if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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前話が好評だったとしても今回が好評とは限らない。作者自身前話でやりきった感じがあるので期待しないでね


本当は

死んだと思われた藍染が本当は生きていたら皆は一体どう思うだろうか。俺はそう考えながら高台の上で瀞霊廷を見下ろしていた。

 

皇に殺されたと思われていた俺は本当は生きています。勿論死体だって偽物(フェイク)。簡単に引っ掛かってくれた皇を見て笑いが止まらなかったものだ。

 

皇に襲われたあの日。返り討ちにしてやっても良かった。が、そうしなかったのは雛森くんの矯正の為だった。

 

彼女は俺に依存しすぎている。彼女は俺を憧れ以上の“依存”と言う目で見ているのだ。それが俺にはどうも許せなかった。だからこそ俺に依存をやめさせるためわざわざ死んだフリをしたのだが……。

 

 

「まさかギンまでキレるとは」

 

 

想定外だった。俺の死にあんなに怒ってくれるとは思わなかった。もし俺が女がだったら惚れてたかもしれない(キモい)。

 

そして想定外がもうひとつ。ギンに『鏡花水月』の破片を持たせることを忘れていたのだ。平子隊長(あのアホ)には持たせていたのだがギンには持たせるのを忘れていた。ギンに「本当は生きてるよー」って言いに行った時に自分を認識してくれなくて何でだと悩んだ結果自分のミスに気づいた。本当にアホだと思う。すっかり持たせてた気になってたよ…。

 

『鏡花水月』を触らせれば俺をギンも認識できるようになるのだがそこまでするのはめんどいと思ったのでやめておいた。

 

そして今俺は高見の見物をしている。だって暇なんだもん。死んだことになってるしここで『鏡花水月』をといたとしても混乱を招くことは簡単に想像できる。だから高見の見物だ。どうやら旅禍くん達は敵ではないようだし頑張れとエールを送っておく。

 

…まあギンが見逃したことでもう敵ではないと分かってたんだけどね。

 

あ、安心しておいていいよ。皇のせいで怪我を負った日番谷隊長とギン、雛森くんは傷痕が残らないようにきっちりと俺の回道で治しておいた。

 

俺が居なくなっている間に物事は沢山進んでいく。例えば朽木ルキアの死刑はオレンジ色の旅禍くんが阻止したとか、双殛を浮竹隊長と共に海燕が壊したとか、本当は東仙要が敵だったとか、皇の斬魄刀が俺と同じ『鏡花水月』だったとか。

 

同じ斬魄刀がこの世に2つあるのは珍しくない。現に今十番隊隊長をやっている日番谷隊長だって同じ『氷輪丸』をかけ殺しあいをしたことだってある。

 

因みに皆は皇の斬魄刀が『鏡花水月』だと気づいていない。何故なら彼女は斬魄刀の名を呼ぶときは本当に小さな声で、周りに聞き取れない声で呼ぶのだから。正直こっちとしては助かっている。斬魄刀の能力バレてないし。

 

まあそんなことは置いておいて気づけば皇は乾と東仙を連れて虚に乗り何処かへと行ってしまった。行き先は多分虚圏(ウェコムンド)だろう。とりあえずはこの戦いが終わった、と言うわけだ。いや終わってないけどね?

 

それにしてもこれからどうしようか。皇は俺が殺すとして…うーん、そうだ!!平子隊長探そう!!あの人は不死身のような人だしきっと生きてる!!尸魂界にはいないと思うからいるとしたら…現世か。旅禍くん達が帰るときに俺も一緒に現世へ行こう、そうしよう!!我ながらなんと言う名案!!

 

という事で次の行き先は現世にしようと思う。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

藍染隊長の為に三番隊に入った。あの人はボクの恩人だ。行き倒れていたボクを助けてくれて、霊圧の使い方まで教えてくれた。その恩に報いる為、ボクは三番隊に入った。

 

けど恩を報いるどころかやられて終わってしまった。ボクが目を覚ました頃には皇は虚圏に乾と東仙を連れて逃げていたのだ。やるせない気持ちでいっぱいになった。仇を取るどころかやられて終わってしまったのだから。

 

 

「ギン…」

 

 

お見舞いに来てくれた乱菊がボクの顔を見て心配そうな顔になる。

 

 

「ギンの怪我、いつの間にか治ってたんだって」

 

 

急に乱菊がポツリポツリと喋り始めた。

 

 

