感想欄では歩く死亡フラグと言う異名を着けたギンの生死で若干盛り上がっております。え?ヒロインはどうした?そんなの取って捨ててしまったよ。要するに、藍染は一生独身で生きると言う意味です。せいぜい志波夫妻を見て嫉妬の念に駆られるといいよ藍染くん。
ダンダンダンダンダンダンッ
複数の足音が聞こえる。それも慌ただしい足音である。
「…初めてっスよ俺。副官章なんかつけるの」
「あたぼうよ!こんとに強制されてハメるんはワシも初めてなんじゃけぇの!」
阿散井の言葉に隣を歩いていた
「副隊長は副官章を着けて二番側臣室に待機せよ――…か」
「…っと」
指定の部屋に着いた二人は部屋を覗く。すると部屋の中にはまだ雛森しかいなかった。
「…阿散井くん、射場さん」
体育座りして待機していた雛森に阿散井は近づいて雛森に問うた。
「雛森、何だよまだオマエだけか?」
「うん…そうみたい」
「隊長・副隊長なんてのは尸魂界中に散らばって忙しくしてるような連中ばっかだからねェ」
雛森とはまた違う大人の声。綺麗なソプラノの声で阿散井も射場も雛森も聞きなれた声だった。
「全員集まるのに半日ぐらいはかかるんじゃない?」
十番隊副隊長 松本乱菊。彼女は「ウチの隊長とさっぱり連絡がつかない」と言ってため息をついていた。
「…阿散井くん…」
「あ?」
「うちの藍染隊長と市丸副隊長知らない?乱菊さんも……」
雛森は涙目になりながら言った。
「朝から隊長の姿を見かけなくて…ホントはこの場所も市丸副隊長と一緒に来ようと思ったのに市丸副隊長も、見つからなくて……」
「…心配すんな。何にもねえよ。この召集だって直ぐ解かれるに決まってるさ」
「そうよ。それに藍染隊長はともかくギンはいつもフラフラと何処かに消えちゃうんだからその内ひょっこりと出てくるわ」
「全く心配性ね、雛森は」と乱菊は笑いながら雛森の頭を優しく撫でた。
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「…来たか。さあ!今回の行動についての弁明を貰おうか!三番隊副隊長――市丸ギン!!!」
ギィと大きな扉が自動で開かれる。大きな部屋の中には各隊長が集まっていた。勿論中には、藍染も皇もいる。
「イキナリ隊長に呼び出されたか思うたらこない大袈裟な…。尸魂界を取り仕切る隊長さん方がボクなんかの為にそろいもそろってまァ……――でもないか。十三番隊隊長さんがいらっしゃいませんなァ。どないされはったんですか」
市丸の問いには東仙が淡々と答えた。
「彼は病欠だ」
東仙の言葉を聞いて市丸はこの場に居ない浮竹に向かって「そらお大事に」と言う。
「ふざけないで頂戴」
甲高い声が部屋に響く。
「ギン、貴方旅禍と遊んできたみたいね。独断行動の上に旅禍を逃がすなんてどういう了見かしら。貴方の行動は三番隊に泥を塗る行動よ」
「泥を塗るやらなんやら知ったこっちゃねぇ。市丸、てめえ程の奴が旅禍の4・5人殺せねぇ訳ねえだろ」
市丸は更木の言葉を聞いて今知ったという顔ぶりで言った。
「あら?死んでへんかってんねや?アレ」
市丸は頭を掻きながら続ける。
「いやァてっきり死んだ思うててんけどなァ。ボクもまだまだ未熟だった言うことやろ?」
市丸の言葉を聞いて涅が「クク」と笑う。
「我々隊長クラスが相手の魄動が消えたかどうか察知できないわけないだろ。それともそれができないほど君は油断していたとでも言うのかネ!?」
更木や皇、涅の言い合いを静かに聞いていた日番谷がボソッと「始まったよバカ共のバカ喧嘩が…」と呟く。
「いややなあ。まるでボクがわざと逃がしたみたいな言い方やんか」
「そう言っているんだよ」
「うるせえぞ涅!今は俺がコイツとしゃべってんだ!すっこんでろ!俺に斬られたいなら話は別だがな」
「そう言う更木も黙ってて貰えないかしら?私は上司としてギンとケリをつけなきゃいけないのよ」
市丸達四人がギャーギャーと言い合っていると総隊長が動いた。
「ぺいっ!」
四人の言い合いは一瞬のように消えて静かになる。まるで先程の騒がしさが嘘のようだ。
「やめんかいみっともない!更木も涅も皇も下がらっしゃい!」
総隊長がそう言うと三人はおとなしく後ろへ下がる。総隊長は頭をボリボリ掻きながら言った。
