モンストD×D 〜我、堕天の王なり〜   作:☆桜椛★

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静寂を求める無限の龍神

ルシファーside…

 

 

「にゃ〜〜♪気持ちいいにゃ〜〜♡」

 

「そんなにいいのか?普通に撫でているだけなのだが……」

 

「これが普通なら人類の99%は撫で方がダメダメにゃん♪」

 

「いや、流石にそれは言い過ぎだろう」

 

 

私は今、家のリビングにあるソファーに座り、膝に乗っている猫の姿になった黒歌を優しく撫でている。こういった事はあまりした事は無いのだが、そんなにも気持ちがいいのだろうか?私はあまり撫でられるなんて事はされた事が無いから分からん。

 

 

「ふむ……この辺りはどうだ?」

 

「ッ!ふにゃ〜〜♡そこ気持ちいいにゃ〜〜♪」

 

 

やはり元々猫の妖怪だからかは知らないが、どうやら普通の猫が撫でられて喜ぶ所を撫でられると気持ちがいい様だ。

………しかし、黒歌の反応面白いな。

 

 

「ぐぬぬぬぬ…!黒歌めぇ〜…羨ましいのじゃ」

 

 

私に撫でられて気持ち良さそうな声を上げている黒歌を、ソファーから離れた場所にあるテーブルの椅子に座っている狐の様な耳と9本のフサフサな尻尾を生やした着物姿の女性が羨ましそうに睨んでいた。

彼女の名前は八坂(やさか)といい、日本神話側が送ってくれた助っ人の九尾の大妖怪だ。彼女は昔私が引き受けた仕事で200年程一緒に暮らした娘で、今では立派に成長して京都を取り仕切るまでなっている。だが今は駒王町で日本神話の神々に送る報告書や書類の整理、更には間に合わずにはぐれ悪魔などに殺害されてしまった人間達やその家族の対処などをグレイフィアと一緒にやってくれている。

京都は彼女の九重(くのう)という幼い頃の八坂にそっくりな娘にサポート役を付けて任せているらしい。九重にはいずれは立場を継がせるつもりでいた様で、今の内に経験させるとの事だ。勿論何か問題が発生すれば京都に戻る事になっている。

因みに九重をサポートしているのは京都に住んでいるモンスター界の九尾の妖狐である妲己(だっき)が引き受けているらしい。正直私はあの狐に任せるのは不安なのだが、問題は起きていない様なので今は任せている。悪い奴ではないのだが、彼女に別の意味で襲われそうになった私としては心配になる。気に入った奴ならどっちでもOKだからなぁ……あの狐は。

 

 

「私は猫の様に撫でられた経験がないのですが……そ、そんなに気持ちがいいのでしょうか?」

 

「うむ、妾も幼い頃によくやってもらっておったのだが……アレは最高じゃ♪現に見よ!黒歌のあの幸せそうな顔を!」

 

 

グレイフィアは八坂に言われて私が撫で続けている内に人型に戻ってしまった黒歌の幸せそうな顔を見た。人型に戻っている為、私から見ても今の黒歌はとても幸せそうな顔をしているのが一目で分かった。

 

 

「………幸せそうですね」

 

「そうじゃろう?」

 

 

グレイフィアは少し羨ましそうな表情を浮かべた。グレイフィアがあんな表情をするのは珍しい。………今度機会があれば撫でてみようか?

 

 

「ふにゃ〜〜♡…にゃふ……スゥ……スゥ……」

 

「……ん?寝たのか?」

 

 

しばらく撫で続けていると、黒歌は私の膝を枕にして気持ち良さそうに寝息を立て始めた。彼女はこの家に来てまだ2週間も経っていないが、既にこの家に馴染んでいる。初日は私の名前や寝転んで漫画を読むカインを見て驚愕していたが、今ではこの通りだ。

私は慎重に黒歌の頭を膝から退かしてそのままソファーに寝かせた。

 

 

「む?なんじゃ、黒歌の奴は寝おったのか?」

 

「その様だな……そう言えばカインとアヴァロンはどうした?」

 

「カイン様はカナン様の漫画の新刊を買いに書店へ。アヴァロン様は先程卑弥呼様から連絡があり、白のはぐれ悪魔を見付けたので“悪魔の駒”を摘出しにワープホールで向かいました」

 

 

ワープホールとは生前のモンストに出て来るギミックの1つだ。配置されたワープホールから別のワープホールへと飛ばされてしまうこのギミックだが、実際に使うとなると移動手段としてはとても便利なもので、私も遠出する時や急いでいる時はよくアヴァロンに頼んで送ってもらったりしている。

しかし今回は白だったか……やはりはぐれ悪魔には白の者も結構いるものだな。今月に入ってから町に侵入したはぐれ悪魔は16人、内白のはぐれ悪魔は6人だ。まぁ先月は14人で黒のはぐれ悪魔が12人だったがな。

