蔵庫の中を見て来たんだが、ジュースとかが切れていたぞ?」

 

「そうか。だったら買いに………む?」

 

 

何時も通りにカインに買って来てもらおうと財布を開いたが、もう殆どお金が入っていない事に気が付いた。しまった、カインが一緒に暮らすようになって食費が1人分増えたから計算より早くお金が無くなってしまった。

 

 

「はぁ……仕方ない。カイン、この金で飲み物を買って来てくれ。私は今から仕事に行ってくる」

 

「よし!任せろ〜〜♪」

 

 

カインは私からお金を受け取ると部屋を出て飲み物を買いに向かった。相変わらず騒がしい奴だと思いながら私もベースを片付け、部屋を出た。カインはもう外に行ったようで、玄関のドアは開けっ放しだった。

 

 

「あのバカ……ちゃんと閉めろとあれ程言っているというのに」

 

 

ここで住み始めてからカインが段々と子供っぽくなって行くように感じながらブーツを履く。すると背後から声を掛けられた。

 

 

「………ルシファー。仕事?」

 

「ん?あぁ。そろそろお金が無くなりそうなのでな」

 

 

私が振り向くと、そこにはこの家のもう1人の住人である少女、アヴァロンが立っていた。腰辺りまで伸びた金髪に、リンゴの様な赤の中央に金色という独特な瞳を持っており、手術を受ける患者が着る服に似たワンピースを着た彼女は、あの『アーサー王物語』の舞台であり、致命傷を負ったアーサー王が癒しを求めて渡り、最期を迎えた伝説の島がモデルとなったモンスターだ。

彼女はカインが家に来る以前から一緒に暮らしており、立場的には私の養子という事になっている。

 

 

「……私も、行ってもいい?」

 

「………まぁ、構わんな。いいぞ」

 

 

私が許可を出すと、普段無表情な彼女が心なしか笑った様に感じた。家に誰も居なくなってしまうが、鍵を掛けておけば問題ない。カインには念の為鍵を渡しているので、帰って来たらリビングのソファーで漫画を読んでいるだろう。

私は手を握ってくるアヴァロンを連れて、家を後にした。

 

 

 

 

 

 

私はアヴァロンを連れて、浮気常sy…ゴホン!ゼウスがいる神殿に訪れていた。私がこの場所に来たのは、仕事の依頼を貰うためだ。

この世界には外の世界とは違い、少し特殊な仕事がある。外の世界に迷い込み、暴れているモンスターを討伐又は捕獲してモンスター界に戻すというものだ。

以前話したモンストゲートには、許可証が必要だが自由に出入り出来る固定されたゲートと、不定期にランダムで自然発生するゲートの2種類ある。自然発生するゲートは知能が低かったり、力が弱かったりするモンスターを引き込んで外の世界に出て行ってしまう事がある。

それをモンスター界に戻してお金を貰うのが私がやっている仕事だ。外に出て行ったモンスターは浮気常習犯…じゃなかった、ゼウスの能力で場所を特定出来る。ゲートは頻繁に発生している為、基本ゼウスに会いに行けば仕事は貰える。

そうこう言っている内に神殿の最奥に着き、私達は扉を開いて中に入った。ゼウスは正面にある机に座って書類にペンを走らせていた。

 

 

「おい浮気常習犯。仕事を貰いに来たぞ」

 

「おい先ずその不名誉な呼び方を改めてくれ」

 

「なら手当たり次第にナンパするのを辞めることだな」

 

 

この全知全能(仮)はホントに手当たり次第にナンパしては玉砕されているのに懲りずにナンパし続けているからな。ナンパがバレる度にヘラさんに半殺しにされているのに尚続けるこいつはある意味凄い神だと私は思う可能性が0.01%はあるかも知れん。

 

 

「それで?今日の仕事は何処だ?今日はアヴァロンも行くから簡単で高額な仕事がいい」

 

「その娘もか?なら確か……あぁ、これなら丁度いいだろう」

 

 

ゼウスは書類の山の中から1枚の紙と、引き出しから“小さな監獄”を1つ取り出し、私に差し出した。受け取った紙には白い毛並みをし、両手が紫色に妖しく輝く鎌になっている鼬の写真とモンスターの名前と共に達成報酬金額が書いてあった。

 

 

「今から6時間前、1体のかまいたちが外に出た。場所は冥界の森深く、知能が低い個体らしく、目に入った生物を切り裂いている」

 

「引き受けた。すぐに向かおう」

 

 

私はこの仕事を引き受け、アヴァロンと共にゼウスの神殿を後にして冥界に向かった。

 

 

 

 

 

 

???side…

 

 

「追い詰めたぞ!裏切り者め!」

 

「もう逃げられんぞ!」

 

 

私は森の奥深くで7人の悪魔達に追い詰められていた。背後には大木、左右に2人ずつ、正面にリーダーを含めた3人…完全に逃げ道を失ってしまっていた。

 

 

「クッ!……」

 

「ふん!やっと大人しくなったか」

 

 

魔力も底をついてしまい、体力も限界だった私はズルズルと大木に背を預ける状態で座り込んでしまった。もう空を飛んで逃げる気力も無い。出来たとしてもすぐに捕まってしまうでしょう。なんとか逃げなくては……!

