モンストD×D 〜我、堕天の王なり〜   作:☆桜椛★

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神々からの面倒な仕事

ルシファーside…

 

 

「ルシファー様、紅茶のお代わりは如何ですか?」

 

「うむ、頂くとしよう」

 

 

私は蒼と白のロングスカートのメイド服を着た銀髪の美しい女性…グレイフィアに微笑みながら礼を言った。彼女も顔に小さく笑みを浮かべて空になったティーカップにポットに入った紅茶を注ぐ。

私とアヴァロンがグレイフィアと出会ってから早くも約2000年程か?まあそれくらいの年月が過ぎた。あの日から彼女は私達の家で一緒に暮らす事になり、今はメイドとして家事の殆どを彼女がやってくれている。

まぁ、彼女が今の様になるまで少し時間が掛かった。どうやら彼女は昔カインが暴れていた戦場で何度も死に掛けた事があったらしく、家のソファーに寝転びながら漫画を読んで笑っていたカインが目に入った瞬間私の後ろに隠れて子犬みたいにプルプル震えていた。どうやらかなりのトラウマになっているらしい。

今ではなんともないが、カインに慣れるまでずっと私から離れる事は無かった。グレイフィアが慣れるまで、トラウマ対象であるカインは偶に涙目になりながら自分の部屋にトボトボ戻って行く事が何度かあった。

 

 

「………ふぅ、やはりグレイフィアが淹れる紅茶は美味いな」

 

「ありがとうございます」

 

 

私は淹れてもらった紅茶を飲んでホッと息を吐いた。彼女が淹れる紅茶はとても美味しい。初めて飲ませて貰った時はその美味しさに驚いたものだが、ここでの生活で更に美味しくなった。なんでも茶葉の専門店で知り合った蓬莱(ほうらい)という古代中国で、東の海上にある仙人が住むと言われた仙境の一つである理想郷がモデルとなったモンスターに色々教えて貰ったらしい。

私も彼女とはカナンの紹介で知り合ってはいるが、かなり気難しい性格なのでよくグレイフィアが気に入られたなと今でも思っている。

 

 

「おぉ〜!このクッキー美味いな!グレイフィア!」

 

「………うん、美味しい」

 

 

私の座っているテーブルの向かい側の椅子では、カインとアヴァロンがグレイフィアが焼いたクッキーを美味しそうに頬張っている。2人の反応にグレイフィアは嬉しそうに微笑み、綺麗に一礼した。

私達がそんな風にゆっくり過ごしていると、玄関のインターホンが鳴った。はて?今日は家に来客がある予定は無いはずだがな。

 

 

「宅配便でしょうか?少し失礼します」

 

 

グレイフィアは疑問符を浮かべながらもペコリと一礼して玄関に向かった。私達が彼女を見送ってしばらくすると、玄関の方からグレイフィアと聞き覚えのある男性…ゼウスの声が聞こえて来た。

 

 

『ちょ!?何故無言で扉を閉めようとするのだ!私はルシファーに要があるのだ!中へ入れてくれ!』

 

『ダメです!貴方の事ですからどうせまたヘラ様のご機嫌を損ねたからルシファー様を頼りに来たのでしょう!少しはご自分でご機嫌を直して下さい!』

 

『ち、ちちち違う!今回()ヘラちゃんのご機嫌は損ねていない!今日はルシファーにどうしても頼みたい仕事があるから来たのだ!』

 

 

その後もずっと2人の言い争いが玄関から聞こえ続けた為、私は仕方なく溜め息を吐きながらも席を立ち、玄関に向かった。

しかしゼウスが態々家に来る程頼みたい仕事か……また何かロクでもない事をやらかしたのではないだろうな?