 

 

「そうか……しかし、未だにはぐれ悪魔や堕天使共がこの町によく侵入するな。もしや予言の“赤き龍”の力を持った人間がこの町にいるのか?」

 

「可能性はありますが、それらしき人間を見たという報告は来ておりませんよ?」

 

「まぁ、あの予言はいつ起こるかまでは載っていなかったからな。だがこの町を管理し始めてからもう10年以上(・・・・)になる。いつ予言が始まっていても不思議ではないぞ?」

 

 

というか、私個人としてはもう予言は始まっていると思っていたりする。理由は私達モンスターやはぐれ悪魔や堕天使…更には1人だけだが八坂という妖怪が駒王町にはいる。それに神社で親娘が妙な集団に襲撃されたり、女の子が暴走トラックに轢かれそうになったり、銀行で強盗が発生した上に人質にされたり、モンスターが町に迷い込んで人間を襲ったりなど…色々とこの町では事件が起きまくっているからだ。

まぁ女の子はギリギリだったが助けたし、強盗は全員叩きのめして後は警察に全部丸投げしたがな。

 

 

「確かにのう……じゃがその予言には力を持った人間が死んで“力無き赤き王”の僕になるのじゃろ?ならば予言の“力無き赤き王”らしき者が現れるまではいつも通りでいいのではないか?」

 

「それもそうだな。じゃあ私は少し出掛けるとするか。ケーキでも買って来るとしよう。お前達も何か食べるか?」

 

「いや、妾は結構じゃ」

 

「私も遠慮しておきます。それよりご自身で行かれなくても私が代わりに買って来ますよ?」

 

「それだと私が出掛ける意味が無くなるだろう。では行ってくる」

 

「行ってらっしゃいませ。ルシファー様」

 

「面倒事に巻き込まれない様気を付けるんじゃぞ〜?」

 

 

私は「分かっている」と返事を返してからフードを被り、財布の中身を確認しながらケーキ屋を目指して家を出た。

八坂はあぁ言っていたが、そうそう面倒事に巻き込まれる事はない筈だ。

 

 

 

 

 

 

「(……と、思っていた時期が私にはあった)はぁ……」

 

 

私は現在、“旋律の翼”でいつもとは違ってテーブル席に座り、額に右手を当てながら小く溜め息を吐いた。

私はつい先程まで何事も無くケーキ屋に行って、苺のショートケーキやチョコレートケーキなどを幾つか買って家に向かっていたのだ。普段なら既に家に着いてグレイフィアに淹れてもらった紅茶を飲みながらケーキを食べていた筈なのに……とある面倒な客が突然私の前に現れ、話があるとの事なので渋々ソイツを連れてこの店にやって来た。今はマスターに頼んで貸切状態にしてもらっている。

で、その面倒な客とは………。

 

 

「…………」モグモグ

 

 

私の目の前で注文した出来たてのオムライスを黙々と食べているちょっとアレなゴスロリ風のワンピースを着た黒髪ロングで細身のまるで人形の様な姿をした少女の事だ。

彼女の名前はオーフィス。こう見えて“無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)”と呼ばれている無限を司るドラゴンだ。

彼女は先程も言った通り彼女は本当に突然私の前に現れて、力を貸して欲しいと言い始めたので、取り敢えず落ち着いて話ができる場所として近くにあったこの店に連れて来たのだ。因みにオムライスは私の奢りだ。

 

 

「……それで?かの有名な“無限の龍神”が私にいったい何の用だ?」

 

「ん……我、お前の力借りに来た」

 

「おい口、汚れてるぞ。ジッとしてろ」

 

「ん……」

 

 

オーフィスは口の周りを少し汚しながら私の問いに答えた。取り敢えず彼女の口元の汚れを紙ナプキンで拭き取ってから理由を尋ねた。

 

 

「それで?なんで私なんだ?」

 

「お前、ドライグとアルビオン倒した乱入者倒した。我と一緒に、グレートレッド倒す」

 

 

グレートレッド…“真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)”とか呼ばれているドラゴンだったか?確か“次元の狭間”とかいう空間に住んでいる外の世界最強と呼ばれてるドラゴンだと八坂やグレイフィアから聞いた事がある。

 

 

「何故そんな事をする必要がある?あのドラゴンはこの世界にあまり関心が無いと聞いた。無理に倒す必要は無いだろう?」

 

「でも我、次元の狭間に帰り、静寂を得たい。でも次元の狭間にグレートレッドが居て、静寂を得る事が出来ない」

 

「静寂……?」

 

 