 

 

「さて、後は始末するだけだが……ふむ」

 

 

私がこの状況を切り抜ける方法を必死に考えていると、リーダーの悪魔が私を…正確には私の体を悪寒がする様な目付きで見始めました。凄く不快に感じます。

 

 

「裏切り者にしてはいい体をしている……どうせ殺すなら、少し遊んでから始末するのはどうだ?」

 

「な!!?」

 

「おお!それはいい!」

 

 

リーダー悪魔の提案に他の悪魔達が便乗し、ジリジリと歩み寄って来る。

ふざけないで!そんな事、絶対に嫌だ!!

 

 

「さぁて、楽しませてくれよぉ?」

 

「や、止めて!近寄らないで!」

 

 

私はこちらに伸ばされる彼等の手が恐ろしくなり、つい目を瞑って頭を下に向けた。

………すると。

 

 

ズパンッ!!

「………ァ?」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

突然突風が吹き、私が背にしていた大木と正面に立っていたリーダーを含めた3人の悪魔達の胴体が真っ二つに斬られた。あと少し頭を下げるのが遅れていたら、私の首も跳んでいただろう。

私と他の悪魔達が突然の事に驚愕して固まっていると、再び突風が吹いた。私が反射的に頭を下げると、他の悪魔達の悲鳴が耳に入って来た。

 

 

「な、何だ!?どうn《 ザシュッ! 》ガッ!?」

 

「ヒィ!?た、助けk《 ザシュッ! 》ギャ!?」

 

「に、逃げろ!早くにg《 ザシュッ! 》ガァァッ!?」

 

「ヒッ!?来るな!止m《 ザシュッ! 》…」

 

 

悪魔達の叫びが聞こえなくなり、次第に戦争で嗅ぎ慣れた血の匂いが漂って来た。私は生きている。首も繋がっているし、体の一部が無いなんて事もない。という事は、この匂いは私を追っていた悪魔達の物だと理解出来た。

……だとすれば、彼等を攻撃したのはいったい?

私が恐る恐る顔を上げると、白い毛並みをし、両手が巨大な鎌になっている空中に浮いた鼬が目に入った。一瞬綺麗な毛並みだと思ったが、その鼬の目が私を捉えた瞬間、そんな考えは消え失せた。

その鼬の目は、獲物を狩る狩人の目だったからだ。

 

 

「キュォォォォォ!!」

 

「クッ!!《 ザンッ! 》ア゛ァ゛ッ!!」

 

 

嫌な予感がしてすぐにその場から飛び退いたけれど、右腕を切り裂かれてしまった。幸い腕が切り落とされはしなかったが、いつ首が飛んでも可笑しくない。

私は切り裂かれた右腕を押さえながら再び走り出した。背後からあの鼬の化け物の鳴き声と木が切り倒される音が聞こえて来る。そして再び突風が吹い荒れ、身の危険を感じた私は咄嗟に横へ飛んだ。

………しかし。

 

 

ザシュッ!!

「カハッ!!?」

 

 

私は躱し切る事が出来ず背中を切られてしまった。その衝撃で私は地面を転がり、近くにあった岩にぶつかった。最早動く事も出来ず、私は空中を滑るように近付いて来る化け物に凄まじい恐怖を感じた。私はこのままあの悪魔達の様に斬り殺されるのだろうか?

 

 

 

 

 

……嫌だ……絶対に嫌だ!折角旧魔王派の考えが嫌で逃げ出したのに、こんな所で死にたくない!!

私は這いずる様にしながらもなんとか逃げようと試みた。だが化け物は私が逃げようとしているのに気付くと、止めを刺そうと鎌を振り上げた。

私はそれに気付いて振り向くと、鎌に映るボロボロの姿をした私が私を見詰めていた。そして振り上げられた鎌は風を切る様な音と共に振り下ろされ、私の命を……。

 

 

ガキィィィィィィン…!!!!

 

「キュォ!!?」

 

「………え?」

 

 

奪う事はなかった。振り下ろされた化け物の鎌はガラス板を繋ぎ合わせた様な壁に甲高い音と共に弾かれた。

 

 

「危ない所だったな……間に合って良かった」

 

 

何が起こったのか分からないでいると、背後から凛とした女性の声がした。ゆっくり振り向いてみると、そこには紫色の翼を広げた金髪の綺麗な女性が立っていた。同じ女性で有りながらその美しさに茫然と見詰めていると、彼女は優しい笑みを浮かべて私を見た。

 

 

「よく頑張ったな。後は私がやっておく。ゆっくり休め」

 

「……は、……は…い……」

 

 

私は意識だ遠のいて行く中なんとか返事をした。血を流し過ぎたのか視界が暗くなって行き、私は意識を手放した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。