if物語 藍染に成り代わった男   作:フ瑠ラン

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色々な出逢い

「なんや?これ?」

 

 

平子隊長を認めた…と言ったら下に見ているような感じがするので言い換えよう。俺が平子隊長の下で働きたいと思って2日目の朝。俺は平子隊長にとある物を渡した。

 

銀色の不格好な小さな欠片。平子隊長は欠片を掌に乗せると色んな角度でまじまじと見ていた。

 

 

「俺の斬魄刀の破片です」

 

 

俺がそう言うと平子隊長は目を見開き数秒後「俺にゴミ渡して来たんか?」と言った。

 

 

「いや、それゴミじゃなくて持ってて欲しいんです」

 

「…言うてる意味がよう解らんわ。ちゃんと説明しぃ」

 

 

俺は「勿論説明しますよ」と頷く。

 

 

「俺の斬魄刀『鏡花水月』の能力は『完全催眠』。俺の始解を一度でも見たらヤバイんです。それから逃れる方法は2つ。1つ目は自分の目を切り落とすかなにかして見えなくする。二つ目は鏡花水月に触れておくこと」

 

「……流水系の斬魄刀や、って俺は聞いとったんやけどなぁ」

 

「…流れでそんな感じになったんですよ。まあ、面倒なんでそのまま放置しましたけど」

 

「で、なんでこれを俺に渡したん?」

 

 

平子隊長は本気で解らないような顔をして俺に聞いた。俺は言うのが少しだけ照れ臭くて、頭をガシガシと掻きながら言った。

 

 

「貴方の下で働きたい、って感じたから。尊敬する上司を催眠にかけるなんて嫌だから刀の一部を渡したんです。それを持っておけば、隊長は俺の完全催眠にかかることはありません」

 

「なんや、この短時間でかなり俺を信頼してくれたみたいやな」

 

「俺の素を出せるの今のところ隊長だけなんで」

 

 

俺がそう言うと隊長は何回か瞬きを繰り返しニヤリと笑って言った。

 

 

「意外と友達おらんみたいやな惣右介」

 

「……余計なお世話だァァアア!!」

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

護廷十三隊に入って初めての休暇を取った。今現在俺は流魂街にいる。理由は“自分で作る家、カッコよくね?”とふと思ったからである。3日の休暇をとり現在3日目を過ごしている。時刻はお昼、家の完成度は上々であり俺は不眠不休で家を作ったのであった。

 

家の大きさは小さな一軒家程である。部屋は3つで広さはそんなにない。成人男性二人程住めたらいいな、ぐらいだ。

 

正直そんな家を不眠不休で作る理由が見いだせなかったのだがまあいいだろう、と適当に満足しておく。

 

グゥと俺の腹が鳴った。当たり前だろう。世間ではもう昼飯の時間である。朝取った新鮮な野菜たちを見て何を作ろうか悩む。そして俺は気づいた。

 

…薪、無くね…?

 

薪がないと何もできないので俺は昼飯を作るのに必要な薪を取りに外に出たのだが……。

 

いつの間にか子供拾ってました。

 

銀髪の子供が俺の腕の中で寝息を漏らしている。そんな子供を俺は抱き抱え俺は不眠不休で作った家に向かっていた。

 

俺の顔は冷や汗ダラダラである。今すぐにでも暴れだしたいが少年が腕の中にいるのでそんなことはできない。…尸魂界って、警察あったっけ…?

 

どうして俺がこんなにパニックになっているのか、いつこの俺が抱えている少年に会ったのかを知って貰う為にここで少し回想に入ろうと思う。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

「ふぅ。これぐらいでいいかな」

 

 

足元に落ちていた薪を拾い俺は呟いた。両腕には沢山の薪がありこれぐらいなら大丈夫だろうと結論付ける。立ち上がり帰ろうとしたその時だった。

 

目の前でユラユラと揺れる影。目の前、と言っても距離はかなり離れているので遠目で見ていて見える程度である。

 

影は人でそれも現世で言う五歳ぐらいの年頃の銀髪の少年だった。少年は俺に近づいて来たかと思うとそのまま地面に倒れてしまった。

 

 

「…………」

 

 

俺は右手に持っていた薪を捨てて少年を拾った。

 

……こうして俺は初めての誘拐(?)をしてしまったのである。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

子供を拾った理由は少し昔の自分と重ねてしまったのがあるだろう。流魂街には貧しい子供が沢山いる。しかし彼はその中でも“例外”である。

 