「…じゃがまあ今のでおぬしがここへ呼ばれた理由は概ね伝わったかの。今回のおぬしの命令なしの独断行動、そして標的を取り逃がすという副隊長としてあるまじき失態!それについてのおぬしからの説明を貰おうと思っての!その為の隊首会じゃ」
総隊長は大量の霊圧を市丸にかけながら問うた。
「どうじゃい。何ぞ弁明でもあるかの、市丸や」
ギンは総隊長の霊圧をまるで感じていないかのような清々しい笑みを張り付けて言った。
「ありません!」
「…何じゃと?」
総隊長の問いに市丸は目線をやや下に下げ地面を見ながら言った。
「弁明なんてありませんよ。ボクの凡ミス。言い訳しようもないですわ。さあどんな罰でも――」
「…………」
藍染は静かに市丸を見守っている。ギンが全てを言い終わる前に警報が瀞霊廷に鳴り響いた。
《緊急警報!!緊急警報!!》
《瀞霊廷内に侵入者有り!!》
《各隊守護配置について下さい!!》
警報を聞いた隊長各は慌てる。例の旅禍か、と。隊首会は終わっていないのに更木は勝手に飛び出す。それを見届けた総隊長がひとまず隊首会の解散を告げた。
「隊首会はひとまず解散じゃ!市丸の処置については追って通達する。各隊、即時に廷内守護配置についてくれい!」
総隊長の言葉を聞いて隊長は皆部屋を出ていく。その中皇は市丸に近づくと市丸の頬をひっぱたいた。
「随分と都合よく警鐘が鳴るものね」
「隊長、言わはってる意味が」
「…それで通ると思わないで頂戴」
二人が話している光景を日番谷はじっと見ていた。
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外に出ると球体のような物が落ちてこようとしていた。俺は慌てて近くにいた雛森君に命令を出す。
「落ちて来るぞ!みんなを少し下がらせてくれ雛森君!」
「は…っはい!」
球体は遮魂膜にぶつかって止まっている。
「あそこに衝突しても消滅しないとは…それほどの密度を持った霊子体だと言うことか…!」
暫くすると球体は壊れ四方に飛び散って行った。
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時間が少しずつ経った頃。傷だらけの阿散井くんが担架で運ばれて来た。
「…そんな…!」
「…僕が見つけた時にはもうこの状態だったんだ…。もう少し早く見つけて僕が戦いに加勢していれば…」
吉良の言葉に雛森は泣きながら頭を振った。
「ううん…そんなの…吉良くんのせいじゃ…」
「…ともかく四番隊に連絡するよ。上級救助班を出して貰おう…」
吉良がそういった瞬間後ろから声が聞こえた。
「その必要は無い」
聞き覚えのある声。これは目の前に倒れている阿散井の上司、朽木 白哉の声だった。
「牢に入れておけ」
雛森は白哉に進言する。がそれは聞き入れて貰えなかった。「一人で戦いに臨むと言うことは決して敗北を許されぬことだ」と。そして阿散井のことを「愚か者」だとも言った。
雛森は白哉の言葉に目を見開き手を、肩を震わせる。
「…ちょっ……ちょっと待ってください!!そんな言い方って…」
「よせ!」
「だって吉良くん…!」
吉良は直ぐ様雛森を止めると頭を下げた。それを見た雛森も渋々頭を下げる。それを見届けた白哉は去っていった。
「お――こわ!」
「「市丸副隊長!!」」
ギンが姿を表すと二人の強張っていた表情が心なしか少しとれたような気がする。雛森はギンの側によると問うた。
「今まで何処に行ってたんですか!?」
「んー、まァ色々あってなァ」
「色々って……」
雛森は顔を俯かせるとギンが頭を撫でた。
「心配せんでもええよ。四番隊ならボクが声かけてきたる」
「でも朽木隊長は…」
「何言うてんの?ここで四番隊に声かけなかったら阿散井クンも死んでまうしボク等も卯ノ花隊長に殺されてまうで?そんなのはごめんやからなァ」
ギンはそう言うと「ほなまたな」と雛森に告げ「ついておいでイヅル」と言った。吉良は大きく返事をするとギンと共に何処かへと消えてしまう。
「よろしくお願いします!」
雛森は大きくギンにお辞儀をした。
「おわ――!こりゃ派手にやられやがったな阿散井のヤロー!」
「ふわあっ!?」
急に後ろへ現れた日番谷に雛森は驚く。
「ひ…日番谷くん!!」
「オイオイ、オレもう隊長だぜ。いーのかよそんな呼び方で?」
