if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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新作です。
注意、原作藍染が好きな人でそのイメージを壊したくない人はブラウザバックをオススメします。それでもいい、と言う人は見て貰えるとありがたいです!!
感想、評価受け付けますっ!!!!


序幕
少年


俺の名は藍染(あいぜん)光右介(こうすけ)。大学に通う金もなければ次の日も生きていける程の金もない、貧乏人の20歳である。

 

バイトを掛け持ちして、掛け持ちして、掛け持ちしまくってなんとか1日を繋ぎ止めている。安いすきま風の絶えない家に帰り風呂にも入らず布団も敷かず俺は硬いフローリングに寝転ぶ。

 

今日は疲れた。体力はそこそこある方だと自負する俺であるが今日は本当に疲れた。だから眠った。風呂にも入らず布団も敷かず硬いフローリングで。俺は眠った。

 

起きた時には知らない場所にいた。

 

 

 

 

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硬いフローリングで寝ていた筈の俺であるがいつの間にかふっかふかの布団に包まれていた。いつの間に布団を敷いたのだろう?そもそも万年金欠の俺がこんなフカフカの布団を持っていたであろうか?

 

勿論寝起きの俺はそんな事も考えることはできず部屋を出、洗面所に向かう。洗面所に備え付けてある鏡には顔面偏差値中の下の俺の顔ではなく、顔面偏差値上の上の顔の少年が映っていた。

 

……………。

 

ヤヴァイ、嬉しい。実は将来の夢で「イケメンになってキャッホーイウフフの生活を送りたい」って小学生の卒業文集で書いてたんだ。まさか、叶うとは!

 

よく見るとこの家めっちゃ金持ちそうだぞ!?金持ちか、金持ちなんかこの少年(おれ)は!?夢だ、夢かもしれないっ!!

 

現実か夢かの区別がつかなくなった俺は少年(俺)の顔を結構本気でぶん殴ってしまう。勿論俺がぶん殴った頬はヒリヒリとして凄く痛い。腫れた。絶対腫れた。これ確定。明らかに力加減を間違えてしまった。

 

思った異常の痛さに悶絶する俺。思わず床を転がってしまう。けれどこれでわかった。この少年は俺で間違いなしだ!ドジっ子の神が間違えて俺をやっちまったとかそんなんどうでもいい。俺は生まれ変わった!イケメンに!!金持ちに!!

 

 

「うおおぉぉぉっっ!!勝ち組だぁぁぁっっ!!」

 

 

思わずのガッツポーズをする俺。遂に俺は勝ち組だ。今までの不幸を取り返す程の幸運が来たのだ、この俺にっ!!

 

 

 

 

 

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俺は幸運者だと思う。何故かって?万年金欠の俺がこんな金持ちに成ったこともそうだし、この広い家の中でこの洗面所に行けたところから凄いだろ。

 

と言うことでこの家の構造を知る為にも俺はこの屋敷を探検したいと思う。

 

この屋敷は昔ながらの屋敷だと思う。木製だし、和風だ。こう…現世で言う……お城?みたいな感じだな。現に俺は忍者とか隠れ部屋とか出てこないかなぁと内心待ち望みしている。

 

屋敷と言うほどだ。やはり、部屋は沢山あった。部屋の中には本が沢山並べてあったので本好きだったのだろう。成る程、俺と趣味が合うな!少年よ!!

 

俺も、本を買う金はなかったので幼稚園の年中から図書館に通いだし、中2の時には図書館の本を全て読みきってしまう程の本好きであった。

 

お陰で「特別会員」なるものになり、本を数冊貰った記憶がある。あのときの俺は若かった…。

 

最初のいた部屋に戻ると、その部屋もやはり沢山の本が置いてある。どんな本なのかと少し興味がわいたので一番端に置いてある茶色の表紙の本(?)を手元に取った。

 

 

 

 

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○月△日

 

きょうは、かあさまに『かいどう』というものを、おしえてもらった。かあさまは「『惣右介』、『はるみ』をまもれるつよいおとこになりなさい」といわれた。わたしは『はるみ』だけではなく、ちからをもたないものまでまもれるつよいおとこになりたい。

 

 

○月☆日

 

『はるみ』がやしきにきた。『はるみ』はわたしのかおをみると「アンタ、少しは動きなさいよ!!」とむりやりそとにだしてきた。そのおかげで、ふくはどろだらけになって、かあさまにわらわれた。

 

 

 

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…どうやらこれは少年の日記らしい。この少年一人称『私』なの!?うん、頭がよさそうな匂いがプンプンとするね。

 