私は実際にあり得そうな予想をしながらカイン達といたリビングを出て、廊下を進んで玄関に向かった。そして玄関に着くと、そこではチェーンロックが掛かったドアの隙間から中に無理やり入ろうとしている何故かピチピチのスーツを来たゼウスと、彼を入れまいと必死にドアを押しているグレイフィアの姿があった。

 

 

「いいから入れたまえぇ!!後は私が話すから……!」

 

「ダメですって!お引き取り下さいゼウス様!」

 

「……何をしているんだお前達は?」

 

 

 

 

 

 

取り敢えず私はゼウスを家に入れ、話を聞く事にした。グレイフィアはかなり不満そうな顔をしていたが、私がお願いすると何故か少し頰を赤く染めながら了承してくれた。

 

 

「………それで?いったい私に何の用だ?」

 

 

私は向かいのソファーに座るゼウスに気怠げに質問した。どうせコイツの事だから非常に面倒な仕事を持って来たのだろうと容易に想像出来るからだ。

特に普段は着ないスーツを着て家に直接訪れる時は、基本的に私に断られる可能性が非常に高い仕事なのだ。前回は外の世界でとある娘の教育係になってくれというものだった。ただし、その娘は将来的にそこ等一帯の地域を統べる長になる為、成長してからもしばらくの間一緒に仕事をやり、仕事を引き受けてから終わるまで200年程は掛かった。

 

 

「うむ、其方に頼みたい仕事があってな。単刀直入に言うと、人間界にある駒王町という町の管理をして欲しいのだ」

 

「よしグレイフィア、お客様のお帰りだ」

 

「畏まりました。さぁゼウス様、お帰りはこちらです。もう二度と来ないでくださいませ」

 

「そこは『またいらしてください』ではないのか!?いや待て!待ってくれ!責めて話だけでも聞いて欲しい!」

 

 

私はさっさと帰してしまおうと思ったが、あまりにも必死になっていたので話だけでも聞いてやる事にした。取り敢えず色々聞きたい事はあるが、先ずは何故そんな事をする必要があるのか聞くとしよう。

 

 

「何故そんな事をする必要がある?」

 

「うむ、其方は外の世界の悪魔共が作った“悪魔の駒(イーヴィル・ピース)”なる物を知っているか?」

 

 

“悪魔の駒”…外の世界の悪魔共が戦争で減った悪魔を増やす為に作った他種族を下僕悪魔に転生させる道具だったな。正直言って私はアレは不愉快に感じている。双方合意の上でその後の事もちゃんと保証するならば勝手にやればいいが、その中には他種族を騙したり、脅したりなどして無理矢理転生させる悪魔が多い。それに強制的に下僕悪魔にする為、転生させられた側はその悪魔を恨み、殺したり裏切ったりなどして“はぐれ悪魔”という所謂お尋ね者の悪魔になる者も多いのだ。

 

 

 

「知っている。だがそれが今回の仕事となんの関係がある?」

 

「実は駒王町では最近、その“悪魔の駒”で転生したはぐれ悪魔や、堕天使などの連中が人間達を襲う事件が増えて来ていてな。日本神話の神々と話し合った結果、私達モンスター界の誰かに管理をしてもらう事になったのだ。そこで白羽の矢が立ったのが……」

 

「私という訳か……」

 

 

しかしそれは別に私ではなくてもいいのではないか?例えば親友の大天使であるウリエルやラファエル、ミカエルは……管理には向かないか。だがガブリエルでもいい。他にも沢山の管理に向いた能力を持ったモンスターは居るはずだ。

 

 

「その通りだ。だが、それだけじゃあない」

 

「ッ!それは………」

 

 

ゼウスはそう言うと1枚の紙を取り出した。その紙はとても長いのか折り畳まれており、水色の文字らしきものが書かれていた。私はその紙を見て何故私なのか理解した。

 

 

「ノストラダムスの予言か……」

 

「その通りだ。実は日本神話の神々と話し合いをする数日前、アンゴルモアが私にこの紙を渡しに来たのだ」

 

 

ノストラダムスとアンゴルモアは2人で1人のモンスターだ。ノストラダムスは未来を見る事が出来る預言者で、その予言は100%的中する。だが彼女は超が付く程説明が下手で、何時もアンゴルモアが口から予言が書かれた紙を吐き出すのだが、その紙に書いてあるのはまるで暗号のようになっているのだ。

文字だけなら私も読む事は出来るので、ゼウスから予言書を受け取り、読んでみた。

 

 