私が聞き返すとオーフィスはコクリと頷いた。よく分からないが静かな場所が欲しいと言う事でいいか。

さて、どうするか……正直言ってグレートレッドを倒すのは出来なくもないかもしれないが、面倒過ぎる。それに勝手に倒したら三大勢力や神話の神々やらが何を言い出すか分からないしな。

 

 

「その話は他の誰かにもしたのか?」

 

「ん、グレートレッド倒す為に、我は“禍の団(カオス・ブリゲード)”作った。でも、彼等は我の“蛇”求めるばかりで、なかなかグレートレッド倒さない。だからお前に力借りに来た」

 

 

ん?知らない単語が出て来たな。

 

 

「その“蛇”とはなんだ?」

 

「我の力を分けたもの。飲めば力が手に入る。お前もいる?」

 

「蛇なんか飲むか。後私は『お前』じゃなくてルシファーだ」

 

「ん、ルシファー。一緒にグレートレッド倒す。我とルシファーなら勝てる」

 

「いや、私は面倒だからやりたくないんだが?」

 

 

というかその“禍の団”は絶対オーフィスの“蛇”が欲しいだけの集団だろうな。何が目的かは知らないが、オーフィスの“蛇”を手に入れて禄でもない事を考えているに違いない。一応ゼウスや日本神話の神々に報告はしておくか。

 

 

「取り敢えず“禍の団”は抜けた方がいいだろう。そいつ等はグレートレッドを倒す気が無さそうだ」

 

「でも、それだと我、静寂を得られない……」

 

 

オーフィスは困った様な表情で俯いてしまった。残念そうにしている彼女を見ていると私が悪い様な感じがするな。

 

 

「そもそも静寂なんて、手に入れてどうするのだ?」

 

「………考えてない。静寂が得られればそれでいい」

 

 

もう私は彼女が何を考えているのか分からなくなって来た。ただ静寂が欲しいだけって、静寂なんて手に入れてもすぐに飽きるだろうに。

それに私は自分1人だけ静寂の世界にいるのは、とてつもなく詰まらないものに思えるのだ。

 

 

「……なぁオーフィス。お前、私達と一緒にいないか?」

 

「……?ルシファー達と?」

 

「あぁ…一度私達としばらくの間一緒に過ごして、それでも静寂がどうしても欲しいと言うなら、私も力を貸すかどうか考えよう」

 

 

オーフィスは私の提案を聞くと、しばらくの間考える素振りをしてからゆっくりと頷いた。

 

 

「………ん、分かった。我、ルシファーと一緒にいる。そして、しばらく一緒に過ごしてから、どうするか考える」

 

「そうしてくれ。じゃあ私の家に来るといい。部屋は片付ければ幾つか空いてる筈だ」

 

「……ん、分かった」

 

 

こうして、オーフィスは私の家でしばらく一緒に暮らす事になった。お代を払って家に帰ると、オーフィスを見たグレイフィアと八坂と起きていた黒歌の3人は驚愕して少し質問攻めに遭ったが、訳を聞くと皆オーフィスを歓迎してくれた。正直帰ってすぐ戦闘……っていう線も考えていたが、仲良く出来そうで安心した。

 

 

 

 

 

 

〜数週間後〜

 

 

 

ルシファーが自室でベッドに寝転びながら漫画を読んでいると、部屋のドアが開かれて、オーフィスが入って来た。ルシファーは彼女に気付くと、体を起こして読んでいた漫画から視線を外し、オーフィスの方を向いた。

 

 

「ルシファー、今帰った」

 

「お帰りオーフィス。ちゃんと“禍の団”は抜けて来たか?」

 

「ん、『我、求める場所手に入れたから、“禍の団”抜ける』って、言って来た」

 

 

オーフィスがルシファーの家に来てから数週間。最初はあまり慣れない感じだったオーフィスだったが、グレイフィアの作る料理を皆で食べたり、カインと一緒に漫画やゲームを楽しんだり、アヴァロンや黒歌と一緒にお昼寝をしたりしている内に、静寂の世界よりルシファー達と一緒にいる方がいいと思うようになった。

そして今日、彼女は自分がグレートレッドを倒す為に作った“禍の団”を抜けて来たのである。

オーフィスはトテトテと小走りでルシファーが座るベッドに登り、胡座をかいているルシファーの足の上に座って背中をルシファーに預ける様にした。今やこの位置は彼女の特等席になっており、よくアヴァロンと黒歌…偶に八坂と取り合いになっていたりする。

 

 

「ルシファー、撫でる」

 

「分かった分かった。ほら、これでいいか?」

 

「ん〜〜♪」

 

 

ルシファーは仕方なさげにオーフィスの頭を優しく撫でた。するとオーフィスは気持ち良さそうに目を細め、ルシファーの手の感触を楽しんだ。

こうして、オーフィスは正式にルシファーの家族の一員となったのである。

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