少年は倒れる少し前にお腹を鳴らした。すなわち少年には“霊圧”がある、と言うことだ。霊圧があれば流魂街の暮らしなんかしなくていい。死神になれば給料が入ってきてこんな貧しい暮らしなんかしなくていいからだ。

 

…まあ、それは少年の1つの未来であって選ぶのは少年。少年が死神を目指すかどうかの話だがな。

 

家に着くと、とりあえず少年を寝かせた。残念ながらここに敷き布団なるものは存在しないのでそのまま地べたに寝かせることになるのだが。…我慢してくれ、少年よ。

 

俺は本来の目的、昼飯を作るため炊事場へと向かった。真空パックしてある肉や新鮮な野菜を切り、水とその他の調味料を少し加えて鍋にに入れる。先程取ってきた薪を燃やし、鍋を温めた。

 

お手軽簡単料理だ。簡単な上に俺と少年の分までの量があると言うなんとも一石二鳥。……なんともの使い方可笑しくね?

 

自分で自分の考えたことに野次を入れる俺は莫迦だと思う。まあ、これは惣右介に成る前からなので治ししようがないと思っている。これはきっと一種の病なのだろう。そうに違いない。

 

スープを二人分少年のいる部屋に持っていくと、スープの匂いを嗅ぎ付けたのか少年が飛び起きた。そして俺に了承を取ることもなく食べ始めた。

 

……俺は優しいから許してやる。ここに総隊長とかいたら少年は既に炭となっていただろう。それほどまでに俺は優しいのだ。何の自慢か解らんがな。

 

ものすごい早さで完食すると少年は俺に向かって「美味しかったで」と言った。

 

また関西弁か。俺の身の回りに関西弁が多すぎると思う。隊長も関西弁だし、確か八番隊副隊長も関西弁だったし、十二番隊の副隊長も関西弁だったような気がする。…関西弁率高いな。流行ってんの?関西弁。

 

 

「…なんでボク、こんなとこにおるん?」

 

「その疑問せめて飯を食う前に聞いて欲しかったな」

 

 

俺は笑顔で少年にそう伝えると少年に会うまでの経緯そして少年が死神に向いていることを話をした。

 

 

「…アンタがボクを助けてくれはったんやね。礼言うわ、ありがとう」

 

「いやいや。別にこれぐらい。あ、そうだ。俺と君には縁ができた。その縁ついでにこの家、貰ってくれないかな?」

 

 

突然俺は家をあげる、と言い出した。少年は戸惑った顔をする。まあ当たり前だろう。俺だって急にそんなことを言われたら戸惑うに違いない。

 

 

「は?」

 

「いやねぇ、作ったのはいいんだけどどうにも俺には活用出来なさそうでさ。少年が使ってくれればこの家も喜ぶと思うんだよね」

 

 

これは本当のことである。この家を作ったのはいいのだがいつ使うのかが解らない。俺の家は瀞霊廷にあるし、流魂街に来ることなんて全然ないのだ。だからこの少年が使ってくれればいいな、と思った。

 

俺が少年にそう伝えると少年は「嫌や」と言った。

 

 

「ボクはこの家に住まへん」

 

「そっかぁ…」

 

 

少し残念だが、少年がそう言うのだから仕方がないだろう。

 

 

「…ボク、死神になる」

 

「え?」

 

「ボク、アンタのこと気に入ったわ。だから死神になる」

 

 

突然少年の「死神になる」宣言。驚いた俺は「そ、そっかぁ」としか言えなかった。

 

 

「だからボクを側に置いてくれへん?」

 

「………ん?」

 

「死神に成るには勉強とか色々せなあかんのやろ?ボク、文字とか全然解らへんもん。だから教えてや、アンタが」

 

 

「ボクとアンタは縁があるんやろ?」と少年に言われてなんとも言えなくなった。……この少年、意外と頭がいいぞっ!!

 

そんな少年を俺はかなり気に入った。少年に指摘され、自分が笑っていたことに気がついた。

 

 

「…んー、隊長が何かと五月蝿そうだけどいいんじゃないかな」

 

 

案外あの隊長は嫌な顔をしながらも許してくれそうだ。少年は嬉しそうに笑うと「ボク、市丸ギンや」と言った。

 

 

「ギン、ね。俺は藍染惣右介だ。これから宜しく」

 

 

俺とギンは握手を交わした。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

その後、ギンと色んな事を話した。今話していることは俺が猫かぶっている、と言う話である。

 

 

「へぇ猫かぶっとるんやね。大人は大変やな」

 