【堕天の王が守りし盤上の町に、力無き赤き王が降り立つ時、赤き龍の力を持つ愚かな人が命を落とす。生まれ変わりし赤き龍は、力無き赤き王の僕となり、堕天の王が守りし盤上の町に数多の人ならざる者と共に災を呼び寄せる】

 

「“堕天の王”を名乗るのは外の世界とモンスター界を含めても其方のみ。そして“盤上の町”とは、おそらく駒王町の事であろう」

 

「それで私か……」

 

 

さて、どうするか……ハッキリ言ってしまえば私は面倒そうだからやりたくはない。だがノストラダムスの予言には私が町の管理をしていると読み取れる。予言は内容と別の行動を取れば多少未来は変えられるが、基本的な部分は変わらない。つまり今断っても結局は私が引き受ける事になるだろうな。

しかし私1人で町1つを管理しきれるだろうか?

 

 

「あぁ…言い忘れていたが、既に其方が町を管理するのに協力してくれる者達は揃っている。最初は皆微妙な顔をしていたが、君が引き受けてくれるかも知れないと知るとすぐに了承してくれた。ただ人数が多かった為、私がその中から選ばせてもらったがな」

 

「………はぁ、分かった。引き受けよう。ただし、カインとアヴァロン、グレイフィアは連れて行かせてもらうぞ?」

 

「勿論だ。駒王町には既に其方が気に入りそうな家を用意してある。引越し業者も既に呼んでおいた。必要な物があれば連絡してくれたらすぐに送ろう。それと日本神話側から其方の手伝いをしたいと申し出てくれた者がいる。その者は話をしてすぐ駒王町に向かったらしいぞ。生活費や戸籍などについては全て私と日本神話の神々が用意するので安心したまえ」

 

「………貴様まさか、私が断ろうとしたらその話を持ち出して断れなくするつもりだったのではあるまいな?」

 

 

私がジト目でゼウスを見ると、ゼウスの顔の笑みがピシリと固まり、そのままゆっくりと立ち上がった。そして次の瞬間………。

 

 

「ではそういう事で!私は他にもやる事があるので失礼する!さらばだルシファーよ!!」ガシャーーン!!!

 

「待て貴様!!人の家の窓を割って逃げるんじゃない!!我、堕天の王なり……!!

 

「それは流石にやり過ぎではないか!?ちょ!もう追い付いて来…ギャァァァァァァァァ!!!」

 

 

窓を突き破って空へ逃げたゼウスに私は“ストライクショット”をお見舞いした。ゼウスが私の軍勢に撃ち落とされたのを眺めた後、私はグレイフィア達に引越しの準備をするよう命じた。

 

 

 

 

 

 

あれから1週間後、私はグレイフィア達と一緒にこれからしばらく管理をする駒王町にやって来ていた。

 

 

「ここが駒王町か……思ったよりいい町だな」

 

「へぇ〜?外の世界もかなり発達した様だな」

 

「………2000年ぐらい外の世界に来なかったら、これぐらいは当然」

 

 

カインは久しぶりの外の世界が珍しいのかキョロキョロと辺りを見渡している。因みに私とカインは流石にそのままの姿だと人間界では色々とマズイので、普通の人間の姿になっている。私は翼を仕舞い、黒いシャツの上に私の角の様な紫の模様が付いたフードが付いた白いパーカー。下はショートパンツにスニーカーという動きやすい服装。カインは肌が普通の人間の色になり、赤いパーカーにジーパン姿をしている。

 

 

「グレイフィア、他の皆はどうした?」

 

 

私は少し後ろに立っているメイド服姿のままのグレイフィアに質問した。他の皆とは今回町の管理を手伝ってくれる者達の事だ。ガブリエル、天草四郎時貞(あまくさしろうときさだ)(さくら)

アリス、卑弥呼(ひみこ)、そして小野小町(おののこまち)の計6名が今回私を手伝ってくれる者達だ。

 

 

「皆様なら既に自分達が住む家に向かいました」

 

「そうか、なら私達もこれから住む家に向かうとしよう」

 

「新しい家かぁ……なんだか楽しみだなぁ♪」

 

「………うん、楽しみ」

 

 

私達はこれから住む家に向かって町を観察しながら歩き出した。こうして、私達は駒王町の管理をする事となった。

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