「ギンが倒れてた場所にはウチの隊長と雛森が怪我してて倒れてて卯ノ花隊長は時間もなかったからとりあえず応急処置をしたらしいの。本格的な治療は皇隊長達の情報を皆に伝えてから、そう思って。だけど、卯ノ花隊長達が治療する頃には三人とも怪我が綺麗に治ってたって」

 

「……」

 

「あたしこれが奇跡だとは思わない。けど、卯ノ花隊長達に気づかれずアンタ達を治療する事なんてムリだわ」

 

 

乱菊の綺麗な灰色の目とボクの目が合う。

 

 

「一体この尸魂界に何がおこってるんでしょうね」

 

 

乱菊はわからないとでも言うかのように静かに言った。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「かわいいなあこれ…。朽木さん喜ぶだろうなあ…」

 

 

井上織姫は石田雨竜が作ったワンピースを翳して呟いた。

 

 

「…朽木さんずっと元気なかったけど…これを見たらきっと元気出してくれるよね…。それにしても石田くん…朽木さんの服なんでこんなにかわいく作れたんだろ…」

 

 

織姫は悩む。そして出した結論がこれだった。

 

 

「!!!!そ、そうか…!!もしかして石田くん、朽木さんのこと…!!」

 

 

凄いおお外れな勘を女の勘だと称して舞い上がっていた。そして朽木ルキアのいる部屋に着く。テンションの高い織姫は早くルキアに会いたいと言う思いでルキアの部屋を覗く。がそこにルキアは居なかった。

 

 

「…どこに行ったんだろう朽木さん……」

 

 

周りをキョロキョロと織姫は見渡すがルキアの姿は見えない。

 

 

「うーん…」

 

「どうかしたのかな?」

 

 

ルキアの居場所について悩んでいると後ろから聞いたことのない声が話しかけられた。

 

 

「えーと…」

 

「ああ、僕の名前は藍染。何か探してるみたいだったから」

 

 

眼鏡をかけた黒装束を着た男性。風貌はとても優しそうで困っている織姫を見て優しい人だ、と織姫は直感で感じた。

 

 

「朽木さん…朽木ルキアの居る場所って知ってますか?ここに来たら居なくて……」

 

 

織姫が藍染に聞くと藍染は残念そうに頭を振って言った。

 

 

「残念だが知らない。お詫びに僕も一緒に探すよ」

 

「ホントですか!?」

 

「ああ、ホントだ」

 

 

織姫は一人で探すのが心細かったのか嬉しそうに笑った。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

「あ~~~も~~~足痛て~……」

 

 

十一番隊 更木剣八に追いかけられ逃げていた黒崎一護。黒崎は更木の愚痴を歩きながら漏らしていた。

 

 

「くろっ、さき、く――ん!!!」

 

 

黒崎の姿を見つけた織姫はダッシュで走る。藍染は涼しい顔で織姫の横を走っていた。

 

 

「い、井上…?と……誰だ?」

 

「は――、は――、この人は藍染さんで……って、違くて……」

 

 

息切れをしていて中々言葉にならないので見かねた藍染が織姫の代わりに言ってやった。

 

 

「朽木さん知らないかな?井上くんの能力(チカラ)で瀞霊廷中を探しても見つからないみたいでね」

 

 

そこからはパニックだった。黒崎も仲間に加わりルキアを捜索した。阿散井恋次に聞きに行ったり、朽木白哉に聞いたり、松本乱菊に絡まれたり。探して探して探した結果、志波家に居た。

 

朽木ルキアは尸魂界に残り、織姫、石田、茶渡…そして黒崎は現世に戻ることとなった。

 

 

「あれ?藍染さんどうしてここに?」

 

「いや、僕にも色々事情があってね現世に行かなきゃいけないんだ。どうせなら一緒に行こうかと思って」

 

「藍染さんも現世に行くのか?」

 

「ああ」

 

 

織姫や黒崎と喋っていると石田と茶渡が話しかけてきた。

 

 

「君は?」

 

「ああ、この人は藍染と言って――」

 

「貴様ら!話しとる暇はないぞ!!」

 

 

夜一の一声で旅禍一行+藍染は尸魂界を出、断界を通り現世に向かった。現世に戻ったとき、浦原が出迎えてくれた。浦原と一護が話している間に藍染は姿をいつの間にか消していた――。

 

 

「黒崎くん、藍染さんは?」

 

「うおっ、いつの間にか居なくなってやがる……」


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