「そうなんだよ、大変なんだよ」

 

 

俺とギンは家を出て、瀞霊廷へと向かう。ギンは瞬歩を使えない為、徒歩になるのだが俺にしてみれば全然苦ではなかった。久しぶりにちゃんと景色を見ながら歩いたような気がする。

 

因みに今の俺の心情は可愛い弟を持った気分だ。一人っ子なので俺は凄く嬉しかったりする。

 

昼に家を出て日が落ちてきた。そろそろギンを抱えて瞬歩で瀞霊廷に向かおうとしたその時だった。前からドドドと沢山の足音が聞こえる。その足音は段々と俺達に近づいてきた。

 

 

「…なんや……?」

 

 

ギンが呟く。俺も何も解らないので「さぁ?」としか言えなかった。

 

 

「た、助けてェ――!!」

 

 

イノシシの大群に追われた1人の男。見た目の歳は俺とそう変わらない。しかし、である。男は色々と危なかった。

 

 

「なァ、あいぜ――」

 

 

俺は無言でギンの目を手で隠した。今の光景を見させない為である。

 

 

「言うな、何も言うな」

 

「いや、でも――」

 

 

ギンはその先の言葉を言えなかった何故なら……

 

 

「ギン!今すぐ俺に捕まれっ!!」

 

 

イノシシの大群に追われていた男は何故か全裸(・・)で、しかもその全裸の男が目の前まで迫ってきていた為、俺がギンを抱えて瞬歩で逃げたからである。

 

瞬歩で逃げたにも関わらず全裸の男は俺を追ってきた。後ろにはもうイノシシの大群はいない。

 

 

「た、助かったァ……」

 

 

全裸の男に遭遇した場合、何処に電話をすれば良いのだろうか。伝令神機で110を押したとして、現世の警察が態々流魂街まで来てくれるか?それはないだろう。何故なら流魂街に来るには一度死ななくてはならないからだ。じゃあ……刑軍こと二番隊に連絡した方がいいのだろうか……。

 

俺が懐から伝令神機を取り出すと男は慌てた。

 

 

「れ、連絡だけはやめて下さいっ!!」

 

 

俺は男を冷たい眼差しで見ると言った。

 

 

「これは猥褻(ワイセツ)だよね。男が男に男の汚いモン見ても喜ばないし逆にこっちはげっそりするわけ。それにこの場にはいたいけな少年もいるわけだしさ。…刑軍に電話するからちょっと待ってて貰えないかな」

 

「刑軍!?それ、オレ死んじゃいますっ!!」

 

「じゃあ死をもってその罪、償おうか」

 

 

にこりと笑って俺が言うと男は「オレの話も聞いてください!!」と言った。

 

 

「嫌だ」

 

「そ、即答ですかァ――っ!?」

 

 

男の目は絶望した目へと変わった。俺はそんな男を見て鼻で笑い刑軍に電話しようとしたその時だった。袖がグイグイと引っ張られる。引っ張った人物はギンであった。ギンは男を呆れた眼差しで見ながら俺に言った。

 

 

「…藍染さん、ちょっと聞いてやろうや。なんか……可哀想に思えてきたわ」

 

「……いたいけな少年に助けられたね、猥褻男」

 

「変なアダ名つけないで下さい……」

 

 

ギンに言われ、俺は伝令神機を懐に戻し、渋々男の話に付き合うことにした。

 

 

「オレの名前は(イヌイ) (ミズキ)。鬼道衆参席をやらせて貰っている者です…」

 

 

『乾聖』それは五大貴族である乾家の当主の名前でもある。そんな奴が今俺とギンの目の前で全裸しかも正座をしているのだ。見るに耐えない光景である。

 

 

「実はオレ、今日休暇を取りまして…。流魂街を歩いてたんです。そしたら流魂街の男達に襲われ、身ぐるみを全て剥がされちゃいまして…」

 

「そのまま全裸になったんやな」

 

「ハイ。流石に全裸で流魂街を歩くことはこの外見では無理なので山に入ったんですが…気づかない間にイノシシの縄張り荒らしちゃってたみたいで」

 

 

テヘッ、みたいな感じで言う乾の顔を見て俺とギンの声は被った。

 

 

「アホやろ、コイツ」

 

「アホだろ、コイツ」

 

 

こんな奴が五大貴族の当主の1人、しかも鬼道衆参席でいいのだろうか……。俺はそう思った。

 

 

「イヤー、ホントにいいんですか?」

 

「洗ってない(ソレ)でいいなら貸してやる」

 

