if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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原作読み返しててやっぱり日番谷冬獅郎はいいなあと思った。自分イチオシです


朽木ルキアの戦い

 

「申し上げます!六番隊副隊長 阿散井恋次及び十三番隊 朽木ルキア殿両名の霊圧が隊舎から消えた模様です!現在、我が隠密機動 第二分隊・警邏隊が瀞霊廷全域に捜査範囲を広げ――」

 

「……………あ奴らめ…」

 

 

総隊長の重々しい声が室内に響いた。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

虚圏に織姫を取り返しに来たルキアは急いでいた。なぜなら茶度の霊圧が消えかかっているからだ。階段を駆け上がり扉を抜ける。壁を抜けてもまだ空があることにルキアは疑問を持つ。

 

 

「――…これは…!何だこれは…!?青空…!?壁を抜けて何故まだ空があるのだ…!?それに――…」

 

「教えてあげましょうか?」

 

 

ルキアの後ろに急に現れた黒髪の女性、フュズオン。ルキアは驚き振り返るがフュズオンは響転(ソニード)を使いルキアの前へと移動した。

 

 

「ついてきてください」

 

「待て!!」

 

 

ルキアはフュズオンを追って部屋に入っていく。

 

部屋の中は普通であり大して変わった所なんてなかった。部屋の中心部にはフュズオンが立っておりルキアを見るとお辞儀をして言った。

 

 

「お初にお目にかかります。私の名はフュズオン。これから貴女を殺す相手の名です」

 

「………」

 

 

フュズオンは黒い瞳でルキアを見つめる。そして口を開くと言った。

 

 

「貴女はあの人よりも弱いですね」

 

「あの人…?」

 

「名は確か…市丸ギンと言ったような気がします」

 

 

ルキアは驚いた声で「市丸副隊長を知っているのか!?」とフュズオンに聞いた。

 

 

「一度お相手をさせて貰いました。またあの人と戦いたかったのですが――貴女で我慢させて頂きます」

 

 

フュズオンの言葉を聞いてルキアは鼻で笑った。

 

 

「そう言えば私は自己紹介をしていなかったな。私の名は朽木ルキア。貴様を倒す名だ。覚えておけ」

 

 

「貴様など市丸副隊長が出て来ずとも私が殺す」そう言って強く地面を踏みつけ斬魄刀を構えフュズオンに向かっていった。

 

 

「舞え『袖白雪(そでのしらゆき)』」

 

 

ルキアの斬魄刀の刀身が綺麗な白い刀身へと変わる。ルキアの周りには冷気が帯びており周りの気温が下がった。

 

 

「初の舞・月白」

 

 

フュズオンの足元には白い円形状の何かが浮かび上がり――数秒後には白い円柱が地面から出てきていた。しかしフュズオンはそれを軽々と避ける。

 

 

「遅い」

 

 

フュズオンは斬魄刀を出す素振りすら無く響転(ソニード)で避けるとルキアに蹴りを一発食らわせる。ルキアはフュズオンの姿を捉えることが出来なく、腹に重い一撃を受けてしまった。

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

ルキアは蹴りを食らってもダウンすることなく頭をフル回転し考える。

 

 

「(彼奴が使っているあの技――確か響転(ソニード)と言ったか。あれはもしかすると私の瞬歩よりも早いかもしれん。どうやって彼奴を倒すか。まだ彼奴は斬魄刀を抜く素振りすら見せていない。それ程までに私は嘗められているのか?)」

 

「嘗めるなっ!!」

 

 

ルキアは再び地面を蹴り独特な構えをとる。刀で地面を四箇所突きそこから強大な冷気を一斉に雪崩のように放出してフュズオンを凍らせようとする。

 

 

「次の舞・白蓮」

 

「そんな技では私を殺せない」

 

 

容易く避けられルキアは顔を顰める。それでもルキアは諦めることなく戦い続けた。しかし、一度も掠ることはない。フュズオンに容易くルキアの攻撃を止められる。力をグッと込めるとルキアは手から斬魄刀をするりと落とした。

 

フュズオンはルキアを遠くに飛ばすと落ちているルキアの斬魄刀に近づき――斬魄刀の刃を折った。ルキアの目が見開かれる。

 

 

「『袖白雪』っ!!」

 

 

フュズオンはルキアに見せつけるようにわざわざルキアの元に折れた『袖白雪』を投げた。ルキアは少しの絶望を覗かせながら『袖白雪』を拾う。

 

フュズオンはただそれを静かに見ていた。しかし最後はフュズオンは呆れたような顔をし、ルキアを見つめていた。ルキアのプライドはフュズオンによってズタズタにされた。

 

フュズオンは先程よりも早い響転(ソニード)でルキアの懐まで入り込むと「さようなら」という言葉を残し、斬魄刀でルキアの腹を貫いた。

 

フュズオンは更に斬魄刀を押し込む為かわざわざルキアを上に上げる。ルキアは重力に逆らうことなくズルズルとフュズオンの斬魄刀の柄へと近づいていく。ルキアの血が斬魄刀に伝いフュズオンの頬へと落ちてくる。それを光のない瞳で見つめていた。

 

 

「…やはり、貴様は……強い、な」

 

 

ルキアは力のない笑みをフュズオン見せながらフュズオンの漆黒の瞳を見つめた。

 

 

「しかし、私はここで…朽ちる訳には、いかぬ、のだ…。私は、井上を…井上を助けなければならぬ……だからこそ、ここで貴様を倒し………」

 

 

ルキアが刃のない斬魄刀をフュズオンの顔へと向ける。ゴポリとルキアは口から血を吐き出した。

 

 

「…参の舞『白刀』……」

 

 

折れた刀身から白い刀身を生み出し、フュズオンの眉間をした貫く。

 

 

「…へえ……」

 

 

これがルキアがフュズオンに初めて攻撃を加え、そして最後だった。

 

 

「私はここで貴様を倒し…井上を助けに行かなくてはならない…!!私は孤独を知っている、捕らわれし者の孤独を、仲間が助けに来た時の喜びを!! ……だからこそ、私はここで朽ちる訳にはいかぬのだ、貴様を倒し、私は井上を、助けに…行かねばならない……」

 

 

気がつけばフュズオンは倒れており、ルキアも地面に寝そべっていた。ルキアは重く、軋む体を引きずりながら織姫の霊圧がする方向へと向かう。

 

 

「……案ずるな、井上。井上は必ず……わた、し………が――」

 

 

そしてルキアの意識は途切れた。

 

 


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