「うるさい!もう!どうして隊長さん達はみんな足音たてずに近くに来るのよっ!!だいたいどうして日番谷くんが――――どうしてこんなところにいるの?副官さんも連れずに…」
雛森の質問に日番谷は黙った。暫くすると日番谷は雛森に目を合わせず言った。
「三番隊には気をつけな」
雛森は日番谷の言葉に「え?」と声を漏らす。
「三番隊…?吉良くんや市丸副隊長のこと…?何で?」
「俺の言ってることは市丸だが吉良もどうかな。取り敢えず気をつけて損はないぜ」
雛森は日番谷の言うことが信じられないと言う顔をしている。現に今日番谷にそう言っている。
「何言ってるの?市丸副隊長はそんな人じゃないよ?あたし知ってるもん。何でそんなこと言うの?」
雛森の問いを聞いて日番谷は「やっぱり……」と予想していた通りになったことを恨んだ。
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「遂に護廷十三隊の副官の一人を欠く事態となった。最早下位の隊員達に任せておけるレベルの話ではなくなった。先の市丸の単独行動については不問とする!」
「おおきに」
総隊長の言葉に市丸は礼を言う。総隊長はそれを一目見ると話を続けた。
「副隊長を含む上位席官の廷内での斬魄刀の常時携帯及び戦時全面解放を許可する!今回ここに集まれなかった者達にもそう伝えて欲しい!」
そう総隊長は言うと怒りを含んだ声で言った。
「諸君。全面戦争といこうじゃないかね」
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最近疲労が溜まってきているような気がする。…まあ気のせいだろうが。そんな風に思っていないと生きていけない。今なんか旅禍が瀞霊廷に攻めてきている事態。休暇取りたいなんて言ったら旅禍の首が吹っ飛ぶ前に俺の首が吹っ飛んでしまう。
いつも通りの残業。取り敢えずすぐ寝れるように持ち帰ったのはいいが……正直雛森くんの気配がうざったい。集中できない。だから話しかけることにしてみた。
「どうした。何かあったのかい?雛森くん」
話欠けると雛森くんは襖を挟んでもわかるぐらい肩を揺らしていた。そんなに驚くことも無いだろうに…。雛森くんは静かに襖を開けると謝ってきた。
「…す…すみません……少しだけ……お話させて頂けませんか…?」
雛森くんの言葉に俺は少しだけ目を見開かせる。確かに雛森くんは甘えん坊だとは思っていたが、こんなことは今まで一度もなかった。と言うことはこの全面戦争が彼女には相当堪えているのだろう。まあ無理もないか。
「こ…こんな夜更けにご無礼は重々承知の上でお願いします…。ね…寝ません!隊長の前で粗相のないようずっと起きてます!だからどうか――」
俺は立ち上がると着ていた上着を雛森くんに掛けてあげた。最近夜は冷えるからね。
「僕が無礼を理由に追い返すと思うのかい?僕がそんな人間だったら少なくとも今この瀞霊廷にはギンも海燕も居ないよ。日頃、僕はそんなに冷たく見えてるのかな?」
「そ、そんなことはないです!!藍染隊長は優しくてそれで、それで!!」
慌てて俺の良いところを言おうとあたふたしている雛森くんの頭を撫でる。
「入りなさい。今日は大変な1日だっただろう。落ち着くまでいつまでもいるといい」
正直早く帰って欲しいけどな(やけくそ)
「…阿散井くんは命に別状はないそうだよ…。朽木隊長は罷免を唱えたが反対にあってそれもなくなった。傷が癒えればすぐにでも本隊に復帰できるそうだよ」
「本当ですか!良かった…」
雛森くんは嬉しそうな声色で言った。
「反対って…もうしかして藍染隊長がしてくださったんですか?」
「僕だけじゃないよ。彼は優秀だし皆に好かれている。彼が罷免されて喜ぶ人なんて護廷十三隊には一人もいやしないさ」
…正直雛森くん。俺の為にも早く寝てもらえると助かる。何だよ、仕事持ち帰ったら雛森くんが来て仕事出来なくなるし頭痛いし。これ絶対に風邪引いたね。久しぶりだなぁ、風邪引くの。
雛森くんが寝たのを見計らって俺は部屋を出た。まずは体温計から探そう。次は頭痛薬。因みに何故わざわざ雛森くんが寝たのを見計らったかと言うと騒がれたらめんどうだから。こんなの寝てりゃ治るしね。変に心配されても困るし。