 

俺は乾に昨日着ていた自分の服を渡した。乾は笑って「ダイジョブですよ」と言って受けとると「ホント、アリガトウございます」と言って服を着た。

 

 

「藍染さんと市丸くんに助けられなかったらこのままこの森で暮らすか色々と鬼道長に見つかって吊り上げられるところでした」

 

「いや、一度吊り上げられた方がいいって絶対」

 

「あ、でも多分婚約者には吊り上げられることになるんでダイジョブです」

 

「……は?」

 

 

 

“婚約者”と言う言葉に引っ掛かりを覚えた俺。なにコイツいっちょ前に婚約者とか作っちゃんてんの?この猥褻卑猥男が?(ちゃっかり卑猥を付け加えた)

 

…でもコイツ何気にイケメンなんだよなぁ…。金髪に近い茶髪、大きく綺麗な青い瞳、綺麗な形の涙袋、全体的には細いがちゃんとついている筋肉。第一印象が悪かっただけでちゃんと話してみるとかなりいい好青年である。

 

………ダメだ、コイツ分析してると腹がたつ。

 

 

「あ、もうしかしたら藍染さんならあったことあるかもしれませんよ。彼女、死神なんで」

 

「名前は?」

 

「三番隊副隊長 (スメラギ) (ミカド)です」

 

 

『皇』これまた五大貴族の1つの名前である。因みに俺は三番隊隊長の鳳橋(おおとりばし)楼十郎(ろうじゅうろう)さんとは隊長が仲がいいので会ったことがあるのだが。

 

 

「あー、その反応会ったことないですね」

 

「護廷十三隊は広くて大きいからな。俺だってまだまだ会ったことのない人は沢山いるさ」

 

「じゃあ帝は会ったときのお楽しみにしておいて下さいよ。彼女綺麗ですから藍染さん一目惚れしちゃうかも。ヤメテ下さいよ~ホント藍染さんだと洒落にならないんで」

 

「綺麗ならば俺は彼女に同情するね。婚約者がこんな卑猥で変態な猥褻男なんてさ」

 

「なんか色々増えてません!?」

 

 

日も落ちてきて乾とは別れた。アイツとはこの数分でかなり仲良くなった。……でも俺はあんな奴が友達第1号なんて絶対に信じない。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

五番隊に帰ってきたのは日も落ちて暗くなった時だった。思わぬ道草をくってしまったものである。

 

 

「ただいま帰りました」

 

「おー、遅かったなァ惣右介……誘拐?」

 

 

隊長は俺からギンに視線を落とすと呟いた。勿論俺は否定する。

 

 

「違います」

 

 

そう、これは誘拐ではない。ギンが自分で望んでここに来たのだ。だから俺は何も罪を犯していない。罪を犯したのは乾だけである。

 

 

「市丸ギン言います」

 

「京都弁かいな。また珍しいモン拾うて来たなァ惣右介」

 

 

平子隊長が悪い笑みを浮かべる。きっと俺も今、悪い笑みを浮かべているだろう。

 

 

「彼、意外に頭いいんで死神に育てようと思って連れてきちゃいました」

 

「ええんやない?ちゃんと育てろよ、惣右介」

 

「隊長じゃないんでその辺は大丈夫です」

 

「喧嘩売っとるなら買うで」

 

「いやいや」

 

 

とりあえず平子隊長はギンをここに置くことを許してくれたようだ。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

ギンは俺の部屋で一緒に住むことになった。現在俺は十三番隊に書類を渡しにいくついでにギンの服を買おうと着たのだを連れて街を歩いていた。

 

色んな服屋を見てまわる。ギンは服には興味がないようで安くて着やすい奴を適当に選んでいた。もう少しお高いやつ買ってあげるよギン。それをギンに伝えるとギンは「どうせすぐ小さくなってしまうからええんよ、適当で」と言った。

 

 

「服、興味あるんですか?」

 

 

突然後ろから話しかけられ俺とギンは振り向く。後ろには黒いストレートな綺麗な髪を肩の上まで伸ばし、紅いふっくらとした唇、白い肌とは対称的な黒い死覇装、そして腕には副官章がついていた。

 

――彼女は何処かの隊の副隊長か

 

そう気づくと同時に、彼女は俺の記憶の中にいる人物の顔と酷似していることに気がついた。

 

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

隣から溢れる殺気。ボクの冷や汗は先程から藍染副隊長の殺気によって止まらなかった。藍染副隊長が殺気を出し始めたのはつい先程。目の前の妖艶な女性が話しかけてきた頃からだった。