それにこの日記に出てくる『はるみ』って誰だよ。彼女か?彼女なのかっ!?俺には一度も出来たことはない彼女を俺よりも年下(?)のこの少年は彼女を持っているのかっ!?…世界は不公平だ……。

 

それにしてもこの少年の名は『惣右介(そうすけ)』と言うのだな。俺の『光右介(こうすけ)』と実に名が似ている。似ているのに俺と少年はこんなにも違うのだな。…当たり前、か…。

 

 

「惣右介っ!榛巳(はるみ)が遊びに来てやったわよ!!」

 

 

突然現れたのは、ピンクのいい生地に包まれている金髪ツインテールの女の子だった。声は透き通るソプラノで少し着物が汚れているところをみると活発な女の子なのだろう。

 

そしてこの子が先程、少年の日記から出てきた『はるみ』か…。なんとも元気そうな女の子である。

 

 

「…私は本を読むのに忙しいから今日は……」

 

 

とりあえず、この少年の事を知る為にも俺は少年の日記を読まなくてはならない。その為に榛巳にはお帰り願おう。

 

 

「はあ!?アンタ、本当につまらない男ね!私榛巳から誘ってるんだから行くのよ!!」

 

 

グン、と腕を引っ張られそのまま外に連れられてしまう。力強いな、最近の女子は…。しかも何気に榛巳、足早いし。

 

 

「ふふふっ!追い付けないでしょ!!お父様との訓練の賜物(たわもの)よっ!!」

 

 

ドンドンとスピードをあげていく榛巳に対して、差をつけられる俺は少しカチンときた。大人、嘗めてもらっちゃあ困るね、餓鬼んちょ(榛巳)よ。

 

俺は足に力を溜め…地面を蹴った。

 

ドオンとすぐ下から音がする。

 

 

「…ちょっと、惣右介!?アンタ何やってんの!?」

 

 

俺、空中飛んでました…。

 

 

 

 

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「アンタ、負けず嫌いなのは解るけど、『瞬歩』を使おうとするなんてバカじゃないの!?」

 

 

どうやら俺は『瞬歩』なるものを使おうとして失敗したらしい。空中から地面へ突撃した時は死を感じ取った。なのに生きているこの少年の体が凄いと思う。

 

 

「ほら、早く怪我したところアンタのお得意の『回道』で治しなさいよ」

 

 

『回道』。これは先程の少年の日記にもあった言葉である。しかし残念ながら俺は少年ではないので『回道』なるものの使い方が解らないのだ。

 

 

「何してんの!?早く手に霊圧集中させなさいよ!」

 

 

『霊圧』……とは?え?力的なものを手に集中させればいいのかな?とりあえず、そうしてみよう。するとなんと言うことだろう。

 

手がっ!手がっっ!!光ってるっ!!

 

光を傷もとに当てると暖かくてみるみる傷が治っていくのが解る。なんだよ、これ。

 

 

 

 

……ハイスペック過ぎね?少年よ

 

 

 

 

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暫くの時が過ぎると榛巳は「お父様に怒られるっ!!」と叫んで慌てて家に帰ってしまった。なので今現在俺は少年の日記を読んでいたのだが…。

 

…人の気配がしない。

 

この家は結構大きな屋敷だと俺は思うのだ。大きな屋敷なら、お手伝いさんぐらいいても良いのではないだろうか?なのに、今日1日そのお手伝いさんも見なければよく日記に出てくる母様も見ない。静か過ぎる。

 

そう考えるとなんか一気にやる気が出なくなってしまった。思わず日記を次へ次へと適当なページにめくっていってしまう。いつの間にか最後のページ。勿論全部は読んでいない?読んだのは最初の数ページだけだ。

 

 

 

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☆月○日

 

母様が亡くなった。前々から体が弱っていったらしい。初めて私はそんな事を聞いたので驚きで倒れてしまった。何故、母様は私に体の事を教えて下さらなかったのだろうか。私はまだ母様に何も恩を返せてはいない。誰か、教えてはくれないだろうか。私は大切な母様を亡くしてしまいどうすれば良いのだろうか。

 

 

 

 

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死んだのか。噂の母様は。悲しかっただろうな、少年よ。どうすれば良いのだろうか、か。それは俺も知りたいことである。が、とりあえず。俺は元の体に戻るまで(本当は戻りたくないけれど)この体でエンジョイすることにしようと思う。

 

前の体で出来なかった事を沢山して、悔いなく前の体に戻りたい。それまで俺に体を…貸してはくれないだろうか『惣右介』よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




藍染に憑依した(?)の人物はBLEACHと言う漫画は知りません。

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