 

目の前の女性は藍染副隊長の殺気に臆することなく笑っている。化け物だと思った。横にいる藍染副隊長も目の前の女性も。

 

ついにボクの足は生まれたての小鹿のように震えだした。それでも藍染副隊長は殺気を出すことはやめない。

 

 

「…初対面だと思っていたのですが……まさかこんなにも嫌われているとは」

 

「失せて貰えないかな。君のその(ツラ)は目障りだ」

 

「初めて言われましたわ、そんなこと」

 

 

目の前の女性は藍染副隊長の言葉に傷つくことなく逆に笑っていた。笑っている女性の姿は美しいと思ったが…何か気に食わなかった。

 

 

「そこまで嫌っていらっしゃるのなら直ぐに失せましょう。その前に自己紹介をしても宜しくて?」

 

「要らない」

 

「私は(スメラギ) (ミカド)と申します。先日は大変婚約者が世話になったようで」

 

 

彼女はなんとつい先日知り合った乾聖の婚約者であった。ボクは少し驚く。確かに乾が言っていたように彼女は美しかった。

 

皇は自分の名前を告げると「実は私たち同期なんですよ、知ってました?」と藍染副隊長に聞いた。しかし藍染副隊長は皇の言葉に返すことはなかった。皇は少し微笑むと「またご縁があれば会いましょう」と瞬歩で消えていった。

 

皇が居なくなると同時に藍染副隊長の殺気は消えた。そしてボクの足の力も消えた。地面に倒れることはなかった。藍染副隊長が受け止めてくれたからである。

 

 

「ごめんね、怖い思いをさせてしまった」

 

「いや、別に大丈夫なさかい安心してェな。それにしても…ものすごい嫌っとったなァ」

 

「僕の知り合いと酷似していたものでね。後悔はしてないよ」

 

 

…副隊長、そこは後悔しようや。

 

ギンにとってはとんだ波乱万丈な1日であった。

 

 

 




~プロフィール~

【藍染憑依前】
名前:藍染(あいぜん)光右介(こうすけ)
身長:170㎝
体重:59㎏
所属:人間
異名:貧乏人大量バイト掛け持ちマン
容姿:男にしては伸びきった黒髪に、黒い瞳。涙袋があり右目の目元にはホクロがある。貧乏が故にヒョロヒョロ。服もボロボロ。
その他:光右介は自分のことモテてないと思っているが意外と影でモテていた。しかし告白をされることはなかったので光右介は勘違いしたまま藍染に憑依することとなる。


【憑依後】
藍染(あいぜん)惣右介(そうすけ)
身長:186㎝
体重:70㎏
所属:護廷十三隊五番隊副隊長
異名:尸魂界一優しくてイケメン副隊長
容姿:榛巳の父から死神になった祝いの品『伊達眼鏡』をつけている。茶髪で優しそうな風貌は裏切る前の原作とそう変わらない。
その他:光右介の時の貧乏感覚が直らないのかお金はあんまり使わないし、ご飯代も節約してしまう。


【オリジナルキャラクター①】
名前:(イヌイ) (ミズキ)
身長:187㎝
体重:72㎏
所属:鬼道衆参席
異名:鬼道衆一のモテ男、そして莫迦
容姿:金髪に近い茶髪、大きく綺麗な青い瞳、綺麗な形の涙袋、全体的には細いがちゃんと筋肉がついている。イケメン。
その他:意外に一途であり莫迦。しょっちゅう鬼道衆鬼道長の握菱(つかびし)鉄裁(てっさい)に吊り上げられる。鬼道衆元気の源。


【オリジナルキャラクター②】
名前: (スメラギ) (ミカド)
身長:161㎝
体重:秘密
所属:護廷十三隊三番隊副隊長
異名:三番隊のお色気担当兼頭脳担当
容姿:黒いストレートな綺麗な髪を肩の上まで伸ばし、紅いふっくらとした唇、白い肌とは対称的な黒い死覇装、そして腕には副官章をつけている。
その他:初めての人とかにはお嬢様口調で話すが親しい人にはフレンドリーなしゃべり方をするため色々と誤解の招きやすい人物。尸魂界一の美人と言われていてよくモテる。


~オマケ~

榛巳の父さんから伊達眼鏡を貰った。しかし、しかしだが……

『これをつければどんな顔でも理系に見えるヨ!!モテること間違いなし!!サァ今日から君も理系男子ダ!!』


……箱ごと渡さないで欲しかった…。



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